リーガルテックとは?注目を集める背景・サービスカテゴリ・導入ポイントまとめ
更新日: 2022.12.8
公開日: 2022.1.20
HORIUCHI
近年、ビジネスシーンで頻繁に使われる言葉にリーガルテックがあります。リーガルテックは法律に関わる複雑な業務をITやAIの技術で効率化しようとするサービスやツールのことです。
ここ日本でもリモートワークの普及と合わせてリーガルテックへの関心が高まっています。しかし、リーガルテックにカテゴライズされるサービスは多岐に渡り、その言葉の意味がいまいち掴みきれていない方もいるでしょう。
この記事ではリーガルテックの概要と、そのサービスのカテゴリー、さらには導入のポイントをまとめて解説します。
【弁護士監修】でデジタル改革関連法を徹底解説!
2021年9月に施行されたデジタル改革関連法で、様々な書類の電子化が解禁されました。
とはいえ、「どの書類を電子化できるの?」「実際に契約を電子化した際の業務の流れは?」と、法改正や電子契約についてイメージがついていない方も多いでしょう。そのような方に向け、当サイトではデジタル改革関連法について弁護士が監修した解説資料を無料で配布しております。
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1.リーガルテックとは
リーガルテックは法律が関わる業務の利便性向上を目的としたITサービスの総称です。法律(リーガル・Legal)と技術(テクノロジー・Technology)を組み合わせることから「リーガルテック(Legal Tech)」と呼ばれます。
1-1.リーガルテックは一般企業でも活用されている
リーガルテックはその名前から士業に深く関連するものと思われがちです。しかし、実際のサービスには一般企業に関わるものも多数存在します。
もともと、リーガルテックは訴訟大国アメリカにおいて訴訟資料の精査をITで効率化させることを目的に発展してきました。
現在は法律が関連する業務のサポートツール全般がリーガルテックと呼ばれ、電子署名や書類作成など契約に関わるサービスもそれに分類されます。
1-2.リーガルテックが日本で注目される背景
リーガルテックが日本で注目される背景は、ビジネスのIT化や政府が推奨する働き方改革です。従来、日本企業では法務などの管理部門の業務をオフィスでおこなうことが慣習化しており、契約書など重要書類の管理も紙媒体でおこなわれてきました。
しかし、2020年以降のコロナ禍を経て、管理部門の業務でもリモートワークを進める動きが今までにないほど活発化しています。
企業活動のフルリモートを実現するためにも、リーガルテックの活用は欠かせません。
1-3.リーガルテックの市場規模
日本におけるリーガルテックの需要はコロナ禍以前より拡大しております。株式会社矢野研究所が発表する資料によると、2018年の日本におけるリーガルテックの市場規模は約228億円、2023年には1.5倍の353億円まで拡大すると予想されています。[注1]
[注1]株式会社矢野研究所|リーガルテック市場に関する調査を実施(2019年)
2.主なリーガルテックサービス
リーガルテックには多種多様なサービスがあり、具体的にどのような効果が見込まれるのかがわかりにくいと感じる方もいるでしょう。
ここではリーガルテックのカテゴリーと、各カテゴリーの代表的なサービスを紹介します。
2-1.リーガルテックのサービスカテゴリ
リーガルテックの代表的なカテゴリーについて解説します。自社が抱える課題と照らし合わせ、どのようなリーガルテックが活用できるのかを考えてみましょう。
●文書作成
法的なチェックポイントを通知して文書作成を補助するサービスや、テンプレートから自動的に法的文書を作成するサービスです。後述するAIレビューシステムとの併用により、精度の高い法的文書の作成を可能とします。
●AIレビュー
システム内に該当の契約書類をアップロードすることで、AIが自動的に文書のレビュー(リーガルチェック)を実行するサービスです。専門知識を有した担当者を配置する必要がなくなり、業務の時短と人的リソースの削減に繋がります。
●文書管理
煩雑になりがちな顧客情報や契約書、各案件の進捗状況などを一元的に管理するシステムです。重要な情報を的確に管理することでワークフローの効率化が期待できます。
●電子契約
電子署名やタイムスタンプなどの技術で法的な有効性を担保し、完全オンラインでの契約を実現するサービスです。契約業務の効率化に加え、ペーパーレス化によるコスト削減効果もあります。
●申請・出願
企業活動におけるさまざまな出願や登録申請の効率化を図るサービスです。特に法的なトラブルを招きやすい商標出願のサポートサービスが注目されています。
●リサーチ・検索ポータル
電子化された法律の専門書や過去の判例から必要情報を参照できるサービスです。欲しい情報に素早くアクセスできるとともに、膨大な量の書籍・資料を保管する必要もなくなります。
●フォレンジック
フォレンジックとはさまざまな資料から訴訟において法的に有効とされる証拠を見つける作業のことです。サーバーやハードディスクなどから電子的な証拠を抽出することをデジタル・フォレンジックと言います。
●紛争・訴訟解決
紛争解決の分野ではチャットツールを使用したトラブル解決サービスが代表的です。弁護士など司法のプロが仲介人となり、オンライン上でのトラブル解決を目指します。
