ESG経営とは?注目される背景やメリットを簡単に解説
更新日: 2025.7.17 公開日: 2025.5.19 jinjer Blog 編集部
ESG経営とは2006年に国連が提唱した考え方で、企業の持続可能な成長を目指す経営の仕方です。
本記事では、ESG経営を構成する要素やESG経営が注目される背景について解説します。ESG経営のメリットと注意点も解説するので、自社へのESG経営の導入を考えている場合は参考にしてください。
目次
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、そもそもなぜ人事情報の管理が必要であり、その先に大きな活用価値があることについても、正しく理解できていますか?
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1. ESG経営とは


ESG経営とは、以下の3つの要素を考慮し、長期的で持続可能な成長を目指す経営のことです。
- Environment(環境)
- Society(社会)
- Governance(ガバナンス)
ESGの3つの要素それぞれが含む取り組みや具体的な施策を解説します。
1-1. Environment(環境)
ESGのEnvironment(環境)は、気候変動や循環資源、環境保護などに対する取り組みを含みます。
具体的な施策の例は、再生可能エネルギーの利用や社用車のEV車両への切り替えなどです。
1-2. Society(社会)
ESGのSociety(社会)は、労働環境や条件の改善、地域社会への貢献などの取り組みを含みます。
具体的な施策の例は、障害のある人の積極的な採用や、地域の子どもたちを対象とした体験教室などです。
1-3. Governance(ガバナンス)
ESGのGovernance(ガバナンス)は、法令遵守やコンプライアンス遵守、情報開示などの取り組みを含みます。
具体的な施策の例は、内部監査や監査役監査など監査体制の強化、人権や不正防止に関する社員教育などです。
2. ESG経営が注目される2つの背景


ESG経営が注目される背景は以下のとおりです。
- 変化やリスクに対応するため
- 投資家からの評価に影響するため
2-1. 変化やリスクに対応するため
ESG経営が注目される背景の一つは、経営環境の変化やリスクに対応するためです。
リーマンショックや感染症のパンデミック、AIの登場など、経営環境はときに突然大きく変化します。
ESG経営は持続可能で長期的な発展を目標とした経営の方法のため、変化への速やかな対応やリスク管理につながるのです。
この先どのような変化が訪れるか予想が難しい状況において、ESG経営の考え方は非常に大切だといえるでしょう。
2-2. 投資家からの評価に影響するため
ESG経営が注目されるもう一つの背景は、投資家が企業を評価する際にESGへの取り組みを参考にしているためです。
ESG経営は2006年に国連が金融業界に対して提唱したことで広まり、利益の高さだけでなくESGへの取り組みも考慮する投資家が増えました。
ESG経営を軽視すると投資家を失うおそれがあるため、ESG経営を取り入れる企業が増えています。
3. ESGとSDGsの違い


ESGとSDGs(Sustainable Development Goals)の違いは以下の表のとおりです。
| 目標 | 取り組み要素 | 対象者 | |
| ESG | 企業の長期的で持続可能な成長 | ・Environment(環境)
・Society(社会) ・Governance(ガバナンス) |
投資家や企業 |
| SDGs | 持続可能な開発 | ・人間
・地球 ・豊かさ ・平和 ・パートナーシップ |
世界中すべての組織や個人 |
ESGとSDGsのもっとも大きな違いは、課題に取り組むべき対象者です。
ESGは、投資家や企業など経済活動に関わる層が取り組むべき課題とされています。一方、SDGsは世界全体で取り組むべき課題とされており、対象者の立場は関係ありません。
ESGとSDGsの目標は持続可能性に焦点を当てている点で共通しており、取り組み要素にも重なる部分があります。
企業の場合は、SDGsへの取り組みのなかにESG経営が含まれているケースも多いでしょう。
4. ESG経営の4つのメリット


ESG経営のメリットは以下のとおりです。
- 企業価値の向上
- 優秀な人材の獲得
- トラブルの予防
- 新しい事業モデルの成立
4-1. 企業価値の向上
ESG経営の1つ目のメリットは、企業価値の向上につながることです。
ESG経営の取り組みには、地域社会への貢献や環境保護活動などがあります。
社会を良くしていくための活動は顧客や消費者、投資家などに好印象を与え、企業価値が向上するでしょう。
企業価値が上がった結果として、売り上げの向上やスムーズな資金調達なども期待できます。
4-2. 優秀な人材の獲得
ESG経営の2つ目のメリットは、優秀な人材の獲得につながることです。
ESG経営の取り組みには労働環境の改善やダイバーシティの推進なども含まれます。働きやすさや労働者の権利を大切にした経営は求職者にとって魅力的です。
結果として多様な人材からの応募につながり、優秀な人材を見つけやすくなります。また働き方を不満とした人材の流出の予防にもなり、生産性の高い人材の維持が期待可能です。
4-3. トラブルの予防
ESG経営の3つ目のメリットは、経営上のトラブルの予防につながることです。
ESGの要素の一つである「Governance(ガバナンス)」には、コンプライアンス遵守への取り組みが含まれます。
従業員全員にコンプライアンス遵守の重要性を理解させることで、情報漏えいや事実の改ざん、不正会計などのトラブルの予防が可能です。
コンプライアンスを遵守することで企業の評価を下げる原因を事前に防げるため、リスク管理につながります。
4-4. 新しい事業モデルの成立
ESG経営の4つ目のメリットは、新しい事業モデルの成立につながることです。
社会貢献を念頭にビジネスを進めるESG経営は、利益を出すことだけに焦点を置いたビジネスとは異なる視点を持つ必要があります。
新たな視点から自社の事業を見つめることで、革新的な事業モデルを創出できる可能性があります。ESG経営を考慮することで、事業の拡大が可能です。
5. ESG経営を実践するときの2つの注意点


ESG経営を実践するときの注意点は以下のとおりです。
- 長期間の持続的な努力が必要
- 明確な評価基準や指標がない
5-1. 長期間の持続的な努力が必要
ESG経営を実践する際は、長期間かつ持続的な企業努力が必要な点に注意しましょう。
ESG経営はすぐに結果があらわれる取り組みではありません。大きなコストをかけて取り組んでも成果が見られないこともあり、長期に渡るトライアンドエラーを覚悟する必要があります。
資金の少ない会社でESG経営を進めると経営を圧迫するおそれがあるため、費用対効果をよく検討したうえで導入しましょう。
5-2. 明確な評価基準や指標がない
ESG経営を実践する際は、ESG経営には明確な評価基準や具体的な指標がない点にも注意しましょう。
ESG経営は比較的新しい考え方のため、さまざまな評価指数や情報公開の枠組みが混在しています。何をもとにどのような情報を公開すればよいのか、確実に評価対象となる取り組みは何かなどがあいまいです。
そのため、どのような評価基準や指標をもとにESG経営に取り組むべきなのかから検討しなければいけません。しっかり検討した内容が投資家からは評価されないこともあるでしょう。
ESG経営を実践する前に、ESG経営に取り組んでも評価につながらないリスクがある点を理解しておくことが大切です。
6. ESG経営を取り入れて企業の成長を促そう


ESG経営とは、Environment(環境)・Society(社会)・Governance(ガバナンス)の要素から構成される経営です。企業の持続可能な成長を目標としており、SDGsと違い投資家や企業を対象にしています。
ESG経営は企業価値の向上や優秀な人材の獲得、リスク管理が可能などのメリットがありますが、すぐに結果が出る取り組みではありません。
自社の状況を考慮してESG経営を取り入れ、長期的な成長を目指しましょう。



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