【2023年改正】月60時間を越える時間外労働の割増賃金率やとるべき対策を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

【2023年改正】月60時間を越える時間外労働の割増賃金率やとるべき対策を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

【2023年改正】月60時間を越える時間外労働の割増賃金率やとるべき対策を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

【2023年改正】月60時間を越える時間外労働の割増賃金率やとるべき対策を解説

硬貨を積み重ねる写真

働き方改革が進む昨今では、残業削減に取り組む企業はますます増えてきています。

残業をなくすことは、従業員の良好な労働環境を維持するのにつながるのはもちろん、人件費の低減が期待できるため、企業の経営改善にも効果的です。

残業時間の増加は従業員の負担を大きくするだけでなく、人件費も増えてしまいます。場合によっては新たな人員を採用したほうが、コストカットになるケースも少なくありません。

特に残業時間が月60時間を超過するケースでは、比率がより高くなるルールもあります。そこで以下からは、時間外労働が月60時間を越えた場合の従業員1人あたりの賃金について、詳しく解説していきます。

自社の勤怠管理は法改正に対応できているか不安な方へ

働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。

しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。

そのような方に向け、働き方改革の内容とその対応方法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法律にあった勤怠管理ができているか確認したい方は、以下のボタンから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」のダウンロードページをご覧ください。

1. 割増賃金とは法定外労働における上乗せ手当

HOWTOの本の写真

当然ではありますが、従業員が残業をした場合、その分の賃金については、基本給とは別に支払わなければなりません。

さらに労働基準法が定める法定労働時間を超過すると、各従業員の所定賃金にもとづく時間単価に対して、割増分を支給する規定になっています。なお割増賃金が発生するのは、時間外労働をはじめとした、次の3つのケースです。

1-1. 時間外労働

時間外労働とは、法定労働時間を超過した勤務を指します。例えば1日単位の勤務で考えた場合、「9時~18時(実働8時間・休憩1時間)」を所定労働時間としているのであれば、19時まで働いたら1時間の時間外労働をしたことになります。

さらに労働基準法では、原則1日8時間勤務が上限です。そのため超過した1時間は法定外勤務となり、1.25倍以上の割増賃金の支払いが生じます。

また仮に1日の所定労働時間を「9時~17時(実働7時間・休憩1時間)」した場合、18時までの勤務は法定内労働となるため割増は発生しません。所定賃金の時間単価分のみを追加支給します。

関連記事:残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説

1-2. 休日出勤

休日出勤とは、労働基準法で定める法定休日(週1日)において勤務するケースを指します。

例えば週40時間勤務・土日休みの週休2日制で、日曜を法定休日としている場合、仮に土曜に出勤した際には、法定時間外労働の割増賃金が適用されます。

ただし法定休日の日曜に勤務すると、時間外労働ではなく、別途休日出勤手当を支給しなければなりません。なお法定休日での割増賃金は、所定賃金にもとづく時間単価の1.35倍以上になります。

関連記事:休日手当が割増となる条件と計算方法を分かりやすく解説
関連記事:休日手当の計算ルールや間違えやすい5つのポイントを解説

1-3. 深夜勤務

深夜勤務とは、夜間(22時~翌5時)で労働する場合を指します。深夜勤務においては、所定賃金にもとづく時間単価の1.25倍の割増が求められるのが原則です。

また割増率は、時間外労働と休日出勤であれば「1.25~1.5倍」の範囲に限定されています。一方で深夜勤務は、「1.25倍以上」と上限はありません。

例えば休日出勤で深夜勤務になった際には、休日出勤分と深夜勤務分の比率を合わせて「1.6倍」の割増賃金が発生することになります。

関連記事:夜勤の定義や労働時間の正しい計算方法を解説

2. 2023年に60時間超の割増賃金率が変更された

 

明細を確認している人

60時間超の割増賃金率は2023年4月1日に改正されました。

どのような変化が生じたのか、必要な対応とあわせて十分に理解し、正しく割増賃金を支給できるようにしましょう。

2-1. 2023年4月からの割増賃金率

2019年4月の法改正では、大企業・中小企業ともに1ヵ月の時間外労働が60時間超場合、割増賃金率が50%に変更されました。

ただし、中小企業に対しては猶予期間が適用されていました。この猶予期間は2023年3月31日までであるため、4月からはすべての企業で割増賃金率が変化することになります。

