労働基準法第109条規定の労働者名簿の正しい取り扱い方 | jinjerBlog

労働基準法第109条規定の労働者名簿の正しい取り扱い方

労働者名簿

労働基準法の第107条から109条には、労働者名簿に関する詳しい取り決めがあります。
労働者名簿とは、労働者の氏名や住所、採用した日や業務内容など、労働者に関する情報を書き記した書類のことをいいます。労働基準監督署が労働者名簿の有無をチェックすることもあるので、正しい方法で用意しておきましょう。
この記事では、労働基準法第107条から109条に規定される労働者名簿の扱い方について解説いたします。

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人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

今回は、労働基準法の改正から基本的な内容までを解説した「労働基準法総まとめBOOK」をご用意しました。

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1.労働基準法に規定されている労働者名簿とは?

労働者名簿とは

労働基準法における従業員名簿は、従業員の適切な労務管理のために必須の書類です。従業員を雇っている会社では必ず従業員名簿を作成し、必要な年数保管しておきましょう。
従業員名簿に関する取り決めは労働基準法の第107条から109条にわたって記載されています。まずは、それぞれの項目の内容をみていきましょう。

1-1.労働基準法第107条の内容とは

労働基準法第107条には、「使用者は、各事業場ごとに労働者名簿を、各労働者(日日雇い入れられる者を除く。)について調製し、労働者の氏名、生年月日、履歴その他厚生労働省令で定める事項を記入しなければならない」という取り決めがあります。[注1]
労働基準法第107条には、労働者名簿に記入すべき内容が明記されているのです。
なお、労働基準法の施行規則第53条には、労働基準法第107条の労働者名簿に関して、記載すべき内容が以下のように明記されています。

・性別
・住所
・従事する業務の種類
・雇入の年月日
・退職の年月日及びその事由
・死亡の年月日及びその原因

つまり、労働者名簿には社内の人員の業務内容や役割などを詳しく記載する必要があるのです。さらに、従業員の退職または死亡の時期と理由についても記載しておきましょう。
ただし、従業員数が常時30人未満となるのであれば、従事する業務の種類の記入は必須とはなりません。

1-2.労働基準法第108条の内容とは

労働基準法第108条には「使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない」と、賃金台帳に関する取り決めがあります。[注1]
労働基準法の定めに従って企業が作成する以下の3つの重要書類は、法定3帳簿と呼ばれます。

・労働者名簿
・賃金台帳
・出勤簿

労働者名簿には労働者の氏名や採用日など、労働者に関する情報を記載していきます。賃金台帳には労働者に対しての給与の支払状況を、出勤簿には労働者の始業時刻や終業時刻など労働時間を詳しく記載しておきましょう。
これら3つの帳簿は労働基準監督署の立ち入り調査で確認されることが多いので、必ず作成し保管しておくことが大切です。

関連記事:賃金台帳とは?基本的な作成方法と知っておきたい法的ルール
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1-3.労働基準法第109条の内容とは

労働基準法第109条には「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を5年間保存しなければならない」と記載されています。[注1]
この条文には企業が作成する法定3帳簿をはじめとした重要書類の保存に関するルールが定められているのです。

労働基準法施行規則の第56条では、労働基準法第109条の規定に関して、起算日を設定しています。[注2]
これによると、労働者名簿は労働者の退職または解雇の日、労働者が業務上の事故で亡くなった場合には死亡日を起算日とすることになっています。労働者名簿はこの日から起算して5年間保管しておく必要があります。

2020年の民法改正によって労働基準法の内容も改正されました。改正前は、労働者名簿をはじめとした重要書類の保存期間は3年に設定されていました。
改正前の取り決めにのっとって、書類を3年間保存したのちに破棄しようとしている事業所もあるかもしれません。しかし、重要書類の保存には監督上の必要性があります。また、書類の保管は紛争解決などトラブルが起きたときの有効策にもなり得ます。
とはいえ、これまでは書類の保管期間が3年間に設定されていたため、5年間の保管に支障が生じるのであれば当分の間は3年間の保管でも問題ないとされています。
改正後の取り決めをチェックし、労働者名簿などの重要書類は念のために5年以上にわたって保存しておきましょう。

2.労働基準法による労働者名簿の作成が必要なケースとは

労働者名簿の作成

従業員を1人以上雇っている会社であれば、労働者名簿の作成義務が生じます。
企業の規模が小さいからといって労働者名簿の作成が不要となるわけではありません。また、個人事業主の場合でも従業員を雇っているのであれば労働者名簿を作成しておきましょう。

労働者名簿は企業全体で作成するのではなく、それぞれの事業所で作成する必要があります。つまり、支社や営業所、工場、お店といったそれぞれの組織で1つずつ労働者名簿を作成しなければならないのです。
また、従業員名簿の保管も事業所ごとにおこないます。企業本社の人事部や総務部でまとめて保管するのではなく、それぞれの事業所の責任において労働者名簿を保管しておきましょう。

労働者名簿には正社員だけでなくアルバイトやパートなど、雇用しているすべての労働者について記載します。ただし、一時的な日雇い労働者に関しては労働者名簿への記載の義務はありません。
民法の労働基準法施行規則第53条には、労働者名簿の更新について「遅延なく」と記載されています。従業員の移動や退職など入れ替わりや変更があったときには、すぐに労働者名簿の更新をしておきましょう。[注2]

3.労働基準法に規定される労働者名簿の作成方法

労働者名簿の作成方法

労働基準法における労働者名簿の作成方法に明確な決まりはありません。労働基準法第109条の規定にある労働者の氏名や性別、住所、履歴、雇用の年月日などが正しく記載されていれば、どのような書式で作成しても問題はないのです。
とはいえ、労働者名簿の作成方法に迷う方もいると思います。厚生労働省は民法第53条関係の様式第19号という形で労働者名簿のテンプレートを配布しています。また、東京労働局でも、労働者名簿のテンプレートを用意しています。
労働者名簿を作成するときには、厚生労働省や各労働局のウェブサイトからテンプレートをダウンロードしたり形式の参考にしたりと工夫してみましょう。

労働者名簿は手書きで作成するほか、電子媒体での作成や保管も許可されています。
電子データであれば、更新が必要となったときにすぐに情報を書き換えることができ便利です。IT環境が整っているのであれば、パソコンのシステムやクラウドツールを使用して労働者名簿を作成するのもよいでしょう。
ただし、電子媒体による労働者名簿の作成は、事業所内にコピー機があるなどすぐに印刷できることが条件となっています。

なお、労働者名簿には従業員の個人情報を記載することになります。労働者から個人情報を得るときには、各個人に必ず同意を取るようにしましょう。
個人情報の漏えいは企業にとって大きな打撃となります。リスクを避けるためにも、個人情報を記載した労働者名簿は適切に保管しましょう。

4.労働基準法における労働者名簿を正しく作成・保管しよう

労働者名簿の作成・管理

労働基準法の107条には労働者名簿の作成に関する取り決めが、さらに109条には労働者名簿をはじめとした重要書類の保管方法に関する取り決めが記載されています。
従業員を雇うときには必ず労働者名簿の作成が必要となります。労働者名簿は労働者の実態を把握するための重要な書類となります。労働基準法の定めに応じて必要な情報を適切に記載し、保管しておきましょう。

[注1]e-Gov法令検索「労働基準法」
[注2]e-Gov法令検索「労働基準法施行規則」

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人事担当者など従業員を管理する役割に就いている場合、雇用に関する法律への理解は大変重要です。
例外や特例なども含めて法律の内容を理解しておくと、従業員に何かあったときに、人事担当者として適切な対応を取ることができます。

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