会計期間(事業年度)とは?決める際のポイントや累計期間との違いを解説
更新日: 2024.5.23
公開日: 2022.4.20
jinjer Blog 編集部
会計期間とは、企業会計の時間的な区切りのことをいいます。会計期間は企業それぞれが自由に設定可能です。そのため、決算月は企業ごとに異なります。
今回は会計期間を決める際のポイントや、累計期間との違いについて正しく理解しておきましょう。
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1. 会計期間(事業年度)は財務諸表の作成期間で一般的には1年間
会計期間は事業年度と呼ばれることもあり、企業が損益計算をするための時間的な区切りです。
国や地方自治体では会計期間(または会計年度)、一般企業などの法人では、事業年度と呼ばれる場合が多いですが、いずれも同じ性質を持っています。
会計期間の区切りや決算との関係などについてまずは知っておきましょう。
1-1. 会計期間(事業年度)の区切り
会計期間は企業ごとに自由に設定できますが、日本国内では企業の決算は3月や12月に集中しています。
学校活動の区切りや自治体の予算期間が4月1日から3月31日に設定されており、法改正のタイミングも4月が多く、それに合わせて3月決算とする企業が多いためです。
12月に多いのは、1年の区切りとして暦と合わせてキリがいい点や、個人事業は決算が12月に決められており、法人化した際に12月決算をそのまま適用しているケースが多いためでしょう。
また、一部の企業では6月や9月を決算としている場合や、決算日は特に法で定められてはいないため、月途中など月末ではないケースもあります。
ただし、今後は企業のグローバル化が進んでいき、国際会計基準(IFRS)を採用する企業が増えてくるでしょう。
そのため、今後は欧米や中国のように12月に決算を採用する企業が多くなることが見込まれています。
関連記事:会計報告書の書き方は?部活や町内会で必要な際の記載項目も解説
1-2. 決算とは
決算は会計期間と深いつながりがあります。
決算とは企業がその会計期間におけるお金の流れを整理し、利益や資産を確定させるため、財務諸表を作成する業務のことです。
会社法では、全ての株式会社は財務諸表を作成し、株主に対して業績を報告しなければならないと定めています。
決算には、会計期間の期末に実施する「本決算」、期中に実施する「中間決算」や「四半期決算」などがあります。基本的に、中間決算や四半期決算の実施は任意ですが、金融商品取引法の対象となる大企業には、作成が義務付けられているので注意しましょう。
関連記事:会計監査で行う具体的な内容は?事前に備えるものや受けるときの注意点
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1-3. 会計期間(事業年度)の期首・期中・期末
会計期間の期首や期末とはいつのことを指すのか解説します。
それぞれの用語の定義は以下の通りです。
- 期首:会計期間の開始日
- 期末:会計期間の最終日。決算日とも言います。
- 期中:期首~期末までの間の期間。
例えば、A社において会計期間が4月1日〜3月31日だった場合、期首は4月1日、期末は3月31日になり、期中とは4月1日〜3月31日の1年間を指します。
2. 会計期間を決める際に押さえておきたい6つのポイント
会計期間を決める際に押さえておきたいポイントは6つあります。
スムーズに決算や会計業務を進めるために自社に最適な会計期間を決めましょう。
2-1. 自社の繁忙期は避ける
決算時期は通常業務に加えて決算書作成や、株主総会の開催、税務申告やそれに伴う税理士とのやりとりなどが必要になります。
自社の繁忙期と決算が重なってしまうと、通常業務が回らなくなる可能性があります。
また、法人税の申告期限は決算期末から2ヶ月後ですから、その期間に決算作業がおこなえるかどうかも考慮するべきでしょう。
顧問税理士が専属でない限り、3月などの決算集中時期は多忙となり、通常よりもやりとりに時間がかかることが考えられます。
