税務調査とは?調査の種類や流れ、指摘を受けた時の対応も紹介
更新日: 2024.1.15
公開日: 2022.12.26
jinjer Blog 編集部
納税者自身が税額を申告し納税する場合、誤りや不正が起きる恐れがあります。税務調査は申告内容に不備がないか確認し、正確な税徴収を目的として行なわれます。
本記事では、税務調査とは何か、調査の流れや内容、指摘を受けたときの対応方法、税務調査に該当しやすい企業の特徴を解説します。
目次
86個の勘定科目と仕訳例をまとめて解説
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「会計の基礎知識である勘定科目や仕訳がそもそもわからない」
「毎回ネットや本で調べていると時間がかかって困る」
などなど会計の理解を深める際に前提の基礎知識となる勘定科目や仕訳がよくわからない方もいらっしゃるでしょう。
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1. 税務調査とは?
税務調査とは、税務署などが納税者に対し申告書類や内容が正しいかどうか確認するために行う調査のことです。法人税や所得税は、納税する者自身が申告し、その内容に基づき納税する「申告納税制度」を採用しています。
提出書類に誤りはないか、また、故意に納税額を過少申告していなかなどを確認し、適正で公平な税徴収を目的として行なっています。そのため、申告納税制度を採用する納税者であれば、法人・個人を問わず税務調査の対象となる可能性があります。
2. 税務調査の2つの種類
税務調査には、大きく分けて「任意調査」と「強制調査」があります。
2-1. 任意調査
税務調査といえば一般的に任意調査を指しており、脱税などの犯罪を行なっていなくても、正しく申告をしているか確認するために行なわれます。
任意調査では事前に所管の税務署から連絡があり、調査日程や必要書類が案内され、その後2日程度かけて調査が行なわれます。なお、任意とはいえ、納税者には調査を受ける義務が発生するため、拒否したり、帳簿を提出しなかったりなどはできません。
正当な理由なく帳簿を見せなかったり、虚偽の発言をしたりすると、国税通則法128条により、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が課される恐れもあるため注意しましょう。[注1]
[注1]昭和三十七年法律第六十六号 国税通則法|e-Gov-法令検索
2-2. 強制調査
強制調査とは通称「マルサ」と呼ばれる、国税局査察部が行う調査で、特に悪質で大口の脱税疑惑のある企業に対して行なわれます。脱税などの不正の証拠を押さえることが目的のため、裁判所の令状を持参した上で事前連絡なく強制的に調査を行います。
なお、悪質な場合とは、1億円を超える不正が目安となります。また、税務調査で2000万円を超える不正所得が発覚してときなども、後日、管轄が税務署から国税庁に変更される可能性があります。
3. 税務調査の時期
税務調査に明確な時期の決まりはありませんが、傾向として4~5月、7~12月に多いといわれています。また、法人であれば、5~10年に1回程度は税務調査が行なわれる可能性があるため、日頃から帳簿を整えるなどの対応か必要です。
4. 税務調査の流れや内容
税務調査のうち、任意調査は以下の流れで行なわれることが多くなります。
- 税務調査の事前通知を受ける
- 日程調整を行う
- 税務調査に必要に書類を準備する
- 税務調査当日は質問検査などを受ける
- 審査結果の説明
それぞれ詳しく解説します。
4-1. 税務調査の事前通知を受ける
任意調査では、税務署から電話で事前に税務調査の連絡があります。なお、税理士が税務代理を行なっているときは、企業の担当税理士あてに事前通知があります。
4-2. 日程調整を行う
税務調査の日程は調整が可能です。業務の繁忙日を避けたり、顧問税理士がいるときに日程を合わせたりして対応しましょう。
4-3. 税務調査に必要に書類を準備する
必要書類は事前に案内があるため、不備のないように準備しましょう。一般的には以下の資料が必要です。
- 会社の経歴図や組織図
- 帳簿類
- 帳簿作成時に使用した資料
- 決算書類
- 売上関係書類
- 仕入れ関係書類
- 経費関係書類
- 人件費関係の書類
