残業申請とは?申請ルールの作り方やその例、運用方法も紹介 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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残業申請とは?申請ルールの作り方やその例、運用方法も紹介

残業の申請方法の見直し

残業申請は、時間外労働の抑制や業務の効率化が期待できる一方で、ルールの周知や運用が不十分だと、未払い残業代の発生や労務トラブルにつながるおそれがあります。

本記事では、残業申請の概要や導入するメリット・デメリット、申請ルールの策定方法、運用時の注意点まで、人事労務担当者向けにわかりやすく解説します。

関連記事:残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!

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1. 残業申請とは?

タイムカード

残業申請とは、従業員が残業をするにあたって、会社へ報告・承認を求める社内手続きです。残業申請は、法律で義務付けられた制度ではなく、あくまで会社が就業規則や社内ルールに基づいて独自に運用します。

残業申請の主な目的は、労働時間の把握と管理および時間外労働の抑制などです。事前に残業の必要性や業務量を確認することで、業務の効率化や長時間労働の是正にもつながります。

残業申請の有無と、時間外労働に対する割増賃金の支払い義務は切り離して考える必要があります。残業申請がなかったとしても、会社が労働者の残業を認識していた、または認識できた状況であれば、その時間に対して通常の賃金や割増賃金を支払わなければいけません。

「申請がないから残業代は払わなくていい」という運用は、未払い賃金リスクに直結するため、注意が必要です。

1-1. 残業の定義

残業とは、一般に勤務時間を超えて働くことを指す言葉です。実務上は、会社が定める所定労働時間を超えた労働を「法定内残業」と「法定外残業」に分けて考える必要があります。労働基準法では、1日8時間・1週40時間を労働時間の上限と定めており、これを超える時間が法定外残業です。

例えば、所定労働時間が7時間の会社で1時間残業した場合、法定労働時間の範囲内のため、1時間分は法定内残業となります。一方、所定労働時間が8時間の会社で、1時間残業した場合は、1時間分は法定外残業となり、原則として25%以上の割増賃金の支払いが必要です。

このように、法定内残業と法定外残業では、割増賃金の有無などの扱いが異なります。そのため、残業申請の対象範囲や労働時間の管理方法を検討する際には、両者の違いを理解したうえで、自社の運用ルールを整備する必要があります。

2. 残業申請のメリット

メリットのブロック

2019年4月より、会社には、従業員ごと・労働日ごとの労働時間をタイムカードなどの客観的な方法で把握することが義務付けられています。残業申請は、正確な労働時間の把握につながりますが、それ以外にも多くのメリットがあります。

本章では、残業申請のメリットについて詳しく解説します。

2-1. 法令遵守に必要な残業時間の管理につながる

労働基準法では法定労働時間は1日8時間・1週40時間までと定められています。これを超えて従業員を労働させる場合には、労使間で36協定の締結が必要です。

36協定を締結し、労働基準監督署へ届け出た場合でも、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間までです。

残業申請の導入により、従業員と管理者の双方が労働時間を意識しながら業務を進められるようになり、残業時間を適切に管理しやすくなります。その結果、法令で定められた時間外労働の上限を超過するリスクの低減につながります。

関連記事:残業削減対策の具体的な方法・対策と期待できる効果について解説

2-2. 不要な残業の抑制につながる

残業が常態化している職場では、優先順位の低い業務に時間を費やしてしまうなど、必要以上に残業が発生しているケースも少なくありません。また、残業時間の把握が十分でないと、実態に即した労務管理が難しくなり、人件費の増加につながることもあります。

残業申請のルールを明文化し、従業員に浸透させることにより労働時間の可視化が進めば、残業代の削減が期待できます。残業申請の運用とあわせて、社内で「定時内に効率よく業務を終わらせる」という風潮を作れば、残業抑制にもつながるでしょう。

また、業務の見直しや効率化によって残業時間を削減できれば、従業員の働きやすさや会社に対する満足度の向上も期待できます。

2-3. 長時間労働の防止と従業員の健康管理につながる

長時間労働は、身体的な疲労の蓄積だけでなく、メンタルヘルスの悪化や集中力・判断力の低下を招くおそれがあります。 残業申請によって残業時間が削減されれば、長時間労働による健康面への悪影響を抑えることにもつながります。

