労働基準法第41条第2号の管理監督者とは?判断基準と実務対応を解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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労働基準法第41条第2号の管理監督者とは?判断基準と実務対応を解説

管理監督者

労働基準法第41条第2号の管理監督者とは、労働条件や労務管理について、経営者と一体的な立場にある労働者を指します。管理監督者に該当する場合、労働基準法上の労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されません。

ただし、一般的な「管理職」や「店長」「課長」といった役職名だけで、管理監督者に該当するわけではありません。実際には、職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇などを総合的に見て判断されます。誤って管理監督者として扱うと、未払い残業代や労働基準監督署の是正指導につながるおそれがあるため、人事担当者や経営者は判断基準を正しく理解しておくことが大切です。

そもそも労働基準法とは?という方は、まずはこちらの記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法とは?法律の要点や人事が必ず押さえたい基本をわかりやすく解説

【最新版】改正ポイントもまとめて解説 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

  • 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
  • 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
  • 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
  • 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?
  • 40年ぶりの大改正:人事担当者が押さえておきたい項目は?

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1. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者とは?

管理監督者とは

労働基準法第41条第2号では、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されない労働者として、「監督若しくは管理の地位にある者」などを定めています。これが、一般に「管理監督者」とよばれる立場です。

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

引用:労働基準法|e-Gov 法令検索

管理監督者は、労働時間や休日といった労働基準法の制限を受けずに働くことが可能です。労働時間や休日といった労働基準法の条文には次のものが挙げられます。

  • 第32条:1日8時間かつ週40時間という労働時間の限度
  • 第34条:1日6時間を超える労働に対して45分、8時間を超える労働に対して1時間以上という休憩、また35条には週1回または4週間を通じ4日以上の休日が必要とされる。
  • 第37条:法定労働時間を超えたり法定休日に労働させたりした場合には割増賃金の支払いが必要。

通常の労働者に適用されるこれらの条文ですが、労働基準法の第41条における管理監督者には適用されません。ただし、注意点として、管理監督者であっても深夜労働(原則として午後10時~午前5時)に対する割増賃金の支払いは必要です。

詳しい解説は、関連記事をご覧ください。

関連記事:労働基準法第41条に基づく適用除外の項目と対象となる労働者

2. 管理監督者と管理職は同じではない|混同される理由

管理職

管理監督者と管理職は、混同されがちですが、同じ意味ではありません。社内で管理職とされていても、労働基準法第41条第2号の管理監督者に該当しないケースは多くあります。ここでは、この2つの違いを解説します。

2-1. 管理監督者と一般的な管理職の違い

一般的な管理職は、企業内の役職や人事制度上の区分です。係長、課長、店長、マネージャーなど、部下を持つ立場や一定の管理業務を担う立場を指すことがあります。

一方、労働基準法上の管理監督者は、役職名ではなく実態で判断されます。肩書があっても、実際には上司の指示を部下へ伝えるだけで、採用、評価、配置、予算、労働条件に関する実質的な権限がなければ、管理監督者とは認められにくいです。

例えば、シフト作成や勤怠承認を任されていても、採用や評価の最終決定権がなく、出退勤も一般従業員と同じように管理されている場合、管理監督者性は慎重に判断する必要があります。

2-2. 「名ばかり管理職」が問題視される背景

「名ばかり管理職」とは、社内では管理監督者扱いの管理職とされているものの、実際には十分な権限や待遇がなく、労働基準法上の管理監督者とはいえない状態を指します。

名ばかり管理職が問題になるのは、企業が管理職という肩書を理由に、時間外労働や休日労働の割増賃金を支払わないケースがあるためです。しかし、管理監督者に該当しない労働者であれば、法定労働時間を超える労働や法定休日労働について、割増賃金を支払わなければなりません。

管理監督者に該当しない場合は、労働時間の上限規制の対象にもなります。管理職という肩書だけで長時間労働をさせると、割増賃金だけでなく、労働時間管理の面でも法令違反となるおそれもあるでしょう。

関連記事:36協定とは?基礎知識から残業上限規制や締結・届出、違反リスクまで完全解説

3. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の4つの判断基準

判断基準

管理監督者に該当するかどうかは、ひとつの要素だけで決まるものではありません。実務では、次の4つの判断基準をもとに総合的に判断します。

  1. 企業運営への関与
  2. 労務管理上の権限
  3. 勤務態様
  4. 待遇

ここでは、この4つの判断基準を解説します。

3-1. 企業運営における意思決定に関与できる

管理監督者と認められるには、経営者と一体的な立場で企業運営に関与していることが重要です。単に部下を取りまとめるだけでなく、部門方針、売上計画、人員配置、労務管理などについて、実質的な判断や発言ができるかを確認します。

