サービス残業の強要が起きていると感じたら?企業が取るべき対策を解説
更新日: 2026.3.31 公開日: 2025.8.29 jinjer Blog 編集部

日本では、高度成長期の頃から「サービス残業は美徳」という考えが根付いており、長時間労働を真面目さや貢献と捉える風潮があります。
しかし、サービス残業の強要は、企業にとって重大な法的・社会的リスクを伴う違法行為です。問題が表面化すれば、未払い賃金の支払いに加えて、企業の信頼や採用力にまで影響を与えかねません。
この記事では、サービス残業の「強要」とは何を指すのかに加えて、発生しやすい職場環境の特徴や企業が負うさまざまなリスクを解説します。サービス残業の強要が起きていると感じる担当者は、ぜひ参考にしてください。
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1. サービス残業の「強要」の違法性と判断基準


まずはサービス残業を強要することの違法性や、その判断基準を知っておきましょう。サービス残業そのものが労働基準法違反に該当することも理解し、自社内の問題に取り組むことが大切です。
1-1. サービス残業の強要は違法
サービス残業の強要とは、本来なら時間外手当が支払われるべき労働を企業がなんらかの形で強制し、賃金を支払わない状態に置く行為を指します。
労働基準法では、法定労働時間を超える労働(時間外労働)や休日労働をおこなわせた場合、残業代を支払うことが企業に義務付けられています。サービス残業では、企業がこの義務を果たしていないことになり、労働基準法第37条違反です。
つまり、自主的なものであろうと、強要した場合であろうと、サービス残業という行為そのものが違法になります。強要している場合は、労働基準法第37条違反に加えて、パワハラやモラハラといった問題を抱えているケースも多いです。
なお、労働基準法第37条に違反した場合、未払い賃金の支払いに加えて、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
1-2. サービス残業の強要に該当する行為の例
サービス残業の強要は、法定労働時間を超えて会社で業務をおこなわせる行為以外にも該当することがあります。以下のような行為や命令は、サービス残業の強要になる可能性が高いです。
- タイムカード打刻後にも業務をする風潮がある
- 終わらなかった仕事は、持ち帰って家でやるよう指示する
- 朝早く来て業務や掃除をするように命じる
- みなし残業時間を超えた場合でも、固定残業代を理由に残業代を支給しない
これらの行為はサービス残業の強要に該当します。さらに、同様の行為を従業員が自主的におこなった場合でも、会社が黙認して残業代を支払っていない場合は労働基準法違反になります。
「サービス残業をして当たり前」「サービス残業をしないと評価が下がる」など、サービス残業をせざるを得ない状況を作り出すことも、労働基準法違反につながることを理解しておきましょう。
2. サービス残業の強要が起こりやすい職場の特徴


サービス残業の強要が起きやすい職場には、いくつかの典型的な傾向があります。3つの主な特徴を知って、自社や部署内の環境が該当していないか確認しましょう。
2-1. 長時間労働が常態化している
長時間労働が常態化している職場では、そもそも「残るのが当たり前」という雰囲気が職場に浸透しており、従業員が定時に帰りづらい雰囲気になっていることがあります。とくに、所定労働時間が終わっても役職者や多くの社員が職場に残っているような環境では、仕事を終えて帰ることが心理的に難しくなります。
また「残業申請をすることは評価に響くのでは」「申請すると怒られるかもしれない」といった空気があると、必要な申請を控え、結果的にサービス残業が発生します。こうした空気は、間接的なサービス残業の強要が常におこなわれているともいえるでしょう。
2-2. 経営層や上司が労働基準法を深く理解していない
小規模企業の経営層や一部の管理職には、労働基準法への理解が不十分なケースも見られます。例えば「みなし残業代があるから追加の支払いは不要」と誤解しているほか「管理職には残業代は出ない」と勘違いしている場合もあります。違法行為という認識がないため、当たり前のようにサービス残業をさせてしまうわけです。
従業員が残業代の支払いを求めた際に「細かいことを言うな」といった反応を示す場合もあり、コンプライアンス意識の欠如がサービス残業の強要を助長する要因となります。
2-3. 人手不足と業務過多が慢性化している
人員不足や業務過多の状態が続くと、所定労働時間内に仕事が終わらず、結果としてサービス残業が常態化します。特定の社員に業務が集中しているほか、残業代を払う余裕がないとする企業では「うちは労基法を守っていたらやっていけない」などと開き直る例もあるようです。
法定労働時間の上限を避けるために、時間外労働の記録をつけず、サービス残業するケースも珍しくありません。
2-4. サービス残業を美徳とする風潮がある
日本の企業には、サービス残業を美徳とする風潮が残っています。「報酬を求めず会社のために働くことは素晴らしい貢献だ」という感覚があり、それがサービス残業を強要することにつながっているのです。
近年は働き方改革や労働者の意識の変化により、こうした風潮は薄れつつあります。しかし、年齢が高い層ではまだまだ根強いため、経営者や役職に「長時間労働=企業貢献」という考え方があると、サービス残業の強要が日常的におこなわれてしまうでしょう。
3. サービス残業の強要は企業にどのようなリスクをもたらすのか


