労務管理の基礎知識!目的や仕事内容、勤怠管理・人事管理との違いを徹底解説 | jinjerBlog

労務管理の基礎知識!目的や仕事内容、勤怠管理・人事管理との違いを徹底解説

様々な人を管理する様子

「労務管理」とは、従業員にかかわる職場環境を管理する業務です。具体的には、従業員の勤怠や福利厚生といった労働に関連することを管理したり、健康やハラスメントなどの対策を行ったりします。

本記事では、労務管理の重要性や具体的な業務内容について詳しく解説していきます。

「入社手続き・雇用契約のペーパーレス化を徹底解説!」

デジタル化に拍車がかかり、「入社手続き・雇用契約の書類作成や管理を減らすために、どうしたらいいかわからない・・」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。

そのような課題解決の一手として検討していきたいのが、入社手続き・雇用契約のペーパーレス化です。

システムで管理すると、雇用契約の書類を作成するときに、わざわざ履歴書を見ながら書類作成する必要がありません。書類作成に必要な項目は自動で入力されます。

また、紙の書類を郵送する必要がないので、従業員とのコミュニケーションが円滑に進み、管理者・従業員ともに”ラク”になります。

入社手続き・雇用契約のペーパーレス化を成功させるため、ぜひ「3分でわかる入社手続き・雇用契約のペーパーレス化」をご参考ください。

1.労務管理とは

議論する様子

労務管理とは、従業員の勤怠や福利厚生といった労働に関連することの管理を意味しています。管理している具体的な項目は、労働期間や労働の対価、業務内容というような契約内容になります。

労務管理は労働に関する管理のほか、健康やハラスメントなどの対策も行います。つまり、労務管理は従業員が安心して働くための「職場づくり」の仕事でもあるのです。企業の大小問わず、すべての企業に労務管理の業務が必要となります。

1-1.労務管理の目的

企業が所有する経営資源には、ヒト・モノ・カネ・情報・時間・知的財産などがありますが、人材の採用・管理など「ヒト」に関する業務は、どの企業においてもプライオリティが高いでしょう。なぜなら企業活動の効果は、人材の量・質に大きく影響するからです。

労務管理の主たる目的は、人材の生産性の向上になります。安心して働ける環境や気を遣わずに働ける環境など、労働環境を適切な状態に維持し続けることが業務であるがゆえに、重要な役割だといえるでしょう。

1-2.労務管理と勤怠管理、人事管理の違い

バックオフィス業務の中でも細かく業務がわかれており、労務管理と勤怠管理、人事管理の違いはよく混同されがちです。端的に説明すると以下の違いがあり、上から順に管理の範囲が狭くなります。

・人事管理:人材の処遇を管理
・労務管理:労使関係、労働条件を管理
・勤怠管理:労働条件の中でも特に、労働時間や休日などの分野を管理

人事管理とは、企業内で人材をより効果的に活用していくために、規則や処遇を定めて適切に運用していくことを指します。人事評価や人材育成、採用・退職の手続きを行うことが基本的な業務になります。従業員の処遇も含めた人事に関連する業務の大枠が人事管理だと捉えてよいでしょう。

一方で労務管理は、特に労使の雇用関係と労働条件に特化したものを指します。例えば、労働時間や賃金のほか、休日・休暇や福利厚生、賞与についての取り決め・計算・管理も労務管理に含まれます。福利厚生では、社会保険や雇用保険、労災保険の運用も労務管理の業務です。
そのほか、労働基準法や男女雇用機会均等法などの法律に基づき、労働者が働きやすい環境を整備していくことも重要な業務です。

最後に勤怠管理は、労務管理の中でも特に勤務状況の把握・管理に特化した業務を指します。労務管理の一つに勤怠管理があると考えてよいでしょう。
勤怠管理では、従業員の労働時間や残業時間だけでなく、出勤や欠勤、遅刻や早退なども管理します。また、年次有給休暇の取得状況を管理するのも勤怠管理の一つです。労働基準法第108条で、事業主は事業場ごとに賃金台帳を作成して運用するよう定められています。

▼人事管理についてより詳しく知りたい方はこちら
「人事管理」をわかりやすく解説|システム導入で業務効率化を実現!

