EC業界で知っておくべき「電子契約」|関連する法令から徹底解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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EC業界で知っておくべき「電子契約」|関連する法令から徹底解説

ECサイトを構築するときに知っておく必要があるのが「電子契約」に関連した法令です。とくに一般消費者が対象のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)では、電子契約法と呼ばれる法律により、ECサイトの事業者への注意事項が定められています。

ECサイトの利用者とのトラブルを避けるためにも、EC(電子商取引)に関連した法令を確認し、法令に準拠したECサイトを構築しましょう。

この記事では、EC業界で知っておくべき「電子契約法」「特定商取引法」のポイントをわかりやすく解説します。

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1.ECとは

そもそもEC(Electronic Commerce)とは、日本語で「電子商取引」と呼ばれ、モノやサービスをインターネット上で販売する取引のことを指します。

たとえば、インターネットを通じ、消費者に購入機会を提供する「ネットショップ」「オンラインショップ」などが、ECの代表例です。

まずはECの定義や市場規模、ECサイトの種類を確認しておきましょう。

1-1.EC(電子商取引)の定義や市場規模

経済産業省は、EC(電子商取引)を「インターネットを利用して、受発注がコンピュータネットワークシステム上でおこなわれること」と定義しています。[注1]

ECのうち、消費者向けの取引をBtoC-EC(消費者向け電子商取引)、企業間でおこなわれる取引をBtoB-EC(企業間電子商取引)と呼びます。

経済産業省の調べによると、2020年のBtoC-ECの市場規模は19.3兆円、BtoB-ECの使用規模は334.9兆円でした。BtoB-ECと比べてBtoC-ECの市場規模は小さいものの、コロナ禍による巣ごもり消費などが影響し、生活家電や生活雑貨などの物販系分野を中心に大きく市場シェアを伸ばしています。

1-2.ECサイトとは

ECサイトとは、EC(電子商取引)をおこなうためのインターネット上のシステムを表す言葉です。ECサイトのほかにも、ネットショップ、オンラインショップ、通販サイトなどという呼び方もあります。

ECサイトには、Amazonや楽天などの既存のプラットフォームを利用する「モール型」、自社でシステムを構築する「独自店舗型(ASPなど)」の2種類があります。モール型のECサイトは、初心者でも簡単に出店できるのが特徴です。

一方、出店料などの手数料がかかり、他店舗との価格競争が発生しやすいというデメリットもあります。独自店舗型のECサイトは、システムを構築する手間がかかるものの、モール型よりも利益率が高くなりやすいのが特徴です。

自由にサイトデザインやレイアウトを決められるため、自社ならではのブランディングをおこないやすいというメリットもあります。

2.ECサイト開設時に知っておきたい法令

とくに独自店舗型のECサイトを開設するときに注意が必要なのが、EC(電子商取引)に関する法令です。事業者が知っておきたい法令は、「電子契約法」「特定商取引法」の2つです。

とくに電子契約法は、ECの普及率拡大を受け、民法における取り決めの修正を図った法律であり、確認しておく必要があります。まずは電子契約法、特定商取引法の基本的な知識を知りましょう。

2-1.電子契約法

電子契約法は、正式名称を「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」といい、ECサイトの利用者を守るために制定された法律です。民法が制定された当時は、ECが今ほど普及していませんでした。

そのため、民法における商取引についての取り決めには、現代の電子商取引の実態にはそぐわないものもあります。
電子契約法は、消費者の操作ミスの救済や、隔地者間の契約の成立時期など、民法の原則を修正するためにつくられた法令です。

