離職率とは?日本の現状や高くなる原因・改善が必要な理由を解説
更新日: 2025.7.31 公開日: 2025.3.5 jinjer Blog 編集部

離職率は、企業の経営状況や職場環境の健全性を測る指標の一つです。
特に日本では、年代や業界によって離職率に大きな差があり、背景にはさまざまな課題が潜んでいます。離職率の低下に向けた取り組みは、企業の成長と従業員の満足度向上につながります。
本記事では、離職率の基本的な意味や日本の現状、離職率が高くなる原因を解説します。離職率の改善の必要性と対策について理解し、離職率の低下を目指しましょう。
従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 離職率とは


離職率とは、一定期間内に離職した従業員の割合のことです。一般的に、1年間を基準として、全従業員に対する離職者数の割合を計算します。集計する期間は、企業ごとに自由に設定可能です。
離職率は、従業員エンゲージメントに比例すると考えられています。そのため、離職率の高い企業は、従業員が不満を抱えているケースが多いといえるでしょう。
離職率と似ている指標に、退職率があります。両者の違いは、以下のとおりです。
| 意味 | |
| 離職率 | 定年退職や会社都合による解雇など、離職理由を問わず特定の期間内で離職した人を示す指標 |
| 退職率 | 自主退職や定年退職で離職した人の年齢層ごとのデータ |
それぞれの違いを理解することで、離職率が示す企業の課題や特徴をより正確に把握できるでしょう。
2. 離職率の計算方法


離職率の計算方法は、以下のとおりです。
一定期間の離職者数÷起算日時点の常用労働者数×100(%)
例えば、従業員数が100人の企業で、1年間に5人が離職した場合、離職率は5%となります。
なお「一定期間」や「起算日」に明確な決まりはありません。離職防止の施策実施前後や年度ごとなど、分析するうえで必要な期間を設定して比べましょう。
例として厚生労働省は、1月1日時点の労働者数で割った数値から離職率を算出しています。
「常用労働者数」は、期間を定めずに雇っている従業員、もしくは1ヵ月以上の期間を定めて雇っている従業員のことです。
3. 日本の離職率の現状


日本の離職率の現状は以下のとおりです。
- 日本の離職率の平均値
- 新卒の3年以内の離職率
3-1. 日本の離職率の平均値
厚生労働省のデータによると、2023年の日本の離職率の平均値は、15.4%です。前年と比較すると、0.4%上回る結果となりました。
性別・就業形態別の離職率は以下のとおりです。
| 調査対象者 | 離職率 |
| 平均値 | 15.4% |
| 男性 | 13.8% |
| 女性 | 17.3% |
| 一般労働者 | 12.1% |
| パートタイム労働者 | 23.8% |
離職率に男女差はありますが、どちらも若年層の離職率が高い傾向にあります。
3-2. 新卒の3年以内の離職率
新卒3年以内の離職率は、以下のとおりです。
| 学歴 | 新卒の3年以内の離職率 |
| 中学卒 | 50.5% |
| 高校卒 | 38.4% |
| 短大卒 | 44.6% |
| 大学卒 | 34.9% |
「就職してみたものの、自分に合わなかった」「上司や同僚との関わりがうまくいかない」などといった理由から、就職後に退職するケースも増えています。
学歴による差が若干あるものの、若年層の離職率の高さが日本企業の大きな課題です。
参考:新規学卒就職者の離職状況(令和3年3月卒業者)を公表します|厚生労働省
4. 離職率が着目される背景


近年、離職率が企業にとって重要な指標として注目されています。離職率が着目される景には、次のような要因が影響しています。
- 労働人口が減少している
- 人材の流動性が高まっている
4-1. 労働人口が減少している
日本の労働市場では、少子高齢化が進行しており、労働人口が減少しています。人口動態の変化は、企業にとって重大な課題です。労働人口の減少により、企業は限られた人材を確保し、維持することがますます難しくなっています。従業員の退職や転職による離職は、企業の人材確保に直結するため、退職理由をしっかりと把握することが必要です。
また、特に高度なスキルを有する人材が不足しているため、企業は離職率を低く保ち、既存の従業員の離職を防ぐ必要があります。離職率が高くなると、労働力の供給不足や再雇用コストが増加し、企業の競争力を低下させる可能性があります。
4-2. 人材の流動性が高まっている
企業の競争が激化し、人材の流動性が高くなっています。特に若年層の従業員は、転職を容易に考える傾向が強まっており、より魅力的な職場を求めて転職活動を行うことが一般的になっています。こうした状況は、企業が従業員の退職理由を把握し、改善策を講じる必要性を一層高めています。
5. 離職率が高い会社の特徴


