勤怠管理は何をチェックするべき?用意すべき法定三帳簿とは?
更新日: 2023.3.15
公開日: 2020.2.22
NOMURA
勤怠管理は、労働者の給料などに関わる、人事担当者にとって非常に重要な仕事です。では、具体的にチェックするべきポイントをご存じでしょうか。特に注意したいポイントが、法律関係。わずかなミスが、従業員とのトラブルに発展する可能性があります。
今回は、人事担当者がおこなうべき勤怠管理のチェック項目や、押さえておきたい法律事情についてご紹介します。
関連記事:勤怠とは?管理方法や管理項目など人事が知っておきたい基礎知識を解説!
働き方改革が始まり、「勤怠管理システムの導入を考えているけど、何から着手したらいいかわからない・・。とりあえず、システム比較からかな?」とお困りの人事担当者様も多いでしょう。
そのような方のために、今回「勤怠管理システム導入完全ガイド」をご用意いたしました。
ガイドブックには、以下のようなことがまとめられています。
・勤怠管理システムが普及している3つの理由
・勤怠管理システムの4つのメリット
・勤怠管理システムの導入までに必要な8つのステップ
1. 勤怠管理でチェックするべき項目とは
人事担当者が勤怠管理するべき項目は、大きく分けて4つ。
- 出勤時間と退勤時間
- 残業した時間
- 有給休暇の残日数
- 振替休日
これらのチェックを怠ってしまうと、正確な給与を支払うことができません。従業員とのトラブルの原因となります。
1-1. 出勤時間と退勤時間は記録されているか
従業員の出勤時間と退勤時間が定時通りなのか、チェックしましょう。細かくチェックしなければ、遅刻や早退を繰り返す従業員がいても見逃してしまう可能性もあります。
また、遅刻や早退が多い従業員には、人事担当者から該当者の管理者に改善を促さなければなりません。ほかの従業員のモチベーションや生産性にも影響してしまいます。なぜ定めた時間に出退勤ができないのか?人事担当者が管理者とよく話し合って、対応を取りましょう。
1-2. 残業の時間や休日出勤の有無
一人ひとりの勤怠を細かくチェックしなければ、残業や休日出勤している従業員に気付くことができません。残業、休日出勤をしている場合、必要な残業代を支払う必要があります。
従業員から相談がないからと、対応せずにいると後々トラブルになる可能性も。また、過度な長時間労働は、生産性の低下と健康リスクの上昇、結果的に離職に繋がる可能性があります。
1-3. 有休を適切に取得できているか
従業員が有給休暇を消化できているかどうか、確認が必要です。
有休があっても、それを消化していない、もしくはできない環境にあれば、従業員は「有休があっても使えない」「病欠で使うだけ」などと、企業に対する不信感を募らせるでしょう。有休が取れない状況を改善するためにも、日々の勤怠管理で人事担当者がその事実を発見する必要があります。まずは、有休を消化するよう、直接本人に促がしてみましょう。
1-4. 必要な代休を与えているか
通常の休日日数よりも、休日が少ない従業員がいた場合、その従業員に振替休日や代休を与えなければなりません。どうしても振替休日や代休を与えられない場合は、本人の同意のもとで「休日出勤手当」を支払いましょう。
また、労働基準法には、「1ヶ月に45時間を超える残業(休日出勤)をさせてはいけない」とあります。必要な休日をすることで、45時間以上の労働を超える従業員に対しては、必ず代休を与えてください。
『36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針』(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
関連記事:勤怠管理とは?目的や方法、管理すべき項目・対象者など網羅的に解説!
