1日の労働時間のうち休憩なしでよいのは何時間まで?休憩付与のポイントも解説
更新日: 2026.5.29 公開日: 2020.3.19 jinjer Blog 編集部

休憩時間をきちんと確保することは、労働者本人の健康を守ることにつながるのはもちろんのこと、雇用している企業側にとっても重要です。
休憩なしで労働を続けると、心身が疲労して仕事の能率が落ち、場合によっては労災事故も起こって訴訟問題にもなり得るでしょう。そのため休憩時間は法律によって厳格に定められています。
企業側は自社の経営を問題なく継続するためにも、国が定める制度上の規定に沿って、休憩時間を労働者に提供する必要があるわけです。
そこで今回は、労働時間と休憩に関する労働基準法におけるルールについて詳細に解説します。
関連記事:労働時間の計算方法や上限規制、労働時間の判定事例をわかりやすく解説!
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目次
1. 労働時間は何時間まで休憩なしで問題ない?


企業がとらせるべき休憩時間は、労働時間に応じてその時間数が労働基準法の第34条で定められています。休憩なしでもよいとされる時間や、時間別に必要な休憩時間を正しく把握しておきましょう。
1-1. 6時間までは休憩なしで問題ない
労働基準法では、6時間を超える労働がおこなわれた場合、休憩を取得しなければならないと規定されています。
休憩が必要なのは「6時間を超える労働」であるため、6時間ぴったりまでは休憩なしで働いても指導が入ったり、罰則が発生したりすることはありません。
ただし、あくまでも「休憩なしでもよい」とされているだけであり、6時間以下の労働でも休憩を取らせても問題ありません。企業は従業員を安全で健康に働かせなければならないため、重労働や夏や冬の屋外労働など、体に負担がかかる業務の場合は適宜休憩を取らせることが望ましいです。
1-2. 6時間を超えたら労働時間に応じて休憩が必要
休憩時間が必要になるのは、労働時間が6時間を超えた場合からです。6時間を1分でも超えたら、少なくとも45分の休憩を労働時間の途中にとらせなければなりません。
また、労働時間が8時間を超えた場合は最低でも1時間の休憩時間が必要です。
なお、労働基準法で定めているのは最低基準であるため、これよりも長い休憩時間を与えても問題ありません。
そのため、例えば7時間勤務の労働者の場合、労働時間が6時間を超え8時間以内に該当するので、法律上は45分以上の休憩を付与すれば足りますが、企業が就業規則などで独自に休憩時間を1時間と定めることも可能です。
関連記事:労働基準法における休憩時間の定義とは?労働時間に含まれるのか解説
2. 休憩時間を計算する際の3つの原則


