雇用契約書と労働条件通知書の兼用が可能?メリットや作成方法を解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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雇用契約書と労働条件通知書の兼用が可能?メリットや作成方法を解説


雇用契約書と労働条件通知書はどちらも雇用契約を結ぶ際の重要な書類であり、記載されている内容も似通っていますが、それぞれの書類の立ち位置は若干異なります。

雇用契約書と労働条件通知書は別々に作成しても問題ありませんが、両者を兼用した書類を作成することも可能で、兼用書類を作成することにはメリットもあります。

本記事では、雇用契約書と労働条件通知書の違いや「労働条件通知書兼雇用契約書」として兼用することのメリット、作成する際の注意点などについて解説します。

関連記事:雇用契約の定義や労働契約との違いなど基礎知識を解説

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1. 雇用契約書と労働条件通知書の違いは同意や署名欄の有無

雇用契約書も労働条件通知書もどちらも雇用契約を結ぶ際に必要な書類なので、両者を混同してしまいがちですが、両者の役割は若干異なります。

雇用契約書は、従業員を雇う際に企業・雇用主と従業員の間で交わされる書類であり、労働条件についての取り決めが記載されています。2部作成し、労使双方が署名捺印(記名押印)してそれぞれが1部ずつ保管するのが一般的です。

これに対して労働条件通知書は、雇用契約を結ぶ際に雇用主から従業員に対して労働条件を通知するための書類で、労働基準法において作成が義務付けられています。雇用契約書の作成は義務でないので、労働条件通知書を雇用契約書の代わりとみなされることもあります。

どちらも労働条件に関して記載された書類ですが、同意や署名欄の有無が異なるので注意しておきましょう。

労働条件通知書が雇用主側から一方的に通知するものであるのに対して、雇用契約書では従業員の同意や署名捺印(記名押印)を必要としていることから、双方が労働条件について同意していることを示す役割を果たしています。

関連記事:雇用契約を締結する際の必要書類や手続きの流れを詳しく紹介

1-1. 雇用契約書には署名捺印または記名押印が必要

上記でも説明した通り、雇用契約書には署名捺印または記名押印が必要となります。
なお、両者の違いは自筆の署名であるか、そうでないかです。

まず「署名」とは、自分の氏名を手書きで書く(サインする)ことを指します。
署名に印鑑を押すことを「捺印」といい、あわせて「署名捺印」といいます。

一方、「記名」とは、ゴム印やWordで入力するなど、署名以外で氏名を記載することを指します。
その場合に印鑑を押すことを「押印」といい、あわせて「記名押印」といいます。

基本的にはどちらでも問題ないですが、法的効力の高さから「署名捺印」が採用されることのほうが多いです。

2. 「労働条件通知書兼雇用契約書」の作成が便利

雇用契約書と労働条件通知書はそれぞれ異なる書類ではあるものの、「従業員に対して労働条件を通知する」という観点では同じ役割を果たしているともいえます。

雇用契約をおこなう際に書類を一部作成するのと二部作成するのでは、そこまで労力に違いがありませんが、これが大企業になると、かかる時間やコストに明確な違いが表れるでしょう。

これらの観点から、雇用契約書と労働条件通知書を兼用した書類である「労働条件通知書兼雇用契約書」という書類を作成するのがおすすめです。一部作成するだけで、両書類の役割を担うことができます。

また、労働条件通知書に同意の署名欄を設けて、サインしてもらうという形を取ることもあります。

自社の制度やルールに沿った形でより管理しやすいように、書類作成をおこなうのがよいでしょう。

2-1. 労働条件通知書兼雇用契約書の明示事項とは

労働条件通知書兼雇用契約書に明示しなければならない内容には、「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」の2種類があります。

▼絶対的明示事項

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所・従事する業務の内容
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
  5. 昇給に関する事項

▼相対的明示事項

  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  3. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. 休職に関する事項

絶対的明示事項に関しては書面に記載して明示(昇給に関する事項を除く)するように、労働基準法15条で定められています。
一方、相対的明示事項に関しては書面への記載は不要ですが、口頭でも明示を忘れずにおこないましょう。

なお、法改正により2024年4月1日から上述の絶対的明示事項に「就業場所・業務の変更の範囲」が新たに追加されましたので、記載漏れしないよう注意が必要です。

参照:キャリアアップ2010|厚生労働省

3. 雇用契約書と労働条件通知書の兼用でトラブル防止とコスト削減に役立つ

労働条件通知書は労働基準法において作成が義務付けられていますが、雇用契約書に関してはそのような決まりはありません。

そのため、契約を結ぶ際は労働条件通知書だけを作成しておけばよいと思われるかもしれませんが、雇用契約書は企業や雇い主と従業員の間のトラブルを未然に防ぐのに役立ちます。

雇用契約書では従業員が署名捺印をする必要がありますが、これは「書類に記載されている労働条件に関して確かに確認しました」という意思表示をおこなったということを示します。

これに対して労働条件通知書は、企業や雇用主が従業員に対して一方的に通知するものなので、労使関係においてトラブルが発生した際に従業員に「そんな条件は聞いていない、納得していない」といわれてしまう可能性があります。

作成・発行が義務付けられている労働条件通知書と、意思確認の役割を果たす雇用契約書を兼用した書類を用いることで、雇用サイドとしての義務を果たし、トラブルを未然に防ぎ、書類を作成する手間やコストを抑えることが可能です。

参考記事:雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?

