賞与の決め方とは?種類と支給基準・計算方法・留意すべきポイントを解説
更新日: 2026.4.24 公開日: 2025.5.26 jinjer Blog 編集部

賞与の決め方は企業ごとに異なるものの、代表的な賞与の種類や支給基準は共通しています。あらかじめ一般的な賞与の支給法を押さえてから自社の方針に合わせて落とし込むと効率的です。
本記事では、一般的な賞与の種類や決定時のポイント・注意点などを解説します。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 賞与とは?

賞与は「ボーナス」という言葉で広く知られています。どのような賃金が賞与に該当するのか、決め方や就業規則との関係など、基本的な部分から知っていきましょう。
1-1. 定期給与とは別に一時的に支払う追加賃金
賞与は、定期的に支払う通常の給与とは別に支払う追加の賃金です。「夏のボーナス」「冬のボーナス」といった言葉で表現されることが多いです。
こうした賞与は、企業ごとの方針や経営状況に応じて、支払う時期や回数、金額などを柔軟に決定できます。法的には必ずしも従業員に賞与を支給する義務はないため、制度として導入しなくても問題ありません。
しかし、賞与の有無や金額は、従業員のモチベーションに大きく影響します。その点に配慮し、会社の営業成績や従業員個人の働きを考慮した決定が求められます。
1-2. 賞与の支給は企業が自由に決定できる
前項でも触れましたが、賞与については法律による定めがありません。賞与がなくても問題はなく、金額や賞与の時期、回数なども企業が自由に決定できます。
ただし、賞与は従業員の収入に大きく影響することを理解し、不信感や不満が出ないように配慮しなければなりません。初めから賞与がないことを提示したうえで雇用契約を結んでいれば問題ありませんが、賞与がある年とない年があったり、賞与の金額に大きな差ができたりする場合は、その根拠を提示し、納得してもらう必要があります。
1-3. 賞与の決め方は就業規則に明記する
賞与制度の有無は企業が自由に決定できる部分であり、法律による定めはないことを解説しました。しかし、賞与の決め方は就業規則にあらかじめ明示しておく必要があります。この規定は労働基準法によって定められている事項です。就業規則に賞与に関するルールを明記してから支給しましょう。
また、賞与がない場合でも、その旨を記載しておくことが推奨されます。
就業規則で定めていても、実際の賞与の支給内容が異なる場合は、トラブルのもととなります。例えば、就業規則に「基本給の3ヵ月分の賞与を支給」と定められている場合、業績不振を理由に支給額を減らすことはできません。業績次第で支給額を増減する可能性がある場合、あらかじめ就業規則に記載しておくことが大切です。
賞与に関する基本的な方針は就業規則で定めつつ、従業員ごとに雇用契約で支給条件や金額を補足することも可能です。
2. 賞与の支給率と平均額

賞与を決める際は、同業他社や産業全体の支給率や平均額が参考になります。令和6年度のデータを見てみましょう。
2-1. 賞与の支給があった企業の割合
令和6年度の夏の賞与があった企業は、産業全体で88.1%です。前年は86.0%であったため、賞与の支給率は産業全体では増加していることがわかります。しかし、産業別で見てみると、宿泊業・飲食サービス業では「賞与を支給しない」という回答が前年は14.7%であったのに対し、令和6年度は17.8%と増加しており、賞与の支給率が下落していることがわかりました。
また、企業規模でも差があります。従業員数が5,000人以上の大企業では、賞与の支給率が99.1%でほぼすべての企業で賞与が支給されていました。しかし、賞与の支給率は、企業規模が小さくなるほど下落傾向にあり、100人~299人ほどの企業では86.1%まで下がります。
こうした産業や企業規模による賞与の差は、賞与の金額にも現れています。
参考:令和6年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況|厚生労働省
2-2. 賞与の平均額
厚生労働省の発表によると、令和6年末の賞与の平均額と支給率は以下のとおりです。
| 平均賞与額 | 賞与支給率 | |
| 調査産業計 | 413,277円 | 77.8% |
| 事業所規模30人以上 | 478,373円 | 92.6% |
産業ごとに見た場合、平均賞与額のトップ3は以下のようになります。
| 産業 | 平均賞与額 |
| 電気・ガス業 | 943,474円 |
| 情報通信業 | 707,303円 |
| 金融業、保険業 | 641,032円 |
一方で、飲食サービス業などの平均賞与額は8万3,199円、生活関連サービスなどでは18万4,277円に留まっており、トップの金額と比べると大きな差があります。
このように、賞与の支給率や金額は、産業や企業の規模によって大きな差があるものです。そのため、単純な支給率や平均額ではなく、自社の産業や事業規模、営業成績などを考慮して決定する必要があります。
参考:毎月勤労統計調査 令和7年2月分結果速報等 ≪特別集計≫令和6年年末賞与(一人平均)|厚生労働省
3. 賞与を決めるときに知っておきたい種類と支給基準