管理者が残業時間を適切に管理することで、長時間労働が続いている従業員を早期に把握し、必要に応じて業務量の調整や声掛けなどの対応を取りやすくなります。 また、従業員側も申請を通じて自分の労働時間を意識する習慣がつくため、働きすぎを自覚しやすくなるでしょう。

残業申請は単なる手続きではなく、会社と従業員がお互いに労働時間を管理し合う仕組みとして、健康経営の実現に向けた第一歩になります。

3. 残業申請のデメリット

デメリットのブロック

残業申請にはメリットもある一方で、デメリットもあります。

事務負担の増加や、管理者の承認作業が煩雑になるといった点が、よく挙げられる懸念点です。ただし、デメリットの多くは、申請ルールの設計と運用の工夫によって軽減できます。

本章では、残業申請のデメリットについて、詳しく解説します。

3-1. サービス残業が発生する可能性がある

残業申請を導入する際に注意したいのが、サービス残業の発生リスクです。業務量が多く残業せざるを得ない状況にもかかわらず、残業申請のフローが煩雑だと「申請をせずに残業してしまおう」という判断に至るケースも少なくありません。

サービス残業は正しい勤怠管理ができないだけでなく、残業代の未払いや労働者とのトラブルにつながるおそれがあります。申請のハードルが高すぎることで、サービス残業が発生しないよう、運用面での配慮が必要です。

3-2. 従業員と管理者の事務負担が増える

従業員は残業をおこなうために、必要な残業時間を見積もって申請し、承認を待たなければなりません。また、上司や管理者が従業員の申請を確認・承認する必要があるため、承認作業など管理者の負担も増えてしまいます。

負担を軽減するには、ルールの柔軟性がポイントです。例えば、緊急時には事後申請を認めるなど、現場の実態に合わせた運用設計を心がけましょう。

3-3. 承認フローが形骸化するおそれがある

残業申請を導入していても、承認者が申請内容を十分に確認せず、慣例的に承認を続けていると、制度そのものが形骸化するおそれがあります。

残業申請を有効に機能させるためには、承認基準を明確にしたうえで、上司が業務量や残業の必要性を確認する運用を徹底しましょう。

また、特定の従業員や部署で恒常的に残業が発生している場合には、人事労務担当者からも状況を確認するなど、現場任せにせず組織全体で労働時間の管理体制を整えることが大切です。

4. 残業申請をルール化する方法

蛍光ペンでチェックボックスを確認している写真

残業申請を効果的に運用するには、導入時に運用ルールを具体的に定めておくことが大切です。本章では、残業申請ルール化のポイントと策定手順をご紹介します。

4-1. 残業申請の対象となる時間を決める

「残業」という言葉が指す範囲は、会社の所定労働時間の定め方によって変わります。まずは自社の就業規則や労働契約書を確認し、所定労働時間を正確に把握することからはじめましょう。何時から残業申請の対象となるのかを明確にすることが、ルール策定の出発点になります。

ルールを決める際のポイントは2つです。

1つ目は、どの時間帯を残業申請の対象とするかです。自社の時間外労働の実態を把握したうえで、どの程度削減したいかを逆算し、例えば「20時以降の残業は事前申請必須」といった具体的な基準を設けましょう。

2つ目は、部署や職種ごとに運用を変えるかどうかです。外回りの営業職やリモートワーク中の従業員、突発対応が多いエンジニアなど、働き方が異なる職種に対して一律のルールを適用しても定着しにくいため、実態に合わせた柔軟な設計が必要です。

なお、残業代は1分単位での支払いが原則です。申請単位を15分などにまとめる場合でも、実働時間は1分単位で記録し、正確な残業代を支払いましょう。

関連記事:勤怠管理とは?目的や方法、管理すべき項目・対象者など網羅的に解説!

