休日手当とは?休日出勤の割増率の種類や正しい割増賃金の計算方法を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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休日手当とは?休日出勤の割増率の種類や正しい割増賃金の計算方法を解説

給与を渡す様子

従業員の健康的な毎日を守るためにも、本来なら休日には何事もなく休んでほしいのが企業としての本音でしょう。しかしときには、急なトラブルや業務の繁忙で、どうしても休日出勤が発生してしまう可能性はあります。

そこで最低限のケアとして忘れてはならないのが、休日だったはずの日に出てもらった分の手当です。休日手当の支給は、労働基準法によって定められている法的義務であり、必ず支払わなければなりません。
きちんと手当を付与していないと、労働基準法37条違反として6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまいます。従業員の適切な労働環境のためにも、しっかりと休日手当について正しく認識しておきましょう。

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1. 休日手当とは

金の写真

休日手当とは、労働基準法に基づき、法定休日に出勤した場合や急遽代休が付与される場合に支給される賃金のことです。

労働基準法第35条では、企業は従業員に対して週に1日は必ず休日を与える義務があり、この法定休日に働かせた場合には割増賃金を支払う必要があるとsダメ手おり、これに従って、休日出勤をした場合は、適切な手当が支給されることが求められます。

1-1. 法定休日に出勤した際に支給される

そもそも休日手当とは、法定休日に出勤した場合に、通常時も一定の比率を割増して支払う賃金を指します。法定休日とは、労働基準法第35条に定める「1週1回・4週4回以上」取得すべき休暇です。

仮に土日休みの週休2日としている場合には、土曜か日曜のいずれかが法定休日に該当します。法的には特に設定方法の規定はないため、いずれにしても問題ありません。なお法定休日の指定は法的義務ではありませんが、法定外休日における出勤時との賃金計算が異なる関係もあり、基本的にはあらかじめ決めておくのがベストです。法定休日に出勤したのにも関わらず休日手当が出ないことは認められません。

1-2. 振替休日ではなく代休の場合に支給される

休日手当の支給については、例外的に相殺できる方法もあります。それが事前申請で取得する振替休日で、あらかじめ通常の勤務日と法定休日を入れ替えることで、休日手当の支払い義務がなくなるものです。

一方で休日出勤の後に代わりの休暇を取る「代休」では、休日手当は支給しなければなりません。

法定休日の出勤分は、事前か事後か対処のタイミングに応じて取り扱いが異なるため、十分に注意しておく必要があります。

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2. 休日出勤の割増率の種類

給与を支払う様子

休日出勤の割増率は、勤務した休日の種類や労働時間によって異なります。企業は、法定休日と所定休日の出勤状況に応じて適切に割増賃金を計算し、正しく支払う責任があります。これは労働者の権利を守るだけでなく、企業のコンプライアンスを維持するためにも非常に重要です。割増率の違いについて詳しくみていきましょう。

2-1. 法定休日の割増賃金

法定休日に勤務させた場合は、休日手当として35%の割増が支給されます。

この割増賃金は、労働基準法で定められており、企業は法定休日に出勤させた従業員に対して、通常の賃金の1.35倍以上を支払う義務があります。

法定休日とは、労働者に最低限与えられる休暇として法的に認められている日であり、通常は週に1日または4週間の間に4日以上の休暇として設定されます。そのため、企業はこの休日の扱いを適切に管理し、従業員に正しい割増賃金を支払う必要があります。

このように、法定休日に働かせた場合の割増賃金は、企業側の責任であり、正確な計算が求められる重要な要素となります。従業員自身も、自分の労働が適切に評価されるために、休日出勤が行われた際にはその記録を確認することが大切です。

2-2. 法定外休日(所定休日)の割増賃金

これに対して、法定外休日に働いた場合は、割増手当は発生せず、通常の賃金が支給されます。ただし、法定労働時間を超えて勤務した際は、時間外手当として25%の割増が適用されます。

