出勤簿とは?記載項目や保存期間などを解説
更新日: 2026.6.1 公開日: 2021.11.12 jinjer Blog 編集部

出勤簿は従業員の労働時間や出勤日数などを管理するために必要なもので、これをもとに毎月の賃金の計算などをおこないます。出勤簿はすべての企業が必ず作成しなければならないものなので、今一度出勤簿の役割についてきちんと学んでおきましょう。
本記事では、出勤簿の概要から効率的に管理する方法などを解説します。
目次
普段から労務・勤怠管理を徹底していたとしても、労働基準監督署による立ち入り調査は、いつ来るのか事前に分かるものではありません。
そのため、自社の管理方法に問題がないのか不安を抱えている担当者の方も多いのではないでしょうか。
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1. 出勤簿とは?


出勤簿とは、従業員の労働時間を正しく把握するための帳簿のことです。法定三帳簿のひとつで、作成と保管が企業に義務付けられています。そのため、決められたフォーマットはありませんが、ガイドラインに則って作成しましょう。
ガイドラインでは、労働時間の適正に把握するために講じるべき措置として、ただ出退勤の記録をするだけでなく、従業員が自ら確認できることや客観的記録をもとに確認すること、従業員に圧力をかけて適正な自己申告を阻害しないことなどが盛り込まれています。
参照:労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン|厚生労働省
1-1. タイムカードとの違い
タイムカードも、出勤簿と同様に労働時間を管理するための書類として利用できます。ただし、タイムカードは打刻機器により始業・終業時刻を記録するための媒体であり、出勤簿そのものではありません。
出勤簿は、タイムカードやICカードの打刻記録、勤怠システムのデータなどを基に整理された「管理帳簿」で、タイムカードはその「原始記録」という関係です。タイムカードには、出退勤の時間のみが記録されるため、休日出勤や時間外労働の割増賃金は別で計算しなければなりません。
また、打刻漏れや修正履歴が適切に管理されていない場合、労働時間の客観性が疑われる可能性があり、残業許可証や日報など労働時間を証明する書類が別で必要になる可能性もあるため注意しましょう。
1-2. 出勤簿作成は全従業員が対象
出勤簿の作成義務は、正社員のみを対象とするものではありません。パートやアルバイト、契約社員など労働基準法上の「労働者」に該当する者はすべて対象となるため、全従業員分を作成しなければなりません。
また、これまで不要とされていた管理監督者やみなし労働時間制の従業員も、2019年4月の労働安全衛生法の改正により、健康管理の観点から「労働時間の状況」を把握することが義務付けられました。そのため、原則としてタイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録など、客観的な方法による出勤簿の作成・管理が必要です。ただし、高度プロフェッショナル制度対象労働者は対象外となります。
派遣社員の場合は、派遣先企業ではなく派遣元企業が作成した出勤簿に従業員が記入し、派遣先の管理者に確認してもらうのが一般的です。
出勤簿は、雇用形態や職位によって記録の有無を分けるのではなく、実態に応じて作成しなければなりません。
2. 出勤簿の目的


出勤簿作成の目的は、従業員の労働時間および労働日数を正確に把握し、法定労働時間や時間外労働の上限規制を遵守することにあります。
労働基準法では、1日8時間・1週40時間の法定労働時間が定められています。もし労働基準法や就業規則に反した働かせ方をした場合、企業に罰則が科されるため適切に管理しなければならないのです。
また、法定労働時間を超える長時間の残業や深夜労働などには、割増賃金が発生します。深夜に残業した場合には、時間外労働と深夜労働の両方で割増賃金を支払わなければなりません。
出勤簿は、労働時間の適法性を確認するための基礎資料であり、未払い賃金の防止や労使トラブルの抑止という実務上の役割も担います。
2-1. 従業員の労働時間や労働日数の把握
出勤簿を整備することで、各従業員の始業時刻・終業時刻・休憩時間・実労働時間を日単位で確認できます。これにより、法定労働時間の超過や休日労働の発生状況を把握できます。
「〇月〇日〇時間」といった記入では、何時間時間外労働をしたか、何時間休憩を取ったか、またその日が休日出勤であったかなどがわからないため、それらをきちんと記入する欄も設けなければなりません。特に36協定を締結している場合、時間外労働の月45時間・年360時間といった原則的上限を管理することが求められます。
出勤簿をつけないと、上限超過に気付かないまま運用するおそれがありますが、正確に記載することで従業員の労働時間や労働日数を把握できるのです。
2-2. 時間外労働時間などの給与計算
出勤簿をもとに従業員の月々の給与を計算します。
労働基準法では基本的に1日8時間、または週40時間までと労働時間が定められていますが、これを超えている場合はその時間に対する割増賃金を支払う義務もあります。
割増賃金には様々な種類があり、時間外労働だけでなく、休日労働や深夜労働も割増率が違います。休日労働で時間外労働が発生する、時間外労働の延長で深夜労働に入るなどの場合はさらに給与計算が複雑になります。
出勤簿で出勤時間や出勤日数を適切に管理していればこれらの計算もすぐにでき、煩わしい給与計算の時間を短縮できます。
3. 出勤簿に記載する項目と作成時の注意点