4-2. 申請ルートと承認者を決める

残業申請を適切に機能させるためには、次の2つを明確化することが大切です。

  • 申請ルート(だれが申請し、だれが承認するか)
  • 承認基準(どのような理由の場合に承認するか)

承認者は直属の上司とするケースが一般的ですが、上司不在時の代理承認者もあわせて決めておくと、現場での運用がスムーズになります。

誰が申請し、誰がどのような基準で承認するのかというルールを就業規則や社内規程に明記し、全従業員に周知することで、制度の公平性と透明性を保ち、形骸化を防ぐことができます。

4-3. 残業申請に必要な項目を決める

残業申請を適用する時間や申請方法、申請ルートが決まったら、申請する際に従業員に入力してもらう項目を検討します。

一般的には「残業予定日」「残業予定時間」「残業理由」を項目として設けます。

項目が多いと入力負担が増えてしまう一方で「残業理由」を任意の入力項目としてしまうと、形だけの申請となり残業抑制につながらない懸念があります。

また、残業理由を記入してもらうことにより、どのような業務で残業が生じやすいかの傾向が分かり、対策を打つ判断材料になる可能性もあります。

一般的な入力項目は次のとおりです。残業申請書を作成する際の参考にしてください。

項目名 内容
残業予定日 残業する予定日を記入。

1日だけでなく、数日にわたって残業したい場合も考えられるため、〇月〇日~〇月〇日のように指定できるように項目を用意しておくと親切です。

残業予定時間 残業する予定時間を記入。

開始時刻と終了時刻を入力できるようにしましょう。

残業理由 残業時間中に何の業務をおこなうのか、なぜ残業をしなければならないのか記入。具体的に記載してもらうとよいでしょう。

4-4. 緊急時の事後申請ルールを設ける

急なクレーム対応や顧客からの緊急連絡など、予期せず残業が発生するケースでは、事前に申請する時間的余裕がない場合もあります。こうした状況に対応できるよう、一定の理由がある場合は事後申請を認める運用にしておくとよいでしょう。

ただし、事後申請を無制限に認めてしまうと、残業申請そのものが形骸化するリスクがあります。緊急時でも、残業開始前に口頭で上司の許可を必須としておくと、管理者が状況を把握したうえで対応できる体制を維持できます。

4-5. ルールを周知し、運用状況を見直す

残業申請を導入する際は、ルールの内容だけでなく、なぜ残業申請が必要なのか、制度導入の背景や目的を目的を従業員に説明することが大切です。目的を理解しないまま運用が始まると、申請が単なる義務作業になりやすく、形骸化の原因にもなります。

また、新入社員にも入社時に残業申請のルールと目的を伝え、全員が同じ認識を持てる体制を整えましょう。

実際に運用してみると、申請の手順が現場に合っていない、承認フローに時間がかかりすぎるといった問題が見えてくることもあります。定期的に運用状況を振り返り、現場の声を拾いながらルールを柔軟に見直しましょう。

5. 残業申請を運用する際の注意点

注意

残業申請を制度として導入したらそれで終わりではなく、運用にのせるための工夫が必要です。

本章では、残業申請を適切に運用するうえで、押さえておきたいポイントをご紹介します。

5-1. 業務量を見直さずに申請だけ厳しくしない

残業申請は、残業を形式的に制限するための仕組みではありません。従業員がどのような業務でどれだけの時間を要しているかを把握し、業務量や進め方の見直しにつなげることも目的のひとつです。

業務量はそのままに申請ルールだけを厳格化すると、「申請が通らないから黙って残る」というサービス残業を招くおそれがあります。制度の導入が、かえって労務リスクを高める結果にならないよう注意しましょう。

残業が特定の部署や従業員に偏っていないか、納期設定や人員配置に無理がないかを定期的に確認することで、組織全体の働き方を改善するための仕組みとして機能します。

5-2. 承認基準を明確にする

残業を承認するかどうかの判断が部署や管理職によってばらつくと、従業員の不満や不公平感につながります。ある部署では「納期直前であれば無条件で認められる」一方で、別の部署では「よほどの緊急事態でない限り認められない」といった不公平感が生じると、制度への信頼を損なう要因になります。