60時間以下の残業時間の場合、割増賃金率は25%です。2倍の割増賃金率になるため、人件費を抑えたい場合はこの変更に十分に注意しましょう。

2-2. 企業がおこなうべき対応

割増賃金率の変更に合わせて、企業がおこなうべき対応は主に4つです。労使間のトラブル防止や残業時間の削減ができるように、可能な範囲で対応していきましょう。

①就業規則の見直しと周知

給与の規定は評価の基準をはじめ、社内制度や評価制度のを見直すことが大切です。残業時間の方法や社内規定などは特に重要です。

現行のルールで問題ないか、厚生労働省のモデルケースを参考にするとよいかもしれません。

変更が発生した場合や、周知が十分でないと感じる場合は就業規則を今一度従業員全体が理解できるように、説明する機会も作りましょう。

②残業時間の可視化

60時間を超える残業時間を発生させないためには、正確に従業員別の残業時間を確認することが大切です。

そのために勤怠システムを始めたシステムによる管理を導入したり、チェックできる体制を整えたりしましょう。

残業時間の目標値の設定や、集計結果を公開することも効果的です。

③残業削減に向けた業務効率化

残業は少ないほど従業員の負担が減り、企業側も人件費を抑えることができます。

とくに月60時間を超える残業は従業員と会社にデメリットが多いため、残業時間の削減につながる業務効率化も急がなくてはいけません。

マニュアルを用意したり、新しいツールや環境の整備を進めて効率よく業務を進められるように準備しましょう。

④代替え休暇制度の導入

代替え休暇制度は1ヵ月に60時間を超える残業が発生した際に、割増賃金の代わりに代替え休暇を付与する制度です。

従業員は心身を休めることができ、企業側は人件費を抑えることが可能です。休暇が増えれば人員が足りなくなる恐れもありますが、一つの手段として導入を考えてもよいかもしれません。

3. 月60時間を超える時間外手当の割増率

お金の写真

労働基準法による時間外労働の上限は、原則として月45時間・年間360時間です。ただし臨時的に特別な事情がある場合に限り、各種制約はありますが、上限を超えた時間外労働も認められています。

ちなみに労働基準法の制限を超過する場合は、36協定の特別条項を結んでいたとしても、次の条件は必ずクリアしなければなりません。

  • 時間外労働の合計は年間720時間以内
  • 時間外労働・休日出勤の合計は月100時間未満
  • 休日出勤の合計平均は2~6ヶ月のすべてで月80時間以内
  • 月45時間を超過した時間外労働は年間6ヶ月まで

さらに月45時間を超えるケースでは、割増賃金の比率については1.25倍を上回った設定が努力義務とされています。加えて月60時間を超過した際には、1.5倍以上の割増率にした賃金を支払わなければなりません。

これは努力義務ではなく必須であり、前述したように今までは大手企業にのみ課せられていましたが、2023年4月1日からは中小企業にも適用されます。

この他にも、2019年の働き方改革による法改正で有給休暇の取得義務化や時間外労働の上限規制などが設けられ、勤怠管理をする上では法改正の内容もしっかりと把握しておかなければなりません。当サイトでは法改正の内容とその対応法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法改正の内容があやふやな方は、ぜひこちらから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」をダウンロードしてご確認ください。

関連記事:時間外労働の割増率とは?計算方法や適用されない場合を解説

3-1. 月60時間超過の時間外労働と深夜勤務や休日出勤が重なった場合

まず月60時間を超えた時間外労働が深夜勤務で発生した場合、それぞれの割増率の合計となる1.75倍以上の賃金を支払う必要があります。

一方で休日出勤については、基本的に時間外労働とは別の扱いです。そのため月60時間を超えた後に休日出勤が発生したとしても、深夜勤務さえなければ、通常の1.35倍の割増率に変わりはありません。

ただし法定休日ではなく、社内の公休日に出勤した際には時間外労働になるため、月60時間超過であれば1.5倍の割増賃金が発生します。

3-2. 月60時間超えの割増賃金の具体的な計算例

具体的な計算例として、仮にある従業員が月に70時間の残業をした場合を考えてみましょう。その従業員の時間単価が1,000円で、月60時間を超えるため割増率は1.5倍となります。この場合、10時間(70時間-60時間)に対する割増賃金は1,000円×1.5×10時間=15,000円となります。