賞与は企業ごとに自由に決定できますが、一般的には以下のいずれかの方法による決定がされます。
- 基本給連動型賞与
- 業績連動型賞与
- 決算賞与
具体的な内容は次のとおりです。
3-1. 基本給連動型賞与
基本給連動型賞与は、従業員の基本給を支給基準にするオーソドックスな賞与です。「基本給の〇ヵ月分」の形式で賞与額を計算します。
シンプルでわかりやすく、導入しやすい方法ですが、基本給のみを基準とする場合、従業員ごとの業績が反映されにくく、不公平に感じられることがあります。
企業によっては、従業員の業績評価や勤怠実績を加味し、個別に支給額を調整する方法もあります。
3-2. 業績連動型賞与
業績連動型賞与(業績賞与)は、企業や部門、従業員個人の業績などを支給基準にする賞与です。
企業が得た利益や、従業員の貢献度に応じて賞与を支給するため、従業員のモチベーションにつながりやすいメリットがあります。
一方で、個人や部署の業績が好調でも、企業全体の業績が芳しくない場合は賞与が減額されることもあります。従業員の不満や、収入の不安定さにつながる可能性がある点に留意しましょう。
3-3. 決算賞与
決算賞与は、業績が好調だった企業が決算時に支給する賞与です。企業の利益を従業員に還元する制度のため、一定の利益が出ていなければ支給されません。
決算時に賞与を支給することで、一定の要件を満たせば金額を損金算入できます。企業にとっては、業績悪化時は賞与を支給しなくてもよい点と、法人税の節税につながる点がメリットです。
4. 賞与額の計算方法

賞与額の計算方法について、以下の3つにわけて解説します。
- 基本給連動型賞与の計算方法
- 業績連動型賞与の計算方法
- 決算賞与の計算方法
詳しく見ていきましょう。
4-1. 基本給連動型賞与の計算方法
基本給連動型賞与はシンプルで、以下のどちらかで計算されるのが一般的です。
- 基本給×支給月数
- 基本給×支給月数×支給率
基本給連動型賞与の場合、通常は「基本給×支給月数」で計算可能です。しかし従業員ごとの業績や勤怠状況を反映させる場合は、支給率を設定して調整することもあります。
支給率を設ける際には、事前に判断基準を設けて周知しておくのが大切です。
従業員の手取り支給額は、算出した賞与額から社会保険料や所得税を差し引いた金額です。具体的には、以下の項目が控除されます。
| 控除項目 | 計算方法 |
| 厚生年金保険料
(上限150万円/月) |
標準賞与額×厚生年金保険料率÷2 |
| 健康保険料 | 標準賞与額(年間上限573万円)×健康保険料率÷2 |
| 介護保険料 | 標準賞与額×介護保険料率÷2 |
| 雇用保険料 | 賞与額×雇用保険料率 |
| 所得税 | (賞与-社保合計額)×前月給与額と扶養人数で決定した所得税率 |
標準賞与額は、賞与額から1,000円に満たない分を切り捨てた金額を指します。また、厚生年金や社会保険料は、従業員と企業で折半するため、計算時には「÷2」で求めます。
なお、退職者や産休・育休取得者は、社会保険料が適用外となる場合があるため、社会保険料が賞与から控除されないケースもあります。賞与支給前に、保険資格喪失状況を確認しておきましょう。
4-2. 業績連動型賞与の計算方法
業績連動型賞与は、以下の計算式で決定します。
- 基準額×評価係数
基準額は、業績目標や利益目標に応じて、年度初めに賞与原資の総額から設定します。評価係数には、企業全体の業績指数と従業員個人の評価を反映させ、掛け合わせて賞与額を決定するのが一般的です。
賞与額が決定したら、基本給連動型賞与の場合と同様に、社会保険料や所得税を控除して支給します。
なお、従業員が数十人規模の中小企業では業績連動型賞与が採用されるケースが多いです。これは中小企業が景気の変動を受けやすく、業績が安定しにくいことが影響しています。業績に応じた賞与の調節をすることで、運転資金を確保しやすくなるからです。
4-3. 決算賞与の計算方法
決算賞与は、以下のような方法で決定するのが一般的です。
| 決算賞与の決め方 | 概要 |
| 一律型 | 従業員の業績や勤務年数に関係なく、余剰利益を均等に分配する方式 |
| 給与連動型 | 給与の額を基準とし、給与×支給率で計算する方式 |
| 給与非連動型 | 従業員の業績・等級・勤続年数や部署の業績などを加味して算出する方式 |
決算賞与も、基本給連動型賞与や業績連動型賞与と同様に、支給時には社会保険料や所得税が控除されます。
5. 賞与を決定する際に留意すべき3つのポイント

