電子契約で権限・名義はどうなる?契約実務に沿って徹底解説! - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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電子契約で権限・名義はどうなる?契約実務に沿って徹底解説!

ペーパーレス化・非対面化ニーズの高まりと共に、日本のビジネスシーンでも電子署名を用いた電子契約の普及が加速しています。一方で、電子契約の導入を検討しつつも、その法的リスクの不安から導入をためらう企業も少なくありません。

特に契約実務で頻繁におこなわれる代表印の代理押印について、電子署名でも同様のフローが法的に問題ないのかは気になるところです。今回は電子契約で署名代理をおこなう際の権限や名義の考え方について詳しく解説します。電子契約の導入リスクについて詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。

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1.契約実務では代表者が署名・押印するのはまれ

企業において代表者本人が署名・押印する契約は全体のごく一部であり、実際には多くのケースで従業員による押印代行がおこなわれています。まずは押印代行が法的に有効とされる基本的な考え方を押さえておきましょう。

1-1.企業の正しい契約締結は代表者自身による代表印の押印

本来、契約を真正に(当事者の意思の元で確かに)締結するためには、正しい契約締結権限を有した者がその名義で署名、もしくは押印することが求められます。これは電子契約における電子署名も同様で、契約の真正性を示すには名義人本人による署名の実行が最も効果的です。

1-2.代表者が全ての文書に署名・押印することは困難

しかし、実務の観点からすると代表印の押印が必要な書類は多岐に渡り、その全てを名義人である代表が実行することは簡単ではありません。そのため、部長や課長など階層ごとのリーダーが代表印の押印を代行することで膨大な量の契約締結に対応し、社内フローを効率化させる方法が一般化しました。

1-3.押印代行は「二段の推定」により有効

従業員による押印代行は民事訴訟法第228条第4項で定められる「二段の推定」により正当化されます。その考え方は以下の通りです。

【一段目の推定】

“代表印(実印)の押印があれば、それは代表印の名義人本人の意思に基づくものと推定する。”

引用:民事訴訟法 | e-Gov法令検索

【二段目の推定】

“代表者の意思に基づく押印があれば、その契約は真正に成約したと推定する。”

引用:民事訴訟法 | e-Gov法令検索

一段目の推定は「代表印を管理保管しているのは名義人であり、その意思を反映しない第三者が持ち出して使用することはない」という経験則に基づきます。しかし、これは「実態のある印鑑」に対して言えることであり、実態がない電子署名ではその本人性を電子証明書など別の形で担保しなければなりません。

2.本人以外による署名・押印の方法

従業員が代表印の押印代行をする場合、方法は以下の2パターンが考えられます。

● 代表者が他の従業員へ契約締結権を委譲
● 代表者を名義人としたまま他の従業員が署名・押印を代行

それぞれについて解説します。

2-1.代表者が従業員へ契約締結権を委譲

代表者本人が契約締結権を他の従業員に委譲するパターンでは、権限を付与された従業員が名義人となり、自身名義の押印を実行します。その際、代表者は契約締結権の委譲を明文化するため、自身の手で署名・押印した委任状を作成することが一般的です。

委任状によりその契約には代表者の意思が反映しているとみなされるため、法的に曖昧になりがちな部分が明確になります。電子契約においても契約締結権の委任状を作成することで法的なリスクを大幅に減少することができます。

2-2.代表者を名義人としたまま従業員が署名・押印を代行

代表者を名義人としたまま他の従業員が押印を代行する場合でも、先述した「二段の推定」の考え方によりその契約は真正に成立したと推定されます。実務において委任状の有無を確認するケースは非常に稀であり、押印や電子署名の名義人が代表者であれば問題ないとするのがビジネスにおける通例です。

ただし、これに関しては過去に前例となる判例がないという点も考慮しなければなりません。法的な曖昧さを回避するのであれば、委任状の作成により契約の名義人や権限を明確にすることが確実です。

3.相手方の契約締結権限の確認方法

ここでは相手方の契約締結権、もしくはその契約に代表者の同意があるか確認する方法を紹介します。重要な契約を締結する場合に備え、法的なリスクを排除するための方法を押さえておきましょう。

