社員管理とは?管理のトレンド、メリット・デメリットを解説
更新日: 2024.10.3
公開日: 2023.6.2
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社員管理(従業員管理)は、企業に勤務している従業員に関する管理全般を指す業務のことです。社員管理が不十分だと、社員の就業規則違反を見落としてしまうだけでなく、人材の離職や休職、生産性低下による業績不振などさまざまな弊害を招きます。この記事では、社員管理に含まれる業務や、管理方法のトレンドなどについて詳しく見ていきましょう。
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、そもそもなぜ人事情報の管理が必要であり、その先に大きな活用価値があることついても、正しく理解できていますか?
人事情報は、適切な人材配置、従業員のモチベーションの管理、公平な評価制度など、企業として健全な経営をおこなう上で欠かせない情報です。
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目次
1. 社員管理(従業員管理)とは
社員管理は、大きく分けて「人事管理」と「労務管理」の2つに分類されます。それぞれ、どのような管理なのかを解説します。
1-1. 人事管理とは
人事管理は、人材の確保や配置、人材育成や評価などの業務を指します。具体的には新入社員の採用や、採用した社員・アルバイトの教育、年に数回の評価とそのフィードバック業務などが当てはまります。人事管理は人材戦略の策定や従業員の能力開発に重点を置くことが多く、企業文化の構築や労働者のモチベーション向上につながる重要な役割を果たしています。
関連記事:「人事管理」とは?目的や業務内容をわかりやすく解説。具体例も紹介
1-2. 労務管理とは
労務管理は従業員の労働環境や報酬などにまつわる業務です。従業員の勤怠管理や給与管理をはじめ、社員の健康維持、福利厚生や社内環境などの管理・改善、雇用関係や労働環境などの管理・整備などの業務が当てはまります。企業が従業員に対して適切な管理方法を実施し、企業リスクを最小限に抑えながら、組織の効率性を向上することが目的です。
関連記事:労務管理の基礎知識!目的や仕事内容、勤怠管理・人事管理との違いを徹底解説
2. 社員管理(従業員管理)の目的と注目される背景
社員管理をする目的と、社員管理が注目されている理由を具体的に解説します。
2-1. 社員管理の目的
社員管理を行う大きな目的は、ヒト、モノ、カネといった経営資源のうち、ヒトの管理を適切に行って会社の経営目標を達成することにあります。ただし目標を達成するために、従業員を理由なく解雇したり、残業や休日出勤を強要したりすることは許されません。このような法令違反を防ぐためには、ルール化された社員管理によって現場の実態を正確に把握する必要があります。
2-2. 社員管理の精度向上が求められる背景
労働人口の減少により人材の確保が困難になっている現代社会において、優秀な人材に対する獲得競争は今まで以上に激しくなっています。また、終身雇用制度の衰退により雇用形態は成果主義へと変化し、優秀な人材はより良い条件や待遇の企業に次々と転職するようになりました。
従来の人事制度では優秀な従業員を自社に囲っておけなくなってしまったのです。そのため、限られた労働力で生産性を上げるために、従業員一人ひとりの能力や適性を正しく把握し、個人のパフォーマンスを最大限に引き出すことが企業に求められるようになりました。
また、同時に働き方や価値観も変化し、ワークライフバランスという言葉が広く使われるようになりました。従業員の心身の把握をするとともに、年齢、性別、国籍、文化的背景などの多様性がある場合は、それに合わせた人事施策や管理方法が必要になります。企業は、多様性を認め、受け入れ、活用することで、企業価値の向上や、新たなビジネスチャンスを生み出すことができます。
このように、従業員のスキルや能力、パフォーマンス、キャリアの発展、年齢、性別、国籍、文化的背景など、ひとりの従業員に対して数多くの情報を収集し、集めた大量の情報を分析、管理することが必要とされてきています。
3. 社員管理(従業員管理)を効率化するメリット