賞与を決定する際に留意すべきポイントは以下の3つです。
- 評価基準を明確化しておく
- 賞与の計算システムを精査する
- 就業規則や雇用契約に定められた賞与の支給方法・支給額は守る
具体的に解説していきます。
5-1. 評価基準を明確化しておく
賞与を支給する際は、あらかじめ評価基準を明確に定めておくことが重要です。
評価システムの透明性が確保されていないと、従業員の不満につながります。
従業員の評価に納得感がないと、モチベーションの低下を招き、結果的に会社の業績悪化の原因になります。事前に評価基準を周知のうえ、公平に評価するのが大切です。
5-2. 賞与の計算システムを精査する
賞与の計算システムは、定期的に精査して見直しておくことが重要です。
システムが複雑すぎると従業員に理解されにくく、企業側の運用負担も大きくなるため、シンプルな基準を設けるのがおすすめです。
個人や部署ごとの業績評価を反映するシステムの場合は、過剰な差がつかないよう配慮してください。些細なミスを原因に賞与を大幅に減額すると、不当に賞与を削減したと判断される可能性があるため注意が必要です。
5-3. 就業規則や雇用契約に定められた賞与の支給方法・支給額は守る
就業規則や雇用契約で定められた賞与の支給方法や支給額は必ず守りましょう。
守らなかった場合、労働基準法第24条の「賃金全額払いの原則」に違反します。企業の業績が悪化し経営状況が苦しかったとしても、事前に設定した内容に従って賞与の支給が必要です。
業績に応じて賞与を減額したり、支給を取りやめたかったりする場合には、あらかじめ就業規則や雇用契約に明記しておきましょう。
ただしシステムを変更する際には、従業員に対して説明の場を設けたうえで一定の移行期間を設けて段階的に導入することが重要です。
6. 従業員の納得感を高める賞与の支給方法

賞与を会社の利益や個人の貢献などによって決定している場合、前年よりも金額が少なくなることや、賞与の支給ができなくなることもあります。そのような場合でも、従業員との信頼関係を維持するには納得感のある賞与の支給や説明が大切です。
6-1. 賞与は従業員の心理に大きな影響がある
賞与の有無や金額は、従業員の心理に影響を与えます。特に前年と比べて賞与が減った場合の影響は大きいです。
単純に収入に影響するだけでなく、「前年よりも賞与が減ったのは会社が傾いているからなのか?」「賞与が少ないのは自分の働きが評価されていないのでは?」といった不安も与えてしまうからです。
収入減による不満と、先行きに対する不安が重なると、エンゲージメントやモチベーションが低下します。生産性の低下や離職者の発生など、会社にも悪い影響がでるため、賞与が減る際はそうしたネガティブな受け止め方に対するフォローが必要です。
6-2. 賞与が少ない・支給しない場合の対応
では、賞与が減ったり支給ができなかったりした場合は、どのように対応をするべきなのでしょうか。従業員が抱える不安を払しょくし、納得感のある根拠の提示が効果的です。
- 経営状況を共有して賞与決定の根拠を提示する
- 従業員の働きを否定したり責任を負わせない
- 今後の見通しや計画を伝える
一例としてはこのような対応が考えられます。経営状況の悪化を共有できれば、それが賞与に連動していることがわかり、納得感と危機感を持ってもらえます。加えて、業績回復への道筋や、企業として努力することを伝えれば、労使一丸となって会社を支えるという一体感もうまれるでしょう。
7. 自社に適した賞与の決め方を見つけて適正に支給しよう

賞与の決め方は企業の裁量に委ねられていますが、就業規則への記載は法律により規定されています。記載がない場合や、就業規則に則っていない無秩序な運用では、従業員の不信感やトラブルにつながる恐れがあります。
支給方法や金額の決め方を就業規則や雇用契約にしっかり定め、評価基準や計算システムも含めて周知しておくことが重要です。また、賞与が減る場合は従業員への説明をおこない、不満や不安が大きくならないようにしましょう。
本記事で紹介した各ポイントを参考に、自社の制度を見直しながら、納得感のある賞与制度を運用していきましょう。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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