離職率が高い会社の特徴には次のような特徴があります。
- 柔軟な働き方が選べばない
- 長時間労働が常態化している
- 職場の人間関係が悪化している
- 業務に対しての報酬が適切でない
- ハラスメントが放置されている
- 非効率な業務が多い
- 休暇が取りづらい
5-1. 柔軟な働き方が選べばない
現代の働き方において、柔軟な働き方が求められるようになっています。リモートワークやフレックスタイム制度、時短勤務など、従業員が自分のライフスタイルに合った働き方を選択できる環境を提供することは、企業の定着率に大きく影響します。しかし、柔軟な働き方が選べない企業では、従業員の満足度が低く、離職率が高くなる傾向があります。特に育児や介護などのライフステージの変化に対応できない企業は、離職を招きやすいです。
5-2. 長時間労働が常態化している
長時間労働が常態化している企業は、従業員の健康やワークライフバランスを損なうため、離職率が高くなる傾向にあります。長時間労働が続くと、従業員は疲弊し、精神的にも肉体的にも負担がかかります。その結果、ストレスや燃え尽き症候群が原因で退職するケースが増えかねません。
5-3. 職場の人間関係が悪化している
職場の人間関係が悪化している場合、従業員は心理的に居心地が悪く感じ、退職を選ぶことが多くなります。例えば、上司との関係がうまくいっていない、同僚とのトラブルが多い、パワハラやいじめが横行しているなど、職場の人間関係が悪化している場合、従業員はそのストレスから解放されるために退職を選びます。
5-4. 業務に対しての報酬が適切でない
従業員の報酬が業務に対して適切でないと感じると、退職を考える要因になります。業務に見合った報酬が支払われていない場合、従業員はモチベーションを失い、自分の努力が評価されていないと感じることがあります。給与やボーナス、昇給の機会が不公平である場合、従業員の満足度が低下し、転職を考える可能性があるでしょう。
5-5. ハラスメントが放置されている
職場内でのハラスメントが放置されていると、従業員の退職を招く大きな要因となります。パワハラ、セクハラ、マタハラなど、さまざまなハラスメントが発生することがありますが、放置されると、被害者は精神的なストレスを抱えながら働くことになり、最終的に退職につながりかねません。
5-6. 非効率な業務が多い
業務の非効率性も、従業員の退職を引き起こす要因のひとつです。無駄な業務や重複する作業、時間がかかるプロセスが多いと、従業員は業務に対して不満を感じるようになります。非効率な業務は従業員のストレスやフラストレーションを引き起こし、仕事への満足度を低下させます。その結果、従業員は転職を考えることが多く、離職率が高くなる原因となるでしょう。
5-7. 休暇が取りづらい
休暇が取りづらい環境も、従業員の退職を引き起こす要因となります。特に、有給休暇の取得がしにくい、または休暇中に業務が滞ってしまうような職場環境では、従業員は心身ともに疲れ果ててしまいます。リフレッシュする時間がないことは、モチベーションの低下につながり、退職にまで発展しかねません。
6. 離職率が高い職種


離職率が最も高い職種は、生活関連サービス業・娯楽業で20.8%です。
一方で、製造業や運輸業などの6つの産業は10%以下の離職率に留まっています。
産業別で大きな差があるため、自社と比較する場合は、同じ産業を参考にするとよいでしょう。
7. 離職率の改善が必要な理由


