財務キャッシュ・フローとは?営業CFや投資CFとの違いやチェックポイントを解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.10.19
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企業の会計におけるキャッシュ・フローとは、お金の流れのことを意味します。キャッシュ・フロー計算書の中でも、財務活動によるキャッシュ・フローは財務キャッシュ・フローと呼ばれます。
本記事では、財務キャッシュ・フローの重要性や確認すべきポイントについて解説いたします。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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1. 財務キャッシュ・フローとは
財務キャッシュ・フローとは、企業のお金の流れや変動を表示する項目のことです。
企業は会計処理をおこない、一会計期間のお金の流れをキャッシュ・フロー計算書にまとめます。キャッシュ・フロー計算書には営業活動による営業キャッシュ・フローと投資活動による投資キャッシュフロー、そして財務活動による財務キャッシュ・フローという3つの区分があります。それぞれの区分を比較する作業によって、企業のお金の流れを総合的に判断することができるのです。
財務キャッシュ・フローには、資金調達や返済の状況が数値で記載されます。例えば借り入れをすれば企業にお金が入り、財務キャッシュ・フローがプラスとなります。財務キャッシュ・フローを見れば、返済や配当金の支給といったマイナスのお金の動きもわかります。
財務キャッシュ・フローは単にプラスであればいいというものではありません。財務キャッシュ・フローに盛り込まれたさまざまな項目や、営業キャッシュ・フロー、投資キャッシュ・フローなどの項目と見比べ、キャッシュの状態を総合的に見極める必要があります。
また、必要に応じて過去の財務キャッシュ・フローと比較し、長期的なお金の流れをチェックすることも大切です。
財務キャッシュ・フローをチェックすれば、企業の資金をどのように調達しているのか、どう返済しているのかを確認することができます。財務キャッシュ・フローをチェックしながら、現在資金調達が必要か、どのように返済していくかを考えていくことが肝心です。
現在だけでなく、今後の経営状況を把握するためにも、財務キャッシュ・フローを1つの指標として活用したいものです。
関連記事:キャッシュフローとは?キャッシュフロー計算書の作り方や見方を解説
1-1. 財務活動以外のキャッシュ・フロー
前述したとおり、キャッシュ・フローには、財務キャッシュ・フロー以外に「営業キャッシュ・フロー」と「投資キャッシュ・フロー」があります。
営業キャッシュ・フローには、主力事業での売上が示されます。会社の主な収入源によるキャッシュ・フローになるため、プラスになることが通常です。
投資キャッシュ・フローには、固定資産や固定資産の購入・売却、定期預金の預け入れや払い出しが記載されます。固定資産には、事業で使用するための土地や建物、機材などが含まれるため、設備投資をおこなえばマイナスになることがほとんどでしょう。
関連記事:営業キャッシュ・フローとは?マージンの計算方法やチェックポイントを紹介
1-2. キャッシュ・フロー経営とは
キャッシュ・フロー経営とは、手持ちの現金(キャッシュ)の確保を優先する経営手法のことです。資金に余力がある経営となるため、支払いに余裕を持てます。また、倒産のリスクも下がるため、金融機関や投資家からの信用にも繋がるでしょう。反対に、手持ちの現金を優先するため、投資の機会損失は生まれやすくなります。
2. 財務キャッシュ・フローの重要性
キャッシュ・フロー計算書には営業キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フロー、財務キャッシュ・フローという3つの区分があります。
営業キャッシュ・フローは会社の営業活動による資金の流れを示しています。仕入や売上、人件費や広告宣伝費、税金などさまざまな項目を盛り込んで作成します。
投資キャッシュ・フローは企業の投資活動に関する資金の流れを示しており、不動産売買や有価証券売買などが記録されます。
営業活動と投資活動の維持のための資金調達や返済の動きを示したものが、財務キャッシュ・フローです。例えば、金融機関からの借り入れや返済といった資金繰りは財務キャッシュ・フローに記録されます。
