就業時間とは?法的に定められた定義と計算方法を詳しく解説
一般的に就業時間とは、就業規則に定められた始業から終業までの時間のことで、ここには休憩時間を含みます。
これから、人事担当者向けに就業時間・労働時間・勤務時間の違いや、就業時間の定義と計算方法について詳しく説明します。
私たちが普段働くときにイメージする「労働時間」と労働基準法での「労働時間」は厳密にみるとズレがあることがよくあります。
勤怠管理をおこなう上では、労働時間の定義や、労働させられる時間の上限、休憩を付与するルールなどを労働基準法に基づいて正確に知っておかなければなりません。とはいえ、労働時間や休憩などに関するルールを毎回調べるのは大変ですよね。
当サイトでは、労働基準法に基づいた労働時間・残業の定義や計算方法、休憩の付与ルールについての基本をまとめた資料を無料で配布しております。
【資料にまとめられている質問】
・労働時間と勤務時間の違いは?
・年間の労働時間の計算方法は?
・労働時間に休憩時間は含むのか、含まないのか?
・労働時間を守らなかったら、どのような罰則があるのか?
この一冊で労働時間の基本をおさえることができる資料となっておりますので、勤怠管理を初めて行う方におすすめの資料です。ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 就業時間とは?
就業時間とは、就業規則などに定められた、始業時刻から終業時刻までの時間のことです。
例えば、午前9時始業、午後6時終業と定められていれば、就業時間は9時間となり、休憩1時間も含みます。
似たような言葉に「就労時間」「勤務時間」がありますが、これらは全て就業時間と同じ意味の言葉です。
2. 就業時間と労働時間・残業時間との違い
就業時間や労働時間は、一見同じ意味と思うかもしれませんが、実はまったく異なる意味を持っています。ここでは、混同しやすい就業時間と労働時間、残業時間との違いについて解説します。
2-1. 労働時間=従業員が働かなければならない時間
労働時間とは、雇用主の指揮命令のもと、従業員が働かなければならない時間のことをいいます。ここでは、休憩時間は労働時間に含まれません。
例えば、午前9時始業、午後6時終業、休憩1時間の場合、労働時間は8時間となります。
さらに、労働時間は3つの種類に分けられます。
- 所定労働時間:企業が法律の範囲内で自由に設定している労働時間
- 法定労働時間:労働基準法に定められた「週40時間、1日8時間以内」の労働時間
- 実労働時間:残業時間を足したり、早退時間を差し引いた、実際の労働時間
関連記事:労働時間とは?法律上の定義や上限、必要な休憩時間数についても解説
2-2. 残業時間=定められた労働時間を超えた時間
残業時間とは、就業規則や法律で定められた労働時間を超えて働いた時間を指します。残業時間には、割増賃金を支払う必要がない「法定内残業」「法定内残業」と発生する「法定外残業」の2種類があります。
法定内残業:所定労働時間を超えていても、法定労働時間を超えない残業。割増賃金の支払い義務はない
法定外残業:「週40時間、1日8時間以内」の法定労働時間を超えて働いた時間。25%の割増賃金が必要
例えば、通常の業務は終了しているものの、電話応対や来客対応のため待機するよう命じた場合、これらの時間は労働時間に該当します。
このように就業時間を理解するためには、労働時間や休憩時間、残業時間など、正しく理解しなければならない用語が複数あります。当サイトでは、間違えた際にトラブルになりやすい労働時間についてまとめた資料を無料で配布しております。定義や計算方法など不安な点がある方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!