3-1.契約締結権限の委任状を提出してもらう

最も明確でわかりやすい方法は相手方に契約締結権の委任状を提出してもらうことです。代表者の署名・押印がある委任状で契約締結権を有していることが明確になれば、それ以上の確認は必要ありません。

3-2.代表者のメールアドレスが使用されているか確認する

メール認証を用いた電子契約システムであれば、その認証に使用されるメールアドレスをチェックしましょう。通常、ビジネスで使用するメールアドレスは個人に紐づくため、他者が使用するケースはまれです。メール認証で用いられたメールアドレスが代表者のものであれば、代表者本人の意思が反映されたものと判断できます。

3-3.カーボン・コピー(㏄)に代表者のアドレスを入力してメールのやり取りする

契約に関するメールのやり取りに際し、カーボン・コピー(cc)へお互いの代表者のメールアドレスを入力しておく方法も有効です。メール内容に対して代表者からの指示・命令がなければ、その契約について代表者の同意を得たと判断できます。なお、契約の真正性を問う裁判ではメールのやり取りも証拠として有効です。

3-4.従業員の役職を確認する

名刺等で相手方の従業員の役職を確認し、部長や課長など上級の役職者であれば契約締結権を有しているとみなして契約を締結する場合もあります。ただし、この方法はあくまで簡易的であり、重要な契約の際は他の方法で契約締結権の有無を確認した方がよいでしょう。

関連記事:電子契約は相手方にどんな問題が起こる?パターン別に対処法を解説! | jinjerBlog

4.電子契約の方が契約締結権限の確認は容易

代理押印・署名代理による権限や名義の曖昧さの問題は、物理的な押印であっても電子署名であっても少なからず存在します。むしろ電子的な記録が残る電子署名の方が契約締結権限の確認は容易です。

契約時のリスクを回避する上で電子契約のメリットは以下になります。

● 契約締結に関わるやりとりが認証用のメールアドレスと紐づけられる
● 電子署名の作業プロセスや日時がログに残る
● 閲覧権限の設定が可能

一方、物理的な押印で証明できるのは「最終的に押印された事実」のみです。いつ・誰が・どこで押印したのか示すことはできません。この点から見れば電子契約と紙の契約は法的効力が変わらないといえます。

5.電子契約のリスクと解決策

電子契約のリスクとして挙げられるのは「無断締結」や「なりすまし」です。これらは電子契約特有のリスクではありませんが、非対面でおこなわれる電子契約では異変に気付く機会が限られます。しっかりと対策を施したうえで電子契約を導入しましょう。

5-1.無断締結のリスクと解決策

無断締結は契約締結権限者の意思を介さず締結される契約です。本来、契約締結権限を持たないものによる無断締結は無効とされますが、状況次第ではそれが認められてしまう可能性もあります。

事前の対策としては、契約締結時に契約締結権限の委任状の提出を求める方法が有効です。また、電子契約システムによっては承認者を複数名設定できる機能も備えており、これを活用することで個人が無断で契約締結するリスクを軽減できます。

5-2.なりすましのリスクと解決策

なりすましは契約締結権限者に扮して第三者が契約締結を承認してしまうことを指します。お互いの顔を確認しにくい電子契約では特に注意が必要です。

電子契約におけるなりすましはシステム側の機能で回避できる場合があります。例えば本人確認書類のアップロード機能や、SMS・メールを使用したアクセスコード認証機能です。電子契約システムの選定をする際は、無断締結やなりすまし防止機能を備えたサービスを選ぶようにしましょう。

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6.権限や名義の仕組みを理解して電子契約を正しく運用しましょう

電子契約における契約締結権限や名義は、従来の代表印の押印と大きな違いはありません。民法の規定により、代理人による電子署名も法的に有効とされます。権限の曖昧さを回避したいのであれば、代表者が作成した委任状を備えておきましょう。

また、法的なリスクについても、契約の過程や操作ログが記録される電子契約の方が事実を証明しやすいというメリットがあります。ただし、リスク管理はシステムに依存する面もあるため、搭載機能を精査し比較したうえで導入することが大切です。

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