労働基準法第24条とは?例外や違反した場合の罰則を詳しく解説
更新日: 2026.7.31 公開日: 2021.10.3 jinjer Blog 編集部

労働基準法第24条は、賃金支払いの基本となる「賃金支払いの5原則」を定めた極めて重要な条文です。これを正しく理解していないと、知らないうちに法違反となり、罰則を課されるリスクがあります。
本記事では、労働基準法第24条が定める5原則の内容や例外となるケース、天引き(控除)の違法・適法の境界線、違反時の罰則事例までわかりやすく解説します。
そもそも労働基準法とは?という方はこちらの記事をまずはご覧ください。
関連記事:労働基準法とは?法律の要点や人事が必ず押さえたい基本をわかりやすく解説
目次
人事担当者であれば、労働基準法の知識は必須です。しかし、その内容は多岐にわたり、複雑なため、全てを正確に把握するのは簡単ではありません。
◆労働基準法のポイント
- 労働時間:36協定で定める残業の上限時間は?
- 年次有給休暇:年5日の取得義務の対象者は?
- 賃金:守るべき「賃金支払いの5原則」とは?
- 就業規則:作成・変更時に必要な手続きは?
- 40年ぶりの大改正:人事担当者が押さえておきたい項目は?
これらの疑問に一つでも不安を感じた方へ。
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1. 労働基準法第24条は賃金支払いのルールを定めた法律


労働基準法第24条とは、労働者に対する賃金の支払いルールについて記載された条文です。条文の中では5つのルールが定められており、一般的に「賃金支払いの5原則」とよばれます。
1-1. 労働基準法第24条の条文
労働基準法第24条に定められている条文の内容は次の通りです。
労働基準法第24条
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
労働基準法第24条の適用の対象となる「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与など名称に関わらず、労働の対価として使用者が労働者に支払うすべてのものを指します(労働基準法第11条)。
ただし、実費的な性格を持つ旅費や交際費の支給は、通常「賃金」に該当せず、賃金支払い5原則の適用を受けません。要するに、賃金とは広範な概念であり、労働者が労働に対して受け取る全ての報酬を含むと理解されます。
関連記事:労働基準法に定められた賃金とは?定義や給与との違いと5原則を解説
1-2. 賃金支払いの5原則とは
【賃金支払いの5原則】
- 通貨支払いの原則
- 直接払いの原則
- 全額払いの原則
- 毎月1回以上払いの原則
- 一定期日払いの原則
賃金支払いの5原則は不当な搾取や賃金の未払いから労働者を守り、その生活を安定させるための取り決めです。これらの原則により、日本では現金以外(貴金属や商品券など)で賃金を支給することや、従業員の代理人に賃金を支払うことなどが禁止されています。
賃金支払いの5原則は労働基準法に定められた法令であり、経営者はこれらを遵守したうえで従業員への賃金支給をおこなわなければなりません。
2. 労働基準法第24条における賃金支払い5原則の内容と例外


労働基準法第24条で定められる賃金支払い5原則について、その内容を1つずつ詳しく解説します。それぞれの原則には例外となる事例もあるため、合わせてチェックしておきましょう。
2-1. 通貨支払いの原則
従業員の賃金は、日本で流通する通貨(日本円)で現金支払いをしなければなりません。労働基準法第24条では、社会において最も有利な交換手段である通貨による賃金支払いが義務付けられています。小切手や商品券を賃金の代わりとすることや、貴金属や腕時計などによる現物支給は法令違反です。
ただし、例外として賃金の口座振り込みは認められています。この場合は事前に労働者の同意が必要です。現代社会において賃金の現金支給はかえって不便であり、口座振り込みが定着しています。
また、法令で例外と認められており、かつ労使協定が締結されている事項に関しては現物支給も可能です。例えば、定期券による通勤手当の支給や、小切手による退職金支払いなどが該当します。
2-1-1. 【2023年4月施行】賃金のデジタル払いが解禁
令和5年4月1日から施行された労働基準法施行規則の改正により、賃金のデジタル払いが可能となりました。これにより、特定の電子マネーを用いた賃金支払いが合法化されましたが、全ての電子マネーが利用できるわけではなく、厚生労働大臣が指定した資金移動業者(PayPay株式会社や楽天Edy株式会社など)の電子マネーのみが利用可能です。また、現金化できないポイントや仮想通貨による支払いは認められていません。
賃金のデジタル払いには、銀行口座を持たない労働者でも給与を受け取りやすくなることや、ATMで現金を引き出す手間を減らせることなどのメリットがあります。また、利用する決済サービスによっては、ポイント還元などの特典を受けられる場合もあります。