2-2.各カテゴリーのリーガルテックサービス紹介
ここでは先に紹介したリーガルテックのカテゴリーごとに、企業向けの主要なサービス名およびその特徴を紹介します。
●文書作成サービス
GVA assist:契約書の作成作業をAIがサポートし、業務の負担を軽減
LAWGUE:AIとクラウドを活用し、契約書・規定・開示文書などの作成を効率化
●AIレビュー
Low Flow:AIレビューが契約書の修正ポイントを指摘。無料版もあり
LeCHECK:実績のある弁護士が監修。契約書の抜け落ちを瞬時に判断しリスクを軽減可能
Legal Force:契約書に合わせた修正文例を自動で表示する。600点のテンプレートが使い放題
●文書管理
MNTSQ:大企業向けの契約データベース
Suzuyo:Web上で文書情報やPDF等のデータを保管し、いつでも検索・閲覧が可能
RICOH Contract Workflow Service:契約の事前相談や回答を記録できる。審査機能、契約管理機能も備えた多機能型システム
MyQUICK:資料の保管・記録、証跡の管理、ナレッジ共有など様々な用途に活用可能
ContractS CLM:契約書作成から契約書管理まで可能な契約業務の総合プラットフォーム
Hubbile:使いやすさを追求したシンプルな文書管理システム
●電子契約
ジンジャーサイン:捺印稟議、契約締結、送付、進捗確認、フォルダ保管、書類検索などの契約にかかる一連の業務を『これまでのフローを変えることなく』、スムーズに実現できる、電子契約プラットフォームサービス
GMOサイン:大量の業務委託や雇用契約も一括送信に対応
DocuSign:世界中で利用される電子署名のスタンダード
Adobe Sign:世界中のセキュリティ基準をクリア。電子上の手書きサイン機能もあり
CLOUD SIGN:多数の外部サービスと連携可能な国内最大手電子契約サービス。シンプルな操作画面が特徴
●申請・出願
LegalScript:法人の登記書類作成をサポート。ガイドに従う簡単操作で専門家が作る書類をすばやく作成可能
GVA法人登記:変更登記をリーズナブルな価格で実行できる。24時間いつでも書類作成が可能
Toreru:複雑な商標登録手続きをオンラインで簡単に。類似商品や商標の特徴などを専門家が調査
Cotobox:最短1日で商標権の出願が可能。面倒な手続きは弁護士にお任せ
●リサーチ・検索ポータル
BUSINESS LAWYERS:企業法務に関する情報を発信するポータルサイト。1,000冊以上の法律書籍を閲覧可能
AI SAMURAI:AIが発明の特許調査をおこない、特許性を評価するアプリケーションを提供
●フォレンジック
大塚商会:デジタルフォレンジックサービス
PC操作の痕跡を復元し、解析が可能。サイバー攻撃時の流出物特定や調査状況をレポート
●紛争・訴訟解決
Smart Judgement:司法の専門化を交えたオンライン調停を実施
3.リーガルテック導入準備に必要なこと
企業活動をサポートするツールであっても、適切な導入ステップを踏まなければ十分な効果は得られません。ここでは、リーガルテック導入準備に必要なポイントを解説します。
3-1. リーガルテック導入の課題と目的の明確化
リーガルテックの導入を検討するにあたり、まず最初に考えることは「自社の課題」と「導入の目的」です。
ここが曖昧なままだとせっかく導入したツールが浸透せず、従業員に見向きもされないという事態も考えられます。
大事なことは導入後のビジョンを明確にすることです。リーガルテックの活用によって変わる働き方を創造し、それが実現できるツールを選びましょう。
3-2. リーガルテック導入の流れ
リーガルテックを導入する大まかな流れは以下の通りです。
1.自社の課題の明確化
2.情報収集(他社の事例やリーガルテックの製品情報など)
3.導入目的の決定
4.目的に沿うリーガルテック製品の選定
5.選定したツールの比較
6.ツール導入
リーガルテック製品には無料トライアルが設けられていることも珍しくありません。トライアルできるツールは積極的に申込み、実際に使用感を確認しておきましょう。
3-3. リーガルテック導入の注意点
リーガルテックの注意点として「弁護士法代72条」があります。簡単に言えば「弁護士としての職能と訓練を持ったものだけが提供すべき重要な法律業務を、弁護士以外の者が提供してはならない」ということです。
例えば、法律の専門家である弁護士が作成すべき書類をAIが作成した場合、その精度によっては違法性が問われる可能性があります。
もっとも、これは可能性の話であり、現行のリーガルテックが弁護士法違反で法に触れる可能性は限りなくゼロです。
ただし、今後AIの制度が上がれば弁護士法との衝突することも考えられます。
リーガルテックを導入するのであれば関連する情報やニュースは気に掛けておきましょう。
4.リーガルテックを活用して業務効率化を目指そう
リーガルテックは法律が関連する複雑な業務を、ITやAIの技術によって効率的に実行することを目的としたツールです。
その種類は文書作成から電子契約、さらには紛争解決まで多岐に渡ります。
自社の課題を洗い出し、リーガルテックによる業務効率化を積極的に検討していきましょう。
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