また、電子契約を行うにあたって、電子契約法以外にも関与してくる法律がありますので、本記事と併せて確認するようにしましょう。

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2-2.特定商取引法

特定商取引法は、消費者や企業を相手にした取引のうち、とくにトラブルに発展しやすい7つの取引について定めた法令です。

1. 訪問販売
2. 通信販売
3. 電話勧誘販売
4. 連鎖販売取引
5. 特定継続的役務提供
6. 業務提供誘引販売取引
7. 訪問購入

ECサイトは2番目の「通信販売」に該当します。そのため、ECサイトを構築する場合、電子契約法だけでなく特定商取引法の内容も守る必要があります。

3.電子契約法

電子契約法では、ECサイトの利用者を守るため「電子商取引における消費者の操作ミスの救済」「電子商取引における契約の成立時期の転換」の2つの特例措置が設けられています。

EC事業者は、この2つの特例措置に対応したECサイトを構築する必要があります。

ここでは実際に起こりうるトラブルの例を挙げながら、電子契約法の内容を解説します。

3-1.電子商取引における消費者の操作ミスの救済

ECサイトでは、購入画面の入力ミスやクリックミスによる誤注文が発生する可能性があります。
しかし、これまで消費者の操作ミスは民法第95条の「重大な過失」に当たるとして、事業者側が契約成立を主張できました。

電子契約法第3条では、消費者の操作ミスを防ぐための適切な措置を事業者側が講じていない場合、契約を無効とする救済手段が設けられています。

たとえば、申込画面での確認メッセージの表示や、ワンクリックで購入が確定しないような仕組みが必要です。
消費者とのトラブルを避けるため「申し込み確定時に明確な確認措置を設ける」ことを意識しましょう。

3-2.電子商取引における契約の成立時期の転換

これまでは民法第526条第1項により、隔地者間での取引は、購入や申込みの承諾通知が「発信」された段階で成立する(発信主義)とされてきました。

電子契約法では取引の成立時期が見直され、「電子契約は、承諾の通知が申込者に到達した時に成立する(到達主義)」としています。[注2]

到達主義の対象となるのは、隔地者間での取引、つまり「電子メールやFAX、テレックス、留守番電話などを利用した電子契約」に限られます。

たとえば、取引の確認メールを事業者が送信し、消費者が受け取った段階で、初めて電子契約が成立します。なんらかの事情でメールが届かなかったなど、承諾通知の不達のリスクは事業者側が負う点に注意が必要です。

4.特定商取引法に基づく表記義務

特定商取引法では、消費者とのトラブルを避けるため、必要な情報を消費者に明示する義務を事業者に課しています。これを「特定商取引法に基づく表記」と呼びます。

具体的には、次の情報をECサイトに記載する必要があります。

1. 商品の販売価格および送料
2. 商品の支払の時期および方法(クレジットカード決済など)
3. 商品の引渡時期(発送予定日など)
4. 商品の売買契約の申し込み撤回や解除の方法(クーリングオフの方法など)
5. 商品の返品に関する特約(瑕疵担保責任など)
6. 事業者の氏名、住所、電話番号

ECサイトを構築するときは「特定商取引法に基づく表記」をおこなわなければならない点に注意しましょう。

5.トラブル回避のために電子契約法の理解は必須

EC業界で知っておくべき「電子契約」に関連した法律について解説しました。とくにECサイトの利用者を保護するためにつくられた電子契約法の内容は、必ず確認しておきましょう。

電子契約法では「電子商取引における消費者の操作ミスの救済」「電子商取引における契約の成立時期の転換」の2つの特例措置として設けています。

消費者とのトラブルを避けるため、安心して利用してもらえるように、法令に準拠したECサイトを構築しましょう。

[注1] 経済産業省|令和2年度産業経済研究委託事業(電子商取引に関する市場調査)

[注2]経済産業省|電子契約法について~電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律~の施行に当たって

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HORIUCHI

HORIUCHI

ジンジャーサインのマーケターとして電子契約サービスの新たな価値を届けるべく奮闘中。年間約50本の電子契約セミナーの企画運営に携わっています。前職はアルバイト領域にてBtoBマーケティング・採用支援・オウンドメディアリクルーティングを3年間経験し、jinjerにJoin。

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