出勤簿の様式は企業ごとに定めることができますが、労働日数や労働時間数を客観的に確認できる内容であることが前提です。そのため、始業・終業時刻、休憩時間、実労働時間、時間外労働時間などの基本項目は必須といえます。
また、記録方法は客観性が確保されている必要があります。恣意的な修正や不適切な端数処理は、違法と判断される可能性があるため、作成ルールを明文化することが重要です。本章では、記載すべき項目と作成時の注意点を解説します。
3-1. 出勤簿に記載すべき項目
出勤簿には、決められたフォーマットはありません。ただし、従業員の労働時間を正確に把握するために、以下の項目を入れる必要があるでしょう。
- 始業・終業時刻
- 休憩時間
- 時間外労働時間
- 休日労働時間
- 深夜労働時間
このほかにも、オフィスへの入退室記録やPCの稼働時間の記録などがあれば、サービス残業の有無を証明できるので、合わせて管理しておくと良いでしょう。
始業・終業時刻
業務を始めた時間と、その日の業務を終えた時間を記録します。雇用契約書で定められた勤務時間よりも長く働いている場合、残業にあたるため、後述する時間外労働時間にも記録しなければなりません。
休憩時間
労働基準法では、1日の間で6時間以上働く場合は休憩時間を与えるように義務付けています。
休憩時間の決まりは以下のとおりです。
|
6時間超8時間以内 |
45分 |
|
8時間超 |
1時間 |
また、休憩時間は労働時間の間で取得する必要があるため、出社してすぐに休憩に入ることなどはできません。
時間外労働時間
基本的には1日8時間、または1週間で40時間を超えて働いた場合の時間が該当します。この時間を超えて労働させた場合は、25%の割増賃金の支払いが必要です。
ただし、変形労働時間制で雇用契約を結んでいる場合はこの限りではありません。各々の契約内容と定時の時間を確認して算出するようにしましょう。
休日労働時間
労働基準法では「休日は週に1日・月に4日以上与えなければならない」とされています。これを法定休日と言います。急なトラブルなどで、法定休日に労働した場合は35%の割増賃金を支払わなければなりません。
ただし、会社が定めている所定休日に労働した場合は、本来休みの予定であっても休日労働にはあたりません。
深夜労働時間
22時から翌5時までの時間に働いた場合、深夜労働時間として25%の割増賃金が発生します。22時以降が所定労働時間であっても同様です。
また、22時以降の残業は深夜労働の割増率と時間外労働の割増率の2つがかかるため、それぞれで記載しなければなりません。
3-2. 労働時間の切り捨ては違法
出勤簿には法的に定められたフォーマットやテンプレートはありません。そのため、手書きやエクセルなどの表計算ソフトを用いて自作することも可能です。
しかし、手書きで管理している場合、翌月の集計時に「時間外労働時間が上限を超えていた」「有給が年間で5日消化されていない」などの問題に気づく可能性があります。表計算ソフトで作成した場合も、「特定の条件でセルの色を変える」「該当する従業員の情報だけ自動で抜き出す」などの通知機能を持たせなければ同様の問題が起こるので注意しましょう。
また、労働基準法の第24条には「賃金の全額を支払わなければならない」とあり、労働時間の端数を日々一律に切り捨てる処理は、実労働時間を過少に記録する行為となるため、原則として認められません。
例えば、始業時間が9:00であっても、タイムカードを8:50に切って業務を開始した場合は、8:50からの賃金を支払う必要があります。
しかし、タイムカードやシステムによっては、15分や30分の端数を自動で切り捨てていることもあるかもしれません。この場合、労働基準監督署から指摘が入ったり、給与の未払いとして重大な問題に発展したりする可能性があるため注意しましょう。当サイトでは出勤簿を含む、労働者名簿や賃金台帳などの法定三帳簿の基礎知識から作成方法まで網羅的にまとめた「法定三帳簿の作成ガイドブック」という資料を無料配布しております。法定三帳簿の作成をおこなっている方にとっては大変参考になる内容になっているので興味のある方はこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
4. 出勤簿の記載内容が不十分な場合に生じるリスク


