介護業界でも記録の電子化が主流?メリットや注意点・介護報酬改定についても解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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介護業界でも記録の電子化が主流?メリットや注意点・介護報酬改定についても解説

介護業界では、2021年の介護報酬改定をきっかけに、利用者様との手続きにおける電子化が注目されています。

しかし、その波は事業所の「内部管理」、特に人事労務領域にも大きな影響を与えています。とくに職員数の多い大規模な法人ほど、雇用契約書や入社書類、給与明細といった人事関連の書類管理が大きな負担になっているケースがよくあります。
本記事では、介護業界の人事労務担当者が「記録の電子化」に取り組むべき理由と、そのメリット、そして遵守すべき法的注意点について詳しく解説します。

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1. なぜ介護業界で「記録の電子化」が重要なのか?

ポイント

記録の電子化は、単なる業務効率化に留まりません。それは、事業の継続性を高め、コンプライアンスを遵守し、職員が安心して働ける環境を構築するための重要な経営課題です。特に大規模な介護事業所が抱える3つの課題から、その重要性を紐解きます。

1-1. 複数拠点にまたがる膨大な紙書類の管理

職員数の多い法人では、管理する人事労務書類は膨大な量にのぼります。雇用契約書、労働条件通知書、身元保証書、扶養控除等申告書、給与明細、研修の受講記録、健康診断結果…。

これらの書類を拠点ごとに印刷・配布し、記入・押印後に本社へ郵送、そしてファイリングして保管する。この一連の作業には、人件費、郵送費、保管スペースの確保など、目に見えないコストと多大な時間がかかっています。必要な書類を1枚探すだけでも一苦労、という経験がある方も多いのではないでしょうか。

1-2. BCP(事業継続計画)における「職員情報」の保護

過去の災害の事例では、多くの事業所が、利用者様のケアプランだけでなく、重要書類の紛失という問題に直面したケースがあったといいます。

災害発生時、職員の安否確認や緊急連絡、給与の支払いに必要な人事情報が、紙媒体として各拠点に保管されていては、紛失・焼失のリスクに常に晒されていることになります。事業を継続・復旧させるための生命線である「職員情報」を守ることは、BCPの根幹をなす要素なのです。

1-3. 頻繁な法改正への対応とコンプライアンス

労働基準法や個人情報保護法など、人事労務に関連する法律は頻繁に改正されます。近年では、労働条件通知書の電子化解禁や、電子帳簿保存法の要件緩和など、電子化に関するルールも大きく変化しています。

これらの法改正のたびに、全拠点で運用方法を正確に周知し、古い書式を使い続けてしまうといったミスを防ぐのは大変労力のかかる業務でもあります。

拠点ごとに管理がバラバラになっていると、意図せずコンプライアンス違反を犯すリスクが高まります。

2. 介護業界で記録を電子化するメリット

先に挙げたような課題は、人事労務記録の電子化によって大きく改善できます。具体的に得られる4つのメリットを見ていきましょう。

2-1. 雇用契約・入退社手続きの劇的な効率化

職員の入退社が多い介護業界において、手続きの効率化は急務です。電子化により、内定者への雇用契約書や入社書類の送付、記入・同意の取得、回収までを全てオンラインで完結できます。

これまで数週間かかっていたプロセスが数日に短縮され、人事担当者と入社者、双方の負担を大幅に削減します。

2-2. ペーパーレス化によるコスト削減と省スペース化

紙代、インク・トナー代、郵送費、ファイルやキャビネットの購入費、そして書類を保管するための外部倉庫の賃料まで。

電子化は、これらの物理的なコストを根本から削減します。削減できたコストやスペースは、職員の研修や福利厚生など、より付加価値の高い領域へ投資することが可能になります。

2-3. 複数拠点の人事情報を本社で一元管理

各事業所に散らばっていた職員の情報を、クラウド上で本社が一元的に、かつ安全に管理できるようになります。

これにより、全社的な人員配置の最適化や、労働時間・有給取得状況の正確な可視化が容易になり、データに基づいた戦略的な人事施策を打つための土台ができます。

2-4. 職員の満足度向上と定着率への貢献

給与明細や各種通知を、職員がいつでも自身のスマートフォンやPCから確認できる環境は、現代の働き方において当たり前になりつつあります。

入社手続きがスムーズであること、自分の情報を手軽に確認できることは、職員の利便性を高め、「働きやすい職場」であるという印象を与えます。こうした従業員体験(EX)の向上は、職員の満足度を高め、深刻な課題である離職率の改善にも繋がる重要な一手です。

3. 介護業界における記録電子化の活用事例

電子管理の導入を検討中の方のため、介護業界の活用事例を1つ紹介します。訪問介護サービスの事例では、「書類の印刷や保管に手間がかかる」「コロナ禍で確認書類などの持参が難しく、入社手続きに手間取り、サービス提供が遅れる」という課題がありました。

とくに手続きの際には、1名につき複数の書類を用意せねばならず、入社される方への説明や記名に平均2時間かかっていました。そこで電子サービスを導入したところ、書類を電子データで処理できるようになったため、印刷・保管コストを削減できました。