企業がサービス残業の強要を放置していると、企業は以下のようなリスクを負うことになるでしょう。
- 法的リスク
- 従業員の健康リスク
- レピュテーションリスク
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 法的リスク
サービス残業の強要は、労働基準監督署の調査対象となる可能性があります。実態が発覚すれば是正勧告が出され、企業は労働時間管理の改善や未払い残業代の支払いを求められるでしょう。
さらに悪質な場合には、労働基準法違反として刑事罰の対象にもなり、罰金や懲役が科されることもあります。企業としての法的責任を軽視することは、大きなリスクを伴うでしょう。
3-2. 従業員の健康リスク
サービス残業が続く職場では、従業員のモチベーションが低下し、生産性の悪化や離職率の上昇を招くかもしれません。時間外労働が当たり前になると、心身の疲労が蓄積し、うつ病や過労死のような深刻な健康被害につながるリスクも高まります。
こうした健康問題が発生した場合、企業が労災責任を問われる可能性があるだけでなく、組織全体の士気や業績にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
3-3. レピュテーションリスク
サービス残業を放置することで、企業は「労働環境が悪い」「ブラック企業」などのレッテルを貼られ、社会的評価が大きく損なわれるかもしれません。特にSNSや就職情報サイト、クチコミ掲示板などでの情報拡散は、ブランドイメージを深刻に傷つけるものです。
その結果、優秀な人材が集まらなくなり、既存社員のモチベーションや定着率も低下するおそれがあります。企業の成長にとって大きな痛手となるでしょう。
4. サービス残業の強要が発覚したときに企業が取るべき対応


企業がサービス残業の強要を放置していると、企業は以下のようなリスクを負うことになるでしょう。
- 法的リスク
- 従業員の健康リスク
- レピュテーションリスク
それぞれ詳しく解説します。
3-1. 法的リスク
サービス残業の強要は、労働基準監督署の調査対象となる可能性があります。実態が発覚すれば是正勧告が出され、企業は労働時間管理の改善や未払い残業代の支払いを求められるでしょう。これはサービス残業を従業員が自主的におこない、会社が黙認していた場合も同様です。
悪質な場合には、労働基準法違反として刑事罰の対象にもなり、罰金や拘禁刑が科されることもあります。企業としての法的責任を軽視することは、大きなリスクを伴うことを理解しておきましょう。
3-2. 従業員の健康リスク
サービス残業が続く職場では、従業員のモチベーションが低下し、生産性の悪化や離職率の上昇を招くかもしれません。時間外労働が当たり前になると、心身の疲労が蓄積し、うつ病や過労死のような深刻な健康被害につながるリスクも高まります。
こうした健康問題が発生した場合、企業が労災責任を問われる可能性があるだけでなく、組織全体の士気や業績にも大きな影響を及ぼすおそれがあります。
3-3. レピュテーションリスク
サービス残業を放置することで、企業は「労働環境が悪い」「ブラック企業」などのレッテルを貼られ、社会的評価が大きく損なわれるかもしれません。特にSNSや就職情報サイト、クチコミ掲示板などでの情報拡散は、ブランドイメージを深刻に傷つけるものです。
その結果、優秀な人材が集まらなくなり、既存社員のモチベーションや定着率も低下するおそれがあります。企業の成長にとって大きな痛手となるでしょう。
4. サービス残業の強要はパワハラにもつながる


サービス残業の強要は、パワハラに該当するケースや、ほかのハラスメント行為につながっていることがあります。どのようなつながりがあるのか把握し、隠れた問題の改善に役立てましょう。
4-1. サービス残業の強要はパワハラと深く関係している
パワハラ(パワーハラスメント)とは、優位な立場を利用して業務として必要な範囲を超えて労働環境を害する行為を指します。
以下のような行為はパワハラに該当する一例です。
- 上司が部下に対して人格を否定するような発言をする
- 対応できないレベルや量の業務を課して叱責する
- 仕事を回さない、隔離するなどして孤立させる
優位な立場を利用した嫌がらせ行為がパワハラです。サービス残業の強要も、このパワハラに該当するケースがあります。
たとえば、膨大な業務を課してサービス残業を命じることや、サービス残業をしないと責める、冷遇する行為などは、パワハラに該当する可能性が高いです。
サービス残業が必ずしもパワハラになるわけではありませんが、密接な関係があることを理解しておくことが大切です。
4-2. ほかの問題が隠れていることも考えられる
サービス残業の強要がおこなわれている部署やチームでは、サービス残業に違法性があることを理解していないケースが見られます。コンプライアンスに対する意識が低いため、そのほかの不法行為が発生している可能性も無視できません。
たとえば、パワハラやモラハラの発生が挙げられます。サービス残業の強要自体がパワハラに該当することもありますが、ほかの部分でもハラスメント行為がおこなわれている可能性があります。
サービス残業の強要をしている上司がほかのハラスメント行為をしている可能性だけでなく、サービス残業によるストレスで従業員間のいじめや、足の引っ張り合いなどが発生していることも考えらえます。
サービス残業の強要が起こっている場合は、その部署やチーム全体の環境を広い視野で見直すことが重要です。
5. サービス残業の強要が発覚した際の対応


