勤怠管理をペーパーレス化するには?電子化のメリット・デメリットも解説
更新日: 2024.12.24
公開日: 2020.2.17
OHSUGI
紙ベースでの管理の煩雑さや働き方改革による労務管理の強化などを理由に、「タイムカードや出勤簿を廃止し、別の管理方法にしたい」とお悩みの方も多いのではないでしょうか?
今回は、勤怠管理をペーパーレス化するには何をすればよいのか、またペーパーレス化した際のメリットや注意点なども合わせて解説します。
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目次
1. 勤怠管理のペーパーレス化とは
手書きで保管する際の注意点やデメリットについては以下の記事で詳しく解説しています。
関連記事:タイムカード・出勤簿の手書きは違法?勤怠管理の必要性を理解しよう
関連記事:タイムカードの保管期間は5年!タイムカードの保管について徹底解説!–>
1-1. 紙による管理を廃止して電子化すること
ペーパーレス化とは、紙による管理を廃止して電子データによる管理をすることを指します。
勤怠管理のペーパーレス化もどうようで、これまではタイムカードや出勤簿で管理していた従業員の勤怠を、電子化して管理することを指します。紙媒体を使わない勤怠管理であればペーパーレスに該当するため、どのような方法を用いるかは自由です。
ペーパーレス化によるメリットは多いですが、同時にデメリットも存在します。ペーパーレス化を目指す際は、後述するペーパーレスのメリットとデメリットを十分に理解してからにしましょう。
1-2. 勤怠管理システムの導入が一般的
紙媒体による勤怠管理を廃止し、電子化するには、勤怠管理システムの導入が一般的です。
勤怠管理システムは、ICカード・パソコン・スマートフォンなどで打刻ができ、打刻された時間をもとに、従業員の労働時間や残業時間などを自動集計してくれるシステムです。
この他にも残業申請や有給休暇申請など各種申請をパソコン・スマートフォンから提出し、管理者はパソコンでそれを確認・承認することができます。
近年主流となりつつあるクラウド型勤怠管理システムでは、インターネットにつなげればパソコン・スマートフォンを用いていつでもシステムを使えるため、従業員の勤怠状況をリアルタイムで確認することができます。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
2. 勤怠管理の電子化を検討すべきタイミング
2-1. 電子化が義務化された時
2019年に労働安全衛生法が改定され、それまでガイドラインの提示に留まっていた労働時間の把握が義務化されました。
労働時間の把握には、労働時間の客観的な記録が必要で、条件としては「使用者が自ら現認することにより確認し、記録すること」「労働者の自己申告ではなく、客観的な記録を基礎として確認し、記録すること」があります。
この条件を満たしていれば客観的な記録と認められているため、必ずしも電子化しなければならない、というわけではありません。客観的な記録による労働時間が把握できれば問題なく、電子化は義務ではないと言えます。
客観的な記録の具体的な方法としてはタイムカード、ICカードリーダー、パソコンのログイン・ログアウトなどのログ情報が挙げられます。
出勤簿などに従業員自身が手書きで出退勤の記録をする方法では、改ざん出来る可能性があるため、客観的記録とはみなされません。
現在は把握義務自体に罰則はないため、紙や手書きで管理していること自体は違法にはなりません。
一方で、把握していなかったことにより時間外労働時間が上限を超えてしまうと労働基準法違反となり罰則が発生します。
また、電子化は着実に進んでおり、今後も広がり続けると予想されます。いずれは電子化そのものが義務になる可能性も高いため、それに合わせて電子化をするのもよいでしょう。
2-2. 従業員数が増加した時
現状タイムカードで管理している場合、客観性があるため問題はありません。
一方、タイムカードの情報をもとに給与計算をする際は、その月のタイムカードを各拠点からすべて集め、一人ずつ実働時間や、休日数などをエクセルに手入力し、集計・計算する手間がかかります。