企業の財務は資金が多ければいいというものではありません。資金を多く抱えているということは、投資機会の損失や投資の効率低下が起きていることにほかならないのです。
とはいえ、投資をし過ぎていたり借入金の返済額が増え過ぎていたりするのも良くありません。財務キャッシュ・フローは、こういった資金繰りのバランスをチェックする上で重要なのです。
3. 財務キャッシュ・フローに盛り込まれる項目とは
財務キャッシュ・フローには以下のような項目が盛り込まれています。
- 借入金の借入による収入
- 借入金の返済による支出
- 社債発行による収入
- 社債償還による支出
- 新株式の発行による収入
- 自己株式取得による支出
- 自己株式の売却による収入
- 社債の償還による支出
- 配当金の支払い
キャッシュフローには、企業のお金の流れが記録されます。
例えば借入金の収入を得たときや社債を発行したとき、株式を発行したときなどには財務キャッシュフローがプラスになります。逆に、借入金を返済したときや社債を償還したとき、配当金の支払いをしたときなどには財務キャッシュフローがマイナスに傾きます。
4. 財務キャッシュ・フローのチェックポイント
財務キャッシュ・フローには資金調達や返済のバランスが表示されます。財務キャッシュ・フローを分析すれば、資金調達が適切にできているのか、返済計画に問題がないかといった点を確認できます。
ここからは、財務キャッシュ・フローがプラスになっている場合とマイナスになっている場合それぞれのチェックすべきポイントを確認していきましょう。
4-1. 財務キャッシュ・フローがプラスとなっているケース
財務キャッシュ・フローがプラスに転じているのは、資金調達が積極的に行われていることを意味します。財務キャッシュ・フローを確認する際には、資金調達の方法や目的について詳しく見ておきましょう。
新規事業や設備投資のための資金調達という前向きな目的がある場合には、それほど問題はありません。金融機関からの借り入れは一定の評価がなければできないものです。借入額が多いのは、それだけ金融機関からの評価が高いという証明でもあります。
ただし、財務キャッシュ・フローと投資キャッシュ・フローがプラスでありながら営業キャッシュ・フローがマイナスという場合には注意が必要です。この場合、事業で十分な利益が出ておらず、赤字を埋めるために資金調達を行っている可能性があります。
既存の事業の資金繰りが厳しいために資金調達を積極的にしているという場合には、問題なく返済できるのかを詳しく分析しましょう。
4-2. 財務キャッシュ・フローがマイナスとなっているケース
財務キャッシュ・フローがマイナスだからといって単純に企業の状況が悪いと判断できるわけではありません。
財務キャッシュ・フローがマイナスに傾いている場合、調達した資金の金額よりも返済や配当金支払いの額が大きくなっている状態にあります。
借入金の返済を滞りなく進められているという点では、企業のお金の流れは悪くないといえそうです。業績がよく十分に資金があり、新たな借り入れが必要ないために資金調達をほとんどしていないというケースもあります。財務キャッシュ・フローがマイナスであっても営業キャッシュ・フローがプラスであれば、経営状況に特に問題はないことがほとんどです。
ただし、財務キャッシュ・フローも営業キャッシュ・フローもマイナスが続いているというときには注意が必要となります。この場合には、資金調達をしたいものの希望通りの融資が受けられていない可能性があります。
資金繰りが悪化しているにも関わらず金融機関からの融資を断られているような状態だと、やがて資金が足りなくなってしまいます。こうなっているときには、早めに資金調達の方法を考えるなどの対処が必要です。
単にマイナスだから悪いということではなく、借入金の返済ができており安定しているのか、それとも新規資金調達が困難な状態なのかを見極めましょう。
5. キャッシュ・フローをチェックして分析
企業運営を円滑に進めていく中では、キャッシュ・フローのチェックが必須となります。特に、財務キャッシュ・フローはお金の借り入れや返済といった資金調達の動きを知るための重要な項目として活用できます。
キャッシュ・フローを確認すれば、資金的な問題があるか否かを即座に判断できます。お金が不足すると判断したときには早めに資金調達の方法を検討しなければなりません。さまざまな観点からキャッシュ・フローをチェックし、分析を行いましょう。
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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