勘定科目「広告宣伝費」に該当する費用や仕訳の注意点を解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2022.9.9
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企業が利益を上げていくためには、積極的な宣伝活動が必須となります。
企業の広告宣伝にかかった費用は勘定科目の広告宣伝費を使って計上しましょう。
本記事では、勘定科目のひとつである広告宣伝費に仕訳する具体的な品目や、仕訳を行う際のポイントについて詳しく解説します。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
「経理担当になってまだ日が浅く、会計知識をしっかりつけたい!」
「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 勘定科目「広告宣伝費」に仕訳すべき品目
広告宣伝費とは、企業の製品やサービスを不特定多数の方に向けて宣伝するときにかかる費用のことを指します。
紙媒体のものとしては、チラシ、パンフレットやカタログ、駅や電車のポスターや中吊り広告などが挙げられます。
社名入りのティッシュやグッズ、見本品や試供品を不特定多数に配布する場合のPR費用も広告宣伝費に該当します。
新聞や雑誌、情報誌などに広告や情報を掲載する際にかかる費用も広告宣伝費に分類されます。
これに加え、求人広告や会社案内を出す際の費用も広告宣伝費に振り分けることができます。
テレビやラジオのコマーシャルを作成する際には大きな費用がかかりますが、この作成冷方送料も広告宣伝費として処理します。
近年ではデジタル上でプロモーションを行う例も増えています。
例えば、ホームページの作成や運用にかかる費用、メールマガジンやダイレクトメールの作成や送信にかかる費用、インターネット上に掲載するバナー広告や動画広告を出す際の費用、SEO対策にかかる費用なども広告宣伝費に該当します。
ほかに、企業の案内をするための看板の作成費用、プロモーションのために作成するノベルティグッズの制作費用、販促目的の懸賞を実施するときの賞金や商品の費用などを広告宣伝費として計上することもあります。
1-1. 広告宣伝費に計上するのは不特定多数に向けたもののみ
広告宣伝費に計上できるのは不特定多数に向けた宣伝にかかる費用に限られます。
特定の事業者との関係性構築のための費用、広告宣伝効果がない協賛金などの支出は広告宣伝費とは認められません。
協賛金とはイベントなどの手指に賛同する企業が開催費用を一部負担することをいいます。
宣伝効果があるとみなされるケースで協賛金を支出するときには広告宣伝費として処理できますが、宣伝効果が見込めないときには交際費や寄付金として処理することになります。
1-2. 贈答品の費用も該当しない
得意先に対する贈答品などの費用も広告宣伝費に計上できません。
名刺を経費計上する際には、勘定科目の選び方に注意しましょう。
広告宣伝のために不特定多数の方に名刺を配るときや、広告代理店に依頼して名刺を作成したときには、名刺作成代を広告宣伝費として処理することがあります。
こういった場合を除けば、名刺の作成費は基本的に消耗品費として処理します。
1-3. 取得価格は10万円を超える場合は固定資産として計上する
広告宣伝費を計上する際には、取得価額にも注意する必要があります。
例えば、広告宣伝のために看板やネオンサインを設置する場合、取得価額が10万円未満であれば広告宣伝費として処理できます。
しかし、価格がそれ以上になるときには固定資産として計上しなければなりません。
ただし、中小企業が青色申告をしているときには、少額減価償却資産の特例に則り、30万円未満の固定資産を全額経費として計上できます。[注1]
看板などの作成に10万円以上の費用がかかるときは、少額減価償却資産の特例に該当するかをチェックしてみましょう。
[注1]No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
2. 勘定科目「広告宣伝費」の摘要欄に記入すべき内容
取引を経理処理する際には、摘要欄に情報を記載しておく必要があります。
摘要欄とは、取引の詳しい内容を記入する項目のことです。
具体的には、取引の時期や科目、金額、取引相手の名称、取引の事由などを記載します。
