「勤務態度はどのように評価すればよいのか？」
「勤務態度を評価する際のポイントは？」

上記の疑問をお持ちではないでしょうか。

勤務態度の評価とは、社員の仕事に対する姿勢を企業が判断し、評価を決定することです。

適切な評価をおこなうことで、職場の秩序を保ち、周囲への悪影響を防げます。また、従業員の強みを見極め最適な業務を割り当てることで、組織全体の生産性向上にも期待できるでしょう。

本記事では、勤務態度を評価すべき理由、主な評価項目、具体的な評価方法、評価の際のポイントについて解説します。

1. 勤務態度の評価とは

勤務態度の評価とは、社員が仕事にどのように取り組んでいるかを客観的に判断することです。

勤務態度とは、仕事への姿勢や行動のことで、業務の質やチームワークに大きく影響を与えます。

そのため、企業では一定期間ごとに社員の勤務態度を評価し、その結果を昇給や昇進、人材育成に活かしているのです。

適切な勤務態度の評価は、社員の成長を促し、企業全体の発展にもつながります。

2. 勤務態度を評価すべき理由

企業が勤務態度を評価すべき理由は、以下の4つです。

1. 周囲への悪影響を防ぐため
2. 協調性を乱す社員の増加を防ぐため
3. 適材適所に人材を配置するため
4. 生産性を高めるため

2-1. 周囲への悪影響を防ぐため

企業が勤務態度を評価すべき理由は、周囲への悪影響を防ぐためです。勤務態度を評価しないと、規律を守らない社員が放置され、職場の秩序が乱れる恐れがあります。

例えば、遅刻や欠勤が多い社員を見過ごすと、ほかの社員にも「多少ルールを破っても問題ない」という意識が広がるかもしれません。

その結果、周囲のモチベーションが低下し、チームワークの崩壊を招く可能性があります。

職場環境の悪化を防ぐためにも、勤務態度の適切な評価が重要です。

2-2. 協調性を乱す社員の増加を防ぐため

企業が勤務態度を評価すべき理由の一つは、協調性を乱す社員の増加を防ぐためです。

勤務態度が適切に評価されなければ、「個人の成果さえ出せば問題ない」という考えが広まり、チームワークが損なわれる恐れがあります。

例えば、勤務態度を評価せず、能力や成果だけを重視した場合はどうなるのでしょう。「自分の業務が終わればそれでいい」と考える社員が増え、周囲との協力を軽視するようになるかもしれません。

その結果、職場の雰囲気が悪化し、業務効率の低下を招く可能性があります。

協調性を乱す社員の増加を防ぐためには、勤務態度の評価が不可欠です。

2-3. 適材適所に人材を配置するため

適材適所に人材を配置することも、勤務態度を評価する重要な目的の一つです。

勤務態度を正しく評価することで、社員の特性や強みを把握できます。その結果、一人ひとりが最も力を発揮できるポジションに割り当てられるでしょう。

適性に合った配置ができれば、業務の効率が向上し、組織全体の生産性も高まります。

勤務態度を正しく評価し、社員に合った業務を任せることで、組織の活性化につながるのです。

2-4. 生産性を高めるため

企業が勤務態度を評価すべき理由の一つは、組織の生産性を高めるためです。勤務態度の良し悪しは、業務の進行スピードやチームの連携に大きく影響します。

勤務態度が良い社員は、責任感を持ち積極的に業務に取り組むため、作業効率が高いです。

一方、勤務態度が悪い社員が増えると、遅刻や業務の遅れが頻発し、全体のパフォーマンス低下を招く恐れがあります。

職場全体の生産性を高めるには、勤務態度を適切に評価することが重要です。

3. 勤務態度を評価する際の主な項目

勤務態度を評価する際の主な項目は、以下のとおりです。

	評価項目	概要
1	積極性	仕事に前向きに取り組み、新しいことに挑戦する意欲を持っているかを確認する項目 積極的に学び、成長しようとする姿勢があるかを評価する
2	責任感	与えられた仕事や役割を最後まで責任を持って遂行できるかを確認する項目 約束や締め切りを守り、問題が起きた際も責任を持って対応できるかをみる
3	規律性	会社のルールやマナーを守り、適切に行動できているかを評価する項目 時間を守り遅刻や欠勤をしない、上司の指示に従うなどの職場の基本的なルールを遵守できているかを確認する
4	協調性	周囲と協力し、円滑なコミュニケーションが取れているかどうかを確認する項目 報告・連絡・相談（ホウレンソウ）を適切におこない、チームワークを大切にできるかをチェックする
5	安全意識	仕事を安全におこない、リスクを予測し未然に防ぐ意識を持っているかを評価する項目 業務に適した身だしなみか、職場の整理整頓を徹底しながら安全に働けているかなどを確認する
6	経営意識	管理職などのマネジメント層を対象とした評価項目 会社の方針や目標を正しく理解し、方針や目標に沿った行動ができているかを確認する 業務の効率化を意識し無駄を省くなど、企業の成長に貢献する姿勢を持っているかも評価のポイントとなる

