従業員が出産手当金をもらえないケースとは?支給条件や対応策を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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従業員が出産手当金をもらえないケースとは?支給条件や対応策を解説

お金「従業員が出産手当金をもらえないことはある?」

「出産手当金の支給条件は?」

上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。

出産手当金は、出産を控える従業員にとって、経済的な不安を和らげる大切な制度です。しかし、出産手当金は仕組みや支給条件が複雑なため、誤解や申請ミスによるトラブルが生じるケースも珍しくありません。

企業が正しい知識を持ち、従業員へ適切な情報提供や支援ができる体制を整えておくことは、信頼関係の構築や人材定着にもつながるでしょう。

本記事では、従業員が出産手当金をもらえないケースや支給条件、さらに対象外の従業員への対応策について解説します。制度の内容を把握し、従業員を適切にサポートできる体制を整えましょう。

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1. 従業員が出産手当金をもらえないケースはある

ブロック

出産手当金は、健康保険の種類や加入状況、休業期間中の給与の有無によっては支給されないケースがあります

出産手当金は、健康保険の被保険者が出産を理由に休業し、休業期間中に給与の支払いがない場合に支給される制度です。そのため、条件を満たしていなければ、たとえ出産していても支給対象外となります。

こうした制度の誤認や混乱を防ぐためにも、企業は出産手当金の制度を理解し、該当する従業員へ適切な説明をしなければなりません。

また、出産手当金の対象外となる従業員に対しては、育児休業給付金などほかの公的制度や、社内制度の活用を促すことも大切です。

2. 出産手当金がもらえないケース

注意

出産手当金がもらえないケースは、以下のとおりです。

  • 国民健康保険に加入している
  • 健康保険の扶養に加入している
  • 健康保険の任意継続制度に加入している
  • 休職中に給与を受け取っている
  • 申請期間が過ぎている

2-1. 国民健康保険に加入している

国民健康保険に、出産手当金の制度が設けられていないため、加入している従業員は受給できません。

出産手当金は、健康保険法に基づく「被保険者」に対して支給される制度であり、国民健康保険は対象に含まれていないためです。

主に、フリーランスや自営業、離職後に国民健康保険に切り替えた方が該当します。

特に、在職中に出産予定の従業員が退職を検討している場合は、出産手当金の受給資格が失われる可能性があることを明確に伝えることが重要です。

参考:健康保険法 | e-Gov 法令検索

2-2. 健康保険の扶養に加入している

健康保険の扶養に加入している従業員も、出産手当金の支給対象にはなりません。出産手当金を受け取るには、出産する本人が企業の健康保険に「被保険者」として加入している必要があるためです。

つまり、配偶者などの健康保険に加入している「被扶養者」の従業員は支給対象外です。例えば、パートやアルバイトなどで勤務時間や収入が一定基準を下回っており、被扶養者となっているケースが該当します。

こうした従業員のなかには「企業に所属しているため給付金を受け取れる」と誤認しているケースも珍しくありません。

そのため、扶養内で働いている妊娠中の従業員から相談があった場合などには、被扶養者と被保険者の違いや制度上の位置づけを丁寧に説明する必要があります。

2-3. 健康保険の任意継続制度に加入している

健康保険の任意継続制度を利用している従業員も、原則として出産手当金の支給対象外となります。

任意継続制度とは、退職後も最長2年間、前職の企業が提供していた健康保険に加入し続けられる制度です。

出産手当金は「在職中の被保険者」に支給されるため、退職後に任意継続制度へ加入している場合は対象外となります。

ただし、以下の条件をすべて満たしている場合は、例外的に支給対象になる可能性があります。

  • 退職日までに継続して1年以上健康保険に加入していた
  • 退職日当日に出勤していない
  • 資格喪失日の時点ですでに出産手当金の受給が開始されていた

そのため、出産を予定している従業員が退職を希望している場合には、出産手当金の受給資格が得られるかどうか、事前に上記の条件と照らし合わせて確認することが重要です。

条件を満たさずに退職した場合は、たとえ任意継続制度に加入しても出産手当金は支給されません。

2-4. 休職中に給与を受け取っている

休職中に給与を受け取っている従業員も、出産手当金の支給対象外です。出産手当金は、健康保険の被保険者が出産を理由に就労できず、休業期間中に報酬を受け取っていない場合に支給される制度です。

