雇用契約書と就業規則の優先順位とは?見直す際の2つのポイントを紹介 - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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雇用契約書と就業規則の優先順位とは?見直す際の2つのポイントを紹介

税務署

従業員と雇用契約を締結した場合、雇用主はその雇用契約書の内容を守らなければなりません。しかし、なかには雇用契約書と就業規則の内容が異なるケースが存在します。

こういった事態は雇用契約書を見直すタイミングでもよく起こることで、人事担当者の方であれば、数年に一回の見直しをする際にお困りになることも多いのではないでしょうか。

本記事では、雇用契約書と就業規則の内容が異なる場合、どちらの内容を優先すべきなのか、見直すうえでのポイントなどについて解説します。

関連記事:雇用契約の定義や労働契約との違いなど基礎知識を解説

紙の雇用契約よりも早く、工数を減らす方法とは?

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1. 就業規則と雇用契約書の違いとは?作成義務はある?

考える 女性

雇用契約書の見直しは、年に一度おこなうべきとされています。

雇用契約書を見直す際、就業規則の内容を意識しながら見直さなければ、後々労働者との間でトラブルが発生するケースがあるため注意が必要です。見直しにあたり、まずは雇用契約書と就業規則の違いや要点を押さえておきましょう。

それぞれの定義は以下の通りになります。

  • 就業規則
    従業員が就業する上で守るべき規律や、労働条件に関する内容を定めた規則のこと。
    会社と従業員全員の間で統一して定められている。
  • 雇用契約書
    雇用主と労働者間の雇用条件に関する内容が記載された契約書のこと。
    会社と従業員それぞれの間で、個別の内容が定められている。

また、雇用主と労働者間の契約書には、「労働契約書」というものも存在します。雇用契約は民法、労働契約は労働契約法に規定されており、違いはありますが、一般的には雇用契約書のみ締結すれば十分でしょう。

1-1. 就業規則がない場合は違法になる

就業規則の作成義務は労働基準法89条において、以下の通り定められています。

常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。

引用:労働基準法|e-GOV法令検索

作成していない場合には30万円以下の罰金が科せられます。従業員数が10人以上となった場合に就業規則は必要となるので、小規模の会社は特に気をつけるべきといえるでしょう。

また、作成していない場合、助成金など国に関連する手続きができなかったり、従業員とのトラブルのきっかけとなったりします。こういったデメリットを無くすためにも、就業規則は必ず作成すべきといえます。

なお、雇用契約書の作成は義務付けられていませんが、従業員と安定した雇用関係を保つためにも作成しておいた方が良いでしょう。作成する場合、就業規則と内容が異なる部分がないか見直しをおこないましょう。

もし、雇用契約書と就業規則の内容が異なる場合には、労働者との間でトラブルが発生する等、会社側にとってリスクが生じるため、どちらが優先されるかを知っておかなければなりません。

次章では、各記載事項の優先順位について解説します。

関連記事:労働基準法第89条で定められた就業規則の作成と届出の義務

2. 就業規則と雇用契約書の内容が異なる場合の優先順位


格差

ここでは、就業規則と雇用契約書の内容が異なる場合、どちらの内容が優先されるのかを解説します。

2-1. 就業規則の方が効力が強く、優先される

労働契約法12条では、就業規則及び労働契約について以下の通り定めています。

就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

引用:労働契約法|e-GOV法令検索

よって、雇用契約書よりも就業規則の方が効力が強く、内容が優先されることとなります。

関連記事:労働契約法12条による就業規則違反の労働契約を分かりやすく解説

2-2. 就業規則が雇用契約書よりも優先される例

就業規則の内容が雇用契約書よりも好条件となっている場合、基本的には就業規則が優先されます。
具体的に就業規則が雇用契約書よりも優先される例は以下の通りです。

【例1】
就業規則で規定されている福利厚生が雇用契約書に含まれていない場合、就業規則に記載のある福利厚生が受けられる。

【例2】
残業代の支払いについて、就業規則上には記載があるが、雇用契約書にはない場合、就業規則に記載のある残業代を支払う。

参照:労働契約法のあらまし|厚生労働省

2-3. 就業規則の内容が雇用契約書の内容を下回る場合

上記とは反対に、就業規則の内容が雇用契約書の基準よりも下回っている場合、基本的には雇用契約書が優先されます。

【例1】
時給について、雇用契約書には1,000円、就業規則に900円と記載がある場合、雇用契約書に記載のある時給1,000円が優先される。

【例2】
雇用契約書に、就業規則には書かれていない手当を支給する旨が記載されている場合、雇用契約書に記載のある手当を支給することが優先される。

より好条件である雇用契約書が優先されるため、労働者間とのトラブルになることは少ないです。
基本的には就業規則が優先されますが、場合によっては従業員に有利な方が優先されます。

3. 就業規則や雇用契約書と法律の内容が異なる場合の優先順位

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説明するまでもありませんが、どのような内容の就業規則や雇用契約よりも、法律に記載されている内容が最優先されます。優先順位を整理すると、以下の通りになります。

1. 法律(労働基準法、労働契約法、民放など)
2. 労働協約(企業と労働組合が締結する取り決めのこと)
3. 就業規則
4. 労働契約(雇用契約など)