このため、所定休日に出勤した場合は、労働条件によっては割増賃金が発生しないことを理解しておく必要があります。また、休日出勤をしなければならない状況が続く場合、企業は従業員の健康や労働環境に配慮し、適切な働き方を促すことも重要です。このようなガイドラインを設けることで、企業としてのコンプライアンスを遵守しつつ、従業員の満足度を向上させることができます。

2-3. 深夜労働と重複した割増賃金

また、深夜の勤務(22時から5時まで)時には深夜手当として25%が支給され、休日手当や時間外手当と合算されます。

そのため、複数の割増が適用される場合は、それぞれの時間に応じた割合で計算されることに留意が必要です。例えば、法定休日に深夜勤務を行った場合、休日手当の35%に加えて深夜手当の25%も支給されることになります。

このように、休日手当と深夜手当が重なるケースでは、最終的に支払う賃金が大幅に増加する可能性があります。したがって、企業はこの計算を正確に行い、適正な給与を従業員に支給することが求められます。

3. 休日手当の割増賃金の計算方法

電卓で計算する人

では休日手当の割増賃金は、具体的にどのように算出するのか、具体的な計算方法も見ていきましょう。

まず法定休日に出勤した場合には、通常より3割5分以上割増した賃金を支払わなければなりません。また基本的に休日手当は時間単位で計算するので、該当する従業員が時給制であれば問題ありませんが、例えば月給制なら1時間あたりの平均賃金の算出が必要です。

それではここからは、具体的な数字の例と、イレギュラーが発生した場合についても例を挙げて説明していきます。

3-1. 月給制における休日手当の基本的な算出例

月給制の場合は、月給額を1年間での月あたりの平均所定労働時間で割って、時間単位の賃金を計算していきます。

まず実際に算出する際には、1年の暦日数(365日)から年間の所定休日数を引き、年間の労働日数を出します。
例えば年間出勤数を243日(年間所定休日122日)として、1日の所定労働時間が8時間だった場合。243日×8時間=1,944時間が年間の労働時間です。これを12ヵ月分で割ると、1,944時間÷12ヵ月=162時間となり、「162時間」が年間平均の月あたりの所定労働時間になります。

そして該当の従業員の給与を月給28万円とした場合、28万円÷162時間=1,728.39…円が時間単位の賃金です。
ちなみに端数は50銭未満を切り捨て、50銭以上1円未満を切り上げで考えるので、このケースでは「1,728円」に割増をして計算していきます。これを休日手当に当てはめると、1,728円×1.35=2,332.8円。つまり「2,335円」を休日手当における時間単位の賃金と考えます。もし8時間働いたのであれば、2,335円×8時間=1万8,680円が休日手当です。

ここまでの計算式をまとめると、以下のとおりになります。

<時間あたりの賃金>
月給÷{(1年間の暦日数-所定年間休日)×1日の所定労働時間÷12ヵ月}
⇒ 28万円÷{(365日-122日)×8時間÷12ヵ月}=1,729円

<休日手当>
違う方向を向いている時間単位の平均賃金×1.35×実際に働いた時間数
⇒ 1,729円×1.35×8時間=1万8,680円

関連記事:休日手当の計算ルールや間違えやすい5つのポイントを解説

3-2. もし法定休日ではない休日に出勤した場合

上記までの休日手当の割増に該当するのは、あくまで週1回の「法定休日」です。ではもし土日休みで法定休日を日曜としている場合、土曜に出勤した際には、どのような対処が必要なのでしょうか。

仮に1日の所定労働時間が8時間で、月曜~金曜まで週5日勤務した上で、土曜にも出勤したとします。このケースでは法定休日を「日曜」にしているため、この土曜出勤は「時間外労働」です。労働基準法では、1日8時間・週40時間の労働時間を上限としています。そのためすでに平日だけで労働基準法の限度に達しており、超過分に対しては時間外手当を支払わなければなりません。