労働時間は企業側が把握・管理すべき事項であり、出勤簿の記載内容が曖昧であれば、監督署調査への対応や未払い賃金請求、労使紛争など実務に直結する問題へ発展する可能性があります。
そのため、担当者は記載内容が不十分な場合のリスクを具体的に理解し、どのような管理が不足する問題が起こるのかということを把握しておきましょう。
ここでは、想定される代表的なリスクを解説します。
4-1. 労働基準監督署の調査で是正指導を受ける
始業・終業時刻の未記載や時間外労働時間の未集計、原始記録との不整合がある場合、労働基準監督署の調査で是正指導を受ける可能性があります。また、出勤簿と賃金台帳の内容が一致していない場合、割増賃金の算定過程まで確認されることもあります。
労働基準法第109条は重要書類の保存義務を定めており、違反した場合は第120条により30万円以下の罰金が科されるので注意しましょう。帳簿の整備状況が不十分であれば、36協定の上限管理や固定残業代制度の適法性にまで調査が及びます。日常的な記録精度は、行政対応リスクの大小に直結するということを覚えておきましょう。
4-2. 労働時間を客観的に証明できない
出勤簿が不正確な場合、企業は実際の労働時間を客観的資料で裏付けることができません。打刻漏れの補完基準が曖昧であったり、上長の承認のみで実態確認をおこなっていない場合、記録の信頼性は低下します。
残業代請求が発生した際、労働時間を客観的に証明することができなければ、労働者側の申告内容を基礎に労働時間が認定される可能性があります。その結果、想定以上の時間外労働が認められ、多額の支払い義務を負うケースもあるため、出勤簿は正確に記載する必要があるのです。
4-3. 賃金未払いと認定される可能性がある
出勤簿の記載内容が不十分な場合、企業が実際の労働時間を客観的に証明できず、結果として賃金未払いと認定されるリスクがあります。
例えば、始業・終業時刻の記録が曖昧であったり、自己申告制で裏付け確認をおこなっていない場合、実労働時間より短い時間で賃金計算をしていたと判断される可能性があります。また、休憩時間の一律控除や時間外・深夜・休日労働の区分未記載は、割増賃金の算定根拠が不明確となり、適正に支払われていないと判断されるかもしれません。
労基署調査や労使紛争の結果、過去に遡って未払い賃金の支払いを求められると、金銭的負担が大きくなるだけでなく、管理体制全体の見直しが必要になります。
出勤簿の記載漏れは賃金計算の誤りを招きやすいため、適正な賃金支払いを支える基礎資料として正確性を確保することが重要です。
5. 出勤簿を保存する際の注意点