▼人事管理と労務管理の違いについてより詳しく知りたい方はこちら
「人事管理」と「労務管理」の違いとは?具体例でわかりやすく解説

2.労務管理の基本項目:法定三帳簿

帳簿と電卓とPC

続いて、労務管理の基本項目となる「法定三帳簿」についてみていきましょう。
法定三帳簿は「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」の3つに分類されています。

2-1.労働者名簿

労働者名簿は、従業員1人ひとりの情報をまとめたものです。
氏名や生年月日、住所、性別など、従業員の情報を詳しくまとめています。
この労働者名簿の保存期間は3年であり、退職・解雇・死亡の日が起算日として設定されています。

▼労働者名簿についてより詳しく知りたい方はこちら
労働基準法第109条規定の労働者名簿の正しい取り扱い方

2-2.賃金台帳

賃金台帳は、従業員1人ひとりの賃金の支払い状況をまとめたものです。
氏名、性別、賃金の計算期間、労働時間数、基本給や手当等の種類と額、控除項目と額といった項目をまとめます。
賃金台帳の保存期間も3年であり、起算日は「最後の賃金について記入した日」となります。

▼賃金台帳についてより詳しく知りたい方はこちら
賃金台帳とは?基本的な作成方法と知っておきたい法的ルール

2-3.出勤簿

出勤簿は、従業員の出勤状況を記録したものです。
具体的には、タイムカード等の記録、使用者が自ら始業・終業時刻を記録した書類、労働日数、労働時間などがあげられます。
保存期間は3年であり、最後の出勤日が起算日となります。

▼出勤簿についてより詳しく知りたい方はこちら
出勤簿の役割とは?効率的に管理する方法を詳しく紹介

3.労務管理で行うべき対策:基礎となる基本的な仕事内容

仕事をする様子

次に、労務管理が行う具体的な仕事内容を解説します。
労務管理のイメージがより明確になるはずです。

3-1.法定三帳簿の作成

前項で解説した「法定三帳簿」を作成します。
作成だけでなく、紛失しないように厳重に保管するのも労務管理の仕事です。
いずれも記載項目と保存期間が法令で決められているため注意しましょう。

▼法定三帳簿について詳しく知りたい方はこちら
勤怠管理は何をチェックするべき?用意すべき法定三帳簿とは?

3-2.雇用契約書の作成

労務管理は「雇用契約書」の作成も行います。
雇用契約書は、企業と従業員が労働条件をもとに契約を結んだ証明となる書類です。
雇用契約書は、新卒入社または契約社員の雇用時、契約社員の労働契約更改時期に作成します。

なお、雇用契約書に記載する内容は下記のとおりです。

・労働契約の期間
・就業する場所
・従事する業務内容
・始業・終業時間
・交代制のルール
・所定労働時間を超える労働の有無
・休憩時間・休日・休暇
・賃金の決定・計算・支払方法・締切日・支払日
・昇給に関する事項
・退職に関する規定

パートタイム労働者については、下記の4項目も追加で明示する必要があります。

・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・相談窓口の担当者の部署・役職・氏名

▼雇用契約についてより詳しく知りたい方はこちら
雇用契約とは?法的な位置付けと雇用契約書を作成すべき理由を解説
パートタイマーの雇用契約書を発行する際に確認すべき4つのポイント

3-3.就業規則の作成

常時10人以上の従業員を雇用する場合、労働基準法の規定に基づいた「就業規制」を作成しなければなりません。
作成後は所轄の労働基準監督署長へ提出する必要があり、就業規則を変更する際にも同じように届け出を行います。

就業規則に記載する内容には、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の2つがあるため、記載漏れがないように確認しながら作成しましょう。

▼就業規則についてより詳しく知りたい方はこちら
労働基準法第89条で定められた就業規則の作成と届出の義務

3-4.社会保険や雇用保険の加入手続き

新入社員の「社会保険」や「雇用保険」の加入手続きも労務管理の業務です。
社会保険は所轄の年金事務所、または加入している健康保険組合で資格取得手続きを実施します。

また、雇用保険に関しては所轄のハローワークでの手続きとなります。
提出書類については以下をご確認ください。

・厚生年金保険:厚生年金保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
・健康保険:健康保険被保険者資格取得届(添付書類は原則必要なし)
・雇用保険:雇用保険被保険者資格取得届

▼社会保険の届出について詳しく知りたい方はこちら
社会保険資格取得届とは?提出が必要な事業所や手続きの流れについて

3-5.勤怠管理

従業員の勤務状況を記録する「勤怠管理」も行います。
具体的な記録内容としては、始業や終業時刻、時間外労働時間数、休日労働時間数、早退などがあげられます。

▼そもそも勤怠管理とは?といった方はこちら
勤怠とは?管理方法や管理項目など人事が知っておきたい基礎知識を解説!

3-6.従業員の健康管理

労働安全衛生法によって、従業員の健康管理である「安全衛生管理」が義務付けられています。
具体的な安全衛生管理は、事業場における安全衛生を確保するための措置、従業員における健康の保持増進を図る対策などです。
社内の職場環境を整えるためにも、従業員の健康管理も労務管理として行います。

3-7.ハラスメント対策

「パワーハラスメント対策」が2020年4月から法制化されたため、労務管理の業務として必要な措置を行うことが義務となります。

また、それに伴いセクシュアルハラスメントなどの対策も強化されました。
ハラスメント対策については事前に確認しておくことをおすすめします。

3-8.退職手続き

「退職手続き」も労務管理の業務であり、社会保険や雇用保険の資格喪失届の提出、労働者名簿の更新、退職手当の支給といった内容が含まれます。
従業員の退職後も書類のやり取りが必要となるため、労務管理の担当者は退職者の連絡先を必ず把握しましょう。

