労働基準法に基づく最低賃金とは?その基準や違反への罰則を解説
更新日: 2026.10.7 公開日: 2021.10.4 jinjer Blog 編集部

従業員を雇う雇用主は、労働の対価として最低賃金額以上の給与を支払わなければなりません。万一、賃金の金額が最低賃金未満だった場合には差額の支払いを求められたり罰則を課されたりすることもあるので十分注意しましょう。
ここでは、労働基準法に基づく最低賃金の仕組みや計算方法、地域による最低賃金の調べ方について紹介します。
▼そもそも労働基準法とは?という方はこちらの記事をまずはご覧ください。
労働基準法とは?法律の要点や人事が必ず押さえたい基本をわかりやすく解説
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- 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
- 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
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1. 労働基準法に基づく最低賃金とは?


最低賃金については、労働基準法第28条で最低賃金法の定めるところによるものと規定されています。
最低賃金法とは、最低賃金に関するルールを定めた法律です。
同法には、雇用主が労働者に対して最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない旨が定められています。雇用主は、最低賃金を適用する労働者の範囲や具体的な金額などを労働者に対して広く知らせなければなりません。
なお、ここで言う労働者とは、労働基準法第9条に基づく労働者を指します。正社員だけでなくパートやアルバイト、派遣社員など使用者と雇用契約を結ぶ労働者が最低賃金法の対象です。
関連記事:労働基準法第9条に規定された労働者について詳しく解説
2. 労働基準法に基づく最低賃金の水準とは


中央最低賃金審議会は毎年、地域別最低賃金の改定について、都道府県ごとの引き上げ額の「目安」を示します。地方最低賃金審議会では、この目安を参考に地域の賃金実態などを踏まえて審議し、最低賃金額を答申します。その後、異議申出の手続きを経て、都道府県労働局長が正式に決定します。
2026年度(令和8年度)の地域別最低賃金については、全47都道府県の答申が出そろいました。答申ベースの全国加重平均額は1,177円で、前年度から56円引き上げられる見込みです。
全国的に最低賃金が大幅に引き上げられる一方、発効日は都道府県によって異なります。2026年度は、2026年10月1日から12月2日までの間に順次発効する予定です。
また、最低賃金は給与の支払日ではなく、発効日以降に労働した時間について新しい最低賃金が適用される点にも注意が必要です。発効日をまたぐ給与計算では、発効日前の労働時間には旧最低賃金、発効日以降の労働時間には新最低賃金を適用する必要があります。
参考:全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました|厚生労働省
参考:○最低賃金法の施行について(昭和三四年九月一六日)(発基第一一四号)|厚生労働省
3. 労働基準法に基づく最低賃金には2つの種類がある


最低賃金というと都道府県ごとに定められている最低賃金のことを指すと思われがちです。しかし最低賃金にはこの地域別最低賃金のほかに、特定の産業に対して適用となる特定最低賃金というものもあります。
まずは、2種類の最低賃金の違いをチェックしていきましょう。
3-1. 地域別最低賃金とは
各都道府県において定められた最低賃金を、地域別最低賃金とよびます。
地域別最低賃金は各都道府県につき1つの金額が定められており、産業や職種にかかわりなくそのエリアの事業所すべてに適用されます。
地域別最低賃金には、すべての労働者の生活を支えるセーフティーネットとしての役割があります。すべての労働者が、健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、憲法の理念を踏まえて定められているのです。
3-2. 特定(産業別)最低賃金とは
特定の産業に対して定められた最低賃金は特定(産業別)最低賃金とよばれます。
労働条件の向上や公正な競争を確保するため、関係労使の申出に基づき、最低賃金審議会で調査・審議をおこない、地域別最低賃金より高い水準の特定最低賃金を設定しています。
特定最低賃金は製造業や鉄鋼業、特定の商品を販売する小売業などの業種に対して定められます。令和8年4月の段階では、各都道府県労働局及び全国において設定されている特定最低賃金の件数は223件となっています。
地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が同時に適用される場合には、より高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。
4. 労働基準法に基づく最低賃金の基準とは


最低賃金額は、時間によって定められています。そのため、賃金を1時間あたりの金額に換算して最低賃金額と比較します。月給制の場合は、次の計算式で確認します。
1時間あたりの賃金額 = 最低賃金の対象となる月給額 ÷ 1ヵ月平均所定労働時間
なお、最低賃金の対象となるのは、毎月支払われる基本的な賃金です。ただし、時間外・休日・深夜の割増賃金、賞与(ボーナス)、通勤手当、家族手当、精皆勤手当、臨時に支払われる賃金は、最低賃金の計算から除外する必要があるので注意しましょう。
【具体例】
最低賃金の対象となる月給が24万円、1ヵ月平均所定労働時間が160時間の場合、1時間あたりの賃金額は次のようになります。
24万円 ÷ 160時間 = 1,500円
この場合、適用される最低賃金が1,200円であれば、1時間あたりの賃金額が最低賃金を上回っているため、最低賃金を満たしていると判断できます。
なお、最新の最低賃金は厚生労働省のウェブサイトで確認できます。
5. 労働基準法に基づく最低賃金の違反罰則とは


雇用主は労働者に対して、最低賃金以上の額を支払うことが法律によって義務付けられています。最低賃金の金額よりも低い給与額で雇用契約をした場合には無効であり、無効となった部分は、最低賃金と同様の定めをしたものとみなされます。
もしも雇用主が最低賃金未満の給与しか払っていなかった場合には、雇用主に差額の支払い義務が課されます。
地域別最低賃金以上の給与を支払わない場合には、最低賃金法第40条に基づき50万円以下の罰金に処されるおそれがあります。また、特定(産業別)最低賃金以上の給与を支払わない場合には、労働基準法24条の賃金支払いの5原則に反するため、同法第120条に基づき30万円以下の罰金が課される可能性もあるので注意しましょう。
関連記事:労働基準法第24条とは?例外や違反した場合の罰則を詳しく解説
6. 地域別最低賃金の減額が特例で認められるケースがある


労働者を雇用するときは、原則として地域別最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。ただし、都道府県労働局長の許可を受ければ、最低賃金の減額特例が認められることがあります。減額特例の対象となるのは次のような労働者です。
- 精神または身体の障害により著しく労働能力が低い人
- 試用期間中の人
- 認定職業訓練を受けている人のうち、厚生労働省令で定められている人
- 軽易な業務に従事する人
- 断続的労働に従事する人
これらの労働者については、最低賃金を一律に適用するとかえって雇用の機会が狭まる可能性があります。そのため、就業機会の確保や職業能力の向上などを考慮し、減額特例が認められることがあるのです。
一方、特定最低賃金は特定の産業の基幹的労働者に適用されます。次のような人には適用されません。
- 18歳未満または65歳以上の人
- 雇入れ後一定期間未満で、技能を習得中の人
- その他、当該産業に特有の軽易な業務に従事する人
関連記事:試用期間中に最低賃金を下回ることはできる?支払い対象の手当や注意点を解説
7. 労働基準法における最低賃金を把握し適切な給与額を設定しましょう


労働者に対して支払う給与の金額は雇用者にとって収益性に関わる重要なポイントです。
最低賃金の平均額は現在少しずつ引き上げられており、今後も金額は上がっていくと考えられます。
労働基準法の最低賃金額を守り、生産効率をアップさせるなどして収益性のバランスをとっていきましょう。



人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。
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