子ども・子育て支援金制度とは?料率と計算方法、対象者をわかりやすく解説
公開日: 2026.4.3 jinjer Blog 編集部

少子化対策の新たな財源として「子ども・子育て支援金制度」が創設されました。令和8年度がはじまる2026年4月から施行され、全世代から広く支援金を徴収して子育て支援に充てる制度です。
この制度は子育て世帯だけでなく社会全体で次世代を支える仕組みで、給与からの控除や企業負担も発生するため、実務上の影響が大きい制度といえます。また、この制度は「独身税」とよばれることもあり、制度の趣旨や負担の仕組みについて従業員から質問を受ける場面も想定されます。
本記事では制度の背景や「独身税」とよばれる理由、料率と計算方法、従業員や企業への影響、財源の使い道、よくある疑問点まで、わかりやすく解説します。
給与計算業務でミスが起きやすい社会保険料。保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。
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1. 子ども・子育て支援金制度とは?


子ども・子育て支援金制度は、子育て施策の拡充を支える特定財源として、公的医療保険の保険料に上乗せして拠出する仕組みです。まずは概要と目的、導入された社会的な背景や、「独身税」とよばれる理由について解説します。
1-1. 子ども・子育て支援金の創設背景
日本では出生数の低下と高齢化が進み、政府はこれを「最大の危機」と位置づけています。特に2030年代に入るまでが少子化傾向を改善できるラストチャンスとの認識から、「こども・子育て支援加速化プラン」が策定されました。
このプランでは児童手当の拡充など総額3.6兆円規模の子育て支援策を打ち出し、そのうち約1兆円の財源を新たに確保するために創設されたのが子ども・子育て支援金制度です。
支援金制度は2026年度から段階的に導入され、2028年度までに本格実施される計画となっています。
参考:こども未来戦略 「加速化プラン」 施策のポイント|こども家庭庁
1-2. 「独身税」とよばれるのはなぜ?
子ども・子育て支援金制度は、一部で「独身税」ともよばれ話題になりました。しかし子ども・子育て支援金制度は税金ではなく、これは誤解に基づく俗称です。支援金は独身者だけに課されるものではなく、子どもがいる人もいない人も、全員が負担する仕組みになっています。
独身世帯には直接的な見返りがないため不公平との声があり、このようによばれることがあります。しかし、制度上は独身者に限定した負担ではありません。
2. 誰が払う?対象者は「全国民」


子ども・子育て支援金は全国民が広く負担する制度です。具体的には、公的医療保険に加入しているすべての人が対象となります。被用者保険に加入している方(会社員や公務員)も、国民健康保険に加入している方(自営業やフリーランスなど)も、後期高齢者医療制度に加入している方も、それぞれ支援金を負担します。
扶養家族として医療保険に入っている子どもなどは個別には負担しませんが、その世帯の加入者を通じて広く社会全体で負担する形です。
3. いくら払う?子ども・子育て支援金の計算方法と料率


子ども・子育て支援金の金額は、加入している医療保険ごとに報酬または所得に応じて決まるのが特徴です。被用者保険の場合は、毎月の標準報酬月額や賞与額に一律の支援金率(2026年度は0.23%)を乗じて算出されます。計算式は非常にシンプルで、次のとおりです。
- 標準報酬月額×支援金率(2026年度は0.23%)
例えば、標準報酬月額30万円なら、月額の子ども・子育て支援金は30万円×0.23%=690円です。この額を労使で折半するので、従業員本人の負担はその半額(345円)になります。
国民健康保険や後期高齢者医療の場合は、各自治体や後期高齢者医療広域連合が所得に応じた支援金率を条例で定め、それに基づき保険料と合わせて徴収します。市区町村ごとに料率が異なるため、具体的な負担額は自治体からの通知で確認しましょう。
支援金率は初年度0.23%で、制度導入から3年間で段階的な引き上げが予定されています。こども家庭庁の試算によれば、全加入者1人当たりの平均月額は平均で令和8年度約250円、令和9年度約350円、令和10年度約450円程度になる見込みです。
関連記事:健康保険料はいくら?仕組みや計算方法をくわしく解説!
4. いつから払う?徴収開始時期は「2026年4月分保険料」から


子ども・子育て支援金は令和8年度がはじまる2026年4月分から徴収開始です。被用者保険の場合、一般的に4月分の保険料は5月支給の給与から天引きされるため、2026年5月から支援金の控除が始まります。
賞与も対象になるため、賞与計算にも注意が必要です。
協会けんぽや健康保険組合から事業主宛てに届く保険料額通知にも、2026年4月分以降は子ども・子育て支援金分が含まれるようになります。
5. 子ども・子育て支援金制度が従業員や企業に与える影響