ちなみに時間外手当の割増率は、2割5分以上です。この土曜出勤分の手当を算出する場合には、前述のとおりに時間あたりの賃金を出し、「1.25倍×勤務時間数」で計算します。

3-3. 休日出勤で時間外もしくは深夜勤務が発生した場合

状況によっては法定休日に出勤した際に、所定時間を超えたり深夜になったりする可能性もあります。

もし休日出勤時に所定時間外労働になった場合は、通常どおりに時間単位の賃金×1.35×勤務時間の計算で問題ありません。ただし深夜(22時~5時)になった際には、別途深夜分の割増賃金が発生します。ちなみに深夜労働の割増は2割5分以上で、休日手当分と足して「1.6倍」での計算となるため、注意しておきましょう。

関連記事:時間外労働の割増率とは?計算方法や適用されない場合を解説

4. 休日手当を支給する上での注意点

封筒を受け取る人
休日手当を支給する際には、いくつかの重要な注意点があります。正しく理解しておくことで従業員が適切な賃金を受け取れるようにし、また企業側も法令を遵守した運用が求められます。

4-1. 休日出勤には36協定が必須

休日手当が発生する労働をさせる場合には、大前提として事前に36協定を締結しておかなければなりません。時間外労働など、法定外での勤務をおこなわせる場合には、労働基準法第36条にもとづいた労使の合意が必要です。これがいわゆる「36協定」で、締結されたら所轄の労働基準監督署に届出をして、初めて法定外の休日や時間帯での労働が認められます。

36協定の基本をおさらいしておきたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!

4-2. 休日出勤数は法定時間外労働との合計に注意

休日出勤は、36協定があれば上限なく許されるわけではありません。そもそも時間外を含めて、法定外での労働には制限があるため注意が必要です。

まず時間外労働は、36協定を締結していた場合でも、月45時間・年間360時間を超えてはなりません。また臨時的な特別の事情がある際には、労使の合意のもとで超過できますが、年間720時間に収めることを規定としています。ちなみに月45時間を超える法定外労働は、6ヵ月以上はできません。

さらに法定外の時間外労働も休日出勤も発生するケースでは、いかなる時でも月間でそれぞれの合計を100時間未満にしなければなりません。なおかつ法定外労働が継続する際には、2~6ヵ月間の時間外・休日出勤合計を平均月80時間以内にする必要があります。

法定休日の出勤が生じる場合には、時間外労働の関連性にも気を付けておかなければなりません。

関連記事:休日手当が割増となる条件と計算方法を分かりやすく解説

5. 休日手当が発生しないケースとは

給与を支払うイラスト
休日手当が発生しないケースには、いくつかの重要なポイントがあります。これらのケースを正しく理解し、企業は法令に基づいた適切な賃金計算を行う必要があります。詳しくみていきましょう。

5-1. 法定外休日(所定休日)に労働した場合

法定外休日、つまり所定休日に出勤した場合、休日労働として認められないため、休日手当は支給されません。

たとえば、土曜日を所定休日とし、日曜日を法定休日と定めている会社の場合、土曜日に働いても割増賃金の対象にはならないのです。

さらに、事前に振替休日を設定している場合も、法定休日労働とは見なされず、やはり休日出勤手当の支給は行われません。このことを理解しておくことが、適切な賃金計算を行う上で重要です。

5-2. 管理監督者が休日出勤した場合

管理監督者が休日出勤した場合、労働基準法の労働時間や休日に関する規定は適用されません。

そのため、この場合に休日手当は発生しないことになります。通常、管理監督者には割増賃金が支給されないため、休日出勤を行っても追加の手当はなく、深夜勤務に該当する場合のみ深夜割増賃金が支払われます。

管理職のケースに注意

管理監督者としての判断は、役職名に依存するのではなく、その職務内容や責任、権限、勤務状況などの実態に基づいて行われます。

たとえ「課長」や「店長」といった役職を持っていたとしても、実際に管理職としての責任や権限が伴っていなければ、管理監督者として認められないこともあります。このため、企業は管理監督者の基準を明確にし、正確な勤怠管理を行うことが重要です。