4. 雇用契約書と労働条件通知書を兼用した書類を作成する際の4つの注意点

雇用契約書も労働条件通知書も契約の際に必要になる正式な書類なので、きちんとしたフォーマットに則って作成しなければなりません。

両書類を兼用することができる「労働条件通知書兼雇用契約書」を作成する際の注意点としては、以下のようなことが挙げられます。

  • 絶対的明示事項と相対的明示事項を網羅する
  • 従業員の氏名や住所は本人に直筆で記入してもらう
  • 電子的な方法での通知は条件を満たした場合のみ
  • パートやアルバイトは追加で3項目の明示が必要

それぞれについて、説明します。

4-1. 絶対的明示事項と相対的明示事項を網羅する

上述した通り、労働条件通知書兼雇用契約書を作成する場合には、必ず記載しなければならない「絶対的明示事項」と、その企業において何らかの決まりやルールがある場合に記載する必要がある「相対的明示事項」を押さえておきましょう。

雇用契約書、労働条件通知書、労働条件通知書兼雇用契約書のいずれを作成するにしても、これらの事項を網羅しているかどうかはしっかりと確認しなければなりません。

なお、就業規則の交付がおこなわれているのであれば、相対的明示事項に関してはあらためて文書で明示をする必要はなく、就業規則を参照してもらう形でも問題ありません。

関連記事:アルバイト採用でも雇用契約書は必要?作成するための4つのポイント

4-2. 従業員の氏名や住所は本人に直筆で記入してもらう方が良い

雇用契約書と労働条件通知書を兼用した書類には従業員の氏名や住所を記入する欄がありますが、その部分は企業側であらかじめ埋めておくのではなく、本人に直筆で記入してもらうのが好ましいといえます。

企業側で氏名などをあらかじめ入力しておくと、トラブルが発生した場合に「会社が勝手に書類を作成して認印を押しただけで私はそのような内容に同意した記憶はない」などといわれてしまう可能性があるからです。

いざという場合には筆跡鑑定をおこなうこともできるので、氏名や住所は従業員本人に直筆で記入してもらうようにしましょう。

4-3. 電子的な方法での通知は条件を満たした場合のみ

2019年4月から労働条件通知書を電子的な方法で送ることが可能になったため、雇用契約書と労働条件通知書の兼用書類に関しても、電子メールなどで送ってもかまいません。

ただし、電子メールで書類を送ることが可能なのは以下の3つの要件をすべて満たす場合のみです。

  • 従業員本人が電子的な形での通知を希望している
  • 従業員本人のみが確認できる状態での交付が可能である
  • 紙面などにプリントアウトできる形式である

これらを満たしていない場合は、従来どおり書面で通知をおこなわなければなりません。

労働条件通知書を電子化するには、PDFをメールで送るなどの方法がありますが、電子化に対応したシステムを導入するのがおすすめです。

システムであれば雇用契約に同意したという履歴を残せて管理できるほか、対象者に一括で書類を送ることができるため、雇用契約にかかる工数を削減することができます。

システムで雇用契約を電子化する方法に興味のある方は、オンラインで労働条件通知書・雇用契約書を取り交わせるシステム「ジンジャー人事労務」のサービス紹介ページをご覧ください。

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4-4. パートやアルバイトは追加で4項目の明示が必要

パートやアルバイトに対して労働条件通知書兼雇用契約書を交付する際は、上述で解説した絶対的明示事項や相対的明示事項にくわえて、パートタイム労働法で明示が義務付けられている「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」「相談窓口」の4項目を追記しなくてはいけません。

また、法改正によって2024年4月から労働条件明示のルールが一部変わり、有期労働契約の場合は「更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容」の明示も必要です。

いずれも、万が一記載が漏れてしまった場合は、法律違反とされ罰則が課せられる恐れがあります。

パートやアルバイトは正社員よりも明示事項が多いことを頭に入れておき、契約書を作成する際は記載漏れがないよう注意しましょう。

5. 雇用契約書と労働条件通知書は兼用した書類の作成がおすすめ

雇用契約書も労働条件通知書も契約の際に重要な役割を持つ書類なので、両者の役割を併せ持った兼用の書類である「労働条件通知書兼雇用契約書」の作成はおすすめです。

実際に作成する際は、絶対的明示事項や相対的明示事項といった必要な事項を網羅できているかどうかや、電子メールで送る場合にはそれが可能な条件を満たせているかどうかなどに気を付けましょう。

関連記事:雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?

関連記事:労働条件通知書と雇用契約書の違い|それぞれの役割と発行方法を解説

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従業員を雇い入れる際は、雇用(労働)契約を締結し、労働条件通知書を交付する必要がありますが、法規定に沿って正しく進めなくてはなりません。

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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