上記の6項目を評価すれば、社員の勤務態度を客観的に把握できます。

4. 勤務態度を適切に評価する方法

勤務態度を適切に評価する方法は、以下の2通りです。

1. 評価シート｜基準を明確にし段階的に評価
2. 360度評価｜多面的な視点で公正に評価

4-1. 評価シート｜基準を明確にし段階的に評価

勤務態度を評価する際は、「評価シート」を活用しましょう。評価シートを用いることで基準が明確になり、統一された基準で評価を実施できるためです。

評価シートは、前述の評価項目を自社の業務内容に合わせてカスタマイズします。そのうえで、「1〜5」や「A～E」などの評価ランクを設定しましょう。

例えば、「責任感」の評価基準の例は、以下のとおりです。

5点	業務を期限内に完遂し、問題発生時も適切に対応する。
4点	基本的に期限を守り、指摘がなくても業務を遂行できる。
3点	期限は守るが、指摘が必要な場面がある。
2点	期限を守れないことがあり、業務の進行が遅れることがある。
1点	業務の遅延が多く、責任感が不足している。

企業の文化や業務内容に応じた評価項目を選定しましょう。

4-2. 360度評価｜多面的な視点による評価

勤務態度を適切に評価する際は、360度評価も活用しましょう。360度評価とは、多面評価とも呼ばれ、上司だけでなく同僚や部下・他部署など、複数の関係者が評価をおこなう手法です。

360度評価を実施すると、評価が一方的にならず、多角的な視点から勤務態度を把握できます。上司のみの評価では「正しく見てもらえていない」と感じる部下も減るでしょう。

ただし、評価者との関係によって、公正な評価が難しくなる場合がある点には注意が必要です。評価シートと併用することで、より公平で効果的な評価を実現できます。

5. 勤務態度を評価する際のポイント

勤務態度を評価する際のポイントは、以下の3つです。

1. 評価期間を明確に設定する
2. 評価基準は定期的にアップデートする
3. 評価者の主観を排除する

5-1. 評価期間を明確に設定する

勤務態度を評価する際は、期間を明確にすることが重要です。期間が曖昧だと、公正な判断が難しくなります。

直近の出来事だけに左右されないよう、短期間の成果だけでなく、一定期間を通して勤務態度を総合的に判断することが必要です。

3ヵ月・半年・1年など、明確な期間を設定し、公平な評価を実施しましょう。

5-2. 評価基準は定期的にアップデートする

勤務態度を評価する際は評価基準を定期的に見直し、アップデートすることも忘れてはなりません。基準が古いままだと、業務内容や職場環境の変化に対応できず、適切な評価が難しくなるためです。

例えば、テレワークを導入した場合、「出勤状況」ではなく「業務遂行の姿勢」を重視するなど、環境の変化に応じて見直ししましょう。

なお、評価制度は導入当初は細かく運用されることが多いですが、時間が経つと形骸化し、無難な評価が増える傾向があります。その結果、制度の意義が薄れ、適切な評価ができなくなる可能性があるため注意が必要です。

定期的に評価基準をアップデートし、実態に即した評価を維持してください。

5-3. 評価者の主観を排除する

勤務態度を評価する際は、評価者の主観を排除しましょう。評価に個人的な感情や価値観が含まれると公正性が損なわれるためです。

また、「評価者に気に入られれば良い評価が得られる」と誤解する社員が増える可能性もあり、評価の本質を見失ってしまいます。

客観的な評価を実現するためには、評価基準を明確に設定することが不可欠です。

加えて、360度評価など複数の視点を取り入れることで、評価の偏りを防げるでしょう。

6. 勤務態度を適切に評価して社員の成長と組織の発展につなげよう

勤務態度の評価とは、社員の仕事に対する姿勢を判断することです。勤務態度を適切に評価しない場合、職場の秩序が乱れ、社員の士気や生産性の低下を招く恐れがあります。

反対に、適材適所を把握できれば、業務効率や組織全体の生産性向上に期待できるでしょう。

勤務態度を評価する際は、「評価シート」を活用します。段階的に評価することで、公正な判断が可能です。また「360度評価」を導入すれば、多角的な視点から勤務態度を把握できます。

適切な勤務態度の評価を通じて、社員の成長と組織の発展を促しましょう。