パートタイマーの雇用契約書を発行する際に確認すべき4つのポイント - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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パートタイマーの雇用契約書を発行する際に確認すべき4つのポイント


人手不足が進む中、パートタイム労働者(パートタイマー)を雇用する企業が増加しています。
しかし、これに伴ってパートタイマーとの雇用トラブルも増加傾向にあるため、企業としては採用時に適切な雇用契約を結ぶ必要があります。
今回はパートタイマーの雇用契約書を作成・発行する際に確認すべきポイントをご紹介します。

関連記事:雇用契約の定義や労働契約との違いなど基礎知識を解説

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従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

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1. おさらい|雇用契約書とは

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雇用契約書は、企業や経営者と労働者の間で交わされる重要な文書です。この契約書により、雇用に関する条件や約束事に双方が同意したとみなされます。
雇用契約書に給与、労働時間、福利厚生などの条件を記載することで、労働者の権利を保護しつつ、雇用主の法的拘束力も確保します。

雇用契約書の作成は法的に義務づけられているわけではありませんが、書面を用いた契約を交わさずに口約束などで雇用すると後々トラブルの原因になることもあるため注意が必要です。
従業員を安心して雇用するためにも、取り交わした契約内容を形に残せる雇用契約書を作成することを推奨します。

円滑な雇用関係を築き、将来的なトラブルを回避するためにも、雇用契約書の作成は欠かせません。

関連記事:雇用契約書とは?記載すべき事項や作成方法をわかりやすく解説

1-1. 雇用契約書と労働条件通知書の違い

労働条件通知書は、労働基準法第15条で作成・交付が義務付けられている書類で、使用者が労働者を雇用する際、労働者に対して労働条件を明示するために必要なものです。

労働条件通知書には必ず記載しなければならない「絶対的明示事項」と制度を設ける場合に明示しなければならない「相対的明示事項」の2つの項目があります。
また、パートやアルバイトの場合はパートタイム労働法の定めにより、「絶対的明示事項」に加えて4つの項目を必ず記載する必要があります。

雇用契約書には法的に記載が義務付けられている項目はありませんが、労働条件通知書には記載しなければならない項目があるという点が大きな違いとなります。
また、雇用契約書は使用者と労働者の双方の意思を確認し合意するものに対して、労働条件通知書は使用者が労働者に向けて労働条件を提示しているものであるため、雇用契約書と比較すると一方向のやり取りというニュアンスが強くなります。

関連記事:労働条件通知書と雇用契約書の違い|それぞれの役割と発行方法を解説

1-2. 労働条件通知書の発行のみでも問題ない

先にも述べたとおり雇用契約は口頭でも成立するため、雇用契約書を作成しなくても問題ありません。労働条件通知書は作成・交付が法的に義務付けられているため、作成必須です。
すなわち、新たな従業員を雇用する際は、労働条件通知書のみ書面で発行し雇用契約は口頭で実施する、としても成立するのです。

一方で、書面に残さずに雇用契約書を取り交わすのはリスクがあります。
書面の作成の手間は省きたいけどリスクは避けたいという方には、雇用契約書と労働条件通知書が一体化した「労働条件通知書兼雇用契約書」の作成をおすすめします。

関連記事:雇用契約書と労働条件通知書の兼用が可能?メリットや作成方法を解説

2. 「パートタイム労働者(パートタイマー)」と雇用契約する前に


そもそも、パートタイム労働者(パートタイマー)が法律上どのような位置づけにあるのか確認しておきましょう。

厚生労働省によると、パートタイマーは「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されています。

ここでいう「通常の労働者」とは、労働契約の期間の定めがない無期雇用契約者や、長期雇用を前提とした待遇を受けている者のことで、基本的に「正社員」や「正職員」を指します。

また、「主婦がパート」「学生はアルバイト」というイメージが強くあるかもしれませんが、法律上ではアルバイトとパートに明確な違いはありません。

2-1. パートタイマーとの雇用契約時に必要なこと

前述のように、パートタイマーは所定労働時間が短く、正社員とは異なる雇用形態となります。

しかし、正社員と同様に企業が雇用する労働者に変わりはありませんので、「労働条件通知書」を作成し、書面で労働条件を通知することが法律で義務付けられています(労働基準法第15条)。