社員管理を適切に行うことで、従業員それぞれのパフォーマンスやスキル、労働環境を把握できます。こうした情報を人材配置などに役立てることができれば、現場の生産性が上がり、業績目標の達成にも近づくでしょう。
3-1. 従業員の状況把握ができる
社員管理を行うことで、従業員に割り振られた業務だけでなく、心身の状況をある程度把握することができます。超過労働やスキルに合っていない業務の割り振りを未然に防ぐことができるため、従業員のパフォーマンスアップにもつながります。
3-2. モチベーションアップ
人事評価のプロセスを透明化することによって自分の課題や評価されていることがわかりやすくなり、モチベーションアップにつながります。評価に対する納得感や公平感も生まれ、努力が報われていることがわかれば、その分従業員の労働に対する意欲も上がるでしょう。
3-3. 人材の育成
社員管理を通して従業員のスキルがわかれば、強みを活かせる適切な部署に配置することができます。スキルに応じた人材配置を行うことで、従業員のパフォーマンス力アップにも。企業内での人材育成が進めば、企業全体の成長につながります。
4. 社員管理(従業員管理)のデメリット
社員管理の精度を高めることでさまざまな効果を得られます。しかしその一方で、各所に散らばるデータを一つのドキュメントに統合するなどの単純作業が人事の業務を圧迫するおそれもあります。
4-1. 担当者の負担が大きい
人事と労務をまとめて管理するとなると、その業務量は膨大で担当者の負担になってしまいます。法的な知識が必要となることもあるため、限られた人員だけでカバーするのは、なかなか難しい業務といえます。
また、手入力した情報に誤りがあると関連付けたデータを一つひとつ修正しなければならず、社員管理担当者の負担は一層重くなるでしょう。
4-2. セキュリティの不安
社員の個人情報を一元管理するため、プライバシーや情報漏洩のリスクも存在します。Excelなどのドキュメントで個人情報を管理する場合には、閲覧、編集のパスワードを設定する、社外への持ち出しを禁止するなど、ルールを厳格に設けましょう。
ただし、社内にセキュリティ管理やシステムの扱いに詳しい人材がいない場合、情報漏洩対策に不安が残るケースも考えられます。
5. 社員管理(従業員管理)の方法
従業員情報の管理には大きく4つの管理方法があります。
5-1. 紙でファイリングする
従業員情報を紙のフォーマットやドキュメントとして保存し、それらをファイルキャビネットや整理棚などに保管します。個々の情報は従業員ごとにファイルに整理され、必要に応じて手作業で更新されます。
5-2. エクセル、スプレッドシート
従業員情報をエクセルやスプレッドシートに入力し、カラムに従業員の個人情報や雇用情報を追加します。この方法では、情報の整理、検索、ソートが容易であり、基本的なデータの管理に適しています。
5-3. データベース管理システム
従業員情報をデータベースに格納し、専用のソフトウェアを使用して管理します。データベースは情報をテーブルや関連データの形式で組織し、高度な検索やデータの関連性の管理が可能です。データベースを使用することで、多くの従業員情報を効率的に管理できます。
5-4. クラウドベースの人事管理システム
従業員情報をクラウドベースの人事管理システムに格納します。このシステムでは従業員のプロファイル、雇用契約、給与情報、パフォーマンス評価などの情報を一元管理できます。データのセキュリティやアクセス制御が強化されており、複数のユーザーが同時に情報にアクセスできます。当サイトで無料配布している「理想的な従業員管理」という資料では、人事管理システムの画面をまじえて理想的な従業員管理の方法と、システムを導入した際の従業員管理のイメージをわかりやすく解説しています。
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5-5. 社員管理システムを選ぶ際のポイント
上記のとおり、社員管理の方法は様々ありますが、「紙での管理は物理的なスペースが必要になってしまう」「検索性がなく整理に時間が掛かってしまう」などのデメリットが多いため、社員管理システムを導入して従業員管理を効率的でしょう。
どのようなシステムを導入するか検討する際は、以下の5つのポイントをおさえておくと良いでしょう。
- 必要な機能など自社の要件を整理する