例えば、経営会議や部門会議に参加していても、単に報告を受けるだけ、または決定事項を伝えるだけであれば、経営者と一体的な立場とはいえない可能性があります。重要なのは、会議に出席しているかではなく、企業運営に関する意思決定へどの程度関与しているかです。

3-2. 人事権など労務管理上の権限を持っている

従業員の採用や配置換え、解雇など人事に関する権限を持っている労働者は管理監督者として認められやすくなる傾向にあります。また、費用管理など財務面の決定権を有している労働者も、企業運営への関わりの度合いが大きいため管理監督者と認められる要素となるのが一般的です。

3-3. 出退勤をはじめとする労働時間に裁量がある

管理監督者に該当するかを判断するうえでは、勤務態様も重要です。具体的には、自身の出退勤をはじめとする労働時間について、どの程度裁量を持っているかが確認されます。

例えば、出退勤時刻が一般従業員と同じように管理され、遅刻や早退によって賃金控除や人事評価上の不利益を受ける場合、労働時間規制になじまない立場とはいえない可能性があります。一方で、業務の必要に応じて自ら勤務時間を調整し、経営上の判断にもとづいて柔軟に働く実態がある場合は、管理監督者性を支える要素になります。

3-4. 相応の待遇が与えられている

管理監督者は経営者と一体的な立場ということになるため、当然ながらその地位にふさわしい待遇が与えられる必要があります。一般の従業員と比べて賃金が高いことが、管理監督者の条件のひとつです。

管理監督者地位にふさわしい待遇が与えられていない場合には、管理監督者であることが否定される可能性も考えられます。特に、残業代が支払われないことで、一般従業員より実質的な時給が低くなるような状態はリスクが高いです。

4. 管理監督者に適用される規定・されない規定

管理監督者の特徴

管理監督者に該当しても、労働基準法や労働安全衛生法のすべての規定が適用されなくなるわけではありません。適用されない規定と、適用される規定を分けて理解しましょう。

4-1. 適用されない規定(労働時間・休憩・休日・36協定)

労働基準法第41条第2号の管理監督者には、労働時間、休憩、休日に関する規定が適用されません。そのため、法定労働時間、休憩時間、法定休日、36協定による時間外・休日労働の規制は、通常の労働者とは異なる扱いです。

具体的には、管理監督者については、1日8時間・1週40時間の法定労働時間や、時間外労働の上限規制、休憩時間、週1回または4週4日の法定休日に関する規定が適用されません。そのため、管理監督者が法定労働時間を超えて働いた場合でも、時間外労働としての割増賃金は発生せず、法定休日に働いた場合も休日労働としての割増賃金は発生しません。

また、管理監督者に時間外・休日労働をさせるために、36協定を締結する必要もありません。

4-2. 適用される規定(深夜割増賃金・年次有給休暇・安全配慮義務)

管理監督者であっても、深夜労働に対する割増賃金は支払う必要があります。午後10時から午前5時までの深夜時間帯に働いた場合、深夜割増賃金の対象です。

また、年次有給休暇に関する規定も適用されます。管理監督者であっても、要件を満たせば年次有給休暇が付与され、年10日以上付与される場合には年5日の取得義務にも対応する必要があります。

4-3. 健康確保措置と労働時間の客観的把握義務

管理監督者についても、労働時間の状況を把握する必要があります。

ここでいう労働時間の状況の把握は、残業代を計算するためのものではありません。長時間労働による健康障害を防ぎ、医師による面接指導や業務量の調整など、必要な健康確保措置につなげるためです。

そのため、管理監督者についても、実際にどの程度働いているかを確認できる運用が必要です。管理監督者に労働時間規制が適用されないからといって、勤怠記録を一切取らない運用は避けましょう。

実務では、月ごとに労働時間の状況を確認し、長時間労働や深夜労働が続いている管理監督者を早期に把握する体制の構築が重要です。時間外労働が月80時間を超えるような場合は、本人へ労働時間の状況を通知します。その労働者から申出があり、疲労の蓄積が認められるときは医師による面接指導につなげます。