参考記事:パートタイム労働者の適正な労働条件の確保のために

また、労働条件に関する食い違いなど、労使間のトラブルを回避するために、一方的に交付する労働条件通知書だけでなく、できるだけ「雇用契約書」も取り交わす方がよいでしょう。
さらに、パートやアルバイトの従業員については、半年や1年など契約期間を決めて雇用するケースも多いでしょう。
その場合、1年契約など期間限定の契約であることを雇用契約書に明示する必要があります。

雇用期間が明示されている雇用契約書が作成させていない、もしくは作成されていても従業員の同意したことが分かる署名や捺印がない場合は、従業員のトラブルになりかねないので注意が必要です。
このように、パート・アルバイト従業員であっても、正社員と同じように雇用契約の対応が必要になります。
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関連記事:労働条件通知書と雇用契約書の違い|それぞれの役割と発行方法を解説

2-2. パートタイマー雇用に関する法整備に関して

長らくの間、正社員とパートタイマーの間にある不当な格差は大きな社会問題として取り上げられており、国は法制度の整備を進めている状況です。

これまで、パートタイマーと正社員の違いを明確に区別できていなかったという企業の方は、パートタイマーに作成していた雇用契約書や労働条件通知書を再度見直す必要があるかもしれません。

以下で、最近の法改正の内容について確認してください。

①同一労働同一賃金の施行(2020年4月1日~)

これまでは、正社員と同等の労働に従事しているにも関わらず、それでいて賃金や待遇は改善されないパートタイマーが多く存在していました。

このような状況に対して、国は同一企業内における正社員とパートタイマーとの間の不合理な待遇の差をなくすため、2020年4月1日より「パートタイム・有期雇用労働法」の施行を開始しました。

同法では、能力や経験、業績や成果、勤続年数等が正社員と同一であると判断された場合、パートタイマーと正社員の間に待遇差をつけることを禁止しています。

つまり、正社員と同等の責務を負い、同一の業務をこなしている場合、パートタイマーは正社員とほぼ同じ待遇を受けることが可能となっています。

パートタイマーにどのような業務・責務を与えるかは企業によって異なりますが、正社員と同等の仕事を任せる場合、待遇も正社員と均等にしなければならないことを念頭に置いておきましょう。

②パートタイマーの社会保険加入義務に関する法改正

パートタイマーと正社員の待遇差は、雇用期間や賃金だけでなく、社会保険など福利厚生の適応範囲にも及んでいます。

かつて、パートタイマーが厚生年金保険や健康保険に加入するには、週30時間以上の労働が条件となっており、条件に満たないパートタイマーは社会保険への加入が認められていませんでした。

しかし、平成28年10月からは従業員501人以上の会社で週20時間以上働く方などにも加入対象が拡大されました。

さらに平成29年4月からは、従業員規模500人以下の企業についても、労使で合意すれば会社単位で社会保険への加入が可能となっています。

社会保険に加入すれば、より手厚い保障を受けられるようになり、パートタイマーの待遇改善につながります。

関連記事:アルバイト採用でも雇用契約書は必要?作成するための4つのポイント

3. パートタイマーの雇用契約書を発行する際のポイント


それでは、パートタイマーを採用する際に必要となる雇用契約書を作成するにあたり、特に押さえておきたいポイントを2つご紹介します。

3-1. 法律で定められた労働条件を明示する

前述のように、労働基準法第15条では、使用者(雇用主)は労働契約(雇用契約)を締結するにあたり、労働者に対して賃金や労働時間などの労働条件を明示することが義務づけられています。

これは、「労働条件通知書」として通知するだけでなく、双方の署名・捺印を取り交わす雇用契約書の中にも必ず記載するようにしましょう。

労働基準法施行規則」と、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律施行規則(パートタイム労働法施行規則)」では、労働者に対して明示しなければならない労働条件として、以下の項目を掲げています。