3. 就業時間の法的に定められた定義
就業規則には、就業時間の記載が求められます。しかし、ただ記載すれば良いというわけではありません。ここでは、法的に定められている就業時間の定義を解説していきます。
3-1. 就業時間は就業規則に定められた時間
就業規則を作成する際は、「始業時刻・終業時刻・休憩時間を必ず定めなければならない」と、労働基準法第89条に規定されています。これを「絶対的必要記載事項」といいます。
そのため、就業時間とは、「就業規則に定められた時間である」と定義されます。
また、フレックスタイム制などを導入・活用している場合は始業時間7~9時の間、就業時間16~18時の間のように幅があるケースもあります。
参照:就業規則に記載する事項|就業規則を作成しましょう|厚生労働省
3-2. 労働時間は「会社の指揮命令下か否か」がポイント
労働基準法第32条の定義する労働時間を考える際、ポイントとなるのは「会社が労働者に指揮命令を下しているか否か」です。
例えば、会社から労働者に対して「業務では作業着や保護具の着用を義務化」している場合、着替えの時間は労働時間として判断されます。
他にも「業務に備えた待機」を会社側が従業員に命じていた場合や、通常の業務は終了しているものの、電話応対や来客対応のため待機するよう命じた場合、これらの時間は労働時間に該当します。
そのため、就業時間を決める場合は「会社の指揮命令下」の労働時間を考慮する必要があるのです。
4. 就業時間の具体的な計算方法
就業時間は賃金支払のためにも、正しい計算が必要です。
また、労働時間が時間外労働に該当するのか、深夜労働に該当するのかでも、割増賃金率が変わってくるため、正確に把握しましょう。
それぞれ、具体例を元に解説します。
4-1. 9:00~18:00勤務、所定労働時間8時間のケース
まずは一般的な勤務形態で、残業が無かった場合を確認しましょう。
09:00~12:00:所定労働時間→3時間
12:00~13:00:休憩時間→1時間
13:00~18:00:所定労働時間→5時間
この場合は実労働時間8時間、休憩1時間のため割増賃金は発生しません。
4-2. 9:00~18:00勤務、所定労働時間6時間のケース
所定労働時間が6時間、実労働時間が8時間の場合を確認します。
09:00~12:00:所定労働時間→3時間
12:00~13:00:休憩時間→1時間
13:00~16:00:所定労働時間→3時間
16:00~18:00:法定内残業→2時間
6時間勤務では休憩時間は不要ですが、実労働時間が8時間のため上記の場合では、最低でも45分以上の休憩が必要になります。ここでは休憩を1時間にしています。
ただし、残業はしているものの、法定内残業(1日8時間以内の労働)の範囲にとどまるため、法律上は割増賃金を支払う必要はありません。
4-3. 9:00~20:00勤務、所定労働時間8時間のケース
残業が発生した場合のケースを見ていきましょう。
09:00~12:00:所定労働時間→3時間
12:00~13:00:休憩時間→1時間
13:00~18:00:所定労働時間→5時間
18:00~20:00:法定外残業→2時間
この場合は実労働時間8時間、休憩1時間以外に、法定外残業が2時間発生するため、その時間分は25%の割増賃金が必要です。
4-4. 21:00~翌6:00勤務、所定労働時間8時間のケース
深夜労働が含まれるケースでは、別途割増賃金の支払いが必要となります。
21:00~22:00:所定労働時間→1時間
22:00~00:00:深夜労働→2時間
00:00~01:00:休憩時間→1時間
01:00~05:00:深夜労働→4時間
05:00~06:00:所定労働時間→1時間
この場合、深夜労働の6時間は25%の割増賃金が必要です。
4-5. 21:00~翌6:00勤務(法定休日)、所定労働時間8時間のケース
法定休日をまたぐ深夜労働のケースでは、さらに正確な労働時間管理が求められます。
今回は、土曜日から日曜日(法定休日)に日付をまたいだものとして考えます。
21:00~22:00:(※)時間外労働→1時間
22:00~00:00:深夜労働+(※)時間外労働→2時間
00:00~01:00:休憩時間→1時間
01:00~05:00:深夜労働+休日労働→4時間
05:00~06:00:休日労働→1時間
(※)平日に40時間労働していた場合、土曜出勤分は時間外労働として処理する。
深夜労働+時間外労働→50%割増
深夜労働+休日労働→60%割増
休日労働→35%割増
それぞれの勤務時間では、時間帯により、上記の割増率をかけて賃金を計算します。
5.「就業時間」に関連するよくある質問
就業時間には定義があるため、勝手な解釈で就業規則に盛り込むと労働基準法に違反する可能性があります。しかし、職種や業種によってはどのように解釈をすれば良いのか迷うこともあるかもしれません。
ここでは、就業時間に関連するよくある質問を紹介するので、迷った場合の参考にしてください。
5-1. 手待ちや着替えの時間は就業時間に入る?