▼退職手続きについてより詳しく知りたい方はこちら
労働基準法における退職の定義と手続き方法を分かりやすく解説

3-9.休職・異動手続き

育児休業や傷病休職、介護休職などの「休職・異動手続き」も労務管理における業務の1つです。休職に伴う保険給付の申請や、傷病手当金の請求といった場合でも必要となります。

一方で、異動手続きに関しては、住所変更や社会保険料の報酬月額変更届を提出する場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

このように労務管理では勤怠管理や雇用契約、入退社手続きなどにやるべき業務は多岐にわたります。
これらに関わるすべての人事データをジンジャーに集約し、「1つのデータベース」で管理することで、各システムでの情報の登録や変更の手間を削減することが可能です。

ジンジャー人事・勤怠・雇用契約など気になるサービスがございましたら、無料で資料をご覧頂くことが可能なのでご検討ください。

4.労務管理に必要な知識や資格

ひらめいている様子

労務管理の業務は、以前まで莫大な労務知識を把握する必要がありましたが、人材マネジメントシステムや労務管理システムの普及により、現代の労務管理業務には高度に専門的なスキルは求められなくなりました。

代わりに労務管理に従事する者には、経営者に近い視座で、物事を見通す視点を持つことが重要となっています。いかに人件費を抑え、利益を増やすか。どのように従業員のモチベーションアップを図るか。どのような原因で労働に関する課題が起き、どのような打ち手を講じるかと、長期的な視点を持つことが重要視されます。

もし何か資格を取ったうえで労務の仕事に就きたいという方がいましたら、労務管理士かビジネス・キャリア検定試験というものがあります。どちらも民間資格になりますが、客観的評価を頂けるため知識に自信を持たせたい方にはおすすめです。

5.注意が必要な労務管理の課題

何かを考える様子

かつて団塊の世代を中心とした時代の労務管理の仕事は、会社を“親”とし、社員である“子”を養うために万全な労働環境を整備することを目的としていましたが、時代の変化にともない転換期を迎えています。

終身雇用制や年功序列制が失われつつあり、リストラや早期退職制など、 すべての”子”は守れないという過酷なビジネス環境の中、その手法および概念自体が大きく変化しつつあり、トラブルも増加しています。

本章では、上記の課題の中でも多くの企業が該当するものを4点取り上げて解説します。

5-1.コンプライアンス(法令順守)

時代の変化に対応する形で、労働基準法をはじめとする「労働法」が改正されます。2019年に施行された「働き方改革」に伴い、法改正されたのも記憶に新しいでしょう。法令違反とならないように、法改正に関する情報を定期的に確認するとよいでしょう。そうすることで、コンプライアンスにつながります。

5-2.多様な働き方への適応

「働き方改革」が進んでいる近年、新型コロナウイルスの感染拡大も相まって「在宅勤務」や「ワーケーション」「副業・兼業」など、人々の働き方が多様化に拍車がかかりました。

これまでと同じように労務管理を行っていては、これらの働き方の変化に対応できません。多様化する働き方に対応するため、「就業規則の見直し」や「新たな社内規定の策定」など、労働環境の最適化が必要になります。

5-3.従業員が働きやすい環境の構築

ワークライフバランスが重要視されつつあり、結婚時や出産時、退職時のことなど、従業員が求める最低基準もあがりつつあると言えます。また、働き方改革関連法案により、労働環境を整備しなければ罰則対象になりかねないとのことで、多くの企業の労務管理の担当者が取り組みのさなかにあると思います。

労働環境の整備は国から支援されるほど重要視されています。詳細は厚生労働省のページにありますので、以下のリンクからご確認ください。

参考記事:厚生労働省「職場環境を整備・改善したい」

5-4.生産性を意識した業務改善

企業の生産性を高めるためには、労務管理をはじめとする「バックオフィス」「間接部門」の業務を効率化させる必要があるとされています。今では電子化が進み、以前のような紙で管理し、何度も承認作業が必要というような手間は減らすことができていると感じます。

今後労務管理に求められるのは、毎日同じように作業を行うのではなく、「どうしたら労務管理業務を効率化できるか」を常に考えることです。社内の課題でどの部分が特に重要か、どのように改善させる必要があるのかを主体性を以って取り組むことが求められるでしょう。

6.労務管理の重要性と業務内容をしっかり理解しよう

ひらめきを表す図

労務管理は職場環境を管理する重要な業務であるため、企業が存続するうえで絶対に欠かせません。労務管理の業務は複雑で手間を要しますが、業務の生産性や収益性を大きく飛躍させることが可能です。
ぜひ本記事の内容を参考にし、労務管理の重要性と業務内容を理解して積極的にコミットメントしましょう。

関連タグ