労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者について詳しく解説
更新日: 2024.8.27
公開日: 2021.10.4
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労働基準法の第41条には管理監督者に関する規定があります。
管理監督者は、労働基準法第41条2号において「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にあるもの」と定められています。
管理監督者には一般の従業員とは違った働き方が求められています。
今回は、労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の種類や役割についてご説明いたします。
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労働基準法とは?雇用者が押さえるべき6つのポイントを解説
目次
労働基準法総まとめBOOK
1. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者とは?
管理監督者とは、部長や工場長などの役職をもち、労務管理において経営者と一体的な立場にある者のことを指します。
労働基準法における管理監督者は、労働時間や休日といった労働基準法の制限を受けずに管理者として働くことが可能です。
労働基準法第41条では、労働時間などに関する規定の適用除外について以下のように定められています。
第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
つまり、管理監督者は従業員を管理または監督できる地位にある者のことを指すのです。
また、管理監督者には労働時間等に関する規定が適用されないということになります。
労働基準法の32条には1日8時間かつ週40時間という労働時間の限度が規定されています。
さらに同法34条には1日6時間を超える労働に対して45分、8時間を超える労働に対して1時間以上という休憩、また35条には週1回の休日が必要とされる旨が定められています。
労働基準法第37条によると、法定労働時間を超えたり法定休日に労働させたりした場合には所得の割増賃金の支払いが必要となります。
しかし、労働基準法の第41条における管理監督者には、これらの労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されないのです。
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2. 管理監督者と管理職には明確な違いがある
管理監督者はしばしば、企業の管理職と混同されることがあります。
管理職とは部下を管理する立場にある従業員の呼び名で、具体的には係長職や課長職以上の従業員のことを指します。
しかし多くの場合、企業では管理職に対しても労働基準法の労働時間や休憩、休日の条件が適用しています。
これに対して管理監督者の働き方には、労働時間や休憩、休日といった定めがありません。
管理監督者は、状況やタイミングに応じて経営上の重要な判断をおこなう必要があります。
そのため、管理監督者は業務の量や遂行するタイミング、労働時間や休日などを自身の裁量である程度自由に調整しています。
所定の労働時間での勤務が義務付けられていたり、上司から業務量が指示されていたりするような従業員は、管理監督者には該当しないのです。
3. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の判断基準
管理監督者の条件として、経営者と一体的な立場で職務を遂行していることが挙げられます。
ただし、経営者と一体的な立場という基準はかなり曖昧であるため、以下のようないくつかの具体的な要素をもとに客観的に判断しなければなりません。
3-1. 企業運営における意思決定に関与できる
管理監督者は経営会議など企業運営の意思決定に関わる重要な会議において発言権を持っていることが、管理監督者の条件の1つといえます。
経営方針や取引方針に参加することがない従業員や決定権や決裁権限がない従業員が、管理監督者として認められることはほとんどありません。
3-2. 人事権など企業運営における権限を持っている
従業員の採用や配置換え、解雇など人事に関する権限を持っている労働者は管理監督者として認められる傾向にあります。
また、費用管理など財務面の決定権を有している労働者も、企業運営への関わりの度合いが大きいため管理監督者と認められるのが一般的です。
3-3. 相応の待遇が与えられている
管理監督者は経営者と一体的な立場ということになるため、当然ながらその地位にふさわしい待遇が与えられる必要があります。
一般の従業員と比べて給与や賞与、立場が高いことが、管理監督者の条件の1つといえるのです。
近年では、一般従業員よりも管理監督者とされる労働者のほうが賃金が低いような「名ばかり管理職」が問題視されています。
管理監督者地位にふさわしい待遇が与えられていない場合には、管理監督者であることが否定される可能性も考えられます。
4. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の待遇における特徴
管理監督者を設定するときには、働き方の特徴を熟知しておくことが大切です。
ここからは、管理監督者の具体的な働き方についてご説明いたします。
4-1. 残業代や休日出勤手当が支払われない
一般の従業員が所定の労働時間を超えて働いたり休日に出勤したりしたときには、労働基準法の残業手当や休日出勤手当が支払われることになります。
しかし、管理監督者には残業や休日出勤の割増賃金の規定が適用されないため、これらの手当が支給されません。
とはいえ、中には管理監督者に対して残業代や休日出勤手当を支払っている企業もあります。
4-2. 深夜残業手当と年次有給休暇は適用される
管理監督者であっても22時から翌朝5時までの間に仕事をした場合には、深夜残業手当が支払われます。
また、管理監督者は有給休暇を取得することも可能です。
4-3. 36協定の対象外となる
従業員に法定時間を超えて働いてもらったり休日出勤を頼んだりする場合には36協定の届け出が必要となります。
しかし、管理監督者の場合にはそもそも労働基準法の労働時間や休日労働の規定が適用されていないため、36協定に関しても対象外となるのです。
4-4. 安全配慮義務が適用される
企業には労働契約法第5条の定めにおいて、従業員の生命や身体の安全の確保のために必要な配慮をおこなう義務があります。
この安全配慮義務は一般従業員だけでなく管理監督者にも適用されます。
管理監督者の業務はときに長時間労働に及ぶこともあります。
こういったときに管理監督者が健康を害することがないよう、企業は労働管理を徹底しなければならないのです。
5. 企業が管理労働者を設定するときの注意点
管理職の地位にある労働者を管理監督者とするときには、名ばかり管理職にならないよう配慮しましょう。
名ばかり管理職とは、十分な裁量がない管理職のことをいいます。
管理職の立場にある従業員を管理監督者とし、十分な待遇を与えなかった場合には、従業員が本来受け取れるはずの賃金の支払いを求めて訴訟を起こすなどの問題に発展することもあります。
トラブルを避けるためには、管理監督者に対して十分な裁量や待遇を与えることが大切です。
また、管理監督者の労働時間や働き方を把握し、不適切と思われる場合には調整をおこなうなどの工夫も必要となります。
6. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の特徴を把握しておきましょう
管理監督者はほかの従業員とは違い、労働基準法における労働時間や休憩、休日といった規定が適用されません。
これは、管理監督者が自身の裁量において仕事をする必要があるためです。
管理監督者を設定するときには、労働基準法第41条第2号に規定された条件を見対しているか、十分な待遇や裁量を与えているかを十分に確認しておくことが肝心です。
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