摘要欄に必要な記載をせず全てを広告宣伝費として処理した場合、どんな広告媒体を使いどの業者と取引をしたのかが分からなくなってしまいます。
あとから帳簿を見返したときに取引内容が不明瞭になるだけでなく、税務署や国税庁の調査で内容の不備を指摘されるおそれもあるのです。
基本的には摘要欄を空欄にせず、相手先や内容に関することを記載しておきましょう。
あとから帳簿を確認したときに内容を把握できるよう、簡略かつ具体的に記載しておくのがポイントです。
例えば、情報誌に広告を出したときには、摘要欄に「雑誌○○ 広告料 ○月分」といったように、支払先や内容を書いておきます。
ほかに「○社 ホームページ作成費用」「カタログ制作費用 ○部」など、広告宣伝費の具体的な内容が分かるように記載しておくとよいでしょう。
具体的な仕訳方法は、当サイトで無料配布している「勘定科目と仕訳のルールBOOK」にて紹介しています。広告宣伝費以外にも、合計で86個の勘定科目と仕訳例について解説しているので、勘定科目を覚えられないという方にもおすすめです。興味のある方は、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3. 勘定科目「広告宣伝費」に仕訳するときの注意点
広告宣伝費はルールに従って正しく処理しましょう。
条件に該当していない場合、広告宣伝費として計上できないおそれもあります。
ここからは、広告宣伝費を仕分けする際に気をつけたいポイントをチェックしていきます。
3-1. 広告宣伝費は原則として課税対象となる
広告宣伝費には原則として消費税が課税されます。
仕訳の際には、課税仕入扱いで処理しましょう。
ただし、海外における取引では日本の消費税が課税されないため、課税対象外となります。
海外でチラシを作成したときや海外で展示会を開催したときの費用は、消費税区分不課税で計上しましょう。
3-2. 広告宣伝費として認められないケースがある
広告宣伝費として計上できる支出の条件は、不特定多数の方に向けて作られたという点にあります。
特定の取引先に対するプロモーションや、得意先に対する接待行為などは、広告宣伝費ではなく交際費として処理されるのが一般的です。
複数の企業に対して商品をアピールする宣伝活動をしたときにも、広告宣伝費と認められないことがあるので気をつけましょう。
3-3. 広告宣伝費が変動費になるケースが考えられる
企業の支出には固定費と変動費がありますが、広告宣伝費は基本的に固定費となります。
固定費とは、売上に関係なく一定期間に一定の支出が発生するものを指します。
企業の変動費の金額は製品やサービスの売上によって変動します。
しかし広告宣伝費の支出は売上に関係なく発生するため、固定費として扱われるのです。
ただし、売上に比例して広告宣伝費が発生するときには変動費として処理することがあります。
例えば、商品を一定数購入したときに1つ無料にするキャンペーンを展開した場合、広告宣伝費が売上に比例してかかることになるため、変動費の扱いになるのです。
3-4. 商標登録したときには広告宣伝費として計上できない
企業が社名や商品名、ロゴマークなどを商標登録することもあると思います。
商標登録をすれば、自社の商品やサービスを他社のものと差別化でき、事業を有利に展開できるようになります。
企業のロゴやデザインを作成したときの費用は広告宣伝費に計上できます。
ただし、商標登録したものは無形固定資産に該当します。
無形固定資産は減価償却が必要となるため、広告宣伝費として経費計上できません。
資産として取り扱い、10年にわたって減価償却の処理を行いましょう。
4. 広告宣伝費の中には認められない・計上できないケースもある
自社の商品やサービスを不特定多数の方に向けて宣伝するときには、その支出を広告宣伝費として計上できます。
ただし、条件に合致していない支出は広告宣伝費として計上できないことがあります。
大きな支出があったにもかかわらず広告宣伝費と認められなかったというときには、翌年大きな額を課税される可能性があるので気をつけたいものです。
企業が宣伝活動をする際には、どのような広告媒体やアピールが広告宣伝費に該当するのかを確認しておきましょう。
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