従業員の数が少なければ手作業でも対応できるかもしれませんが、従業員数が多くなるほど、集計にかかる時間は膨大なものになっていきます。
また、打刻もれがあった場合、本人や周りの人に確認をおこなう手間や、パソコンに入力する際の人為的ミスが発生する懸念もあります。
さらに、従業員の勤怠に関わる情報は全て5年間保管する義務がありますが、タイムカードや紙の申請書でやり取りしていると、保管スペースに場所をとるほか、紛失のリスクがあります。
このような場合もペーパーレスで管理できる勤怠管理システムを導入し、電子化を検討すべきタイミングと言えるでしょう。
2-3. 勤怠ルールが複雑化した時
近年はフレックスタイム制の導入やリモートワークなどが増え、働き方や労働時間の縛りがなくなりつつあります。
多様な働き方が選択できる企業は、採用活動や従業員に向けての魅力に繋がるため、取り入れたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。
メリットがある一方で、だれがどのような勤務形態で何時間働いたのか、勤怠管理が複雑化し管理側の負担が増加するというデメリットもあります。また、管理が複雑化することで、ミスが生じてしまうリスクも高まります。
そのような問題は、勤怠管理システムで解決しやすくなります。複雑な労働時間もシステムなら細かく管理でき、アラートによるお知らせもできるため、ミスやトラブルのリスクを減らせるからです。
多様化する働き方に対応しきれなくなってきたと感じたタイミングも電子化に適しています。
3. ペーパーレスにするメリット・デメリット
3-1. 作業の効率化が大きなメリット
勤怠管理システムを導入する一番のメリットは、業務が効率化されることです。勤怠に関連する業務を一元化でき、打刻もしやすくなることで勤怠管理業務の負担を大幅に減らせるでしょう。
勤怠に関する業務を一元管理できる
勤怠管理システムは、従業員の労働時間を把握できるだけでなく、そこから給与計算や残業時間の管理など、さまざまなことができます。これまでは一つ一つ入力していたり、計算していたりした部分が削減できるため、業務負担が減るだけでなくヒューマンエラーも回避しやすくなるでしょう。
また、システムによるオンライン管理がされることで、リアルタイムに全従業員の勤務状況を把握できます。月の途中でも、リアルタイムでどれだけコストがかかっているか把握できます。年度での集計、昨年対比などが容易となり、経営判断の情報としても役立ちます。
リアルタイムに労働時間を把握することができるため、残業時間が多い従業員の業務量を調節するなど、長時間労働への対策を迅速にとれることも、大きなメリットです。
どこからでも打刻できる
勤怠管理システムはパソコンやスマートフォン、タブレットなど、オンラインの環境があればどこからでも打刻できます。
タイムカードに打刻するためだけに会社に立ち寄ったり、在宅勤務時の労働時間が曖昧になったりする心配がありません。加えて、打刻忘れに対するアラートも設定できるシステムもあるため、利用すれば打刻忘れも減らせるでしょう。
これによって正確な労働時間が把握しやすくなるとともに、打刻する側の負担を減らすことも可能になります。外回りが多い営業職や現場職の人も移動時間の無駄を省いて効率的な動きができるようになるでしょう。
データ化することで経営判断資料にもなる
システムによるオンライン管理がされることで、リアルタイムに全従業員の勤務状況を把握できます。月の途中でも、リアルタイムでどれだけコストがかかっているか把握できます。
年度での集計、昨年対比などが容易となり、経営判断の情報としても役立つでしょう。
3-2. 導入コストや運用の負担がデメリット
複雑な勤怠管理業務の効率化という大きなメリットがある反面、コストや運用の負担など見逃せないデメリットも存在します。導入を検討する際はこのデメリットも正確に把握しておきましょう。
導入時にコストと手間が発生する
システムの導入に際して一番のデメリットとなるのが、コスト面の問題でしょう。
まず、システムを導入するにはタイムカードよりも費用面でコストがかかります。近年主流になっているクラウド型の勤怠管理システムでは、初期費用0~数万円+従業員の人数×300~500円の月額費用が発生するため、ランニングコストがかかります。
