過重労働に該当する基準は?長時間労働との違いや影響を解説
更新日: 2025.2.16
公開日: 2025.2.16
OHSUGI
「過重労働に該当する基準は?」
「過重労働が従業員に与える影響は?」
上記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
過重労働は長時間の時間外労働や休日出勤、不規則な勤務などによって、労働者の心身に負荷が大きくかかる働き方です。従業員が健康障害を引き起こす原因になるため、企業は過重労働を防止しなくてはなりません。
本記事では、過重労働に該当する基準や長時間労働との違いを解説します。過重労働が従業員に及ぼす影響や防ぐための対策も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
- 打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
- 有給休暇の残日数確認の問い合わせ対応が業務を圧迫している
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1. 過重労働に該当する基準
長時間の残業や休日出勤などにより、心身に過度な負担を与える働き方が過重労働に該当します。具体的な労働時間の基準は法律で明確に定められていません。
ただし、厚生労働省では以下のような場合に健康障害のリスクが高いと示しています。
- 時間外・休日労働時間が月100時間を超える
- 時間外・休日労働時間が2〜6ヵ月平均で月80時間を超える
上記のどちらかに該当すれば、過重労働と判断できるでしょう。ただし、過重労働に該当するかは労働時間のみで判断されるものではありません。職場環境や就労状況などを含めて総合的に判断することが推奨されています。
2. 過重労働と長時間労働の違い
過重労働と長時間労働の違いは、心身に負担がかかることまで基準にしているかどうかです。
長時間労働は、労働時間に焦点を当てた考え方で、長時間働くことを意味しています。労働基準法で定められている法定労働時間(1日8時間以上・週40時間)を超えて労働することを指す場合もあります。
長時間労働の基準はあくまで労働時間のため、心身に負荷がかかるかは関係ありません。
一方で、過重労働は労働時間だけでなく心身に負担がかかることも基準にしています。過重労働と判断される条件の一つに長時間労働があると考えましょう。
3. 過重労働と36協定の違い
過重労働は働き方を、36(サブロク)協定は働くルールを指しています。36協定とは、法定時間を超えて労働者に時間外労働や休日出勤をさせる場合に、企業が労働者と締結する取り決めのことです。
時間外労働の上限が、以下のとおりに定められています。
- 臨時的な特別の事情がない限り月45時間・年360時間
- 臨時的な特別の事情がある場合月100時間未満、年720時間、複数月平均80時間以内、
- 月45時間を超えられるのは年間6ヵ月まで
上記の規則を破ると、企業には罰則が科せられます。36協定は過重労働を防止する対策の一つと考えましょう。
参考:36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針|厚生労働省
4. 日本における過重労働の現状
海外と比べて、日本では長時間労働の割合が高いのが特徴です。厚生労働省の資料によると、日本では2023年に週労働時間が49時間を超えた労働者の割合が、15.2%となっています。
アメリカやイギリス、ドイツなどの先進国よりも高く、男性は約5人に1人が長時間労働をしている状況となるでしょう。
年平均労働時間は減少傾向にあるものの、世界的に見ると長時間労働の割合は高水準です。長時間労働は過重労働につながる可能性があるため、防止策を講じる必要があります。
参考:令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況 |厚生労働省
5. 過重労働が発生する原因
過重労働が発生する原因の多くは、業務量や人手不足にあると考えられます。厚生労働省の資料によると、2023年では所定外労働の理由として「業務量が多いため」が最も多く、38.4%でした。
次いで、「人員が不足しているため」が29.8%、「仕事の繁閑の差が大きいため」が16.5%です。
以上の結果から、業務量の多さや人手不足が長時間労働や休日出勤の主な原因になっていると推測できます。
過重労働を防ぐには、人手不足による業務量の過多を解消する必要があるでしょう。
参考:令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況 |厚生労働省
6. 過重労働が従業員に及ぼす影響
過重労働が従業員に及ぼす影響として、以下の2つが考えられます。
- メンタルヘルス不調になる可能性がある
- 過労死のリスクが高まる
6-1. メンタルヘルス不調になる可能性がある
過重労働が原因で、従業員がメンタルヘルス不調になる可能性があります。労働時間が長くなるほど疲労が回復しにくくなり、ストレスが溜まりやすい傾向にあるためです。
また、1週間あたりの労働時間が多くなるほど、うつ病や不安障害のリスクが高まるおそれがあります。
メンタル不調は従業員の休職や退職にもつながる可能性も考えなければなりません。従業員の健康を守るためにも、企業は過重労働の防止に取り組みましょう。
参考:令和5年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況 |厚生労働省
6-2. 過労死のリスクが高まる
過重労働は、従業員の過労死につながる可能性があります。身体に大きな負荷がかかり、脳・心臓疾患の発症との関連性が高まるといわれているためです。
厚生労働省は、時間外・休日労働時間が月45時間超になると、健康障害のリスクが高まっていくことを示しています。
健康障害による過労死を防止するためには、過重労働を解消する対策が必要になります。
7. 過重労働を防ぐための対策
過重労働を防ぐための対策として、以下の3つが挙げられます。
- 全従業員の意識改革をおこなう
- 業務内容と人員配置を再検討する
- 健康管理体制を整える
7-1. 全従業員の意識改革をおこなう
全従業員の意識改革をおこなうことで、過剰労働の防止につながります。残業や休日出勤が当たり前ではなく、決められた勤務時間内に仕事を終えることが基本という意識にすることで、長時間労働を避けられるためです。
意識改革のための具体的なアクションとして、経営陣や管理職が率先して残業や休日出勤を減らすことが挙げられます。経営陣や管理職が残業を減らして、早く帰る姿を見せれば、ほかの従業員の意識も変わってくるでしょう。
また、業務効率化による残業時間の削減を評価する制度や有給休暇の取得を推進する制度を取り入れるのも効果的です。
7-2. 業務内容と人員配置を再検討する
過重労働を防ぐためには、業務内容と人員配置を再検討する必要があります。従業員の労働時間を管理して、特定の従業員や部署に業務量が偏っていないかを確認しましょう。
労働時間が多い部署の人員を増やして、業務量を平準化させれば、長時間労働の防止につながります。
人手不足で人員配置が困難な場合は、業務を効率化させるシステムや外部委託を活用するのも選択肢の一つです。
従業員が取り扱う業務を減らすことで、労働時間を短縮できます。
7-3. 健康管理体制を整える
過剰労働による健康障害を防ぐには、健康管理体制を整えることが大切です。ストレスチェックや健康診断の結果をデータで管理して、従業員の健康状態を適切に管理しましょう。
従業員に心身の負担がかかっているか把握できるため、配置転換や休暇の取得推進などの対応が可能です。
早期に対処することで、過労死やメンタルヘルス不調の防止につながります。
8. 過重労働の基準を把握して職場環境を整えよう
過重労働は、身体的・精神的に大きな負荷がかかる働き方です。時間外・休日労働時間が月100時間を超えたり、2〜6ヵ月平均で月80時間を超えたりすると過重労働と判断されます。
従業員のメンタルヘルス不調や過労死につながるリスクがあるため、企業は過剰労働を防止しなくてはなりません。
過剰労働を防ぐには、従業員の意識改革や業務内容と配置の再検討などが効果的です。過重労働の基準と対策を把握して、職場環境を整えましょう。
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
- 打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
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そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。システムであれば打刻漏れを減らせるほか、労働時間は自動集計されるため、ミスと工数を減らすことが可能です。 このほかにも便利な機能で勤怠管理の工数削減ができるため、勤怠管理システムで何ができるか気になる方は、こちらからクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の紹介資料をご覧ください。



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