未払費用の決算について未払給与や決算賞与など具体例で詳しく解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.5.13
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会計処理をおこなう際に、処理をおこなうタイミングと実際にお金の移動がおこなわれるタイミングにズレが生じることは、決して珍しいことではありません。
そのため、会計処理の勘定科目にはそのようなケースで用いられるものも数多くあり、「未払費用」もそのような勘定科目のひとつです。
ただ、それが決算をまたぐ場合は、当期に処理をおこなうのか来期に処理をおこなうのかは法人税などの支払いに大きな影響を与えるので、慎重に処理をおこなうことを心がける必要があります。
この記事では、未払費用の決算における考え方や未払費用の計上方法などについて、詳しく説明します。
支払いが決算をまたいだときに適切に対応できるよう未払費用の仕訳について理解を深めておきましょう。
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1. 未払費用の決算における考え方
未払費用とは、料金の支払いが当事業年度から翌事業年度にまたぐときに用いる勘定科目です。
一定の契約に従い、継続して役務の提供を受ける場合、すでに提供された役務に対して、いまだその対価の支払いが終わっていないものを指します。
当期中の正確な負債を計上することは、法人税などの支払いを圧縮するために重要ですが、未払費用はそういった意味でも大切な役割を担っています。
未払費用の具体例としては、保険の支払いや土地の賃借費用、従業員に支払う給与などが該当します。
以下では、未払費用の具体例として未払給与および決算賞与の決算における考え方について、説明します。
1-1. 未払給与
従業員に給与を支払う際は、多くの会社で「毎月末日締め、翌月25日払い」などの形をとって、当月に発生した賃金は翌月中に支払いをおこなっていると思います。
この場合、給与の計上の方法としては以下の2通りが考えられます
毎月末日に同日までの給与を費用計上する
支払日に給与を費用計上する
給与の発生するタイミングや支払義務のことなどを考えると、前者で処理するのが適切です。
従業員から労働の提供を受けた分については、すでに給与の支払義務が発生していますし、当期に発生した費用を当期中に計上するということは損益計算を適正におこなうという観点からも望ましいことです。
ただ、一般的に費用計上をおこなう場合は、「実際にお金が動いている」ケースが大半です。
給与の場合は「まだ支払いがおこなわれていないもの」を費用計上するため、費用計上の方法に疑問符が付いてしまうかもしれません。
このようなケースにおいては、未払給与を「未払費用」として扱い、経費計上をおこないます。
1-2. 決算賞与
決算賞与とは、企業がその年度の業績に応じて支給する臨時の賞与のことを指します。
一般的に賞与は、夏や冬に支給されることが多いですが、決算賞与は基本的に決算後に支給されます。
この場合も未払給与と同じく、支払い自体は決算後ですが、決算賞与自体がその年度の業績に応じて支給されるものなので、すでに支払義務が発生していると考えるのが自然です。
そのため、支払いがおこなわれてない状態で決算処理をおこなうために、「未払費用」を用いて経費計上をおこなうことになります。
1-3. 決算をまたいでしまう収入や支払の処理
上述した未払給与や決算賞与などのように、決算をまたいでしまう収入や支払いを処理しなければならないケースは、多々あります。
支払いに関しては「未払費用」を用いての処理、収入に関しては「売掛金」を用いての処理が一般的です。
なお、未払費用と同じように仕訳時点での未払いを表す勘定科目には、「未払金」というものがあります。
両者には明確な違いがあり、未払費用は「まだ役務の提供がすべて終わっていないもの」を指すのに対して、未払金は「すでに確定している債務」を指します。
未払費用と未払金を使い分ける際は、その点に注意しておきましょう。
関連記事:未払費用の扱い方は?未払金との異なる点や具体例について詳しく紹介
2. 未払費用の計上方法
未払費用は決算において処理を間違えやすい勘定科目なので、仕訳する方法を具体的に把握しておく必要があります。
未払給与と決算賞与の計上方法について、以下で説明します。
2-1. 未払給与の場合
上述したように「毎月末日締め、翌月25日払い」の形をとっており、3月末が決算の会社を想定します。
この会社での3月31日の給与に関する仕訳は、以下のようになります。
理解しやすいように、数値は分かりやすいものにしています。
給与が支払われる場合、社会保険料や所得税などは控除されるのが一般的です。
そのため、控除された社会保険料や所得税などは「預り金」として計上します。
続いて、給与が支払われるタイミングである4月25日の給与に関する仕訳は、以下のようになります。
これで未払費用は消し込まれますし、費用計上の期ズレも起きません。
2-2. 決算賞与の場合
決算賞与も、基本的には未払給与と同じような形で処理をおこなうことになります。
まず、3月31日の賞与に関する仕訳は、以下のようになります。
続いて、実際に賞与が支払われた時点での賞与に関する仕訳は、以下のようになります。
なお、今回は「預り金」をともに決算前に処理する形の仕訳を紹介しましたが、預り金は決済後に処理してもかまいません。
その場合の仕訳の方法は決算賞与を例に挙げると、それぞれ以下のようになります。
関連記事:未払費用の勘定科目を税務上の取り扱いの観点から徹底解説
3. 未払費用の決算時の仕訳は適切に覚えておく必要がある
未払費用の決算における考え方や計上方法について詳しく紹介しました。
未払費用とは勘定科目のひとつで、継続して提供されている負債のことをいいます。
給与や賞与の支払いが決算をまたぐケースは珍しいことではありませんが、「未払費用」という勘定科目を用いて仕訳を忘れずにおこなう必要があります。
仕訳をおこなう方法は未払給与の場合と決算賞与の場合とで異なります。
未払費用は損益計算を適正におこなうという観点からも重要な勘定科目なので、仕訳の仕方を適切に覚えておくことを心がけましょう。
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