「3-2.労働時間は「会社の指揮命令下か否か」がポイント」でも解説していますが、手待ちや着替えの時間も就業時間に入るケースがあります。
例えば、飲食店が従業員にユニフォーム着用を義務付けている場合、私服からユニフォームに着替える時間も就業時間に含まれます。着替える時間に決まりはありませんが、始業時刻は開店時間の10~15分前にする必要があるでしょう。
個人経営のお店などでは、始業時刻までに着替えを終わらせるように指導していることがありますが、これはトラブルとなることがあるので注意が必要です。
5-2. 就業時間は15分単位で管理しても良い?
就業時間を15分単位で計算できれば、勤怠管理は楽になるかもしれませんが、この管理方法は違法です。労働基準法第24条では、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められているので、就業時間は1分単位で管理する必要があります。
会社の就業規則で、「労働時間は15分単位で切り捨てる」と記載しているとしても、15分単位では労働者に全額を支払えないので法令違反になり、労働契約は無効となります。
5-3. 就業時間は勝手に変更できる?
事業者は就業規則を決めることはできますが、一度決めた就業時間を勝手に変更することはできません。就業時間を変更する場合は、トラブルになることもあるので労働者の同意を取っておいたほうがよいでしょう。
しかし、就業規則に複数のシフト時間の記載や、変更する場合があることを明示している場合は変更できます。ただし、このような内容を就業規則に記載していることを労働者が分かっていないとトラブルになる可能性もあるので、労働契約を結ぶ前にしっかり説明しておくことが重要です。
5-4. 休憩時間も就業時間に入る?
事業者は、所定の労働時間に達している労働者に休憩時間を与えなければいけません。休憩時間は労働時間の途中に与えること、という規定があるので、就業時間に含まれます。
例えば、9時から18時までが就業時間の場合、労働時間が8時間となるため1時間(労働基準法では8時間であれば45分)の休憩が与えられます。休憩は9時から18時までの間に取らなければいけないので、就業時間に入ります。
ただし、休憩時間は「会社の指揮命令下」ではなく、完全に自由な時間となるので労働時間には含まれません。つまり、就業時間では9時間の拘束になるとしても、実質的には8時間労働となります。そのため、就業時間に入っているとしても、休憩時間に対して賃金を支払う必要はないのです。
6. 就業時間を正しく理解しよう!
就業時間とは、就業規則に定められた始業から終業までの時間で、休憩時間を含んだものです。
企業によっては、「始業時刻の10分前に仕事の準備をする」「休憩時間でも電話を取る」など独自のルールを決めていることがありますが、こういったルールは労働基準法に違反となるので注意しましょう。
就業時間を正しく理解することは、賃金計算の際にも、重要となるため正しく把握しておく必要があります。また、所定労働時間別の休憩時間や残業時間、割増賃金が必要になるなど、さまざまなケースがあるので勤怠管理システムを活用して正確な勤怠管理ができる環境を整えることをおすすめします。
関連記事:就業時間の変更に必要な手続きの流れを分かりやすく解説
私たちが普段働くときにイメージする「労働時間」と労働基準法での「労働時間」は厳密にみるとズレがあることがよくあります。
勤怠管理をおこなう上では、労働時間の定義や、労働させられる時間の上限、休憩を付与するルールなどを労働基準法に基づいて正確に知っておかなければなりません。とはいえ、労働時間や休憩などに関するルールを毎回調べるのは大変ですよね。
当サイトでは、労働基準法に基づいた労働時間・残業の定義や計算方法、休憩の付与ルールについての基本をまとめた資料を無料で配布しております。
【資料にまとめられている質問】
・労働時間と勤務時間の違いは?
・年間の労働時間の計算方法は?
・労働時間に休憩時間は含むのか、含まないのか?
・労働時間を守らなかったら、どのような罰則があるのか?
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