一方で、資金移動業者ごとに受入上限額(100万円以下)が設定されており、超過分が発生する場合はあらかじめ指定した銀行口座などへ送金される仕組みです。また、セキュリティや資金移動業者の破綻などのリスクもあります。さらに、導入コストも考慮すべき点です。
そのほか、デジタル払いの導入には、労使協定の締結と労働者の個別同意が必要です。トラブルを防止するためにも、制度の内容や注意点を十分に説明し、書面などで同意を取得しておくことが望ましいでしょう。この制度を活用する場合、企業は法的要件をしっかりと理解し、適切な対応をおこなうことが重要です。
参考:資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について|厚生労働省
関連記事:給与のデジタル払いとは?銀行振込との違いとメリット・デメリットを解説
2-2. 直接払いの原則
賃金は必ず従業員本人に直接支払わなければなりません。直接支払いの原則は、第三者による賃金の中間搾取を防ぐために適用されるものです。
たとえ希望があったとしても、従業員本人が指定した任意代理人への支払は法令違反です。また、従業員が未成年の場合でも、その両親など法定代理人へ賃金を支払うことは禁止されています。
例外として、従業員の「使者」に該当する人物に対しては賃金の支払いが認められています。病気欠勤中に配偶者が本人に代わって受け取りに来た場合などに支払うことは可能です。
代理人と使者の区別は困難な場合もありますが、社会通念上本人に支給するのと同等の効果を生ずる者か否かで判断します。
2-3. 全額払いの原則
その期間の賃金は、全額まとめて一括で支払う必要があります。全額払いの原則は、使用者による恣意的な控除を防ぎ、従業員が労働の対価を確実に受け取れるようにするためのルールです。そのため、企業が独自の判断で賃金の一部を留保したり、不明確な理由で差し引いたりすることは認められません。
ただし、法令に基づく所得税・住民税・社会保険料などの控除は例外として認められています。また、過半数労働組合(これがない場合は過半数代表者)との労使協定によって同意が得られている項目についても控除が可能です。
社内旅行積立費や親睦会費、社宅費、物品購入代金などは労使協定の締結があれば賃金から天引きできます。ただし、労使協定があれば無制限に控除できるわけではなく、控除の対象や金額、目的が明確であり、労働者にとってその内容が客観的に理解できる「事理明白」なものに限られます。
参考:賃金控除に関する労使協定を締結していますか?|厚生労働省
2-3-1. 企業から労働者に金銭を貸し付けている場合はどうする?
企業が労働者に対して金銭を貸し付けている場合でも、賃金支払いにおいては「全額払いの原則」が適用されます。この原則により、貸付金と賃金を相殺することは基本的に認められていません。賃金は、労働者がその労働に対して受け取るべき正当な対価であり、これを貸付金で相殺することは労働者の生活を脅かす可能性があるため、違反行為とみなされます。
ただし、例外として労働者が相殺に同意し、その同意が労働者の自由な意思に基づくと認められる合理的な理由がある場合には、合意による相殺が認められます。この場合、企業は労働者からの書面による明確な同意を得ることが重要です。また、その同意が強制されていないことを示す証拠も必要です。もしこれを無視して相殺をおこなうと、賃金支払いに関する法律に違反し、罰則を受けるリスクが生じます。したがって、企業は十分な注意を払い、法令遵守を徹底する必要があります。
2-3-2. 賃金を過払いしてしまった場合はどうする?
賃金の過払いとは誤って労働者に多くの賃金を支払うことを指します。そして、過払い分を翌月以降の賃金から差し引く手続きを「調整的相殺」とよびます。
この手続きをおこなうには、①過払い発生時期と賃金の清算調整時期が合理的に近接していること、②労働者に事前の予告があり、その額が多額で経済生活の安定を脅かさないこと、という条件が必要です。これらの条件を満たせば全額払いの原則に違反することなく、適切な対応が可能です。
2-4. 毎月1回以上払いの原則
賃金は、最低でも月に1回以上の頻度で支払いが必要です。たとえ支給額が同じであったとしても、2ヵ月分をまとめて隔月で支払うということはできません。なお、この場合の1ヵ月とは暦の上での毎月1日から月末最終日までを指します。
毎月1回以上払いの原則は労働者の生活上の不安を軽減することが目的です。特に十分な貯蓄がない若年層では、賃金の支払い間隔が開くと衣食住が満足に賄えない可能性もあります。
年俸制を採用している企業の場合は、最低でも年俸を12分割して毎月支給しなければなりません。1年分の報酬をまとめて先払いすることも違法になるおそれがあります。
例外として、毎月の給与と別に発生する賃金については不定期での支払が可能です。いわゆるボーナスとよばれる年2回の賞与や、結婚手当のような臨時で発生する手当が該当します。
2-4-1. 事業活動が停止して賃金を支払えない場合はどうする?