まず、組織のニーズや要件に基づいて、必要な機能や機能モジュールを明確に定義しましょう。例えば、従業員の基本情報、雇用契約、給与情報、パフォーマンス評価、勤怠管理など、どのようなデータやプロセスを管理する必要があるかを把握します - システムのユーザビリティを確認する
システムは導入するだけで終わりではなく、活用出来なければ従業員管理の効率化は図れません。システムが使いやすく直感的であることが重要です。ユーザーが情報を簡単に入力できるインターフェースや、検索やフィルタリングなどの操作が容易な機能があるか確認しましょう。また、システム提供会社からトレーニングやサポートが提供されるかどうかも検討しましょう。 - カスタマイズ性を確認する
システムが柔軟で拡張性があり、カスタムフィールドやワークフローの設定が可能であれば、運用している中で欲しくなった機能を自社で加えることが可能です。一方で、カスタマイズするにはプログラミングのような難しい操作が伴う可能性もあります。カスタマイズの方法まで確認しておくとより安心です。 - セキュリティとプライバシー
社員情報は機密性が高く、適切なセキュリティ対策が必要です。システムがデータの暗号化、アクセス制御、ユーザー認証などのセキュリティ機能を提供しているかを確認しましょう。また、データのプライバシーに関する法的要件や規制にも準拠しているかを確認しましょう。 - インテグレーション能力
既存のシステムやツールとの連携がスムーズに行えるかを確認します。例えば、給与システム、勤怠管理ツール、人事評価ツールなどとのデータのやり取りが容易にできるかを検討しましょう。システムがAPIやデータのエクスポート/インポート機能を提供しているかを確認出来るといいでしょう。
6. 社員管理(従業員管理)を行う上での注意点
このような課題を解決するには、社員管理担当者として新たな人員を採用する、手間や時間を軽減できる社員管理システム・ツールを導入するなどの対策が有効です。
社員管理システムとは、従業員の給与、勤怠状況、人事評価、保有スキルなど、複数の情報を一元管理するツールのこと。検索作業や煩雑な処理を自動化し担当者の負担を大きく軽減できます。現場の負担を分散させるために、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。
6-1. 最新の法令を遵守する
社員管理を適切に行うには、労働基準法(労基法)、最低賃金法(最賃法)、労働安全衛生法(安衛法)のほか、労働者災害補償保険法(労災保険法)、雇用保険法などの法律を正しく理解しておく必要があります。膨大な事務作業と並行して、担当者がこれらの知識を常に更新することはなかなか大変です。
社員管理システムの中には、これらの法改正に都度対応し、社員管理をサポートしてくれるものもあります。従業員を雇用する責任を果たすためにもこうしたツールは有効です。
6-2. 従業員のプライバシーに配慮する
社員管理を紙やExcel、スプレッドシートなどで行っていると、どこから情報が漏洩するかわかりません。従業員の個人情報を保護するためにも、社員管理システムの導入をおすすめします。
従業員の個人情報をデータ化して管理するため、社員管理システムには厳重なセキュリティ対策が施されていることがほとんどです。アクセス権限の設定ができる社員管理システムもあるため、一部の管理職のみで情報共有をすることも可能。紙やExcelよりも精度高く、従業員のプライバシーに配慮して、社員管理することができます。
さらに、社員管理システムを使えば社内での情報共有もスムーズになり、人事異動などに伴うトラブルの防止にもつながります。
7. 社員管理を行って従業員のパフォーマンスを高めよう
従業員のパフォーマンスを高める上で欠かせない、社員管理。人材の流動化や働き方の多様化により、社員管理を見直す企業も増えています。適切な社員管理ができれば、その分従業員の生産性アップが見込めます。社員管理を適切に行って、企業力向上を目指しましょう。
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、そもそもなぜ人事情報の管理が必要であり、その先に大きな活用価値があることついても、正しく理解できていますか?
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