休憩時間には一定のルールがあり、企業が「休憩時間」と決めていても、労働基準法では休憩時間として認められないケースがあります。企業側が法定通りの休憩時間を提供していると考えていても、それが認定されず、罰則が発生するおそれもあります。労働基準法で定められている休憩時間の3つの原則を確認していきましょう。
2-1. 労働時間の途中に休憩を与えること
労働基準法第34条1項において、休憩が労働時間の途中に与えられるべきことが規定されています。例えば労働者が8時間労働をおこなう場合、「4時間働いて60分の休憩をとり、残りの時間働く」などのように、労働時間中に60分の休憩を挟むことが必要です。
8時間連続で労働したあとに60分の休憩時間を与える、もしくは労働前に60分の休憩を与えてから8時間連続で働いてもらう、などのような休憩の取り方は認められません。これは休憩時間が従業員の肉体的・精神的な疲労を回復させる時間であり、労働災害を防ぐために必要だと考えられているからです。
また、従業員の中には「休憩はいらないので、その分早く帰りたい」と希望する人がいる場合もあります。しかし、たとえ本人からそのような申し出があったとしても、使用者は法令に基づき、労働時間の途中に所定の休憩時間を付与する義務があります。従業員に対しては、これが法令で定められている内容であることを丁寧に説明し、理解と納得を得ることが重要です。
2-2. 休憩時間の間は労働から完全に解放されていること
休憩時間中は、労働を一切おこなわないことが原則です。労働基準法第34条第3項に基づき休憩時間は従業員が自由に利用できなければなりません。これは企業側、従業員側のどちらもが無意識に守れていないことが多い部分です。
例えば、お昼の休憩中に、職場で弁当を食べながら電話番もするといったことは、職場で電話番という労働を引き続きおこなっているため、正式な休憩とはみなされません。
来客に備えて休憩時間中もずっと職場で待機するといった行為や、休憩の残り時間で軽作業をするといった行為も、休憩時間ではなく労働時間とみなされる可能性が高いです。
2-3. 原則として休憩時間は一斉に与えること
労働基準法第34条第2項では、休憩はすべての労働者に対して一斉に与える必要がある旨が規定されています。
一部の従業員だけ休憩時間をずらすといったことは、原則として認められていません。例えば、同じ部署に属する5人の従業員に順番に休憩を与える、といったことは認められておらず、事業所(職場)単位で休憩を一斉に与えなければなりません。
しかし、休憩時間を一斉に与えることにより不都合が生じることもあるでしょう。そのような場合にはあらかじめ労使協定を締結することで休憩時間を一斉に付与しなくてもよくなります。また、運輸交通業、商業、金融・広告業、映画・演劇業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業については、休憩時間を一斉に与える必要がない事業と定められているため労使協定を結ばなくても、労働者に対して交代で休憩を与えることができます。
参考:労働時間|厚生労働省
2-4. 【NG例】労働基準法違反となる休憩時間の付与の仕方
次のような休憩の与え方は、労働基準法違反となるおそれがあります。
- 8時間労働の終了後にまとめて1時間の休憩を与えている
- 来客対応などのため席を離れられない時間を休憩として扱っている
- 労使協定による取り決めや例外がないにもかかわらず、従業員ごとに異なる時間帯で休憩を与えている
このように、休憩は単に労働時間の長さに応じて付与すればよいものではありません。「労働時間の途中に与えること(途中付与)」「労働から完全に解放され自由に利用できること(自由利用)」「原則として一斉に与えること(一斉付与)」という3つの原則を正しく理解したうえで、適切に運用することが重要です。
関連記事:勤怠管理における休憩時間の取り扱いとは?労働基準法の基礎知識を解説
3. 労働基準法で定められた休憩時間に違反した場合は罰則がある


雇用主が労働者に付与すべき休憩時間は、労働基準法第34条により定められています。これに違反した場合は、同法第119条に基づき、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科される可能性があります。
実際は労働基準監督署による調査や是正勧告を経て、悪質な場合に送検されるケースが一般的ですが、法違反が認定されること自体が企業の社会的信用に影響を及ぼすおそれがあります。
また、適切な休憩を与えないことは、従業員の不満の蓄積や離職の原因となるだけでなく、過重労働による健康リスクの増大にもつながるので、法令に則った適切な運用が求められます。
このように休憩時間の付与は労働基準法によって規定されているため、上記のような罰則を受けないためにも正しく理解する必要があります。当サイトでは、休憩時間の付与ルールや管理方法について、よく寄せられる質問の回答をまとめた資料を無料で配布しております。休憩時間の理解や管理に不安を感じている方はこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
4. 労働時間の途中で休憩を取得できなかった場合の対応