社内でサービス残業の強要が起きていると分かった場合、企業は迅速かつ丁寧な対応を求められます。具体的な対応策を知って、もしものときに備えておきましょう。
5-1. 事実関係を調査し未払い賃金を精算する
サービス残業が発覚した際は、労働時間の実態を正確に把握します。
タイムカードやパソコンのログ、入退室記録、ビジネスチャットの送受信履歴などを照合し、実際の労働時間を正確に把握しましょう。そのうえで未払い賃金の金額を算定し、対象従業員ごとに精算スケジュールを立て、速やかに支払います。
また、関係者へのヒアリングを通じて、業務の実態や指示の有無なども確認しておくことが重要です。
5-2. 労働基準監督署へ誠実に対応する
労働基準監督署から調査が入った場合は、必要な情報を開示し、誠実に対応することが求められます。従業員からの申告や労災申請、過労死・自殺などがきっかけとなる場合もあるため、企業としては平時から労働時間の管理体制を整備しておくことが重要です。
また、36協定の届出内容と実態に乖離があると判断されれば、是正勧告や監督指導の対象となる可能性もあるため、速やかな体制見直しが求められます。
5-3. 再発防止に向けた是正計画を策定し実行する
未払い賃金の支払いに加え、再発を防ぐための是正計画の策定が必要です。例えば以下の例が挙げられます。
- 勤怠管理システムの導入
- 労働時間の記録ルールの明確化
- 管理職への労務管理研修の実施
サービス残業の強要を防止するには、企業全体の意識を変えることが欠かせません。コンプライアンスに対する意識を高め、サービス残業に対する考え方そのものを変えられるように、研修やトップダウンの施策が求められます。
また、こうした改善策はスケジュール化し、進捗をチェックして見直しを定期的におこなっていくことが大切です。
6. サービス残業の強要をなくすには?職場改善のポイント


サービス残業の強要をなくすには、サービス残業を発生させない環境を作ることが大切です。そのためには残業の可視化や業務負担の分散、企業全体の意識改革などが効果的です。
6-1. 残業申請制度を導入する
残業申請制度は、サービス残業の防止と労働時間の適正管理に効果的です。上司の承認がない限り残業を認めないルールを明確にし、申請基準やルールも整備することで、残業の可視化とコントロールが可能になります。
また、スマートフォンやパソコンから手軽に申請できるシステムを導入すれば、申請の手間を軽減し、運用の定着にもつながるでしょう。申請傾向を分析し、業務改善に役立てる仕組みを確立し、サービス残業そのものが発生しないようにすることが重要です。
6-2. 人員配置を見直す
残業の偏りを防ぐには、部署ごとの業務量を可視化し、適切な人員配置をします。繁忙期には、定時退社が可能な部署からの応援体制や、一時的な異動によって業務負担を分散させましょう。
特に管理職など実務を担わない人員が多い部署では、実働ベースの人手不足が見落とされがちです。柔軟な配置転換や応援ルールの整備を進めることが、サービス残業の抑制につながります。
6-3. 勤怠管理システムの導入で労働時間を正確に把握する
サービス残業の防止には、勤怠管理システムの導入も効果的です。
ICカードやスマートフォン、PCログなどの客観的データにより、リアルタイムに労働時間を把握できます。打刻後の残業や自宅での作業時間も把握しやすくなり、正確な残業時間の算出や上限超過のアラート機能も活用できるでしょう。
さらに、長期的な傾向分析などの機能により、サービス残業の予防と是正の両面で大きな効果を発揮します。
6-4. 役員や管理職の意識を変化させる
役員や管理職の意識や考え方の変化は、企業全体に大きな変化をもたらします。コンプライアンスに対する意識を高め、サービス残業が違法であることや、パワハラなどの問題につながることを十分に理解させましょう。
特に管理職はサービス残業をしている労働者と近い距離にいます。サービス残業の違法性やリスクを理解し、自ら率先してサービス残業を減らしていけばほかの従業員にも広まっていくでしょう。
7. サービス残業の強要は違法!早めの対応と改善をしよう


従業員が所定労働時間を超えて労働した場合、その時間に応じて追加で賃金を支払う必要があります。法定労働時間を超えた場合は、時間外労働の割増賃金も発生します。これらは「賃金全額払いの原則」として、労働基準法で定められている内容です。
そのため、仮に従業員が自主的におこなったサービス残業であっても、適正な賃金が支払われていない場合は違法です。さらに、サービス残業を強要していた場合は、パワハラにも該当する可能性があり、大きな問題になりかねません。
サービス残業という行為そのものに違法性があることを理解し、法律を守った健康的な働き方ができるように環境を整備しましょう。
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