そのため、たとえ従業員が産前産後休業を取得していたとしても、企業が給与を支給していれば出産手当金の対象外となります。

ただし、企業が支給する給与が出産手当金の額を下回る場合、差額分を出産手当金として支給するケースがあります。

給与支給の有無や金額は、出産手当金の受給に直接影響するため、産休中の給与支給方針を社内制度として明確化しておくことが重要です。

2-5. 申請期間が過ぎている

出産手当金は、申請期限を過ぎると一切受け取れません。出産手当金の申請期限は、休業開始日から2年以内と定められています。

期限を過ぎると請求権が失効するため、支給要件をすべて満たしていたとしても、出産手当金を受給できません。

特に、出産後に退職する従業員は、申請手続きが本人の責任となることが多く、会社からの情報提供がなければ制度自体を知らずに期限切れとなるリスクがあります。

こうした事態を防ぐためにも、退職予定者への事前案内やフォローアップなどを含めたサポート体制を整えておくことが重要です。

3. 出産手当金の支給条件

親子

出産手当金の支給条件は、以下のとおりです。

  • 健康保険に加入している
  • 妊娠4ヵ月目(85日)を過ぎてからの出産である
  • 出産を理由に休業している

3-1. 健康保険に加入している

出産手当金を受け取るには、出産する本人が健康保険の「被保険者」でなければなりません

健康保険には、全国健康保険協会(協会けんぽ)や各健康保険組合、公務員が加入する共済組合などがあり、それぞれの制度に基づいて出産手当金が支給されます。

そのため、配偶者の扶養に入っている被扶養者や国民健康保険加入者、任意継続制度を利用している人は対象外です。本人が健康保険の「被保険者」としての資格を有していないため、制度の適用を受けられないのです。

なお、正社員・契約社員・パートタイムなど、雇用形態の違いは出産手当金の支給可否に直接影響しません。企業は、各従業員の加入状況を把握し、出産手当金の対象となるかを正しく把握しておくことが大切です。

3-2. 妊娠4ヵ月目(85日)を過ぎてからの出産である

出産手当金を受け取るには、妊娠4ヵ月(85日)を過ぎてからの出産であることが条件です。出産には、正常分娩だけでなく、流産・死産・人工中絶も含まれます

一方で、妊娠85日未満での流産や中絶は出産手当金の支給対象外です。

従業員が制度を誤解して申請することのないよう、「妊娠85日」が支給の可否を分ける重要な基準であることを社内でも正しく共有しましょう。必要に応じて説明できる体制を整えておくことが大切です。

3-3. 出産を理由に休業している

従業員が出産手当金を受給するためには、出産を理由に休業していることが前提条件です。支給対象となるのは、実際に勤務しておらず、労務に就いていない期間に限られます。

さらに、休業期間中に給与支給がないことも要件の一つです。支給対象となるのは、産前42日(多胎妊娠は98日)および産後56日の間で、給与を支払っていない日数分です。

従業員の休業状況や給与支給の有無を正確に把握し、申請漏れを防ぐためのサポート体制や社内制度との整合性を確認しましょう。

4. 出産手当金がもらえない従業員への対応策

はてな

出産手当金がもらえない従業員には、以下のような対応策を実施できます。

  • 健康保険|出産育児一時金
  • 雇用保険|育児休業給付金

ほかの公的支援制度を活用することで一定のサポートができるため、代替制度についても説明できるようにしておきましょう。

4-1. 健康保険|出産育児一時金

出産育児一時金は、休業の有無や給与額にかかわらず支給される制度です。健康保険の被保険者、またはその被扶養者が出産した場合に支給されます

国民保険加入者や扶養者も対象になるため、出産手当金を受け取れない従業員にも支給されます。対象となるのは、妊娠4ヵ月(85日)以上の出産で、支給額は原則50万円です。

健康保険に加入している従業員は、出産手当金と出産育児一時金の両方を受給できます。

出産育児一時金を受給するには、従業員自身が加入している健康保険組合に対して申請手続きを進める必要があります。出産手当金と混同しやすいため、制度の違いを正しく説明できるようにしておきましょう。

4-2. 雇用保険|育児休業給付金

雇用保険に加入している従業員が出産後に育児休業を取得する場合、その期間中に「育児休業給付金」を受け取れます。

育児休業給付金は、育児のために休業し、将来的に復職することを前提とした給付金です。

育児休業中の生活費を補うことを目的としており、男性が育児休業を取得する場合も支給対象となります。主な受給要件は、以下のとおりです。

  • 雇用保険に加入していること
  • 産休開始前の2年間に12ヵ月以上の被保険者期間があること

給付期間は、原則として子どもが1歳の誕生日を迎える前々日までです。ただし、保育所に入所できないなどの事情がある場合は、最大で子どもが2歳になるまで延長されることもあります。

申請は、企業を通じて管轄のハローワークでおこないます。従業員への案内やサポート体制を整えておくことが大切です。

5. 出産手当金制度を正しく理解して社内の説明体制を整備しよう

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出産手当金は、すべての従業員に自動的に支給されるものではありません。健康保険の加入状況や就労状況によっては、支給対象外となるケースがあります。

企業は制度を正しく理解したうえで、出産手当金を受け取れない従業員に対して適切な代替制度を案内することが大切です。従業員の安心感を高め、企業への信頼を維持できるでしょう。

制度理解に加えて、従業員のライフイベントに寄り添う支援体制の整備も重要です。出産・育児を経ても働き続けられる環境づくりは、企業の持続的成長にとっても不可欠な取り組みといえるでしょう。

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jinjer Blog 編集部

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