就業時間の変更に必要な手続きの流れを分かりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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就業時間の変更に必要な手続きの流れを分かりやすく解説

時計

就業時間は、就業規則の「絶対的必要記載事項」に該当する項目です。そのため変更の際は、従業員代表の意見書を添付の上、労働基準監督署へ届出し、従業員への周知が必要です。
ここでは、人事担当者向けに就業時間の変更手続きの流れと、不利益変更に該当する際の注意点を解説します。

▼そもそも就業時間とは?という方は、先にこちらをご覧ください
就業時間とは?法的に定められた定義と計算方法を詳しく解説

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1. 就業時間の変更手続きの流れ

変化

会社の始業・就業・労働時間を定めた「就業時間」は就業規則の中でも、絶対に記載しなければいけない項目です。(絶対的必要記載事項)

これらの項目を変更する際は、就業規則自体の変更と、労働基準監督署への届出、従業員への周知が必要となります。

1-1. 「就業規則」の就業時間の条文を変更する

就業規則の就業時間に関する条文を、新しいものに変更します。
変更の際は、新しい就業時間が適用される範囲(正社員・パート・アルバイトなど。)も明文化しましょう。
条文の作成後は、各種法令違反がないかも合わせて確認します。

1-2. 「意見書」を作成する

変更案が作成できたら、労働者代表に意見を聴取し、内容をまとめた「意見書」を作成します。

労働者代表とは、下記どちらかに該当する者のことです。

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • 上記がない場合は、労働者の過半数を代表する者(※)

(※)労働基準法上の管理・監督者は不可。

就業規則に意見を記載し、署名・捺印をしてもらいます。

1-3. 「就業規則(変更)届」を作成する

「就業規則(変更)届」に改正前・改正後の条文を記載します。
届書に変更箇所を記載すれば、就業規則全文の印刷が不要となります。
提出の際は、対応条文のみ印字すれば問題ありません。

1-4. 作成した書類を管轄の労働基準監督署に届出る

下記を2部ずつ用意し、管轄の労働基準監督署に届出します。

  • 変更した就業時間
  • 意見書
  • 就業規則(変更)届

届出は郵送でも問題ありません。
郵送する場合は、返信用封筒に切手を貼って同封します。

なお、就業規則を変更した際は、速やかな届出が必要です。
就業規則の届出義務に違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。(労働基準法第89条、第120条)

1-5. 変更した就業規則を従業員に周知する

就業規則の就業時間を変更した後は、従業員全員に周知しましょう。
就業規則が効力を発揮するのは周知してからである(周知していないものは無効。)ほか、下記の方法などで従業員全員に周知する義務があります。

  • 常時、作業場の見やすい場所へ掲示したり備え付けたりする。
  • 書面で交付する。
  • パソコンなどに保管した際は、全従業員が閲覧できるようにする。

周知義務違反の中でも悪質なケースでは、30万円以下の罰金が科される恐れがあります。(労働基準法第89条、第120条)

以上が、就業時間変更の流れです。

2. 就業時間の変更に必要な書類

書類を確認する様子

就業時間の変更に当たり、必要となる書類は下記のとおりです。

  • 就業規則
  • 意見書
  • 就業規則(変更)届

それぞれの書類の書き方や、注意点など、詳しく解説します。

2-1. 就業規則

就業規則の変更では、それが「別規定」に設けられているものでも、「絶対的必要記載事項」「相対的必要記載事項」に該当するものは、全て届け出が必要です。
そのため、今回のように就業時間を変更する際は、本則以外の変更でも、届け出る必要があります。

例えば、パートタイムやアルバイトの就業規則は別規定として作成していたとしても、就業規定の一部であることには変わりません。
もし、別に管理している場合は、対応漏れのないように注意しましょう。

2-2. 意見書

意見書の内容は賛成・反対、どちらが記載されていても、就業規則の効力に影響はありません。
賛成の場合は「異議なし。」反対の場合は「〇条について、〇〇としていただきたい。」などと記載します。

意見書はあくまでも、労働者に意見を聴取した事実が求められるため、「賛成していること」が求められる訳ではありません。

また、万が一、意見書の記載を拒否された場合は、ことの経緯をまとめた「報告書」を作成します。

反対・拒否、どちらの場合も変更手続き上問題はないものの、労使の溝を深めないためにも、話し合いを続けることが求められます。

関連記事:就業規則の意見書とは?作成に必要な内容と書き方のポイント

2-3. 就業規則(変更)届

就業規則(変更)届は、法律上記載が必要な書類ではないものの、慣例的に鏡として添付している書類です。
また、定まった様式はないため、自作しても問題ありません。
抜け漏れなく記載したい場合は、労働基準監督署のホームページなどからダウンロードするとよいでしょう。[注1]