5. 企業が管理監督者を設定するときの注意点

注意点

企業が管理監督者を設定するときは、役職名や給与制度だけで判断しないことが重要です。人事制度上の管理職と、労働基準法上の管理監督者を分けて整理しましょう。

管理監督者性の低い従業員を管理監督者としていた場合には、従業員が本来受け取れるはずの賃金の支払いを求めて訴訟を起こすなどの問題に発展することもあります。

トラブルを避けるためには、管理監督者に対して十分な権限・裁量や待遇、勤怠の裁量を与えることが大切です。また、管理監督者の労働時間や働き方を把握し、不適切と思われる場合には制度設計を見直すなどの工夫も必要となります。

管理監督者として扱う人数や割合について、法律上「何%までならよい」という明確な基準はありません。ただし、管理監督者は経営者と一体的な立場で重要な職務と権限を持つ人を想定しているため、対象者が多すぎる場合は注意が必要です。

管理監督者性は総合的な判断となるため一概には言えませんが、実務上は管理監督者扱いの従業員が2〜3割以上に広がっている場合は、名ばかり管理職と判断されるリスクをよく点検する必要があります。

特に、管理監督者として扱う従業員が4割を超えている場合は、管理監督者の範囲を広く取りすぎている可能性があります。本当に経営に近い判断を担う人に限定されているかを見直しましょう。

解説:大手外資企業HRCoE/社会保険労務士 迫 まり恵

6. 管理監督者を適用誤りした場合の企業リスク

電卓とお札

管理監督者の扱いを誤ると、企業には複数のリスクが生じます。特に、未払い残業代、労働基準監督署の是正指導、従業員との紛争は、実務上の影響が大きいです。

6-1. 労働基準監督署の是正指導・刑事罰

管理監督者に該当しない従業員を管理監督者として扱い、時間外労働や休日労働の割増賃金を支払っていなかった場合、労働基準監督署から是正指導を受ける可能性があります。

労働基準法違反が認められた場合、未払い賃金の支払い、勤怠管理の改善、就業規則や賃金規程の見直しなどを求められることがあります。悪質なケースでは、刑事罰の対象になる可能性もあるでしょう。

企業としては、監督署の調査が入ってから対応するのではなく、管理監督者として扱う役職の実態を定期的に点検し、説明できる資料を残しておくことが重要です。

6-2. 未払い残業代・付加金の支払い

管理監督者性が否定された場合、企業は過去の時間外労働、休日労働、深夜労働について、未払い賃金を支払う必要が生じる可能性があります。複数名が連鎖的に請求した場合、請求額が大きくなる可能性もあるでしょう。

訴訟では、未払い賃金に加えて、付加金の支払いが命じられる可能性もあります。付加金とは、一定の未払い賃金について、裁判所が企業に追加で支払いを命じられる制度です。

管理監督者性に疑義がある場合、必要に応じて労働時間管理や待遇を見直すことが必要です。

6-3. 社会的信用の失墜と人材流出

名ばかり管理職の問題が表面化すると、従業員の不信感や離職につながる可能性があります。特に、責任だけが重く、裁量や待遇が伴っていない状態では、管理職層のモチベーション低下を招きやすくなるでしょう。

また、未払い残業代や長時間労働の問題が公になると、採用活動や企業イメージにも影響します。管理監督者制度は、残業代削減のための仕組みではなく、経営者と一体的な立場で働く人にふさわしい権限と待遇を設計するための制度として捉えることが大切です。

7. 裁判例から見る管理監督者の認定基準と「相応の待遇」の具体額

管理監督者の特徴の把握

ここまで、管理監督者の判断基準として、職務内容、責任と権限、勤務態様、待遇の4つを解説しました。ただし、これらの基準は抽象的に見えやすく、実務では「どの程度の権限や待遇があればよいのか」と迷うことも少なくありません。実際の裁判例をもとに、どのような事情があると管理監督者性が否定されやすいのか、また、どのような場合に管理監督者性が認められる可能性があるのかを見ていきます。

7-1. ファミリーレストラン店長のケース

ファミリーレストランの店長が管理監督者にあたるかどうかの判決が下されたケースです。店長は、店舗のコックやウエイターを統轄し、売上管理や一部の採用に関与する立場でした。しかし、結果的には管理監督者ではないという判決になります。