4. 月60時間を超える時間外労働をなくすための対策

ATTENTIONと書いてある積み木の写真

そもそも労働基準法の規定を超過した時間外労働においては、労使協定にもとづく36協定の締結をしなければなりません。

なおかつ36協定を結んだからといって、どんな時間外労働も許されるわけではなく、原則として使用者は必要最小限に留めるべきとされています。

特に月60時間を超えるような時間外労働は、従業員にとっても企業側にとっても非常に大きな負担です。できるだけ残業を減らすことが推奨されているため、時間外労働を減らすための取り組みについても見ていきましょう。

以下からは厚生労働省による中小企業における長時間労働見直し支援事業検討委員会が発表した「運送業・食料品製造業・宿泊業・飲食業・印刷業を例に時間外労働削減の好事例集」を参考にした対策例を紹介します。

次に取り上げているのは、特に人件費削減の効果が高かったケースです。

4-1. 時間管理に関連した評価制度の導入

中でもコストカットに有効的な結果が出ていたのが、人事評価で時間外労働に関する項目を設定した事例です。例えばリーダークラスの人材の評価制度にて、それぞれの部下の残業量によって報酬が変動する仕組みを取り入れるなどです。

管理職の時間管理の意識を高めることで、各従業員の働き方も十分に把握することにつながり、より強固なマネジメント体制が確立される効果にも期待できます。

4-2. トップダウンによる残業削減計画の推進

経営陣が主導となり、時間外労働関連のプロジェクトを推進するのも1つの方法でしょう。なお特に高い効果が見られたのが、残業の事前申請です。

あらかじめ上司に時間外労働の許可を促す体制にすることで、例えば他のメンバーに業務を割り振ったり、翌日に持ち越すよう指示したりなど、柔軟に管理できるようになります。

4-3. 労働時間の是正を目的とした教育の実施

具体例の1つとして考えられるのが、各従業員のマルチプレーヤー化です。担当工程をローテーション制にする・専門資格の取得を広く支援するなど、業務の偏りがなくなるような教育やサポートを行う方法もあります。

同等のレベルで仕事ができるメンバーが増えれば、その分互いに協力しやすくなり、現場の強固な連携にもつながるでしょう。

関連記事:残業削減対策の具体的な方法・対策と期待できる効果について解説

4-4. 効果的な勤怠管理システムの導入

勤怠管理システムを導入することで、労働時間の透明化が進み、時間外労働の抑制につながります。このようなシステムは、従業員の出勤・退勤時間をリアルタイムで把握し、残業時間を自動で計算するものです。また、先進的なシステムでは、労働時間をビジュアライズし、各従業員の労働状況を一覧で確認することも可能です。これにより、部門ごと、あるいは個々の従業員ごとに時間外労働が発生していないか、逐一チェックできるようになります。

5. 時間外労働の割増賃金を正しく支給し、残業時間は可能な限り減らそう

コールセンターで話す人たち

原則として労働基準法による時間外労働は、月45時間・年間360時間が上限です。規定を超過するような残業は、基本的に何か特別な事情がある場合にしか認められていません。特別な事情というのもあくまで臨時的なものを指しており、例えば決算期の処理やトラブル対応などに限られています。

月60時間を超えるような残業は例外という認識だからこそ、通常よりも高い割増率になるのは当然です。企業の姿勢として、まずはなるべく時間外労働に頼らない姿勢であることが重要でしょう。

どうしても長時間の残業が発生する場合は、割増賃金を正しく計算して支給することが求められます。

自社の勤怠管理は法改正に対応できているか不安な方へ

働き方改革が始まり、法改正によって労働時間の客観的な管理や年次有給休暇の管理など、勤怠管理により正確さが求められることとなりました。

しかし、働き方改革とひとことで言っても「何から進めていけばいいのかわからない…」「そもそも、法改正にきちんと対応できているか心配…」とお悩みの人事担当者様も多いのではないでしょうか。

そのような方に向け、働き方改革の内容とその対応方法をまとめた資料を無料で配布しておりますので、法律にあった勤怠管理ができているか確認したい方は、以下のボタンから「中小企業必見!働き方改革に対応した勤怠管理対策」のダウンロードページをご覧ください。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

勤怠・給与計算のピックアップ

新着記事