①労働契約の期間
②労働契約を更新する場合の基準(労働契約を更新する場合があるものの締結に限る)
③就業場所
④従事すべき業務の内容
⑤始業及び終業の時刻
⑥所定労働時間を超える労働の有無
⑦休憩時間
⑧休日・休暇
⑨労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時転換に関する事項
⑩賃金の決定、計算方法、締め切り、支払い時期
⑪退職に関する事項(解雇の事由含む)
⑫昇給の有無
⑬賞与の有無
⑭退職手当の有無
⑮短時間・有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

このうち、⑫~⑭はパートタイム労働法施行規則により記載が義務づけられているものとなり、雇用するパートタイマーが希望した場合はFAX送信や電子メールなどで伝えても良いとされています。

しかし、労働者の中にはきちんとした書面で契約を締結することを希望される方もいますので、今後も継続的にパートタイマーを採用する予定があるのなら、パートタイマー専用の雇用契約書を作成しておいた方がよいでしょう。

なお、上記15の項目以外にも、企業が独自に規定を設けている場合は、必要に応じて以下の項目も追記します。

⑯退職金が支払われる労働者の範囲
⑰退職金の決定、計算および支払いの方法、時期
⑱臨時に支払われる賃金や賞与、最低賃金に関する事項
⑲労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
⑳安全および衛生に関する事項
㉑職業訓練に関する事項
㉒災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項
㉓表彰および制裁に関する事項
㉔休職に関する事項

これらは、必ずしも書面にする必要はなく、口頭で伝えても可とされていますが、口頭で説明すると、後日内容を再確認したくなった際に、労働者から再度雇用主に労働契約について問い合わせなければなりません。

労働者がいつでも好きな時に雇用契約を確認できるよう、⑯以降の項目についてもなるべく書面にして提示した方がよいでしょう。

2024年の法改正による変更点

これらの内容を義務づけている労働基準法は2024年4月に改正されます。これにより、以下の4点も明示する必要があるため、注意しましょう。

  • 就業場所や業務内容の変更範囲
  • 更新上限の有無とその理由
  • 無期転換権の申込機会
  • 無期転換後の労働条件

参考:2024年4月から労働条件明示のルールが変わります(リーフレット)|厚生労働省

3-2. 「有期雇用契約」「無期雇用契約」のいずれかを選択する

雇用契約は、契約期間に応じて「有期雇用契約」と「無期雇用契約」の2種類に分類されます。

正社員の場合は原則として無期雇用契約が適用されますが、パートタイマーの場合、有期雇用契約と無期雇用契約のいずれかを選択することが可能です。

●「有期雇用契約」とは

有期雇用契約とは、あらかじめ契約で定められた期間に限って雇用契約を締結することで、主に、臨時で雇われたパートタイマーやアルバイト、契約社員などに適用されます。

有期雇用契約の期間は、原則として3年を上限としており、締結する際の雇用契約書に「労働契約の期間」「契約更新の有無」「更新する場合の基準」について明記する必要があります。例えば「雇用期間の定めあり(2023/06/01~2023/07/31)」のように具体的な期間を記載します。契約更新がある場合はどのような条件で無期雇用転換の判断を行うかなどを雇用契約書に記載します。
また、雇用契約を3回以上更新している、あるいは雇用期間が1年を超えている従業員の雇用契約を更新しない場合は、30日前までに通知する必要があります。

契約期間満了後、契約を更新するかどうかは雇用主の判断によりますが、契約更新に関してはあらかじめ明確な基準やルールを設けておかないと、労働者側から不法な契約打ち切りを受けたとして訴えられる可能性があるため注意しましょう。

●「無期雇用契約」とは

無期雇用契約とは、労働者と期間の定めなく雇用契約を締結することで、労働者からの申し出が無い場合は、原則として定年まで雇用する契約となります。

パートタイマーに長期間の間継続して仕事に従事してもらう場合は、無期の雇用契約を結ぶことになるでしょう。

また、雇用契約の期間を明記せずに雇用契約を締結した場合は無期雇用契約扱いとなり、正当な理由や労働者からの申し出がない限り、労働者との雇用契約を終了できなくなるので要注意です。

