経費精算の領収書や帳簿の保存期間は?保存方法や注意点を紹介
更新日: 2024.10.10
公開日: 2020.4.8
jinjer Blog 編集部
企業は7年間、経費精算の帳簿・領収書の保存を義務づけられています。保存期間を満了するまえに帳簿・領収書を破棄してはいけません。
今回は、企業に求められる経費精算の帳簿・領収書の保存期間と、保存する際のルールや注意点、正しい保存方法をご紹介いたします。企業の人事担当や経理担当の方は、帳簿書類の保存義務について理解を深めましょう。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」などなど日々の経理業務に関して不安になることはありませんか?
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
そこで今回は、仕訳や勘定科目などの基礎知識から、経理担当者なら知っておきたい法律知識などを網羅的にまとめた資料をご用意しました。
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1. 経費精算の保存義務とは
経費精算に使う帳簿・領収書は、原則として7年間は企業内で適切に保存しておく必要があります。保存義務の前提となるルールや、7年間の保存が必要な理由などをご説明いたします。
1-1. レシート・領収書・帳簿書類は7年間保存する必要がある
企業は原則として、レシート・領収書・帳簿書類は、最低7年間保存しておく必要があります。下記に挙げる帳簿書類は、保存しておかなければなりません。
- 総勘定元帳
- 仕訳帳
- 現金出納帳
- 売掛金元帳
- 買掛金元帳
- 固定資産台帳
- 売上帳
- 仕入帳
- 棚卸し帳
- 損益計算書
- 貸借対照表
- 金銭のやり取りが発生する契約書
- 注文書
- 納品書
「決算に必要な書類」や「金銭取引や経費精算に関係する領収書等」が保存義務の対象です。
経費精算の帳簿・領収書の保存義務や、保存すべき書類の種類は法律で指定されています。人事や経理の担当者は、上記の書類を自己判断で処分しないように注意しましょう。
ちなみに、原則7年という保存期間を超えても、無理に書類を処分する必要はありません。
税金の申告書類や、企業にとって重要な取引先との契約書類等は、処分すると無用なトラブルを招いてしまう可能性もあります。
必要と判断される書類は、無期限に残しておくことをおすすめします。
1-2. 2004年の法改正で中小企業も保存期間が7年に
もともと、中小企業では経費精算の帳簿・領収書の保存期間が5年でした。
しかし、2004年に法改正がおこなわれて以降、中小企業も大企業も同じ基準で帳簿書類を保存しておくことを義務づけられています。
法律や税務署は、「少人数でやっている会社だから」「設立したばかりの会社だから」といった事情をくみ取ってくれません。
税務に必要な手続きを適切に処理するのは、企業としての大切な責務です。書類の管理を疎かにすると、税務調査の際に書類の不備や会計のミスを指摘され、追加徴税されることもあります。
1-3. 7年間保存する理由は税金の時効が7年のため
「なぜ帳簿書類の保存期間が7年なのか」という疑問を持たれる方は少なくありません。なぜ7年なのかというと、「税法における時効の期限が7年だから」です。
つまり、7年以上前に実施した申告手続きに不備があっても、基本的には時効をむかえていると考えることができます。税務署は、不審な申告内容を調査して適切に税金を徴収する権利を持っています。
しかし、納税者側の法的な安定を確保するためにも、税金の時効は7年と定められております。帳簿書類の保存期間もそれに合わせて7年に設定されているのです。
1-4. 保存期間は「法人税の申告期限の翌日」から7年間
経費精算の帳簿・領収書の保存期間を考える際の注意点は、「領収書の発行日から7年」ではないことです。帳簿書類の保存期間は、「法人税の申告期限の翌日」から7年間と決まっています。
