育児休業申出書の書き方や手続きの流れを詳しく解説
更新日: 2023.3.17
公開日: 2022.9.12
MEGURO
出産を予定している従業員から育児休業取得の申し出があった場合、会社は本人に代わってさまざまな手続きをする必要があります。手続きを行うためには「育児休業申出書」という書類を従業員に提出してもらわなければなりません。
この記事では、育児休業取得に必要な、育児休業申出書の書き方や手続きの流れについて詳しく解説しています。
目次
1. 育児休業申出書とは?
従業員が子どもを出産する場合、産休を経て育児休業を取得する流れが一般的になってきています。育児休業は、1歳未満の子どもを養育するための休業制度として法律で定められているものです。
休業中は基本的に会社からの賃金支払いはなく無給となってしまうため、要件を満たしていれば、雇用保険から育児休業給付金が支給される仕組みとなっています。
育児休業は、本人が希望した場合において取得できるものですが、実際に取得するまでにはさまざまな手続きが必要です。
そこで最初に必要になるのが「育児休業申出書」になります。育児休業申出書は、行政に提出する書類ではなく社内で保管するものです。
様式に指定はありませんので、会社が自由に用意して構いません。
2. 従業員からの申請はいつまでに必要?
育児休業申出書は社内用の書類なので、厳密な申請期限はありませんが、育児休業開始日の1か月前までには提出してもらうようにしましょう。
しかし、1か月前ではすでに産前休業に入っているケースが多く、書類を回収するのが難しくなってしまう可能性があります。従業員が出社している間に回収するのであれば、遅くても産前休業前には申請してもらう必要があるでしょう。
従業員から妊娠の報告を受けたら、早めに育児休業申出書を渡すことをおすすめします。
3. 育児休業申出書の書き方
産前休業に入る前に育児休業申出書を提出してもらう場合、出産前であるため書き方に迷ってしまう人もいるでしょう。担当者は従業員から書き方について質問された際、答えられるようにしておきましょう。
様式は任意ですが、書き方については厚生労働省のテンプレートを元に解説します。
- 休業に係る子の状況
出産後であれば、1の欄に子どもの名前・生年月日・続柄を記入します。 - 1の子が生まれていない場合の出産予定者の状況
出産前であれば、2の欄に申請者の名前と出産予定日、生まれる子どもとの続柄を記入します。 - 休業期間
育児休業の開始日から終了日、復職予定日を記載します。産前産後休業は含みません。 - 申出に係る状況
4に関しては(1)~(5)まで項目があるので、実態に応じて○を付けます。
必ずしも予定日通りに出産できるわけではありませんので、産休期間がずれるとそれに伴い育休期間も前後するでしょう。そのため、3に関しては記入した期間と実際の期間がずれる可能性があります。
しかし、記入する際は予定の休業期間で構いません。もしも休業期間に変更があった場合は、「休業期間変更申出書」を提出してもらいます。
4. 育児休業申出書に関する手続きの流れ
育児休業申出書の手続き方法や前後の流れについて詳しく解説します。
4-1. 育休取得の意向を確認し育児休業申出書を提出してもらう
育児介護休業法が改正され、2022年4月より育児休業取得に関する周知と意向確認を個別に行うことが義務化されました。
そのため、従業員から妊娠の報告があった際は、制度についての説明をしたり育児休業を取得するかどうかの確認をしたりする必要があります。
本人が育児休業を希望している場合は、休業開始と終了予定日を確認しましょう。育児休業取得を希望していることが確認できたら、育児休業申出書を用意して従業員に渡します。
4-2. 育児休業申出書受理の通知をする
従業員から記入済みの育児休業申出書を提出してもらったら、会社は「育児休業取扱通知書」を交付しなければなりません。
申出日から約2週間以内を目安に、交付するのが望ましいでしょう。育児休業取扱通知書の発行は、育児介護休業法において努力義務とされています。
しかし、同法律内において育児休業申出がされたときは、以下3点の内容を通知しなければならないことが義務化されているのです。
- 育児休業申出を受けた旨
- 育児休業開始予定日と終了日
- 育児休業の申し出を拒む場合はその旨及びその理由
上記の内容以外にも、休業中の給与に関することや休業後の労働条件などを記載しても問題ありません。通知方法は従業員が希望する場合に限り、メールやファックスでも可能です。
5. 育児休業等取得者申出書との違い
育児休業申出書と混同しやすい「育児休業等取得者申出書」は、社内用の書類ではなく日本年金機構に提出しなければならないものです。
育児休業等取得者申出書を提出することで、育児休業中の従業員と事業主の社会保険が免除されます。
従業員の被保険者資格は継続されたままであり、免除期間中は休業前の標準報酬月額に応じた保険料を支払っているとみなされ、将来受け取る年金額にも影響が出ません。
これまでは、月末時点で育児休業を取得している月のみ社会保険料が免除されていましたが、2022年10月以降は変更になります。
今後は、育児休業開始日を含む月に14日以上休業を取得していれば、その月の社会保険料は免除されるようになるのです。
育児休業等取得者申出書の手続きはとても重要なので、担当者は忘れずに行いましょう。
5-1. 育児休業等取得者申出書の手続き方法
育児休業等取得者申出書は、会社の担当者が作成して申請を行います。
以下は、申出書に記載する主な内容です。
- 提出者である事業所情報(所在地・事業所名・事業主名など)
- 従業員情報(被保険者整理番号・マイナンバー・本人氏名・子の氏名など)
- 育児休業の開始日と終了日
- 延長の場合は変更後の終了予定日
- 予定より早く休業を終了する場合は実際の終了日
申出書以外に必要な添付書類はなく、育児休業等取得者申出書のみ日本年金機構に提出すれば、手続きは完了します。
育児休業等取得者申出書の用紙は、日本年金機構のサイトでダウンロード可能です。
参考:育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届|日本年金機構
5-2. 申請のタイミング
まずは、従業員が育児休業を取得するときに初回の申請が必要です。
育児休業は、原則子どもが1歳になるまでを期限としていますが、保育所が見つからなかった場合などにおいて延長が認められています。
延長をすることになった場合、その都度、育児休業等取得者申出書の提出が必要になるため、申請忘れに注意しましょう。
逆に、申請していた期間よりも早く復帰することになった場合は、「育児休業取得者終了届」の提出が必要です。
従業員の育児休業中に提出が必要な書類ですが、もし出し忘れにより提出期限を過ぎてしまった場合は、遅延の申立書を作成して日本年金機構に提出する必要があります。
6. 育休取得の申し出を受けたら育児休業申出書を提出してもらおう
育児休業取得のためには多くの手続きが必要になりますが、まずは育児休業申出書を従業員から提出してもらい、出産予定日や休業期間の確認を行いましょう。
育児休業申出書は、なるべく育児休業開始日の1か月前までに回収し、その後に必要な会社が行わなければならない手続きを進めていく必要があります。
共働き家庭が増加している現代において、育児休業の取りやすさは重要視されるポイントです。出産後も仕事と子育てが両立できるよう、会社は育休取得のための環境整備を行い、働きやすい職場作りを目指していくことが求められます。
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