毎月1回以上払いの原則に違反すると、労働基準法違反となるだけでなく、未払い賃金が発生することにもなります。従業員から未払い賃金の請求を受けたら、これに速やかに応じなければなりません。場合によっては、遅延損害金や付加金も支払わなければならないおそれもあります。
もしも事業活動が停止し、再開および賃金支払いの見込みがないなど、一定の条件を満たせば、国が代わりに賃金を立て替えて支払う「未払賃金立替払制度」を利用できる可能性があります。資金繰りが苦しくなったら、未払い賃金を発生させる前に、まずは最寄りの労働基準監督署に相談をしましょう。
2-5. 一定期日払いの原則
賃金はあらかじめ指定された一定の期日で支払われなければなりません。「月末締めの翌月25日払い」のように、毎月決まった期日を設定する必要があります。
「毎月第3金曜日」のような毎月の日付が一定にならない期日設定は違法です。また、「毎月20日から25日」のように支払期日に幅を持たせることも禁止されています。
一定期日払いの原則は、毎月1回以上払いの原則と同様に労働者の生活を安定させるための取り決めです。支払日が毎月変動すると計画的な生活を送ることが困難になります。
例外として挙げられるのは支払日が休日の場合です。
支払日と休日が重なってしまった月は、該当月に限り支払日を変動することができます。その際は、休日前最後の平日に支払われることが一般的です。
関連記事:給料の締め日とは?支払日との違いや決めるポイント・変更の注意点を解説
3. 労働基準法第24条において賃金からの天引きは違法?


労働基準法第24条において、賃金から天引きすると違法になるものと、ならないものがあります。具体的に見ていきましょう。
3-1. 賃金からの天引きが認められるもの
賃金から控除できるのは、法令で定められたもの、または書面による労使協定に基づくものに限られます。従業員による物品購入代金などの控除は、たとえ少額であっても、労使協定がなければ認められません。
3-1-1. 法令で認められた税金・社会保険料
健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、所得税、住民税などの法定の社会保険料・税金については、労働基準法第24条第1項但書の「法令に別段の定めがある場合」に該当するので、企業は従業員の賃金から控除できます。
これらについては、各法令に基づき事業主に徴収・納付義務が課されており、その履行のために賃金からの控除が認められているのです。
3-1-2. 労使協定で控除認められた社宅料・社員旅行の積立金など
社宅使用料や社員旅行の積立金なども、労使協定において対象として定められていれば、賃金から控除することが可能です。なお、就業規則や雇用契約書への記載は法律上の必須要件ではありませんが、控除の内容や方法について明確化し、労使間の認識の齟齬を防ぐ観点から整備しておくことが望ましいでしょう。
これらの手続きを適切におこなわずに賃金控除を実施した場合には、労働基準法違反となり罰則の対象となる可能性があります。企業の信用や労使関係に悪影響を及ぼすおそれもあるので注意しましょう。
3-1-3. 遅刻・早退や欠勤した分の控除
遅刻・早退や欠勤があった場合、ノーワーク・ノーペイの原則に基づき、その時間・日数分の賃金は控除できます。ただし、従業員が有給休暇を取得した場合や、企業都合で労働者を休業させる場合は、たとえ働いていないとしても、法律に基づき正しく賃金を支払わなければならないので注意しましょう。
関連記事:勤怠管理で遅刻や早退を管理するには?控除の方法と注意点を解説
3-2. 賃金からの天引きが認められないもの
労使協定を締結したとしても、賃金から自由に控除できるわけではありません。例えば、業務遂行のために必要となる経費や労働者が企業に与えた損害の補填金、さらには給与振込にかかる手数料などは、賃金から天引きすることは認められていません。
3-2-1. 業務上で必要になる費用・損害金額
修理費などの業務上必要となる費用や損害賠償金は、原則として賃金から控除することはできません。その理由は、労使協定を締結して賃金から天引きできるものは、購買代金や社宅費などのように客観的に明らかで労働者本人が納得できる「事理明白」な項目に限られているためです。
損害賠償金などはこれに該当しないため、労使協定の締結による天引きは認められません。ただし、労働者に対して損害賠償を請求すること自体は可能です。その場合は、本人から企業へ直接支払ってもらう、あるいは債権者へ直接支払うといった方法が考えられるでしょう。
3-2-2. 給与における振込手数料