5-3. みなし残業制が導入されている場合

みなし残業制が導入されている場合、企業は従業員に対し固定の残業代を支給します。

これは、所定の時間外労働を見なし、実際の残業時間に関わらずあらかじめ定められた賃金に含めることができる制度です。このため、設定されたみなし残業時間内に収まる限り、割増賃金を別途支払う必要はありません。

しかし、法定休日に従業員を働かせた場合には、休日手当を支給しなければならず、割増賃金(35%)が発生します。このため、企業は休日出勤の扱いについて十分な理解が求められます。

6. 休日手当の計算エラーを防ぐためのベストプラクティス

給与明細を確認する人

休日手当の計算におけるエラーは、従業員の不満を引き起こすだけでなく、法律違反につながる可能性もあります。それを避けるために、以下のベストプラクティスをおすすめします。

6-1. 労働時間の正確な記録

労働時間の追跡は休日手当計算の根底にあります。これは手動でおこなうことも可能ですが、自動化された時間追跡システムを使用すると、時間の無駄を減らし、精度を向上させることができます。

また、正確な労働時間の記録は、従業員が働いた日や時間を正確に把握するためにも不可欠です。これにより、休暇や出勤の情報が集約され、休日出勤に応じた適切な手当の支給が実現します。

特に、法定休日と所定休日を明確に識別することは、賃金計算において重要な要素となります。自動化されたシステムには、リアルタイムでデータを更新する機能が備わっているため、企業は従業員の労働時間を迅速に把握し、確実に正しい休日手当を支給することが可能になります。

6-2. 適切な賃金の計算と給与明細への記載

休日手当の計算は従業員の給与形態によります。時間給の場合は比較的単純ですが、月給の場合は時間当たりの賃金を計算する必要があります。

これには1年間の所定労働時間と月給を用いる方法が一般的です。具体的には、月給を年間の所定労働時間で割ることで、1時間あたりの賃金を求めます。この計算式により、休日出勤した場合の割増賃金を正確に算出することが可能となります。

また正確な割増賃金を算出したあとは、計算式の内訳がわかるよう正しく給与明細へ記載することも重要です。具体的には、1時間当たりの賃金を明確に給与明細へ記載しておくと良いでしょう。

6-3. 法定休日と会社指定の公休の明確な識別

また、休日労働が発生した際には、法定休日と所定休日を明確に識別し、それぞれの割増率に基づいて適切な手当を計算することが重要です。

休日出勤では、法定休日に勤務した場合は35%の割増賃金が支給されるのに対し、所定休日に出勤した場合は通常の賃金が適用されるため、その取り扱いに注意が必要です。

また、休日手当の計算にあたっては、出勤した正確な日付と労働時間を記録し、毎月の給与計算に反映させることが求められます。企業は労働基準法を遵守し、休日出勤手当を正確に計算することで、従業員の信頼を得ることができます。

また、休日に働いた場合、振替休日を設けることによって、労働者の疲労を軽減し、健全な労働環境を実現することも重要な要素です。適切な管理体制を整えることで、企業全体の生産性向上にも寄与することが期待されます。

7. 企業は正しい計算式で休日手当・給与を支払おう

給与を支払う様子従業員をしっかりとねぎらう意味でも、休日手当の認識を正しく持って、より適切な賃金を支払うことが重要です。また会社指定の公休と法定休日とでは処理が変わってくるため、きちんと確認しておかないと人件費に大きく影響してしまうでしょう。
さらに休日出勤で深夜になった場合も例外的な取り扱いが必要で、正確に対処しないと違法になってしまいます。少しややこしい部分もありますが、ぜひ本記事を参考に、休日手当の見直しをしてみてはいかがでしょうか。

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OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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