従業員が業務の都合などにより所定の休憩時間を取得できなかった場合は、労働基準法に基づき適切に対応することが大切です。休憩の未取得が発生した場合には、その実態を正確に把握し、労働時間管理および賃金計算に反映させる必要があります。
4-1. 休憩を取得できなかった時間は労働時間として賃金を支払う
休憩時間として事前に予定されていたにもかかわらず、実際には業務対応や指示への対応などにより休憩を取得できなかった時間については、労働から解放されていない状態と判断されるので、実労働時間として取り扱われます。
そのため、当該時間は賃金支払いの対象となり、通常の労働時間と同様に勤怠管理へ正確に反映し、給与計算に適切に算入する必要があります。
また、未取得となった休憩時間を黙認したり無給として処理したりすることは、適正な労働時間管理の観点から認められず、後のトラブルや行政による是正指導につながる可能性があります。したがって、実態に即した勤怠記録の徹底と、適正な賃金計算の運用が重要となります。
4-2. 休憩取得は法令上のルールであることを従業員・管理者へ周知徹底する
休憩は、労働時間の途中に付与する必要があります。たとえ業務の都合により休憩を取得できなかった場合であっても、適切に休憩を与えなければ法令違反となるおそれがあります。そのため、所定労働時間を超えているにもかかわらず休憩が未取得となる状況を防止することが重要です。
実務上は、従業員の自主性に委ねるだけでなく、管理者が取得状況を客観的に把握し、未取得者に対して個別に声かけをおこなうなど、積極的な関与が求められます。さらに、休憩の付与ルールや取得方法については、就業規則や社内マニュアルに明確に定めるとともに、従業員および管理者の双方に対して十分な周知・教育をおこなうことが大切です。
5. 企業側が休憩を付与する際のポイント


休憩時間を付与する際に気をつけておきたいポイントを紹介します。労働基準法を守るだけでなく、従業員が働きやすく健康的な環境を維持するためにも重要な部分です。
5-1. 労働時間と休憩時間の区分を明確にしておく
労働基準法上の労働時間と休憩時間の定義は、それぞれ次のとおりです。
- 労働時間:使用者の指揮命令下に置かれている時間
- 休憩時間:労働から完全に解放され、労働者が自由に利用できる時間
ここでいう「完全に解放されている」とは、業務対応の義務や待機の必要がなく、労働者がその時間を自由に過ごせる状態をいいます。そのため、形式上は休憩時間とされていても、実態として指揮命令下に置かれている場合には、労働時間と評価されます。
例えば、次のような時間は、原則として休憩時間ではなく労働時間に該当します。
- 工場などで次の工程を待っている手待時間
- 呼び出しに即応する義務がある仮眠時間
- 始業前や終業後に実質的に強制されている清掃時間
また、制服の着替え時間については、着用が義務付けられており、かつ職場での着替えが求められているなど、使用者の指揮命令下にあると評価される場合には労働時間となります。一方で、通勤時から制服の着用が可能であるなど、拘束性が弱い場合には労働時間に該当しないこともあります。
このように、労働時間と休憩時間の区別は、実態に基づいて個別に判断されます。実務上は、曖昧になりやすい場面をあらかじめ整理し、就業規則や運用ルールにおいて明確にしておくことが重要です。
関連記事:労働時間に休憩は含まれる?労働基準法での休憩時間の定義と計算ルールを解説
5-2. 雇用形態にかかわらず休憩は等しく付与する
パート・アルバイトや派遣社員など非正規雇用の従業員と正規雇用の従業員でとらせる休憩時間が異なる企業もあるかもしれません。しかし、雇用形態に関係なく、休憩時間は全ての労働者に対して労働基準法で定められた時間数を与えなければなりません。
例えば、7時間勤務のパート・アルバイトに30分しか休憩時間を与えないのは違法です。なぜなら、6時間を超える所定労働時間を定めている場合は、最低でも45分の休憩を取得させることが定められているからです。
雇用形態にかかわらず、休憩時間は労働基準法に定められた時間数以上を与えましょう。
5-3. 休憩時間は分割付与が可能
労働基準法で定められている休憩時間は、合計で法定の時間に達していれば、分割して付与することが可能です。
例えば、7時間の労働をする場合は45分以上の休憩を取ることが義務付けられていますが、これを始業してから3時間労働後に30分間の休憩、その後また2時間労働した後に15分間の休憩として合計45分の取得としても問題はありません。人手が足りないときや、繁忙期にはこうした休憩の取り方をするケースもでてくるでしょう。
ただし、1回の休憩時間があまりにも短いと食事をとれなかったり、十分に体を休めることができなかったりします。従業員の集中力やモチベーションの低下を招くため、配慮をして分割しましょう。
5-4. 残業をしても労働時間が6時間以下なら休憩は不要
4時間勤務予定だった従業員が1時間残業し、5時間労働した場合でも合計の労働時間が6時間以下の場合は休憩を取らせる必要はありません。
しかし、残業によって6時間を超えた労働になった場合は、時間に応じた休憩を取らせなければなりません。
また、7時間勤務の従業員が残業によって8時間を超えた勤務になった場合、必要な休憩時間が45分から60分に延びます。この延びた15分の休憩時間も別途取らせなければならないため、残業が発生した場合は合計の労働時間に注意し、必要な休憩を取らせるようにしましょう。
5-5. 管理監督者には労働基準法上の休憩規定が適用されない
労働基準法において「管理監督者」に該当する場合、休憩時間の付与義務は適用されません。これは労働基準法第41条により、管理監督者には労働時間・休憩・休日に関する規定が適用除外とされているためです。
管理監督者は、経営者と一体的な立場で業務遂行の権限や責任を有し、出退勤や休憩時間について厳格な管理を受けないことがその理由とされています。ただし、管理監督者の該当性は肩書ではなく、実際の職務内容や権限、待遇などの実態に基づいて判断される点に注意が必要です。
そのため、実態を伴わない「名ばかり管理職」の場合には、労働基準法上の管理監督者と認められず、休憩の付与義務を含む各種労働時間規制が適用される可能性があります。
なお、実務上は健康確保や労務リスク管理の観点から、管理監督者であっても適切に休憩を取得できるよう配慮することが望ましいです。また、管理監督者にも使用者の安全配慮義務は及ぶので、労働環境の適正な管理が求められます。
関連記事:管理職(管理監督者)の勤怠管理が義務化!労働時間の上限規制は対象外?
6. 労働時間と休憩に関連するよくある質問