子ども・子育て支援金制度は、社会保険料の項目がひとつ増えるだけではありません。従業員の受け止め方、企業の法定福利費、給与計算、問い合わせ対応まで、実務上の影響は幅広く生じます。ここでは、従業員と企業に与える影響をそれぞれ解説します。
5-1. 従業員に与える影響
従業員へ与える影響には、毎月の手取り収入の微減といった懸念点がある一方で、子育てをする従業員への支援拡充というメリットが存在します。
【懸念される影響:手取り収入の微減】
支援金分として給与から天引きされる額は、「3. いくら払う?子ども・子育て支援金の計算方法と料率」で記載のとおり、標準報酬月額30万円でも月約345円程度と大きな負担ではありません。しかし保険料控除額が増えることには変わりなく、「また手取りが減るのか」と不安に思う声もあるかもしれません。
政府はほかの社会保険料の引き下げや賃上げ効果で相殺し、「実質的な負担増にはならない」と説明しています。実際に、協会けんぽの平均保険料率は2025年度10.0%から2026年度9.9%へ引き下げられており、負担軽減が図られています。
【期待される良い影響:子育て支援制度の拡充】
従業員にとってメリットとなる点も見逃せません。支援金財源によって新設・拡充される各種子育て支援制度は、働く子育て世代の負担軽減に直結します(詳しくは「6. 子ども・子育て支援金の6つの使い道」で後述)。
5-2. 企業に与える影響
企業に与える影響についても、社会保険料と事務負担の増加という懸念点と、子育てをする従業員が仕事と子育てを両立しやすくなるというメリットの2つの側面があります。
【懸念される影響:社会保険料と事務負担の増加】
子ども・子育て支援金の半分を事業主が負担するため、社会保険料が増加します。加えて、実務面では給与計算システム対応や明細表示方法の検討をしなければなりません。システム改修の要否検討や、新たな経理処理の発生などにともなう対応が必要になるでしょう。
【期待される良い影響:仕事と子育ての両立実現】
企業にとっても良い影響が考えられます。子ども・子育て支援金によって拡充される各種給付金により、従業員がより育児休業や時短勤務を選択しやすくなります。結果として、仕事と子育ての両立が実現しやすくなり、子育てを理由とした離職が減る可能性が高まるでしょう。
子ども・子育て支援金は、法定福利費の増加だけでなく、給与計算の見直しや従業員説明も必要になる制度です。給与明細での分離記載は法的義務ではありませんが、内訳表示への協力は求められているため、制度開始前に給与計算システムの設定をおこない、社内周知をしておきましょう。
6. 子ども・子育て支援金の6つの使い道


子ども・子育て支援金で集めた財源は、法律によって用途が限定されています。支援金は少子化対策の目玉施策である「こども・子育て支援加速化プラン」に基づく6つの子育て支援策に充てられることが決まっています。
- 児童手当の抜本的拡充
子育て世帯への経済支援の柱である児童手当を大幅に拡充します。所得制限を撤廃し支給対象を高校生年代まで延長、さらに第3子以降の支給額を月3万円に増額するなど、支援対象と金額を拡大しました。 - 妊婦支援給付金
妊娠期の経済支援として、新たに妊娠届出時5万円+妊娠後期以降に妊娠中の子ども1人当たり5万円を給付する制度が創設されました。令和7年4月からスタートしています。妊娠中の検診費用や出産準備に充ててもらう狙いで、妊婦1人あたり最大10万円の支援です。 - 出生後休業支援給付金
子の出生直後、両親がともに育児休業を取得した場合に手取り10割相当の給与補填を受けられるようにする給付金です。特に取得率の低い父親の育児休業取得を強力に促進します。 - 育児時短就業給付金
2歳未満の子を育てるため短時間勤務を利用する労働者に対し、時短勤務中の賃金の10%を給付する新制度です。育児と仕事の両立を支援し、収入減を補填する目的で創設されました。 - こども誰でも通園制度の全国展開(2026年4月から開始)
保護者の就労状況にかかわらず、全ての子どもが月一定時間まで認可保育所などを利用できる制度を全国で開始します。例えば、就労していない家庭の子でも月10時間まで保育所などを利用可能になります。 - 国民年金第1号被保険者の育児期間中保険料免除(2026年10月から開始)
自営業やフリーランスなど国民年金第1号被保険者について、子どもが生まれた後一定期間、年金保険料を免除する措置を創設します。従来、厚生年金加入者は育児休業中の厚生年金保険料が免除されていた一方で、国民年金には同様の仕組みがありませんでした。そこで、国民年金第1号被保険者も同様に、子育て期の年金負担を免除するものとして開始しています。
これらは子育て期の多方面に及ぶ充実した施策であり、試算では1人当たり約146万円の給付改善効果があるとされています。
関連記事:出生後休業支援給付金とは?申請方法や申請書の書き方、対象者をわかりやすく解説
関連記事:育児時短就業給付とは?対象者と支給額・期間や申請方法を解説
7. 子ども・子育て支援金に関するよくある質問


