ESGレポートとほかの報告書との違いは?作成するメリットや手順を解説
更新日: 2025.7.17 公開日: 2025.5.19 jinjer Blog 編集部
環境や社会問題、企業ガバナンスへの取り組みは、社会的責任を果たすだけでなく、企業評価やイメージ向上にもつながります。ESGレポートは、企業が取り組む課題の情報発信として注目されている方法の1つです。
ESGレポートとはどのようなものなのでしょうか。この記事では、ESGレポートの概要とメリットについて解説し、作成手順もお伝えしています。ぜひお役立てください。
企業として人事データを適切に管理することはとても重要ですが、そもそもなぜ人事情報の管理が必要であり、その先に大きな活用価値があることについても、正しく理解できていますか?
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1. ESGレポートとは


ESGレポートとは、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)への取り組みついて報告するレポートです。ESGはそれぞれの頭文字を組み合わせた言葉で、情報開示基準の整備やESG格付けが普及するなど世界的に注目されています。
環境および社会問題解決を目的とした活動であり、企業イメージの向上や投資家・ステークホルダーとの信頼構築において、自社をアピールする重要な手段といえるでしょう。
ESGレポートの具体的な内容は、以下の通りです。
- 環境(Environment):気候変動や地球温暖化などサステナビリティ問題に対する取り組み
- 社会(Social):ダイバーシティや人権、地域社会への貢献活動などに対する取り組み
- 企業統治(Governance):公正な判断や運営がなされているかなど、経営の透明性と倫理に対する取り組み
2. ESGレポートが求められている背景


ESGレポートが求められている背景には、大きく2つの理由が挙げられます。
- パリ協定やSDGsの採択
- ESG経営やESG投資の広まり
温室効果ガス排出削減など環境問題への取り組み、あるいは貧困や飢餓ゼロ、ジェンダー平等などを実現するための世界目標が採択され、ESG要素に配慮した企業経営が求められるようになりました。
また、近年注目されているESG投資(ESGへの取り組みを評価した投資方法)は、投資家からの信頼獲得や資金調達の安定化、競争力の強化などのメリットが魅力です。SDGsへの意識向上に加え、ESG投資の広まりによって、ESGレポートが重視されていると考えられます。
3. サステナビリティレポート・統合報告書との違い


ESGレポートと同じようなテーマですが、要素が異なる2つのレポートの違いについて解説します。
- サステナビリティレポートとの違い
- 統合報告書との違い
3-1. サステナビリティレポートとの違い
サステナビリティレポートとは、サステナブル(持続可能)な社会を実現するためにおこなう、企業の取り組みや成果をまとめた報告書です。内容や構成や企業によって異なりますが、基本的にはガイドラインに沿って作成されます。
主な違いはレポートの対象者といえるでしょう。ESGレポートが投資家・ステークホルダーなどの財務関係者を中心としているのに対し、サステナビリティレポートは、より広範囲な対象者向けに作成される点が特徴です。
3-2. 統合報告書との違い
統合報告書とは、企業の財務情報にESGに関する情報を含めた報告書です。提供する情報が異なり、ESGレポートが非財務情報を中心としているのに対し、統合報告書は企業の全体像を示しています。
統合報告書は、企業の成長性や持続可能性を理解してもらう重要なツールであり、主に機関投資家が対象です。
4. ESGレポート作成のメリット