ここでは、労働時間と休憩に関連するよくある質問を紹介します。
6-1. 休日出勤時は休憩なしでも問題ない?
休日出勤であっても、労働基準法に定められた休憩時間のルールは通常どおり適用されます。労働時間が6時間を超える場合は最低45分、8時間を超える場合は最低1時間の休憩を与える必要があります。
したがって、「休日だから休憩を与えなくてよい」ということにはなりません。これは、企業が定める所定休日であっても、労働基準法上の法定休日であっても同様です。
関連記事:所定休日と法定休日の違いとは?休日出勤時の割増賃金の考え方も解説
6-2. 日をまたいで連続して勤務する場合は何時間の休憩が必要?
夜勤などにより日をまたいで連続して勤務する場合であっても、当該勤務は一連のものとして取り扱い、その労働時間に応じて休憩を付与する必要があります。したがって、その勤務の労働時間が6時間を超える場合には45分以上、8時間を超える場合には1時間以上の休憩を与えなければなりません。
なお、厚生労働省通達(昭和63年1月1日基発第1号)によれば、「1日」とは暦日(午前0時から午後12時まで)を指しますが、勤務が日付をまたいで2暦日にわたる場合であっても、これを一つの勤務として取り扱い、その労働は始業時刻が属する日の労働として整理されます。
参考:改正労働基準法の施行について(昭和六三年一月一日)(基発第一号、婦発第一号)|厚生労働省
7. 労働時間が6時間を超えると休憩が必要!違反すると罰則もある


企業側が従業員に与える休憩時間は、労働基準法により厳格に規定されています。
労働者は6時間超~8時間まで45分以上、8時間を超える場合は60分以上の休憩を取ることが必要です。これは努力義務ではなく法律上のルールであるため、違反した場合は雇用主に6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処せられます。
休憩時間を適切に定めることは、従業員の仕事の成果を高めることにつながります。休憩時間をきちんと確保することは、休みを取れる労働者、作業効率のアップを期待できる企業側双方にとってメリットは大きいといえるでしょう。
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