派遣でも部署異動はさせられる?人事が知っておくべき条件・注意点・手順を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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派遣でも部署異動はさせられる?人事が知っておくべき条件・注意点・手順を解説

虫眼鏡「派遣社員でも部署異動はできるの?」

「派遣社員を部署異動させる際に注意すべきことを知りたい。」

上記の疑問をお持ちではないでしょうか。

派遣社員の部署異動は、原則認められていません。ただし、派遣社員本人と派遣元企業との合意があれば、異動を実施することは可能です。

本記事では、派遣社員でも部署異動ができるのか、異動が認められる条件や適切な手順、人事担当者として押さえておくべきポイントを解説します。

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1. 派遣社員に部署異動は原則認められていない

ばつ

派遣社員の部署異動は、原則として認められていません。派遣社員は「労働者派遣契約」に基づいて就業しており、業務内容・就業場所・指揮命令者などが契約時に明確に定められているためです

部署異動により業務内容や給与条件が変わると、派遣社員にとって労働条件の不利益変更となるおそれがあります。そのため、派遣先企業が一方的に部署異動をおこなうことはできません。

また、労働者派遣法第39条では、派遣先企業に「契約の定めに反しないよう適切な措置を講じること」が義務付けられています。

派遣社員の部署異動には法律と契約の制約があるため、異動を命じることは原則できないのです。

参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

2. 派遣社員の部署異動が認められる条件3つ

ブロック

派遣社員の部署異動は原則不可ですが、以下の3つの条件に該当すれば、部署異動が認められます。

  1. 「三者合意」を得る
  2. 契約更新タイミングで実施する
  3. 常用型派遣(無期雇用派遣)を活用する

2-1.「三者合意」を得る

派遣社員を部署異動させるには、「三者合意」を得る必要があります。三者とは、「派遣社員本人」「派遣元企業」「派遣先企業」のことです。

派遣社員は派遣元と雇用契約を結び、派遣先で実際に勤務しています。そのため、一者の判断だけで異動を進めることはできません。

例えば、営業部から総務部への異動を実施する場合、三者が業務内容や条件に納得し、合意することが前提となります。

契約の主体はあくまで「派遣元」です。就業条件を変更する際は、派遣元企業を通じて手続きを進める必要があります

2-2. 契約更新タイミングで実施する

派遣社員を部署異動させたい場合、契約更新のタイミングで実施しましょう。派遣社員の働き方は、契約更新時に内容を見直す仕組みになっているためです。

実際、多くの派遣社員は有期雇用契約で働いており、契約が終われば業務も終了します。契約内容を見直し、新たな条件で再契約するのが一般的です。

契約の見直しができる更新の節目を活用することで、派遣社員の部署異動も円滑に進められるでしょう。

2-3. 常用型派遣(無期雇用派遣)を活用する

常用型派遣(無期雇用派遣)であれば、部署異動を実施できます。常用型派遣は、登録型派遣と異なり、部署異動に関する制限がないためです

派遣の働き方には、「登録型派遣」と「常用型派遣」の2種類があります。登録型派遣は、派遣スタッフが派遣会社と有期雇用契約を結び、契約ごとに働く派遣先が決まる働き方です。

一方、常用型派遣は、派遣スタッフが派遣会社と「無期限の雇用契約」を結び、派遣先がない期間も雇用関係が継続される仕組みとなります。そのため、派遣先企業における部署異動にも柔軟に対応できるのです。

また、登録型派遣に適用される「3年ルール」も、常用型派遣には該当しません。3年を超えて同じ部署で勤務を続けることも可能です。

部署異動を検討するなら、常用型派遣も手段の一つとなるでしょう。

3. 派遣社員の部署異動をおこなう際の注意点

注意

派遣社員の部署異動をおこなう際の注意点は、以下のとおりです。

  1. 派遣の「3年ルール」を把握しておく
  2. 抵触日がリセットされる点を理解しておく
  3. 派遣社員が断る可能性もある

3-1. 派遣の「3年ルール」を把握しておく

派遣社員の部署異動を検討する際には、「3年ルール」とよばれる派遣期間の制限を事前に把握しておきましょう。労働者派遣法では、派遣社員が同じ部署や事業所で働ける期間に原則として上限が設けられているためです

「3年ルール」には、以下の2種類の制限があります。

制限の種類 概要
個人単位の制限 同じ派遣社員を同一の組織単位(課・グループなど)に派遣できる期間は最長3年まで。部署(組織単位)を異動すれば、同じ派遣社員でも新たに3年勤務が可能。
事業所単位の制限 同一の事業所で派遣労働者を受け入れられる期間は原則3年まで。労働組合または過半数代表者の意見聴取をおこなえば延長が可能。