上記を3~5年度分用意することが多いでしょう。また、上記以外の資料が必要になるケースもあるため柔軟に対応しましょう。
4-4. 当日の税務調査後は質問検査などを受ける
税務調査当日は、担当税務官が会社や店舗、事務所などを訪れ調査を行います。日数はおおよそ2日程度です。
当日の調査終了後は、調査内容を踏まえた質問や指摘があるため、その分の回答や資料作成などを行います。これらのやり取りが終わるまで、1週間~1カ月程度かかります。
4-5. 調査結果の説明
以上の全ての調査が終われば、「是認」「修正申告」「更正」の3パターンの結果が報告されます。
是認とは、申告内容に誤りや問題がない状態で、通常、書面にて是認報告が届きます。この場合、追加対応も必要ないため、今後も同様の方法で会計処理を進めて問題ありません。
修正申告とは、税務署から指摘があり、その内容に沿って自社で申告をやり直す方法です。これにより、本来支払うべき税額を正しく納税します。
更正とは、修正申告を受けても企業が応じないときに、税務署が内容を正し追徴税額を行う方法です。指摘内容に納得しないときなどに取られる方法ですが、更正を受けても特に問題はありません。
5. 税務調査で指摘を受けたときの対応方法
税務調査で指摘を受けても、内容に従い修正申告書を作成し税務署に提出すれば問題ありません。
なお、更正による課税処分に不服があるときは、処分通知を受けた翌日から3カ月以内に「再調査の請求」を行うことも可能です。これにより、処分が正しかったかどうか再度調査した「再調査決定書」を受けられます。
6. 税務調査に該当しやすい法人の特徴
税務調査がいつ行われるかなどは定かではなく、また、どのような法人が対象になるかも明確には開示されていません。とはいえ、税務調査が入りやすい事業所には傾向もあるため紹介します。
6-1. 事業規模が大きい
法人税などの納税額は一般的に事業規模が大きいほど高額になります。そのため、誤りがあれば徴税額に大きな差が出る大企業は、税務調査が入りやすいとされています。
6-2. 売上や利益の変動が大きい
売上や利益の変動が大きいときも、不正な会計操作の可能性があるため、税務調査の対象となりやすいでしょう。特に、例年と比べ極端に売上や利益に差が出たときは会計処理に注意しましょう。
6-3. 同業同規模と比べ利益などが低い
同業同規模の他社と比べて税引前当期純利益などが極端に低い企業も、不正を疑われる可能性はあります。税務調査が入っても問題がないように、適切な会計処理を行いましょう。
6-4. 過去の税務調査で指摘を受けた
過去に申請書類の指摘を受けた企業では、処理方法を正しているか確認する目的もあり、税務調査が入る可能性はあります。指摘された内容は正して、適切な処理の継続が必要です。
7. 税務調査で注意するポイント
税務調査では質問内容に正確に答えることはもちろんですが、過度に萎縮する必要はありません。会計処理の状況を落ち着いて説明しましょう。また、中小企業では特に処理の期ずれに注意が必要です。
7-1. 質問内容には正確に回答する
先述のとおり、税務調査の質問内容に虚偽の回答をすると罰則を受ける恐れがあります。質問には曖昧に答えず、分からなければ確認し後日対応するなどが必要です。
7-2. 過度に萎縮しない
税務調査で万が一指摘があっても、修正申告をすれば問題ありません。そのため、過度に萎縮したり緊張したりせず、普段通り対応するのもポイントです。とはいえ、不用意なことを話してしまうと、そこから疑いをかけられ調査を進められる恐れもあるため注意しましょう。
7-3. 期ずれを発生させない
中小企業の税務調査では、売上時期などの期ズレに特に注意が必要です。期ずれが発生すると利益が正しく計算されないため、納税額にも差が生じます。
普段の会計処理から、期ずれが起きないように処理する必要があります。
8. 普段の業務を適切に行なえば税務調査は怖くない!
税務調査は納税者が適切な税申告を行なっているか確認し、正確な税徴収を目的として行なわれます。また、万が一税務調査で指摘を受けたとしても、修正申告をすれば問題ありません。
税務調査の連絡があっても焦らず対応するためには、日頃から正確な方法で経理業務を進めることがなによりも大切です。使いやすい会計システムの導入は、税務調査の対策をする上でも役立つでしょう。
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