最後に、疑問に思いやすいポイントをQ&A形式で解説します。制度の性質や実務上の取扱いについて押さえておきましょう。
7-1. なぜ税金ではなく社会保険なの?
子ども・子育て支援金を社会保険方式にしたのは、広く全世代から公平に集めつつ使途を限定し透明性を確保するためです。
税金にすると高齢者や非就労者など課税所得のない人からは集めにくいものの、医療保険料に上乗せすれば高齢者も含めた幅広い層から徴収できます。また社会保険料であれば使途を法律で限定しやすく、一般財源化して他分野に流用される心配がありません。
参考:「子ども・子育て支援金制度」について(第2弾)|子ども家庭庁
7-2. 実質負担がゼロってどういう意味?
「実質負担がゼロ」とは、支援金導入による追加の出費がほかの措置で相殺され、トータルでは国民の負担が増えないようにするという意味です。
具体的には、政府は2028年度までに社会保障の歳出改革(無駄の削減等)や賃上げ促進によって社会保険料の負担軽減効果を生み出し、その範囲内で支援金制度を構築すると法律に明記しました。その結果、支援金の徴収額は、抑制されたほかの保険料負担と給料上昇分でカバーされ、家計の可処分所得に影響を与えないようにするという考え方です。
参考:最近話題の「子ども・子育て支援金制度」について|子ども家庭庁
7-3. 子ども・子育て拠出金との違いはなに?
「子ども・子育て拠出金」は児童手当をはじめとする子育て支援施策の財源を企業から集めるものです。厚生年金保険に加入する被保険者一人ひとりの標準報酬月額・賞与額に料率を掛けて算定し、全額事業主が納付します。
拠出金率は年度によって変動し、2026年度は0.36%です。
一方、子ども・子育て支援金は、全世代から半額ずつ労使負担で徴収する仕組みであり、財源使途も児童手当拡充や新給付金など6つの施策に限定されています。負担者が従業員と企業の双方である点、対象が高齢者や自営業者まで含む点などが拠出金との大きな違いです。
7-4. 給与明細の控除欄には分けて書くべき?
法令上は、明細で子ども・子育て支援金額を健康保険料と分けて表示する義務はありません。しかし、こども家庭庁は従業員の理解を促すために内訳を分けて子ども・子育て支援金額を明記するよう推奨しています。
一部の主要給与計算システムベンダーも、新様式の明細で子ども・子育て支援金項目を独立表示できる対応を進める方針です。
7-5. 育児休業や介護休業中は免除されるの?
育児休業・産前産後休業中については、従来からある健康保険料・厚生年金保険料の免除と同様に、育児休業取得者について届出をすることで子ども・子育て支援金も免除されます。
一方、介護休業の場合は育児休業のような社会保険料の免除制度がありません。そのため、従業員が介護休業で無給になっていても納付義務が継続します。同様に子ども・子育て支援金も介護休業中は免除されず、通常どおり徴収対象となる点に注意が必要です。
8. 子ども・子育て支援金の仕組みを理解し納付しよう


少子化対策として導入される子ども・子育て支援金制度は、全国民から広く薄く負担を募り、子育て世帯へ手厚く還元する社会全体で支え合う制度です。給与計算実務では、支援金率の給与計算への反映や明細表示方法、従業員への説明など初年度は戸惑う点もあるかもしれません。
子ども・子育て支援金は今後数年間で段階的に拡充されていく予定であり、政府は財源措置や賃上げと両輪で進めることで国民の負担を抑えつつ実施するとしています。社会全体で子育てを応援する流れの中で、制度の仕組みを十分に理解したうえ適切に納付をおこない、次世代の支援に協力していきましょう。



給与計算業務でミスが起きやすい社会保険料。保険料率の見直しが毎年あるため、更新をし損ねてしまうと支払いの過不足が生じ、従業員の信頼を損なうことにもつながります。
当サイトでは、社会保険4種類の概要や計算方法から、ミス低減と効率化が期待できる方法までを解説した資料を、無料で配布しております。
「保険料率変更の対応を自動化したい」「保険料の計算が合っているか不安」「給与計算をミスする不安から解放されたい」という担当の方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
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