出勤簿は、適切に保存する義務があります。保存方法や管理体制が不十分だと、監督署調査や紛争時に必要な資料を提示できません。
保存期間の誤認や退職者分の廃棄は、実務上よくある誤りなので、法令に基づく保存義務を正確に理解しておくことが重要です。
ここでは、出勤簿を保存する際の注意点を解説します。
5-1. 出勤簿の保存期間は原則5年間
出勤簿は原則として5年間(当分の間は3年間)の保存が義務付けられてます。保存期間の起算日は、その帳簿に最後に記録をおこなった日です。退職後残業代などに問題があった可能性がある場合、この出勤簿を提出して正しい給与を計算しなければなりません。
問題が発覚した際にこの出勤簿を提出できない場合は、労働基準法第109条の違反となり「30万円以下の罰金」が科せられる恐れがあるので注意しましょう。
従業員が多い企業では、数百名、数千名もの出勤簿を5年間保管しておくのは大変です。その場合はパソコンでデータとして保存する方法もあります。その際は法律で定められた条件がきちんと表示されているか、すぐに提出できるようになっているか、消去・あとからの書き換えがすぐにわかるようになっているかなどの条件があります。
出勤簿や勤怠管理情報のペーパーレス化や適切な保管方法について、詳しく知りたい方はこちらの記事も合わせてお読みください。
関連記事:勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
関連記事:タイムカードの保管期間は5年!タイムカードの保管について徹底解説!
5-2. 退職者の出勤簿も保存する
保存義務は在籍者に限定されるものではなく、退職者の出勤簿も法定期間内は保存する必要があります。
従業員の退職後に未払い賃金請求や労働審判が提起される事例もあるため、退職を理由に廃棄してしまうと、企業側が労働時間を証明できず不利になります。特に中小企業では、退職時にまとめて処分してしまう運用が見受けられますが、これは法的リスクを高める行為です。
そのため、在籍者分とは区分しつつ、検索可能な状態で保管することが重要です。
6. 出勤簿の効率的な管理方法


これまでは勤務時間のみを記入する出勤簿を使っていた、従業員の押印のみの出勤簿を使っていたという場合、いきなり細かい記入が必要な出勤簿に変更するのは大変です。
ミスなく変更するには、どのようにすれば効率的に出勤簿を管理できるのかをきちんと把握しておく必要があります。
ここでは、出勤簿の効率的な管理方法を紹介します。
6-1. 出勤簿テンプレートを活用する
エクセルなどの統一テンプレートを使用すれば、必要項目の記載漏れを防止できます。
始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働時間を自動計算式で連動させることで、集計誤りを減らすことが可能です。また、法定労働時間を超過した場合に警告表示を出す仕組みを組み込めば、上限管理にも活用できます。
ただし、数式改変や手入力修正の履歴管理をおこなわなければ、客観的な証拠性は弱まります。テンプレートは便利な手段ですが、運用ルールの明確化とセットで導入することが重要です。
関連記事:タイムカード・出勤簿の手書きは違法?勤怠管理の必要性を理解しよう
6-2. 勤怠管理システムを活用する
出勤簿を効率的に管理するもっとも簡単な方法としては勤怠管理システムの導入です。勤怠管理システムを使えば、従業員がパソコンやスマホから出勤時間、退勤時間を打刻できます。
また、GPS機能によって不正な残業をしていないかを確認できるシステムもあります。勤怠管理システムにあらかじめ所定の休日や労働時間を記入していれば、時間外労働や休日労働、深夜労働なども一目瞭然です。
▼(人気記事)GPS機能付きの勤怠管理システムに関する詳しい記事はこちら
タイムカードはもう不要?GPSで打刻できる勤怠管理システムとは
▼(お得な資料)残業時間に関する法改正を確認したい、残業管理の手間を削減したい方はこちら
【2021年法改正】残業管理の法律と効率的な管理方法徹底解説ガイド
さらに自動で月々の給与の計算をおこなってくれるシステムもあるため、これまでのように給料日前に計算に追われる、計算ミスから給与の未払いが発生するなどのトラブルを回避できるようになります。
勤怠管理システムはさまざまな種類が登場しており、内容や料金にも大きな違いがあります。企業に合う勤怠管理システムを探してみましょう。
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7. 出勤簿の役割を確認して正しく利用しよう


出勤簿は、単に従業員の出退勤を記録するための書類ではなく、労働時間管理の適正性を裏付ける法定帳簿です。
労働基準法上、企業には労働時間を把握・管理する義務があり、その根拠資料となるのが出勤簿です。そのため、記載漏れや保存不備があれば、行政調査や労使紛争の場面で企業側が不利になる可能性があります。
反対に、始業・終業時刻、休憩時間、時間外労働時間を正確に記録し、法定期間保存していれば、未払い賃金請求や是正指導への対応も円滑になるので、勤怠管理システムの導入なども検討しながら正しく運用しましょう。
関連記事:出勤簿は印鑑の押印だけでも大丈夫?法律的な問題点を解説



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