2. 人事担当者は「法定三帳簿」を整備しよう
法定三帳簿は整備されてしていますか?法定三帳簿とは、従業員の情報と従事する業種の内容などをまとめた「労働者名簿」、給与の支払い状況を記載した「賃金台帳」、タイムカードなど勤怠の記録を記した「出勤簿」の3つ。これらを「法定三帳簿」と呼び、これらを適切に整備することが、労働基準法により義務付けられています。
2-1. 労働者名簿
労働者の個人情報や社内での履歴、退職時の理由などを書き記した名簿です。記入項目は以下になります。
- 氏名
- 生年月日
- 企業内における履歴
- 性別
- 住所
- 業務内容
- 雇用した年月日
- 退職の年月日と日付、理由(または死亡時)
退職・死亡の項目以外、全労働者の情報を、漏れがないよう記入しましょう。
https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf
2-2. 賃金台帳
賃金台帳は、労働者一人ひとりに支払う給与額や、これまで働いてきた期間などを書き記す資料です。
- 氏名
- 性別
- 賃金の計算期間
- 労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
- 休日労働時間数
- 基本給や手当の種類と額
- 控除項目と額
人事担当者は、この情報を給与計算の材料とします。この資料に見落としや漏れがあると、給与に大きく関わることになります。
2-3. 出勤簿
出勤簿とは、労働者が勤務した時間や休憩・休日を正確に記した帳簿です。タイムカードもこれに該当します。この帳簿を5年間は保存しなければなりません。
記入する項目は以下のとおり。
- 氏名
- 出勤した日数
- 始業時間と終業時間
- 休憩した時間
出勤簿の記載を基に、給与計算をおこないます。
https://jsite.mhlw.go.jp/okinawa-roudoukyoku/library/okinawa-roudoukyoku/04rouki/houteichoubo.pdf
3. 残業には「36協定」の締結が必要
従業員に残業をするためには「届け出」が必要ということはご存じでしたか?「労働基準法」では、従業員の働く時間は「1日8時間、1週間で40時間まで」と定められています(法定労働時間)。しかし、全ての職場がこの法定労働時間を守ることは難しいでしょう。
そこで必要なのが「36(サブロク)協定の締結」です。36協定とは、労働基準法第36条に基づく労使協定のこと。「時間外労働をおこなう業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」について労使間で取り決めをし、労働基準監督署に届け出ることで、初めて時間外労働が可能になります。
締結せずに残業をさせた場合、罰金を課されることもあります。また、時間外労働の上限(限度時間)は、月45時間・年360時間と定められており、企業には時間外労働・休日労働を最小限にとどめる義務があります。
関連記事:36協定は全ての企業に義務が?対応する勤怠管理システムの選び方とは
4. まとめ
採用や異動で新たに人事担当者になったのであれば、労働者の勤怠を正確にチェックし、給与への反映や、法律に抵触する恐れのある長時間労働を未然に防ぐ必要があります。
また、勤怠のチェックのみならず、法定三帳簿がしっかりと書き記されているか、36協定の締結は済んでいるかもチェックしてください。これまでの人事担当者が、法定三帳簿をきちんと管理していたとは限りません。人事は、労働者が働きやすい環境を作るうえで重要なポジションです。責任をもって、勤怠を管理しましょう。
勤怠管理システムの導入で工数削減を実現
近年、人手不足などの背景から、バックオフィス業務の効率化が多くの企業から注目されています。
人事業務は、タイムカードや出勤簿で労働時間を管理している場合、集計時にExcelに入力するといった工数がかかります。タイムカードでの労働時間管理にお悩みの方がいらっしゃいましたら、勤怠管理システムの導入を検討しましょう。
勤怠管理システムとは、従業員の出退勤をWeb上で管理できるシステムのことです。
勤怠管理システムの導入を検討することで、
・多様な打刻方法により、テレワークなどの働き方に柔軟に対応できる
・リアルタイムで労働時間を自動で集計できるため、月末の集計工数が削減される
・ワンクリックで給与ソフトに連携できる
など、人事担当者様の工数削減につながります。
「効率化できるのはわかったけど、実際にどのような機能があって、どのような操作画面なのかを知りたい」という人事担当者様のために、ジンジャーを題材に勤怠管理システムでできることや操作画面を35ページでまとめました。
働き方改革を成功させるため、ぜひ「1分でわかるジンジャー勤怠」をご参考にください。
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