「3年ルール」に抵触しないよう、部署異動の際には派遣社員の勤務年数や組織変更の有無をしっかりと確認しましょう。

3-2. 抵触日がリセットされる点を理解しておく

派遣社員の部署異動を検討する際は、「抵触日」がリセットされる点を理解しておきましょう。

抵触日とは、同一の組織単位で派遣社員が勤務できる最長期間(原則3年)が終了する翌日のことです。異動によって組織単位が変わる場合、新たな派遣契約を結び直せば、勤務できる期間はもう一度ゼロからカウントし直されます。

ただし注意が必要なのは、「個人単位」より「事業所単位」の制限が優先されることです

例えば、Aさんが配属されてからは2年しか経っていなくても、その事業所における派遣受け入れが3年を超える場合、Aさんの派遣期間も短縮されることになります。

部署異動の際は、抵触日がリセットされる点も重要なポイントです。

3-3. 派遣社員が断る可能性もある

派遣社員が部署異動を断る可能性もある点には注意しましょう。就業条件の変更には本人の同意がなければ実施できないためです。

例えば、経理部の派遣社員に総務部への異動を提案しても、本人が納得しなければ異動は成立しません。派遣会社にも強制的に異動を命じる権限はなく、あくまでも三者の合意が前提です

派遣社員が部署異動を拒否する可能性があることを、事前に理解しておきましょう。

4. 派遣社員の部署異動を実施する際の適切な手順

ステップ

派遣社員の部署異動を実施する際の適切な手順は、以下のとおりです

  1. 社内で異動の必要性を検討・決定する
  2. 派遣元と事前に相談・合意を得る
  3. 派遣社員本人へ説明し同意を得る
  4. 新たな就業条件明示書や契約書を作成する
  5. 異動先部署の体制や引継ぎ準備を整える
  6. 異動後のフォロー体制を確保する

上記のステップを踏むことで、法令違反のリスクを回避できます。また、派遣社員にも安心感を持って異動してもらえる体制を整えられるでしょう。

派遣社員の部署異動を実施する際は、適切な手順を遵守してください。

5. 派遣社員の部署異動で企業が押さえておくべきポイント

チェック

派遣社員の部署異動で企業が押さえておくべきポイントは、以下のとおりです。

  1. 一方的ではなく丁寧に相談・説明する
  2. 異動先の体制を事前に整備しておく
  3. 異動を断った派遣社員の契約を打ち切るのは不可

5-1. 一方的ではなく丁寧に説明・相談する

派遣社員を部署異動させる際は、一方的ではなく丁寧に説明・相談するようにしましょう。強引な異動の打診は、不信感を招いたり、異動を断られたりする原因になるためです

例えば、以下のような対応を心がけるとよいでしょう。

  • 部署異動の理由や背景をわかりやすく説明する
  • 業務内容や就業条件の変更点を明確に伝える
  • 派遣社員の不安や疑問にきちんと耳を傾ける

上記のような丁寧な説明や相談は、信頼関係の構築にもつながり、結果として異動への理解や同意を得やすくなります

派遣社員の部署異動を検討する際は、一方的ではなく、丁寧な対応が不可欠です。

5-2. 異動先の体制を事前に整備しておく

派遣社員を部署異動させる場合は、異動先の体制をあらかじめ整えておきましょう。部署異動によって指揮命令者や業務内容が変わることが多く、受け入れ体制が不十分だと現場が混乱する恐れがあるためです。

例えば、以下のような準備が有効でしょう。

  • 担当上司や指揮命令者を明確にする
  • 業務マニュアルや引き継ぎ資料を用意する
  • 最初に業務説明の場を設ける

派遣社員がスムーズに業務に移行できるように、異動先の準備は万全にしておきましょう。

5-3. 異動を断った派遣社員の契約を打ち切るのは不可

派遣社員が部署異動を断った場合でも、契約期間中に一方的に契約を打ち切ることはできません。派遣社員と雇用契約を結んでいるのは派遣元企業であり、派遣先企業には雇用契約を解除する権限がないためです

もし派遣先が独断で契約解除を申し出た場合、不当な扱いとみなされ、労務トラブルにつながるおそれがあります。

ただし、部署異動を検討している背景には、現在の部署に人員的な余裕があるケースが多いでしょう。契約満了後に更新を見送ることは可能です

派遣社員が部署異動を断ったからといって、即座に契約を終了させることは認められません。

6. 派遣社員の部署異動のルールを守って適切に対応しよう

男女

派遣社員の部署異動は、原則認められていません。派遣契約では業務内容や就業場所などが明確に定められており、契約外の業務に従事させることはできないためです。

ただし、「派遣社員・派遣元・派遣先」の三者合意があれば、異動は可能です。また、契約更新のタイミングで条件を見直すことで、異動を自然な流れで進めやすくなる場合もあります。

また、常用型派遣(無期雇用派遣)であれば、部署異動に制限はなく、柔軟な対応が可能です。

派遣社員の部署異動を検討する際にはルールを遵守し、適切に対応しましょう。

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人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。

しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。

当サイトではそのような企業のご担当者に向けて「人事評価の手引き」を無料配布しています。
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