参考:様式集 (必要な様式をダウンロードしてご使用下さい。)|厚生労働省

3. 就業時間の変更で注意すること

ビックリマーク

就業時間変更の注意点は、所定労働時間が増えるのに賃金は据え置いたままなど、いわゆる「不利益変更」に該当するか否かです。
従業員に不利益が生じる就業規則の変更は、原則禁止とされており、変更には「合理性」が必要です。

3-1. 就業時間の変更は不利益変更に該当する可能性がある

従業員に不利益となる就業規則の変更とは、下記のような変更のことです。

  • 賃金の引き下げ
  • 所定労働時間の変更
  • 年間休日の変更
  • 福利厚生の廃止
  • 各種手当の廃止

所定労働時間に変わりはないものの、就業時間を極端に変更(前後1時間以上)する場合、不利益変更に該当する可能性があるため注意しましょう。

また、所定労働時間を延長したにもかかわらず、給料を据え置くなら、実質的には賃金の引き下げと変わりがありません。
さらに、労働時間を削減する代わりに、賃金も削減するケースでは、今までより給料が下がるため、不利益変更と見なされる可能性があります。

3-2. 不利益変更には合理性が必要

従業員に対して不利益となる就業規則の変更では、下記の「合理性」と照らし合わせ、判断しなければなりません。
なお、不利益の程度について法律上明確な基準はないため、個別の判断が求められます。

  • 従業員の被る不利益の程度
  • 就業規則を変更する必要性はあるか
  • 同業他社などと比べて妥当といえる変更か
  • 労働組合等との交渉の状況

「企業の現状を鑑みて必要であり、さらに従業員の被害が少ない場合」などが合理的と判断されることが多いです。
さらに、同業他社と比べても変更後の条件に著しい違いがないことや、経過措置を取っていること、労使との交渉を粘り強くおこなっているかなども、合理性判断の基準となります。

3-3. 不利益変更後の就業規則は、同意していない社員にも適用される

労働基準監督署で受理された後、従業員に周知すれば、不利益変更に同意しない従業員に対しても就業規則は効力を発揮します。
とはいえ、不利益変更後のモチベーション低下を防ぐためにも、必要性を資料なども使いながら、従業員一人一人に説明するほうがよいでしょう。
また、必要であれば、各従業員から「同意書」を集めるのも効果的です。

3-4. 休業手当の支払いが必要となるケースがある

雇用者側の都合で、長期的ではなく一時的に就業時間を変更したいケースも中にはあるでしょう。例えば、不景気などによる休業や勤務時間の短縮などが挙げられます。この場合、労働基準法に抵触しない範囲であれば、労働者からの同意を得ることで変更することが可能です。

ただし、会社都合で休業させる場合は、平均賃金の6割以上の休業手当を支給する必要があります。労働時間の短縮が伴う場合も同様に、実労働時間の賃金が平均賃金の6割を下回るときは、その差額分も支払わなくてはいけません。休業手当を支給せずに労働時間を変更すると、法律に抵触しますので注意しましょう。

3-5. 変形労働時間制の場合は原則認められない

「就業規則を変更することで、就業時間を変えることができる」と先述しましたが、変形労働時間制を採用している場合は、原則として就業時間の変更は認められていません。昭和63年の厚生労働省の通達では「平均して週40時間以内であっても、使用者の都合による変更は認められない」としており、ルールを無視して変更した場合は違法となる可能性があります。

ただし、災害や設備の故障など予測不可能でかつ使用者の責に帰さない事情であれば、例外として認められるケースもあります。判断が難しいところでもあるため、労働基準監督署に問い合わせて個別に確認するのが望ましいでしょう。

参照:改正労働基準法の施行について(昭和六三年一月一日)|厚生労働省

4. 就業時間の変更では不利益変更に該当するか確認しよう

チェックマーク

就業時間は、就業規則の「絶対的必要記載事項」に該当するため、変更の際は労働基準監督署へ届け出が必要です。
また、極端な始業・就業時間の変更や、所定労働時間の延長など、労働者にとって不利益に変更する際は合理性が必要です。

就業時間を変更する際は、各種法令に違反しないか、不利益変更とならないかに注意して進めましょう。

労働時間の疑問はこの一冊で解決!
人事担当者様からの労働時間に関するご質問回答BOOK!

私たちが普段働くときにイメージする「労働時間」と労働基準法での「労働時間」は厳密にみるとズレがあることがよくあります。

勤怠管理をおこなう上では、労働時間の定義や、労働させられる時間の上限、休憩を付与するルールなどを労働基準法に基づいて正確に知っておかなければなりません。とはいえ、労働時間や休憩などに関するルールを毎回調べるのは大変ですよね。

当サイトでは、労働基準法に基づいた労働時間・残業の定義や計算方法、休憩の付与ルールについての基本をまとめた資料を無料で配布しております。

【資料にまとめられている質問】

・労働時間と勤務時間の違いは?

・年間の労働時間の計算方法は?

・労働時間に休憩時間は含むのか、含まないのか?

・労働時間を守らなかったら、どのような罰則があるのか?

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MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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