EBITDAとは?計算方法や用いるときの注意点を解説
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.12.19
jinjer Blog 編集部
会社の業績を評価する指標はたくさんありますが、その中でもグローバルに活用されているものの一つが「EBITDA(イービットディーエー)」です。
あまり聞きなれない用語かもしれませんが、日本以外に拠点を置く企業ではよく用いられる指標となっています。
当記事では、EBITDAの概要や計算方法、用いるときの注意点について解説します。
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1. EBITDAとは?
EBITDAは「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortization」の頭文字を取ったものとなっています。
それぞれの意味は、「Earnings Before Interest:利払い前」「Taxes:税引き前」「Depreciation:有形固定資産の減価償却前」「Amortization:無形固定資産の減価償却前」です。
つまり、EBITDAは、税引き前利益と支払利息と減価償却の総和ということになります。
1-1. EBITDAを利用するメリット
EBITDAを利用する際には、そのメリットについてはっきり理解しておく必要があります。
とくにEBITDAを利用しているのは海外に拠点を置く企業である場合が多く、他の国々の企業とやり取りする際に、EBITDAの知識は必須です。
まず、EBITDAは、世界共通の指標として投資先を選ぶ際の助けになります。
投資家は世界各国の企業の中から、投資先となりえる企業を探しています。
しかし、それぞれの国によって会計基準や方針が異なり、会社によってもその基準はさまざまです。
国や会社による差を排除し、同じ基準で企業を比べられる点で、EBITDAにはメリットがあります。
さらに、減価償却による問題点を考慮せずに比較できる点もメリットといえます。
減価償却では、耐用年数が大きな問題になります。
同じ取得価額の固定資産を有していても、用いている耐用年数が異なれば減価償却費が変わってくるからです。
たとえば、同じ1,000万円の設備投資であっても、耐用年数を10年にしている企業と20年にしている企業では、減価償却費が大きく変わり、会計処理に影響を与えます。
加えて、設備投資に積極的な企業は減価償却費が大きくなり、あまり業績がよくない企業と判断されてしまう恐れもあるでしょう。
各国の会計処理の違いや減価償却費の相違を排除して同じ基準で各企業を比べられるのがEBITDAのメリットなのです。
1-2. EBITとEBITDAの違い
EBITDAと似た指標に、「EBIT(イービット)」があります。
よく似ている指標ですが、EBITDAとは異なる点に注意が必要です。
EBITとEBITDAの主な違いは、減価償却費を計算に含めるかどうかという点です。
EBITDAは減価償却費を計算に含めるのに対し、EBITは減価償却費を計算に含めず、営業利益と支払い利息のみを考慮します。
さらにEBITとEBITDAでは、評価対象となる企業も変わってきます。
EBITは、起業したばかりのスタートアップ企業や企業買収を積極的に行う企業を評価する際の基準になります。
スタートアップ企業やM&Aを行う企業は、多くの資金を調達しなければならず、必然的に支払利息が増えます。
支払利息を含めた評価を行う点で、EBITは役立つのです。
一方、EBITDAは、設備投資を積極的に行っている企業の評価に用いられます。
設備投資を積極的に行っている企業は、減価償却費が大きくなり企業全体の利益率に影響が及びます。
減価償却費を考慮した営業利益を算出するために、EBITDAは便利な指標なのです。
EBITとEBITDAでは、計算方法や評価対象となる企業が異なることを意識して、使い分けることで正しい評価が行えるようにすべきです。
2. EBITDAの計算方法
EBITDAの計算方法は何通りかあり、決まった計算方法がありません。
評価対象となる企業によって、柔軟に計算方法を変えることが可能です。
EBITDAの主な計算方法や、収益力を測るEBITDAマージンの計算方法を見ていきましょう。
2-1. EBITDAの主な計算方法
EBITDAの主な計算方法は、以下の3つです。
EBITDA= 営業利益+減価償却費
EBITDA= 経常利益+支払利息+減価償却費
EBITDA= 税引前当期純利益+特別損益+支払利息+減価償却費
EBITDA= 当期純利益+特別損益+支払利息+減価償却費+法人税
いくつか計算方法がありますが、基本的には「営業利益+支払利息+税金+減価償却費」と覚えておけばよいでしょう。
2-2. EBITDAマージンの計算方法
EBITDAから計算できる別の指標にも興味深いものがあります。
それが、企業の収益力を表すEBITDAマージンです。
EBITDAマージンは、売上高に占めるEBITDAの割合を示しており、「EBITDA÷売上高」で計算できます。
売上高に対してEBITDAが大きければ、それだけ利益を上げやすい企業ということになります。
一方、EBITDAの割合が小さいということは、減価償却費以外の売上原価や販売費が大きく、効率があまり良くないことを示しています。
EBITDAマージンによって、自社の収益力について知ることも、評価対象の企業の収益力を測ることもできるのです。
3. EBITDAを用いるときの注意点
EBITDAは、企業の業績や収益力を測るのに便利な指標ですが、注意点もあります。
注意点を意識せずにEBITDAを使ってしまうと、M&Aなどでトラブルを抱えてしまうかもしれません。
では、EBITDAを用いるときの注意点を3つ見ていきましょう。
3-1. 資金調達コストを反映できない
EBITDAを用いる際の最初の注意点は、資金調達コストを反映できないことです。
企業によっては多額の借入れを行っており、支払利息を支払っている場合もあります。
当然、M&Aではこうした支払利息についても調査することが必要ですが、EBITDAでは資金調達コストを反映しません。
というのも、EBITDAでは経常利益に加えて支払利息も含めて計算を行っているからです。
EBITDAマージンが高いので収益力も高いと判断したところ、利益の大半を支払利息が占めているというケースでは、その企業の本当の業績は見えてきません。
3-2. のれんの損失は反映できない
EBITDAを用いた場合、のれんによる損失は反映できません。
のれんとは、買収される企業の資産と実際の買収額の差を指します。
もし実際の企業の価値よりも高額で買収が成立した場合、その差額をのれんと呼び、毎年償却処理しなければなりません。
同様に、多額の設備投資を行って減価償却している場合も、EBITDAには反映されません。
したがって、利益の大きな会社だと考えて買収に動いたものの、のれんや過剰な設備投資の減価償却費だったということがあり得るのです。
3-3. 正常利益ベースでの計算が必要
EBITDAを用いる場合、正常利益をベースにした計算が必要です。
役員報酬や節税を目的とした保険料の支払い額によっては、会社の業績を正しく反映できません。
EBITDAは重要な指標であるものの、他の指標と併用して企業を評価することが必要です。
4. EBITDAを使って正確な評価を行う
EBITDAは、M&Aなどにおいて企業を評価する指標の一つです。
減価償却費や支払利息が反映されないため注意が必要ですが、賢く活用して企業の正しい評価に活かしましょう。
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