裁判所が管理監督者性を否定した大きな要因のひとつは、その待遇の乏しさにあります。具体的には、支払われていた店長手当が月額わずか2〜3万円程度に留まっていたというものです。店舗の営業時間によって出退勤が完全に拘束され、タイムレコーダーで厳密に管理されている労働実態に対し、この程度の手当では割増賃金の支払義務を免れる根拠にはなりにくいと判断されました。

採用面でも最終決定権が経営者にあり、裁量が極めて限定的であったことも重なり、労働基準法上の管理監督者には該当しないとの判決が下されました。

参考:レストラン「ビュッフェ」事件|労働基準裁判例検索

7-2. 営業課長のケース

学習塾の営業課長として管理業務を任されていたこのケースでも、形式的な役職名に対して実質的な権限が伴っていない点が問題視されました。

待遇面においては、課長への昇進に伴って給与の増額はあったものの、一般従業員の給与水準と比較して顕著な差が認められませんでした。日々の業務では社長への日報報告が義務付けられ、出勤の自由もないなど、ほかの従業員と同様に勤怠管理がおこなわれていたことが重視されています。責任の重さや労働時間の長さに比して、給与面での優遇が「それほど高くない」と判断された結果、企業側は残業代の支払い義務を免れることはできませんでした。

参考:育英舎事件|労働基準裁判例検索

7-3. 管理監督者性が認められた数少ない事例

一方で、管理監督者性が認められた裁判例もあります。例えば、医療法人徳洲会事件では、人事第2課長として看護師の採用や配置などに関与していた労働者について、管理監督者性が認められました。

厚生労働省の裁判例紹介では、この事件について、労務管理について経営者と一体的な立場にあり、出勤・退勤について自由裁量があり、責任手当や特別調整手当の支給実態も考慮されたと整理されています。

参考:徳洲会事件|労働基準裁判検索

8. 2026年労働基準法改正と管理監督者の今後

はてなのブロック

労働基準法をめぐって、労働時間法制を中心に見直しの議論が続いています。厚生労働省は2025年1月に労働基準関係法制研究会報告書を公表し、その後も労働政策審議会労働条件分科会で労働基準関係法制について議論されました。

このなかで、論点のひとつとして挙げられているのが管理監督者です。報告書では、裁量労働制や高度プロフェッショナル制度には健康・福祉確保措置が設けられている一方、管理監督者については、労働安全衛生法上の労働時間の状況把握や長時間労働者への医師による面接指導の対象にはなるものの、労働基準法上の特別な健康・福祉確保措置は設けられていないと整理されています。そのため、管理監督者等に関する健康・福祉確保措置のあり方を検討すべきとされています。

また、報告書では、本来は管理監督者に該当しない従業員が管理監督者として扱われている場合があることにも触れ、制度趣旨を踏まえて要件を明確化する必要性が示されています。これは、「管理職」という肩書だけで労働時間規制や割増賃金の対象外とする運用を問題視するものです。

現時点では、管理監督者の要件や健康確保措置について具体的な改正内容が確定しているわけではありませんが、管理監督者としている労働者がいる企業は議論の動向を見守る必要があるでしょう。

関連記事:労働基準法の大改正はどうなる?2026年最新動向と主要論点、企業が今すべき対応とは【社労士が解説】

9. 労働基準法第41条第2号に規定された管理監督者の基準を理解しよう

棒を持った男性

労働基準法第41条第2号の管理監督者は、単なる管理職や役職者とは異なります。管理監督者に該当するかどうかは、役職名ではなく、企業運営への関与、労務管理上の権限、勤務態様、待遇などの実態から判断されます。

管理監督者に該当する場合、労働時間、休憩、休日に関する規定は適用されません。しかし、深夜割増賃金、年次有給休暇、安全配慮義務、労働時間の状況の把握などは引き続き重要です。管理監督者だから何時間働かせてもよい、勤怠記録を取らなくてよい、という扱いは避ける必要があります。

企業は、管理監督者の設定にあたって、権限・裁量・待遇・健康管理の実態を確認し、制度と運用のズレを定期的に見直しましょう。管理監督者の基準を正しく理解し、名ばかり管理職を生まない運用を整えることが、未払い残業代リスクの防止と健全な組織運営につながります。

【最新版】改正ポイントもまとめて解説 労働基準法違反にならないための必須知識まとめ

人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。

◆労働基準法のポイント

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