また、利用者の希望があれば、電子サービス上で重要事項説明書などを送付できるため、最短30分で契約締結できるようになりました。それにともない、リモートでの説明・同意が可能になり、コロナ禍でも通常通りケアサービスを提供できました。

4. 令和3年度介護報酬改定とは

続いて、介護業界の記録電子化のきっかけとなったとも言える介護報酬改定についても紹介します。

この改定は利用者側との手続きに関するものですが、この流れが事業所内の人事労務DXを考える上でも重要な背景となっています。

2021年4月1日、厚生労働省によって「令和3年度介護報酬改定」が通知されました。令和3年度介護報酬改定には、「感染症や災害への対応力強化」「地域包括ケアシステムの推進」「自立支援・重度化防止の取り組みの推進」「介護人材の確保・介護現場の革新」「制度の安定性・持続可能性の確保」の5つの柱があります。

改定の目的は、団塊世代が後期高齢者となる2025年や、団塊ジュニア世代が65歳以上となる2040年を見据え、介護サービスの拡充を図るためです。このうち4番目の「介護人材の確保・介護現場の革新」では、電子契約に関わる部分が変更されました。電子契約の解禁においても、介護の現場がどのように変わるのか、次の項目で詳しく見ていきます。

4-1. 利用者に対する説明等において電子文書が使用可能

令和3年度介護報酬改定により、「利用者等への説明・同意」「諸記録の保存・交付等」の2点について、電磁的な対応が原則認められました。電磁的な対応とは、PDFなどの電子データで作成したり、記名押印の代わりに電子署名をおこなったりして、介護業務をペーパーレス化することを意味します。

2021年4月1日以降は、利用者に対する説明等をおこなう書類の電子化が原則的に認められます。その根拠となるのが、厚生労働省が2021年1月18日に公布した「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」です。

“利用者等への説明・同意について、電磁的な対応を原則認める。署名・押印を求めないことが可能であることや代替手段を明示する。”
[注1]厚生労働省:令和3年度介護報酬改定の主な事項について

これにより、従来は書面での交付が義務付けられていた書類を電子化し、電子契約サービス上で契約を締結することが可能になります。

4-2. 文書を電子化したうえでの保存が可能に

また、厚生労働省は「諸記録の保存・交付等について、電磁的な対応を原則認める」としており、重要事項説明書などを電子データのまま保存することも可能です。[注1]

契約書の交付についても、従来の郵送や持参に代えて、Eメールでの送付や、電子契約サービス上での送付といった代替手段が利用可能になります。

5. 記録電子化で失敗しないための注意点

電子化のメリットは大きい一方、正しく運用しなければ法的なリスクを伴います。特に注意すべき3つのポイントを解説します。

5-1. 労働条件通知書の電子化には「本人の同意」が必須

労働基準法施行規則改正により、労働条件通知書の電子交付が可能になりました。ただし、これには厳格なルールがあります。
第一に、「労働者本人が希望した(同意した)こと」が大前提です。

また、交付するファイル形式は本人が印刷できるものである必要があり、本人のみがアクセスできるメールアドレスやシステムアカウントに送付する必要があります。

5-2. 電子帳簿保存法への対応

賃金台帳など、法律で保存が義務付けられている国税関係帳簿を電子データで保存する場合、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。

単にスキャンしてPDFでサーバーに保存するだけでは不十分なケースもあり、検索性の確保や改ざん防止措置などが求められます。信頼できるシステムを導入することが、コンプライアンス遵守の最も安全な方法と言えるでしょう。

5-3. 個人情報保護法とセキュリティの担保

職員の情報は、極めてセンシティブな個人情報です。電子化する際は、個人情報保護法を遵守し、不正アクセスや情報漏洩を防ぐための万全なセキュリティ対策が不可欠です。

誰が・いつ・どの情報にアクセスしたかのログが取れる、権限設定が細かくできるなど、高度なセキュリティ機能を備えたシステムを選定することが重要です。

6. 介護業界で電子管理サービスを導入すればさまざまなメリットがある

介護報酬改定は、介護業界全体のDXを加速させる大きなきっかけです。この機会に、利用者様への対応だけでなく、組織の根幹である「人事労務」の書類管理から電子化を進めてみてはいかがでしょうか。

職員が安心して働ける環境を整備することは、サービスの質の向上、そして法人の持続的な成長に不可欠です。

[注1] 厚生労働省:令和3年度介護報酬改定の主な事項について
[注2] 東日本大震災への対応【介護保険・高齢者福祉関係】

【今更聞けない】人事データはなぜ管理すべき? 従業員データの活用で会社が得られるメリットとは

その人事データ、ただ入力するだけで終わっていませんか?
勤怠、給与、評価…それぞれのシステムに散在する従業員データを一つに集約し、「戦略人事」に活用する企業が増えています。
「これからの人事は、経営戦略と人材マネジメントを連携させることが重要だ」「従業員の力を100%以上引き出すには、データを活用した適切な人員配置や育成が必要だ」そう言われても、具体的に何から始めれば良いか分からない担当者様は多いでしょう。
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  • 人事管理システムを活用した業務効率化の方法
  • 人事データにはどのような活用価値があり、活用することで会社が得られるメリットは何か
  • 正しい人事データを効率的に管理するためにはどんな機能が必要なのか

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jinjer Blog 編集部

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