ESGレポートを作成することで得られる、4つのメリットについて解説します。
- 透明性の確保
- 経営リスクの低減
- 企業イメージや社会的評価の向上
- 投資家との信頼構築
4-1. 透明性の確保
ESGレポートの公開によって、企業計画や運営が明確になり、透明性を確保できます。顧客や投資家・ステークホルダーとの信頼関係の強化、企業のイメージアップにつながるでしょう。
また、労働環境の整備やダイバーシティへの取り組みによって、従業員満足度の向上・人材確保なども期待できます。
4-2. 経営リスクの低減
経営リスクの低減もESGレポートのメリットです。環境や社会問題に対する法規制準拠を証明することで、法的リスクを回避できます。また、人権や労働環境への配慮は企業存続の可能性を高めるでしょう。
管理体制の整備や情報開示では、ガバナンスの強化にもつながります。
4-3. 企業イメージや社会的評価の向上
ESGレポートを公開し、環境・社会問題への活動をアピールすることで、企業イメージや社会的評価の向上につながります。社会的責任を果たす企業はブランド価値が高まるため、差別化を図れるでしょう。
企業の価値観や目標に共感する人が増えることで、ステークホルダーからの信頼につながり、優秀な人材や新規顧客の獲得にも役立ちます。
4-4. 投資家との信頼構築
ESGレポートは、投資家へのアピールにも有効です。前述の通り、ESG経営・ESG投資への関心が高まっていることから、ESG投資家からの評価を得やすいといえるでしょう。投資家から選ばれることで、安定した資金調達が可能になります。
5. ESGレポートの作成手順


ここからは、ESGレポートの作成方法について解説します。
- 目的とターゲットの明確化
- スケジュールの作成
- ガイドラインに沿ったデータ収集・分析
- ESGレポートの作成と発信
5-1. 目的とターゲットの明確化
まず、ESGレポートを作成する目的とターゲットを明確にしましょう。ターゲットのニーズや期待を理解することで求める情報を提供でき、レポートの有用性を高めます。目的とターゲットについては、以下の通りです。
- 目的:達成したいこと(ステークホルダーとの信頼構築、投資家へのアピールなど)
- ターゲット:情報を利用する対象(投資家・顧客・社員・地域社会など)
5-2. スケジュールの作成
ESGレポートを作成し、公開するまでのスケジュールを立てます。レポートを作成する目的や内容によってデータ収集や分析、聞き取りの量が異なるため、余裕を持ったスケジュールを見積もりましょう。
定期的にミーティングをおこない、コミュニケーションを取りながら、進捗を把握することも大切です。
5-3. ガイドラインに沿ったデータ収集・分析
データの収集・分析をおこないます。以下は、ESGレポートに必要なデータ例です。
- 環境:温室効果ガス排出量、廃棄物管理、エネルギー消費量など
- 社会:労働環境、社員の多様性、ボランティア活動など
- 企業統治:コンプライアンス、倫理、社員と役員の報酬など
データ収集・分析にはガイドラインを活用しましょう。ガイドラインには、ESGに関する開示項目や情報収集・報告の仕方、指標の選定などが定められており、国や地域、業界などによって異なります。
ガイドラインを参考にすることで、標準化されたレポートの作成が可能です。信頼性の高いレポートとなり、投資家やステークホルダーにとっても情報収集しやすくなります。
5-4. ESGレポートの作成と発信
データをもとにESGレポートを作成し、社内外に発信します。目標と進捗状況、成功事例の紹介などのほか、企業が取り組む重要課題(マテリアリティ)も示しましょう。企業成長と社会的責任を果たすことにつながります。
レポートは、グラフやイラストなどを用いて、視覚的に表現するとわかりやすくなります。社外への発信は、投資家やステークホルダーへのアピールになりますが、社内への公開も大切です。社員の理解を深め、SDGsへの参加意識を高めます。
また、第三者機関による外部評価や認証を受けると、レポートの正確性と透明性が保証され、信頼性が高まるため検討してみましょう。
6. ESGレポートを活用し会社の価値を高めよう


ESGレポートは、企業が環境・社会・企業統治について報告するレポートです。近年、SDGsやESG投資の広まりから重視される傾向にあります。環境・社会問題への貢献は、企業価値の向上や投資家との信頼構築などに有効です。
公開されているガイドラインを参考にESGレポートを活用して、持続可能な企業成長を実現させましょう。



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