承認する・承認しないの基準を全社で統一し、管理職が共通の判断軸を持てるよう整備しておきましょう。

また、承認の際には、残業理由の妥当性、業務の緊急性、納期までの余裕、ほかの手段で対応できないかといった観点を基準として明文化しておくとよいでしょう。

5-3. 事前申請を原則としつつ、事後申請の扱いも決める

残業申請は事前申請を原則とすることで、管理者が労働時間をあらかじめ把握し、承認の判断を適切におこなう体制が整います。

一方で、運用上の課題として生じやすいのが、事後申請の取り扱いです。緊急対応を認める運用にしていても、基準が曖昧なまま運用すると「事後申請でも認められる」という意識が広がり、残業申請が形骸化するリスクとなります。

事後申請を認める条件や申請期限を明文化し、定期的に申請状況を確認することが大切です。

5-4. 無申請残業やサービス残業を防ぐ

残業申請を導入していても、申請した予定時間と実際の退勤時刻が一致しないケースもあります。業務が予定より長引いた場合も、早く終わった場合も、実際に働いた時間を正確に記録する必要があります。

残業代は申請時間ではなく、実際の労働時間に基づいて支払う義務があります。申請時間との乖離を放置すると、残業代の未払いが生じるリスクがあるため、出退勤記録と申請内容を照合する運用を設けるとよいでしょう。

5-5. 申請内容と実際の労働時間のズレを確認する

残業申請の内容と実際の労働時間にズレが生じていないか、人事部門が定期的に確認する運用を設けましょう。

ズレが確認された場合は、単に是正を促すだけでなく、その背景にある要因をヒアリングすることが大切です。残業申請が必要だという認識が従業員に浸透していないのか、申請しにくい職場環境があるのか、申請手続き自体に問題があるのかによって、取るべき対応が異なります。

残業申請がない時間についても、会社が認識しうる状況で労働していた事実があれば、労働時間として賃金を支払う義務が生じます。ズレを放置すると未払い賃金の問題に発展し、労使トラブルや行政指導のリスクがあるため、定期的な確認を怠らないようにしましょう。

5-6. ルールの運用状況を定期的に見直す

残業申請は、導入後も定期的に運用状況をチェックすることが大切です。申請漏れが増えていないか、事後申請が常態化していないか、承認が形式的な作業になっていないかなど、制度が本来の目的どおりに機能しているかを確認しましょう。

あわせて、従業員と管理職の双方にヒアリングをおこない、申請しにくい場面や承認フローの負担など、現場で生じている課題を把握するのもよいでしょう。現場の意見を聞くことで、より実効性の高い改善につなげられます。

定期的な見直しの機会を設け、実態に即したルールへ柔軟にアップデートすることが、残業申請を継続的に機能させるためのポイントです。

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賃金支払いの基礎となる労働時間と、実際の打刻データの乖離は、行政調査で必ず確認される事項です。勤怠管理システムを導入している場合、残業申請がない時間帯を労働時間として集計しない仕様にしているケースもあるかと思いますが、注意が必要です。

残業申請がなく労働時間として集計していない場合でも、業務をおこなっていた事実があれば、原則として労働時間とみなされます。つまり、申請の有無にかかわらず、会社が認識できる状況で業務が発生していれば、賃金支払いの義務が生じます。

残業申請制は、こうしたリスクを未然に防ぐための仕組みでもあります。申請と実態のズレを放置せず、定期的に打刻データと申請内容を照合する運用を整えることが、労務リスクを回避するうえで欠かせません。

解説:社会保険労務士 / 柳 静香

6. 残業申請の導入によって正確な勤怠管理を!

納得した女性

残業申請は、労働時間の可視化や長時間労働の抑制、法令遵守の実現など、会社と従業員の双方にとってメリットのある仕組みです。また、申請・承認のプロセスを通じて労働時間の実態が記録として蓄積され、勤怠管理の精度向上にもつながります。

一方で、申請ルールの設計や運用が不十分だと、サービス残業の発生や制度の形骸化といった問題を招くおそれもあります。

制度を機能させるには、承認基準の明確化や定期的な運用見直しなど、導入後の運用管理が大切です。申請データを業務改善に活用することで、残業申請は単なる手続きではなく、組織全体の働き方を改善するツールにもなります。

まずは自社の就業規則や時間外労働の実態を確認し、現場に合ったルール設計から始めてみましょう。

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