給与の振込手数料を賃金から控除することは、原則として認められません。支払いに必要な振込手数料などの費用は、従業員に賃金を確実に支払うために企業側が負担すべきものと解されるのが一般的だからです。
一方で、給与の前払いサービス(即時払いサービスなど)を従業員が任意で利用し、その利用に伴い発生する手数料については、賃金そのものの控除ではなく、別個のサービス利用料として扱われる可能性があります。
4. 労働基準法第24条の違反となる行為と罰則


労働基準法第24条に違反していると疑われる場合、労働基準監督署による調査がおこなわれ、事案に応じて是正指導・勧告がなされることがあります。
改善が見られない場合や悪質性が高い場合には、送検され、刑事事件として扱われるおそれもあります。その場合、労働基準法第120条に基づき、使用者(企業や代表者など)に対して30万円以下の罰金が課されることがあります。
ここでは、具体的にどのようなケースが労働基準法第24条違反に該当し得るのかを紹介します。
4-1. 違反例①現金払い請求を拒否して口座振込を継続した
労働基準法第24条では、賃金は原則として「通貨」で支払わなければならないと定められています。そのため、企業が給与を口座振込で支払うためには、あらかじめ労働者本人の同意を得なければなりません。
実際に、従業員が現金払いを希望して口座振込への同意を撤回したにもかかわらず、企業が口座振込を継続したことが労働基準法第24条違反として問題となった事例があります(御国ハイヤー事件・名古屋高裁昭和33年2月5日判決)。
給与の口座振込は、あくまでも労働者本人の同意を前提とした例外的な支払方法です。企業は一方的に口座振込を強制できず、従業員が同意しない場合には現金で支払う必要があります。
参考:労働基準法違反被告事件(御国ハイヤー事件)|全国労働基準関係団体連合会
4-2. 違反例②賃金と損害賠償請求権を相殺した
労働基準法第24条では、賃金の全額を労働者に支払う「全額払いの原則」が定められています。そのため、企業が従業員に対して損害賠償請求権を有している場合でも、原則として賃金から一方的に差し引くことはできません。
実際に、企業の破産後に未払賃金の有無が争われた「日本勧業経済会事件(最高裁昭和36年5月31日判決)」では、破産管財人が労働者に対する不法行為に基づく損害賠償債権を理由に、未払賃金との相殺を主張しました。
しかし、裁判所はこの主張を認めませんでした。これは、賃金が労働者とその家族の生活を支える重要な収入であり、確実に受け取れるよう法的に保護する必要があるためです。
このように、たとえ不法行為に基づく損害賠償債権であっても、使用者が賃金債権と相殺することは原則として認められません。賃金から何らかの金額を控除する場合は、労働基準法や判例に照らして適法な処理であるかを十分に確認することが重要です。
参考: 破産債権確定事件(日本勧業経済会事件)|全国労働基準関係団体連合会
4-3. 違反例③経営難を理由に賃金支払日に賃金を支払わなかった
労働基準法第24条では、「毎月1回以上の原則」および「一定期日払いの原則」に基づき、賃金を毎月1回以上、あらかじめ定めた支払日に支払わなければなりません。
実際に、経営難を理由として賃金の未払いが発生し、企業の取締役らが起訴された事例もあります(日本衡器工業事件・東京高裁昭和33年7月17日判決)。賃金の支払いは労働者の生活を支える重要な義務であり、単に経営不振や資金不足であることを理由に、その支払いを免れることはできません。
そのため、経営状況が悪化した場合であっても、企業には金融機関からの資金調達を検討する、不急の支出を抑制するなど、賃金支払いのために可能な限りの措置を講じることが求められます。賃金は他の債務に優先して確保すべきものであり、企業はその支払いを最優先に考えなければなりません。
参考:労働基準法違反被告事件(日本衡器工業事件)|全国労働基準関係団体連合会
5. 法律に則った賃金の支払いに関連して抑えておくべきルール


ここでは、企業から従業員へ賃金を支払ううえで、労働基準法第24条「賃金支払いの5原則」に関連して押さえておくべきルールのポイントを解説します。
5-1. 賃金ルールは就業規則に明記する
常時従業員数10人以上の企業は、就業規則を作成し、労働基準監督署へ届け出る義務があります。就業規則に記載しなければならない事項のなかには、賃金のルールが含まれています。
従業員とトラブルを生まないためにも、賃金の決定方法や計算方法、支払方法、締日・支払日など、細かく就業規則に賃金のルールを記載しておきましょう。
関連記事:賃金(給料規程)とは?記載事項や作成する際のルール・注意点をわかりやすく解説!
