年間での労働時間の計算方法・上限について押さえておきたい4つのポイント
更新日: 2026.1.30 公開日: 2020.3.11 jinjer Blog 編集部

労働者が1年間に働く労働時間は、どのように計算されているのでしょうか。労働時間には、国が定めた「法定労働時間」と、法定労働時間を越えて働く場合の「時間外労働時間」があります。
特に時間外労働時間については、労働基準法で罰則付きの上限規制が定められているため、違反しないように勤怠管理をおこなうことが大切です。この記事では、年間での労働時間の計算方法や、労働基準法における上限規制のポイントについて解説します。
目次
多様な働き方の導入や度重なる法改正により、労働時間管理はますます複雑になっています。
「この対応で本当に正しいのか?」という日々の不安は、コンプライアンス違反という「知らなかった」では済まされないリスクに直結します。
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- トラブルを未然に防ぐための休憩時間の付与ルール
- 罰則リスクを回避するための正しい勤怠管理のポイント
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1. 年間の労働時間の計算方法は?

労働者の1年間の労働時間は、「法定労働時間」または「所定労働時間」と、それ以外の「時間外労働時間」の合計です。
まず「法定労働時間」とは、労働基準法第32条で定められた、労働者を働かすことのできる上限時間を指します。

法定労働時間の範囲内で、企業が自由に決められる労働時間が「所定労働時間」です。
つまり、法定労働時間と所定労働時間の違いは、「国が定めているか」「各企業が定めているか」になります。所定労働時間を決めるには、就業規則などにあらかじめ記載し、従業員への周知徹底をおこなうことが必要です。
そして、法定労働時間を超えて従業員が働いた時間のことを「時間外労働時間(残業時間)」と呼びます。
法定労働時間とは別に、時間外労働時間も労働基準法において上限規制が設けられており、違反した場合は企業や法人の代表者に罰則が科されます。労働者全員に共通している所定労働時間と違い、時間外労働時間は一人ひとり異なるため、人事管理や労務管理において特に注意が必要です。
週休2日制ではなく、フレックスタイム制や裁量労働制を採用している企業は、労働時間が日や週、月によって異なることが多く、残業時間の集計も煩雑化しやすいです。集計機能付きのタイムレコーダーや、勤怠管理システムを導入するなどして、時間外労働時間を正確に計算できる仕組みを作りましょう。
人事担当者になると、知識が正しいか確認するために労働基準法を確認するなど、調べ物をする機会が増えると思います。当サイトでは、労働基準法に沿うように労働時間や残業、休憩時間をまとめた資料を無料で配布しています。知識があやふやな方はこちらから資料をダウンロードして、認識が正しいか確認してみてください。
1-1. そもそも総労働時間とは?
総労働時間とは、一般的には「特定の期間内での合計労働時間」を指します。さまざまな労働時間制度や労働形態において、使用される用語です。
労働時間を管理するうえで重要な指標となり、労働基準法や労働条件の遵守などの目的で用いられます。総労働時間の計算は、労働者が雇用者の指揮命令のもとで働いている時間のうち、休憩時間を除いて算出します。
1-2. 年間の労働時間の計算は「法定労働時間+時間外労働時間」で求められる
年間の労働時間は「法定労働時間+時間外労働時間」の合計から算出が可能です。法定労働時間とは、先述したとおり法律で定められた週あたりの最大労働時間を指します。時間外労働時間とは、法定労働時間を超えて労働する時間です。
まず年間の法定労働時間は、以下の通りです。
52.14(1年間のあたりの週数)×40(1週間あたりの法定労働時間)=2,085時間
時間外労働が発生している場合は、各月の発生した時間数を足すことで、年間の労働時間数を算出できます。
2. 年間の労働時間の上限規制は?改正労働基準法に基づく4つのポイント