企業の申告期限は、各企業が定めた決算日の2ヵ月後です。帳簿書類を使用して決算をおこない、その2ヵ月後の申告期限から7年間は、各種書類を適切に保存しましょう。
1-5. 事業の赤字を繰り越す場合は帳簿・領収書の保存期間が10年になる
なお、事業の赤字を繰り越す場合、帳簿・領収書の保存期間は10年に延長されます。
経費や設備投資をやりくりしたり、売上が下がったりして、赤字の繰り越しをした場合は、書類の扱いに注意しましょう。
2. 帳簿・領収書の保存方法は「紙での保存」と「電子帳簿での保存」
昔ながらの経費精算における帳簿・領収書の保存方法は、「紙での保存」が基本でした。
しかし、企業の決算書類や領収書は膨大な数にのぼります。
7年分の帳簿書類ともなれば保管スペースも圧迫しますし、領収書やレシートの印字が消えたり、水ぬれや火災で消失したりするリスクも出てくるでしょう。
そこでおすすめしたいのが、帳簿の電子保存です。度重なる法改正によって、現代では大半の帳簿書類を電子データとして保存できるようになっています。
3. 保存期間のルールと注意点
ここまでは、領収書をはじめとした書類の保存期間に関してご説明してきました。
原則7年間の保存義務があるこれらの書類ですが、企業の状況によっては、保存期間が変わることがあります。
今回は、保存期間が変わるケースを3つご紹介いたします。
3-1. 仕入れ税控除を受けている
仕入れ税控除法とは、仕入れや流通のタイミングで消費税が何重にも課税されてしまうことを防ぐために制定されている法律です。
消費税の仕入れ税額控除を適応する場合(消費税が課税される事業者の場合)、白色申告か青色申告かに関わらず、7年の領収書保管が求められます。
通常、白色申告や一部の青色申告では領収書の保管期間が原則5年となっておりますが、仕入れ税額控除を受けている場合は7年間の保存が必要となることを覚えておきましょう。
3-2. 赤字で決算を迎える
赤字で決算を迎え、税務上で繰越欠損金がある会社については、9年〜10年の保管期間が求められています。
繰越欠損金は、赤字を翌年度以降に持ち越して将来の法人税納税額を圧縮できる制度です。
欠損金の繰越控除が9年間(10年間)認められるため、請求書や領収書も同期間保存しておかなくてはいけないという趣旨になります。
繰越欠損金制度の適用を受けるため、領収書はしっかり保存しておきましょう。
なお、繰越欠損金制度の適用を受けるためには、青色申告を用いて確定申告をおこなう必要がある点も注意してください。
3-3. 電子取引をおこなう
インターネット上などで商品を購入し、領収書をメール添付で発行された場合は、紙で保管している企業にとってはイレギュラーな管理となるため、注意する必要があります。
電子取引をおこなった際の領収書の取り扱いは、電子帳簿保存法で定められています。原則、受領した電磁的方法(データ)で保管すれば差し支えありません。保管期間は紙の領収書と同様です。
最近ではペーパーレス化の流れから、データで領収書を受領される企業も多いのではないでしょうか。その場合、後から全ての領収書にアクセスしやすいよう、会計帳簿の取引番号を紙と電子データそれぞれに紐づけておくと良いでしょう。
4. 電子帳簿保存にも対応した経費管理システム
帳簿書類を電子保存するためには、電子データとして各種書類を作成し、記録しておくシステムが必要です。書類の電子保存に対応した経費精算システムを導入して、効率よく7年間保存できるようにしましょう。
「経理担当者になってまだ日が浅いため、基本知識をしっかりつけたい!」
「法改正に関する情報収集が大変で、しっかりと対応できているか不安・・・」
「仕訳や勘定科目など、基本的なこともついうっかり間違えてしまうことがある」などなど日々の経理業務に関して不安になることはありませんか?
特に経費精算は毎月頻繁に発生する経理業務ですが、細かいルールや規定があり、注意が必要です。また直近の電子帳簿保存法やインボイス制度など毎年のように行われる法改正に対して、情報を収集し適切に理解する必要があります。
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