臨時的な雇用ではなく、長期的に労働に従事してほしい場合は、契約更新の必要がない無期雇用契約を締結するか、あるいは雇用契約書に「期間満了時に異議がない場合、自動的に契約が更新される」といった事項を盛り込んでおくと、契約更新の手間を省くことができます。

3-3. 勤務時間を正しく記載する

雇用契約書に記載する内容として労働者の「勤務時間」に関する内容が挙げられます。

しかし、毎日決まった時間帯で勤務する正社員とは異なり、パートタイマーは勤務する時間帯や日数も社員によってバラバラなことが多いかと思いますので、雇用契約書に記載する場合は注意が必要となるでしょう。

勤務時間が定まっている場合は、「始業時刻」「終業時刻」「休憩時間」を記載すれば良いので、1パターンのみ記載する形になります。

ただし、シフト制などで勤務時間がが定まっていない場合は、パートタイマーが1週間に何日程度・合計で何時間程度働くか示した上で、シフトの時間帯を何パターンかに分けて記載することになるでしょう。

関連記事:パート社員の雇用契約書で勤務時間を記載するときの注意点

3-4. 正社員との不当な格差が生じていないか確認する

前述したように、パートタイマーと正社員の不当な格差を是正するために、国は各種法制度の整備を実施しています。

パートタイマーを雇用する場合は、「労働基準法」「パートタイム・有期雇用労働法」といった法律を遵守するとともに、自社で設定している就業規則に記載されている労働条件を下回らないように注意してください。

特に、賃金や昇給などを決めるときは、正社員との間に不当な格差が生じていないかどうかにも十分配慮しなければなりません。

「就業規則では全ての社員に手当を支給することが記載されているのに、パートタイマーには支給されないように雇用契約を結んでいる」「就業規則には昇給の基準が記載されているのに、パートタイマーは昇給がない」といったケースは不合理な待遇格差と言われかねません。

また、パートタイマーの賃金が最低賃金を下回っていないことも確認しておきましょう。

4. 雇用契約書を取り交わした後に辞退されたら?

悩む男性

もし、雇用契約書を取り交わした後にパートタイム労働者から働くことを辞退された場合、どのような対応を取るべきでしょうか?

まず、契約書を取り交わしている段階で、契約が成立しています。パートタイマーという雇用形態の場合でも試用期間を設けることがありますが、雇用契約書を取り交わしたタイミングで雇用契約が成立しているため、試用期間であっても雇用契約が結ばれている状態ということになります。

そのうえでポイントは「契約期間」の定めの有無になります。
無期雇用の場合、民法の定めにより従業員が14日前に退職の意思を申し出たら応じなければなりません。
一方で有期雇用の場合は、民法の定めにより原則契約期間中の退職が難しく、従業員にやむを得ない事由がない限り認められない、と扱われています。
「やむを得ない事由」の詳細はケースバイケースであるため、無用なトラブルを招かないためにも、弁護士や社労士などの専門家に相談することをおすすめします。

5. まとめ


パートタイマーの労働条件は、正社員のそれとは異なるため、雇用契約を締結する際はパートタイマー専用の雇用契約書を発行する必要があります。

労働条件を書面で明示するのはもちろん、正社員との間に不当な格差が生じていないかどうかにも十分配慮しながら、作成するようにしましょう。

また、特にパート・アルバイトの従業員が多い企業では、パート・アルバイト従業員を採用するたびに雇用契約書や労働条件通知書、入社書類などを準備するのに手間がかかるものです。

2019年の法改正で労働条件通知書のペーパーレス化が認められたことにより、パート・アルバイト従業員の入社にかかる業務や手続きの工数を削減できる雇用契約書の電子化が注目を集めています。興味のある方は、以下の記事で詳しく解説していますので、ご覧ください。

関連記事▶雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?

きちんとした雇用契約書を作成しておけば、労働者との間のトラブルを未然に防ぐことができますので、パートタイマーを採用する際は不備のない雇用契約書を用意しておきましょう。

関連記事:正社員雇用で必須の雇用契約書の作成方法を分かりやすく解説

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従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

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