この優先順位を理解しておくことで、労働協約、就業規則、労働契約において、どの内容が無効となってしまうのかをおおよそ判断することができます。

とはいえ、すべての内容を確認するのにはかなりの手間がかかることは認識しておきましょう。

3-1. 法律に違反する内容は無効となる

法律に違反する内容の取り決めは、違反する部分のみ無効となり、代わりに法律の基準が適用されます。
また、従業員から労働基準監督署に申し出があった場合、対象企業に対して勧告が来るケースもあります。

このような事態を避けるためにも、新しく規則を作る場合や内容の見直しを行う場合には、専門家への確認を依頼した方がよいでしょう。

4. 就業規則と雇用契約を見直す際の2つのポイント

重要
見直しをする際のポイントは、雇用契約書を新しく作成する際と大きく相違ないですが、万が一のリスクを負わないためにも最低限確認すべき内容を紹介します。

4-1. 絶対的明示事項と相対的明示事項

雇用契約書を作成する際には、必ず明示しなければいけない「絶対的明示事項」と「相対的明示事項」があります。これは労働基準法第15条第1項で規定されたもので、すべての労働者を対象としたルールです。

・絶対的明示事項とは
絶対的明示事項は、労働者に書面で必ず交付しなければいけない項目です。雇用契約書を見直す際はこちらが網羅されているか、今一度確認しましょう。

①労働契約の期間に関する事項
②期間の定めがある契約を更新する場合の基準に関すること
③就業場所、従事する業務に関すること
④始業・終業時刻、残業、休憩、休日・休暇などに関すること
⑤賃金の決定や計算方法、支払い方や支払い時期などに関すること
⑥退職に関すること(解雇の事由を含む)

・相対的明示事項とは
相対的明示事項とは、もし会社で規定しているのなら交付すべき項目です。

①退職手当に関すること
②昇給に関すること
③賞与などに関すること
④食費、作業用品などの負担に関すること
⑤安全衛生に関すること
⑥職業訓練に関すること
⑦災害補償や傷病扶助などに関すること
⑧表彰や制裁に関すること
⑨休職に関すること

参照:労働契約締結時における労働条件の明示義務について|厚生労働省

現在では働き方改革や法改正を機に雇用契約書だけを変更し、後々就業規則との内容に相違があることが発覚する場合もあるため、見直しを行う際は厳密に確認するとよいでしょう。

4-2. 適用範囲の記載

正社員、契約社員、パート/アルバイト等、雇用形態別に労働条件の違いがあるため、各雇用形態ごとに就業規則と雇用契約書の見直しが必要です。

正社員であれば転勤の有無、契約社員であれば契約期間や契約更新の有無、パート/アルバイトであれば昇給や賞与の有無など、見直しをする点は違うため、必ず各雇用形態と就業規則に整合性があるか確認しましょう。

また、さまざまな雇用形態で雇っているのにもかかわらず、就業規則を1つしか作成していないケースもあります。基本的には就業規則の方が強い効力を持っているため、場合によっては契約社員やパート/アルバイトに正社員と同様の労働条件が適用されることもあります。その際は「どの雇用形態において適用するのか」等、適用範囲を明記するとよいでしょう。

就業規則と雇用契約書の内容が異なった際、場合によっては雇用主側が不利になるケースもあるため、就業規則と内容の整合性が取れるように留意することが最も重要だといえます。

また、就業規則においても一度作成すればいいというものでもなく、労働基準法等の法改正がおこなわれた際は適宜変更が必要となります。雇用契約書の見直しをされる際は、同時に就業規則も見直しをされることがおすすめです。

5. 雇用契約書と就業規則の内容が異なる場合は従業員に有利な方が優先される

喜んでいる女性

これまでお話しした通り、就業規則と雇用契約書の内容が異なる場合、法律的には雇用契約書が就業規則に優先されるものの、内容が異なる場合には従業員に有利な方が採用されることになります。

雇用契約書も就業規則もない場合には、トラブルのもとになったり従業員のモチベーションが下がったりするなど会社にとっての不利益が数多く生じてきます。

雇用契約書も就業規則も重要な書類であることを認識し、法律に則って作成するようにしましょう。

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紙で雇用契約書を取り交わしている場合、以下のような課題はないでしょうか。

・労働条件通知書を交付するために来社してもらったり、郵送したりするのが手間

・早く働き始めてほしいが、雇用契約の締結に時間がかかってしまう

・契約更新の時期になると、大量の労働条件通知書を交付しなくてはならず面倒

そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、雇用契約書の電子化です。システムを利用して雇用契約書を電子化すると、オンライン上で雇用契約書の締結や労働条件通知書の交付ができ、時間と場所を選ばずスピーディーに雇用契約を締結することができます。

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NOMURA

NOMURA

jinjerBlog 編集長。現在は、新規事業領域のプロダクトのマーケティングを担当。記事などのコンテンツ作成から、LP作成、インタビュー取材、数値分析など幅広い業務をおこなっている。少しでも人事の方々に役立つ記事をお届けできたらなと考えています。

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