雇用契約書に社印がなくても有効?法的効力とリスクを解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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雇用契約書に社印がなくても有効?法的効力とリスクを解説

会社印

「従業員に渡す雇用契約書に、社印を押し忘れてしまった」

「中途採用者から返送された雇用契約書に、自社の社印が押されていないことに気づいた」

「社印がない雇用契約書は、法的に有効なのだろうか?」と不安をお持ちの労務担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この疑問に対する結論としては、雇用契約書に社印(会社の印鑑)がなくても、その契約が法的に無効になることはありません。

しかし、無効ではないからといって、何の問題もないわけではありません。社印のない契約書は、思わぬリスクやトラブルを招く可能性があります。

この記事では、「社印なしの雇用契約書」の法的効力と潜在的なリスクを整理し、人事労務担当者が取るべき対応を解説します。

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◆押さえておくべきポイント

  • 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
  • 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
  • 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
  • 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策

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1. 【法的結論】雇用契約書は社印がなくても有効に成立する

丸印

まず、法律的な観点から「社印のない雇用契約書」の有効性について解説します。

1-1. 契約成立の要件に「押印」は含まれない

労働契約は、労働契約法第6条により、労働者と使用者の「合意」があれば口頭でも成立します。書面の交付は労働基準法で義務付けられていますが(労働条件の明示義務)、契約の成立要件として「押印」までは法律で求められていません。

また、契約書の証拠能力について定めた民事訴訟法第228条4項では、「本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」とされています。これは、押印があれば「本人の意思で作成された正式な文書である」と強く推定される、という意味です。逆に言えば、押印がないからといって、直ちに文書の真正性が否定されたり、契約が無効になったりするわけではありません。

したがって、法的な結論としては、社印がなくても双方が内容に合意している限り、その雇用契約は有効です。

1-2. なぜ慣習として社印を押すのか?

では、なぜ法律上の義務でもないのに、ほとんどの企業が雇用契約書に社印(一般的には角印)を押すのでしょうか。それは、押印が以下の重要な役割を果たしているからです。

  • 会社の公式な意思表示: 「会社として、この内容で契約を締結する意思がある」ことを内外に示す。
  • 文書の真正性の担保: 押印があることで、その文書が会社によって正式に発行されたものであることの信頼性が高まる。
  • トラブルの予防: 万が一「そんな契約は知らない」といった紛争になった際に、会社が発行した正式な文書であることの有力な証拠となる。

社印は、契約を有効にするためではなく、その契約が会社の正式な意思であることを証明し、将来的なトラブルを防ぐための「お守り」のような役割を担っているのです。

2. 社印がない雇用契約書に潜む3つの実務的リスク

会社角印法的に有効だとしても、社印のない雇用契約書を放置することには、人事労務管理上、看過できないリスクが伴います。

2-1. リスク1:従業員の不信感や不安を招く

入社という重要なタイミングで渡された契約書に会社の公式な印鑑がなければ、従業員は「この会社は管理がずさんなのではないか」「本当に正式な契約書なのだろうか」と不安や不信感を抱く可能性があります。

2-2. リスク2:文書の証拠能力が弱まる

万が一、労働条件などをめぐって従業員と紛争になった際、相手方から「その契約書は会社が正式に発行したものではない」と主張される可能性がゼロではありません。

押印があれば容易に証明できる「文書の真正性」を、他の手段で証明する必要が出てくる場合があります。

2-3. リスク3:内部統制上の問題点を指摘される

社印の押印は、社内の承認プロセスが完了した証でもあります。

押印漏れが頻発する状況は、内部監査や外部監査において、適切な業務フローが遵守されていない「内部統制の不備」として指摘される可能性があります。

3. なぜ「社印なし」は起こるのか?根本原因はアナログ業務にあり

契約

押印漏れは、担当者の単純なミスで片付けられる問題ではありません。特に、従業員数が多い企業ほど、その背景には構造的な問題が潜んでいます。

  • 大量の書類作成と手作業:

新入社員一人ひとりに対して、雇用契約書やその他多数の入社書類を印刷、製本し、手作業で押印。このプロセス自体がミスを誘発します。

  • 煩雑な郵送と回収管理:

書類を郵送し、従業員に署名・捺印を依頼して返送してもらうまでのタイムラグと管理の手間。

  • 物理的な保管と検索の困難さ:

回収した大量の紙の契約書をファイリングし、キャビネットに保管するコストと、後から特定の契約書を探し出す手間。

つまり、「社印なし」という問題は、非効率でミスの起こりやすい「紙と印鑑」に依存したアナログな業務プロセスそのものが根本原因なのです。

4. 解決策は「書類の電子化」。押印業務そのものをなくす

印

この根本原因を解決する唯一の方法は、押印業務そのものをなくすこと、すなわち雇用契約をはじめとする書類の電子化です。

電子締結や書類配布システムを導入すれば、PC上で作成した雇用契約書を従業員に送信し、オンラインで同意を得ることができます。これにより、企業は以下のような圧倒的なメリットを享受できます。

4-1. 書類を電子化することで得られるメリット

  • 押印漏れのリスクがゼロに:

そもそも押印作業がなくなるため、押し忘れは起こり得ません。

  • 業務工数とコストを大幅に削減:

印刷、製本、押印、郵送、ファイリングといった一連の手作業と、それにかかる人件費や郵送費、保管コストをすべて削減できます。

  • 契約締結までの時間を劇的に短縮:

郵送の往復にかかっていた数日が不要になり、数時間、場合によっては数分で契約プロセスが完了します。

  • コンプライアンスとセキュリティの強化:

コンプライアンスとセキュリティの強化: 「誰が」「いつ」「どの文書に」合意したかが記録されるため、検索も容易になります。

5. 社印のリスクを理解し、安全で効率的な体制へ

書類

雇用契約書に社印がなくても法的に無効にはなりませんが、従業員の信頼を損ねたり、将来的な紛争のリスクを高めたりする可能性があるため、決して軽視はできません。

そして、その根本的な課題は「紙と印鑑」に依存する旧来の業務プロセスにあります。

もし雇用契約書への押印だけでなく、労働条件通知書、身元保証書、個人情報同意書といった、入社時に発生するあらゆる書類の作成・配布・回収・管理に非効率を感じているのであれば、その解決策としてシステムの導入を検討してもよいでしょう。

なお、労働条件通知書を電子メール等で交付する場合、労働者本人が希望していることや、そのデータをいつでも書面として出力できる形式であることなど、一定の要件を満たす必要があります。導入の際は、自社の状況が要件に適合しているかを確認しましょう。

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◆押さえておくべきポイント

  • 雇用契約の基本(労働条件通知書との違い、口頭契約のリスクなど)
  • 試用期間の適切な設定(期間、給与、社会保険の扱い)
  • 契約更新・変更時の適切な手続きと従業員への合意形成
  • 法的トラブルに発展させないための具体的な解決策

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jinjer Blog 編集部

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