労働者が1年間に働くことができる労働時間は、労働基準法において上限が定められています。働き方改革にともない、2019年4月に労働基準法の一部が改正されました。
ここでは、改正労働基準法のルールに基づき、法定労働時間・所定労働時間や時間外労働時間の上限規制について解説します。
2-1. 年間の労働時間は法定労働時間+360時間が上限
法定労働時間の上限は、労働基準法第32条で定められ、1週間につき40時間まで、1日につき8時間までです。1年が52.14週とすると、年間の法定労働時間は2,085時間です。もちろん、就業規則で法定労働時間より短い「所定労働時間」を定めている場合は、年間の労働時間は減少します。
時間外労働時間の上限は、36協定を結んだ場合においても月45時間まで、年360時間までとなっています。
したがって、「年2,085時間+360時間」の合計2,445時間が、36協定(一般条項)を締結した場合の年間労働時間のおおよその上限です。
2-2. 特別条項付きの36協定を結べば法定労働時間+年720時間まで延長可能
ただし、特別条項付きの36協定を結ぶことで、年360時間の上限をさらに延長することができます。特別条項付きの36協定を締結した場合の上限は、最大で年720時間までに規制されています。
これまでは特別条項付きの36協定を締結すると、労働時間の上限がありませんでしたが、働き方改革による法改正で、年720時間以内と上限規制が設けられました。
すなわち、法定労働時間+時間外労働720時間が、36協定の特別条項を加味した年間の総労働時間の上限です。上記を合計すると2,805時間となるため、例えば年間労働時間が3,000時間であることは法律上認められません。
なお、時間外労働の上限が年720時間であるとはいえ、1月にまとめて720時間労働させることはできません。
1ヵ月あたりの時間外労働・休日出勤の合計は100時間未満までとし、さらに2~6ヵ月の平均が月80時間を超えないことが条件となっています。過度な労働は、労災のリスクを高めるので雇用主には十分な安全対策をおこなうことが求められます。
2-3. 罰則付きの上限規制のため、労働時間の管理に注意
労働時間の上限規制に違反した場合、企業や企業の代表者には罰則が科されます。
例えば、改正労働基準法の時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間)に違反し、特別条項付きの36協定を結ばずに労働者を働かせた場合、使用者は6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金を科されます。それだけでなく、労働基準法や労働安全衛生法に基づき、労働基準監督署によるチェックが入り、最悪の場合は行政指導を受けるリスクも存在します。
年間労働時間の上限規制を遵守し、罰則を科されないためには、労働者の勤務時間を正確に把握することが大切です。
とはいえ、従来の日報やタイムカードによる勤怠管理では、集計するまで総労働時間がわからないため、「集計してみたら労働基準法に違反していた」というケースもあります。勤怠管理をするなら、リアルタイムで労働時間を確認できる勤怠管理システムの導入がおすすめです。
労働時間が上限規制に違反しそうになった場合には、自動でアラートを飛ばす機能もあるため、労働基準法や労働安全衛生法に抵触するリスクを大きく減らせます。
2-4. 労働時間の把握義務化により客観的な記録が必要
労働基準法の改正に合わせて、労働安全衛生法も改正されたことで、労働時間の把握が義務化されました。これにより、労働に従事した時間帯や時間数を客観的な方法で記録しなくてはいけません。
厚生労働省のガイドラインでは、客観的な方法として次の2つの方法を挙げています。
- 使用者の現認による方法
- タイムカードやパソコン等の電子計算機の使用時間の記録
年間の労働時間をいずれかの方法で記録した上、5年間(当面は3年間)保管する必要があります。
参照:客観的な記録による労働時間の把握が法的義務になりました|出雲労働基準監督署
3. 年間労働時間を短縮するための3つの改善策

年間労働時間の短縮は、従業員の健康維持と生産性の向上、そして企業の法令遵守のために不可欠です。ここでは、効果的に労働時間を削減するための具体的な3つの改善策を紹介します。
- 年間計画の早期立案
- タスク・シフト管理ツールの導入で時間外を可視化
- ノー残業デーの導入
3-1. 年間計画の早期立案
労働時間を短縮するためには、まず業務量の偏りをなくしましょう。プロジェクトや繁忙期、閑散期など、年間を通じて発生する業務を早期に把握し、計画を立てることから始めましょう。
具体的には、年間を通じて業務量の多い時期と少ない時期を予測し、閑散期に事前準備や研修などを実施することで、繁忙期の負担を分散させることが求められます。また、従業員の休暇取得の希望なども考慮して長期的な人員配置計画を立てることで、特定の期間に特定の部署や従業員に負荷が集中するのを防ぐことができます。
3-2. タスク・シフト管理ツールの導入で時間外を可視化
労働時間の短縮を実現するためには、「どこに無駄な時間がかかっているか」を正確に把握することが出発点となります。各従業員がどのタスクにどれだけの時間を費やしているかを記録・集計できるタスク管理ツールを導入することで、非効率な業務プロセスや時間のかかりすぎているタスクを特定できます。
また、シフト管理ツールを活用して予実管理を徹底し、シフト作成時にあらかじめ時間外労働が発生しないよう人員配置を最適化します。時間外労働の発生状況をリアルタイムで可視化することで、管理者による早期の是正措置を可能にします。
3-3. ノー残業デーの導入
社内全体で残業をしない日を設けるノー残業デーは、従業員に対して「時間内に業務を終える」という意識を根付かせるのに有効です。この日の目的を「早く帰るため」だけでなく、「生産性を高めるため」「自己啓発の時間を確保するため」といった形で明確に伝え、従業員のモチベーション向上につなげましょう。
4. 上限規制に引っかからないために年間の労働時間を正確に計算しよう

今回は、年間での労働時間の計算方法や、労働基準法における上限規制について解説しました。労働者の年間労働時間は、法定労働時間や所定労働時間と、時間外労働の合計です。
法定労働時間の上限は、1年を52.14週とすると2,085時間までです。なお、上限規制に違反すると、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。勤怠管理システムを導入するなどして、年間の労働時間を正確に計算しましょう。
年間の労働時間は適切に計算するだけでなく、ノー残業デーの導入や年間計画の早期立案によって削減にもつなげましょう。また、タスク・シフト管理ツールを導入すれば、効率的に業務を進められるうえに、従業員が時間外労働に費やした時間も把握しやすくなります。
多様な働き方の導入や度重なる法改正により、労働時間管理はますます複雑になっています。
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- 罰則リスクを回避するための正しい勤怠管理のポイント
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