離職率の改善が必要な理由は、以下のとおりです。
- 採用コストの増加
- 業務効率の低下
- 企業イメージの悪化
7-1. 採用コストの増加
離職率が高いと、採用コストが増加するため、離職率の改善が必要です。
就職説明会や採用面接といった頻繁な採用活動は、コストも増えるため従業員や企業への負担となりやすいです。
新しい従業員を採用すると、教育するコストも継続的に発生するでしょう。
7-2. 業務効率の低下
離職率が高いと業務効率の低下が懸念されるため、離職率の改善が必要です。
残された従業員に業務が集中するとモチベーションの低下を招き、結果として業務効率や生産性が低下します。
特に、優秀な人材の流出は、ノウハウが失われ業務が滞るリスクもあるでしょう。従業員のモチベーションの低下は、さらなる離職者を生む可能性も考えられます。悪循環に陥る可能性があるため、早急に対応しなければなりません。
7-3. 企業イメージの悪化
離職率が高いと、企業イメージの悪化につながるため、改善が必要です。
離職率の高い企業は、「働きにくい企業」「従業員が定着しない企業」のように、ネガティブな印象を持たれやすくなります。
また、離職率が高いと採用活動に悪影響を及ぼすでしょう。求職者は安定した労働環境を求めているため、離職率の高い企業を避ける傾向にあるためです。
採用コストが増え、優秀な人材の確保が難しくなります。
企業のネガティブな情報が広まると、顧客や取引先に「問題がある企業」とみなされ、信頼性の低下を招くリスクもあるでしょう。
8. 離職率を低下させるための取り組み


離職率を低下させるため、以下のような取り組みを実施しましょう。
- 給与体系の見直し
- 柔軟な働き方の導入
- キャリア開発の支援
- コミュニケーションの強化
- 離職者のフィードバックの活用
- 教育体制の整備
8-1. 給与体系の見直し
給与体系の見直しによって、離職率の改善が期待できます。給与や待遇は、離職率の高さに直結する重要な要素です。
同業他社と比較して、競争力のある給与水準を維持することが求められます。
昇給やボーナス、インセンティブ制度などを導入し、従業員が「正当に評価されている」「自身の努力が報われる」と感じる仕組みを構築しましょう。
ただし、過度な成果主義はストレスや不満を生む可能性があるため、基本給と成果報酬のバランスが重要です。
8-2. 柔軟な働き方の導入
離職率を低下させるために、柔軟な働き方を導入することも大切です。多様なライフスタイルに合わせた働き方は、従業員満足度を向上させます。
従業員のワークライフバランスの向上を重視し、リモートワークや、フレックスタイム制度の導入を検討するとよいでしょう。働く時間や場所の柔軟性を高めることで、従業員の生活環境に合った働き方を提供できます。
8-3. キャリア開発の支援
従業員の将来を見据えたキャリア開発の支援も、離職率を低下させるために有効です。従業員が自己成長を実感できる環境は、長期的な定着につながります。
研修や教育プログラムを提供し、従業員の成長を促しましょう。将来どのようなポジションを目指せるのか、具体的なキャリアパスを示すことも重要です。
目標を設定して進捗をサポートし、従業員のモチベーションやチャレンジ精神を引き出しましょう。
8-4. コミュニケーションの強化
離職率を低下させるために、職場内のコミュニケーションの強化をすることも大切です。チーム全体の一体感や信頼感が生まれ、働きやすい環境を整えられます。
定期的な1on1ミーティングや、社内イベントの実施が有効です。従業員との対話を増やし、意見を吸い上げる仕組みを構築しましょう。
従業員の意見を積極的に聞き入れることで、不満や課題を早期に把握できます。
8-5. 離職者のフィードバックの活用
離職者のフィードバックを活用することも、離職率低下の対策に有効です。離職者の意見をもとに、改善策を検討し、今後の離職予防の対策に活かせます。
離職理由や傾向をデータ化し、企業の課題や問題点を洗い出しましょう。フィードバック結果をもとに、具体的な改善案を立案し、従業員に共有します。
企業の透明性を高めることで、従業員の信頼を得やすくなるでしょう。
8-6. 教育体制の整備
従業員の離職率を低下させるためには、企業が従業員の育成を重要視し、教育体制を強化することが欠かせません。教育体制が整っていないと、従業員は自分の成長機会を感じることができず、退職を選ぶことが増えてしまいます。効果的な教育体制を整えることで、従業員は自信を持って業務に取り組むことができ、企業への帰属意識も高まります。
9. 離職率の低下を目指し職場環境を見直そう


離職率の低下を実現するためには、職場環境の見直しが欠かせません。給与や働き方、キャリア支援、コミュニケーションの改善に取り組むことで、従業員が働きやすい環境を整えられます。
また、離職者の声を活用し、課題を明確にすることで、さらなる改善が可能です。離職率が低い企業は、社員の満足度が高く、結果として生産性や企業イメージの向上にもつながります。
長期的な視点で職場環境を見直し、従業員が安心して働き続けられる職場づくりを目指しましょう。



従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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