5-2. 最低賃金を下回らない賃金を設定する
企業は、従業員に対して法律で定められた最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。最低賃金制度には、都道府県ごとに定められる「地域別最低賃金」と、特定の産業に適用される「特定最低賃金」があり、原則として両方が適用される場合は高い方の金額を支払う必要があります。
最低賃金の対象となるのは、正社員だけでなく、パート・アルバイトや契約社員など雇用形態を問わずすべての労働者です。また、月給制や日給制の場合であっても、時間額に換算した結果が最低賃金を下回っていないか確認しなければなりません。
最低賃金を下回る賃金を定めた労働契約は、その下回る部分について無効となり、使用者は最低賃金額との差額を支払う義務を負います。最低賃金額は毎年改定されるので、最新の改定内容を確認し、自社の賃金水準が法令に適合しているか定期的に見直すことが重要です。
関連記事:労働基準法に基づく最低賃金とは?その基準や違反への罰則を解説
5-3. 労働時間は1分単位で給与計算をおこなう
企業が賃金支払いに関する法律を適正に遵守するためには、労働時間を1分単位で給与計算することが重要です。労働基準法上、労働時間を15分や30分単位で切り捨てて計算することは「全額払いの原則」に反し、違法とされています。そのため、割増賃金の計算も含め、労働時間は1分単位で処理することが求められます。
ただし、法律には一部例外も認められています。例えば、1時間あたりの賃金や割増賃金に円未満の端数が生じた場合、50銭未満は切り捨て、50銭以上は1円に切り上げられます。また、1ヵ月における時間外労働や休日労働、深夜業それぞれの総額に1円未満の端数が生じた場合も同様の処理が認められています。同じく、1ヵ月の時間外労働、休日労働、深夜業それぞれの合計時間に1時間未満の端数がある場合は、30分未満を切り捨て、30分以上を1時間に切り上げることが可能です。
これらのルールを遵守し、正しく給与計算をおこなうことで、企業は法的リスクを回避し、労働者の権利を保障することができます。
関連記事:給与計算で迷わない端数処理のポイント|小数点以下の計算ルールも解説
5-4. 時間外・休日・深夜労働の割増賃金を適切に支給する
法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える「時間外労働」や、法定休日に働く「休日労働」、午後10時から午前5時までの「深夜労働」を従業員におこなわせた場合、労働基準法に基づき割増賃金を支払わなければなりません。割増率は労働の種類によって次のように異なります。
- 時間外労働:25%以上(ただし、月60時間を超える部分は50%以上)
- 休日労働:35%以上
- 深夜労働:25%以上
なお、これらの割増率は法令上の最低基準であり、企業はこれを上回る割合を定めることも可能です。また、深夜労働が時間外労働や休日労働と重なる場合には、それぞれの割増率を加算して計算します。
割増賃金の計算を誤ったり、法定の割増率を下回る額しか支払わなかったりすると、未払い賃金を請求されるおそれがあります。そのため、各割増率の適用関係を正しく理解し、適切な労働時間管理と賃金計算をおこなうことが重要です。
関連記事:割増賃金とは?深夜や休日の割増賃金率や計算、副業の取扱などをわかりやすく解説
6. 労働基準法第24条を遵守して適切に賃金を支払おう


労働基準法第24条は賃金の未払いや不当な搾取から労働者を守るための条文です。法令違反は経営者自身が罪に問われるばかりか、従業員の不信を招きます。労働基準法第24条の賃金支払いの5原則を正しく理解し、従業員に対して適切に賃金を支払いましょう。



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