加えて、ICカードで打刻するための打刻機やタブレットなどを各事業所に配置する場合は、その費用も追加で発生することになり、安くはない費用がかかります。
従業員が慣れるまで時間がかかることがある
システムは導入した後に就業規則や集計項目の設定をしなくてはならない上、既存の業務の流れを一部変更することになる場合があるため、新しい業務フローの検討・決定から、全従業員にむけて勤怠管理システムの使い方の教育・情報共有が必要になります。
通常の業務を抱えながらシステム導入を担当するとなると、さらに一時的な業務負荷は大きくなると予想されます。
勤怠管理システムを導入する前に、費用や時間のコストがどれくらいかかるのか、導入してから運用にのるまでにどれくらいかかるのかを把握した上でシステムを決定しましょう。
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関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
4. 勤怠管理をペーパーレス化する際の注意点
4-1. 自社の雇用形態や勤務形態に合うものにする
会社によって、雇用形態や勤務形態は異なります。また、同じ会社内であっても事業場や職種によって働き方が異なることもあります。勤務形態が複雑な企業ほど、システムを選択する際は、自社の勤務形態がすべて対応できるかを確認しましょう。
自社にとっては当たり前の勤務形態であっても、他社から見ると特殊と扱われる場合もあります。就業規則などを確認して、すべての勤務形態に対応できるかチェックすることが重要です。特に、給与計算に必要な集計項目がシステムに足りているか確認しておくと安心でしょう。
4-2. 自社の職場環境にあった打刻方法を選択する
システムによって、パソコンやスマートフォン、ICカードなどさまざまな打刻方法が用意されています。最新の打刻方法に惹かれますが、運用する職場にマッチしていなければ不便です。自社の職場環境にどのシステムが一番マッチしているのかという点に、着眼しましょう。
たとえば、飲食店であれば店舗に1台しかないパソコンを使って打刻するよりも、ICカードでの打刻や、タブレットを1台設置して打刻してもらう方が職場環境にマッチしており、便利でしょう。
したがって、まずは自社の現行業務の流れを整理しておきましょう。どのようなシステムであれば現行の業務に一番マッチするか希望を洗い出してまとめておくと、システムを比較検討する際に役立ちます。
4-3. 従業員にペーパーレス化の意義を理解してもらう
管理者や経営層としては電子化した方がメリットが多く、導入すべきだと考えていても、現場の従業員からすると慣れた打刻方法や申請方法を変えるのは面倒に感じやすいです。
勤怠管理は従業員がきちんと打刻をしてくれなくては成り立たないものであるため、勤怠管理システムの導入に際しては、従業員の協力が必要不可欠です。
従業員からの協力を得るには、勤怠管理システム導入の意義を従業員へ説明し、しっかりと必要性を理解してもらいましょう。また、「導入したら終わり」ではなく、使い方をわかりやすく説明する場を設ける、マニュアルを作成して配布するなど、導入した後のフォローも大切です。
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5. 勤怠管理をペーパーレス化して業務効率を向上させよう
勤怠管理システムの導入には業務の効率化やミスの防止など、多くのメリットがあります。しかし、一方でコストがかかることや、従業員の理解が必要であることなど、これまでの環境を変えるという点でのデメリットも存在します。
メリットを活かし、デメリットを最小限に抑えるには、自社にあったシステムを導入し、現場へのフォローが重要です。この点を十分に理解した上で導入を検討しましょう。
勤怠管理システムは上手に運用すればコスト以上の効果を発揮します。これからは電子化も義務化されていくと予想されるため、余裕をもって準備を進めましょう。
関連記事:大企業が導入すべき勤怠管理システムを選ぶ際のポイント4つ
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