決算日を決める際は、顧問税理士とも相談することをおすすめします。
2-2. 会社設立日から1年以内に設定する
決算日は会社設立日から1年を超えることはできません。
初めての決算は特に多くの時間や労力、費用が必要になるため、業績をある程度作ってから、費用や人材を整えて迎えることをおすすめします。
設立日からおよそ1年といった最大の期間を空けましょう。
また、資本金が1,000万円未満の企業の場合、第1期は消費税の免税措置がなされ、条件を満たせば第2期も免除されます。
そのためにも1期目はできるだけ長くとることをおすすめします。
ただし、最初の6ヵ月間で消費税対象となる売上が1,000万円を超え、給与支払額合計も1,000万円を超えた場合は、2期目は消費税課税対象事業者となってしまうため注意が必要です。
2-3. 売上が伸びる月を期首にする
売上のピークを考慮して会計期間を調整することで得られるメリットは少なくありません。
売上が伸びると予想される月を期首にして、期末までの期間をなるべく空ける、もしくは期末は避けることをおすすめします。
決算期(期末)と売上が伸びると予測される時期が重なって節税対策をおこなった場合、予想ほど売上が伸びなかったら節税対策が原因で赤字になる可能性が高くなります。
一方で期首に売上が伸びた場合は、決算期まで1年近く時間があるため節税対策を十分におこなえます。
2-4. 支出が多い月を避ける
決算日から2ヵ月間は法人税や消費税などの税金納付があるため、支出が多くなります。
掛け商売で売上入金が少ない月や、次のような支出が多い月は避けましょう。
- ボーナス支給時期
- 労働保険を申告する時期
- 源泉所得税を納付する時期
これらは会社の支出が増えてしまう代表的な期間です。同時に雑務が増える時期
2-5. 決算書の印象が悪くならないタイミングを考える
貸借対照表や損益計算書などから構成される決算書を見れば、その会社の資産と負債、安定性や将来性がわかります。
例えば、未払金や売掛金が多かったり、多額の借入金があったりする場合決算書は株主や融資関連の第三者に悪い印象を与えてしまいます。
創業間もない頃は運営資金などの融資を受ける機会も多いでしょう。
そのため、会社をある程度軌道に乗せた時点で決算を迎えられるようにタイミングを考えることをおすすめします。
2-6. 決算期は決定してからでも変更できる
決算期を決定したあとでも変更は可能です。
決算期は次の手順で変更できます。
① 株主総会を開き、3分の2の賛成を得る特別決議をおこなう
② 1.の議事録を作成・保管する
③ 定款の内容を変更し、車内で保管する
④ 管轄の税務署または都道府県税事務所に異動届出書を提出する
異動届出書は国税庁のWebサイトからダウンロード可能で、手数料や印紙税は不要です。
3. 会計期間(事業年度)と累計期間の違い
上場企業の場合、四半期ごとの決算報告が義務付けられています。
このときに発生するのが累計期間です。累計期間は年度の期首から四半期会計期間の末日までの期間をいうもので、例えば12月決算の会社の場合は次のとおりになります。
会計期間 | 累計期間 | |
第1期 | 1月~3月 | 1月~3月 |
第2期 | 4月~6月 | 1月~6月 |
第3期 | 7月~9月 | 1月~9月 |
第4期 | 10月~12月 | 1月~12月 |
こうして比べると会計期間と累計機関の違いが見えてきます。
混同することが多い部分であるため、自社の決算月に合わせて会計期間と累計機関の違いを計算しておきましょう。
4. 会計期間(事業年度)は売上や支出とのバランスを考えて決めよう
会計期間は企業会計において財務諸表作成対象の期間であり、期末には決算をおこないます。
時期は企業によって自由に設定できますが、日本では主に3月や12月で区切るケースが多く見られます。
会計期間を決めるにあたっては、会社の繁忙期は避ける、売上と支出とのバランスなどを考慮するといった6つのポイントを押さえることで、節税も可能です。
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