産休はいつからとれる?期間や育休制度との違い、給与計算・手当について解説
近年では、育児と仕事の両立が日常となってきており、女性の社会進出が支援されるようになりました。
その1つとして「産休」制度があり、お母さんは仕事を一定期間休んで、出産に専念できる期間が設けられています。
とはいえ「産休」という言葉は知っていても、具体的な内容やいつからとれるのか期間などはよく分からないという方は多いのではないでしょうか?
本記事では、産休の期間や給与について徹底解説しています。
「派遣社員」の産休取得についても併せて解説しているため、近い将来に取得しようと考えている方は参考にしてください。
目次
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会社として、育休や介護休業の制度導入には対応はしてはいるものの 「取得できる期間は?」「取得中の給与の正しい支給方法は?」このようなより具体的な内容を正しく理解できていますか?
働く環境に関する法律は改正も多く、最新情報をキャッチアップすることは人事労務担当者によって業務負担になりがちです。
そんな方に向けて、当サイトでは今更聞けない人事がおこなうべき手続きや、そもそもの育児・介護休業法の内容をわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
また、2022年4月より段階的におこなわれている法改正の内容と対応方法も解説しているため、法律に則って適切に従業員の育児・介護休業に対応したい方は、こちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 産休(産前産後休業)とは?
産休とは、出産のために仕事を休める制度を指します。
産休は「産前休業」と「産後休業」を合わせて「産休」と呼び、出産する全ての人が対象となる制度です。
産前休業は、出産予定日の6週間前(多胎の場合は14週間前)から開始できます。
休業開始日は任意であり、強制的に休業させる制度ではないため、出産直前まで働くことを望むケースもあります。
また、出産が遅れて産前休業が6週間より先になった場合は、超過した分も産前休業として扱われます。
産後休業は、出産をした日から8週間まで適用されます。
産前休業とは異なり「産後8週間は体を休める期間」として定められているため、原則として休業する必要があります。
例外として、本人が希望していることに加えて、医師の許可が下りた場合に限り「6週間に短縮」することもできます。
1-1. 産休を取得する条件
日本における産休の取得条件は非常に緩やかで、企業に勤める妊娠中の女性であれば誰でも取得可能です。雇用形態や就業期間にかかわらず、正社員、アルバイト、パート、派遣社員、契約社員など、すべての労働者が対象となります。そのため、転職したばかりであっても産休を取得することができます。これは、母性保護の観点から法的に保証されているためです。
1-2. 産休を取得する方法
産休を取得するためには、通常、企業に対して事前に申請を行う必要があります。特に産前休業をとるためには、出産予定日の6週間前までには申請を行うのが望ましいです。ただし、体調の変化や業務担当者の引き継ぎなどを考慮して、できるだけ早めに申請する方が良いでしょう。申請の際には、企業の規定に従って適切な手続きを行うことが重要です。産前休業の申請時に、産後休業も同時に申請できるケースが一般的です。
2. 産休の期間はいつからいつまで?
産休の取得可能期間は、産前休業と産後休業と分けて、取得期間を設けています。
産前休業の開始日は任意であり、強制的に休業させる制度ではないため、予定日6週間より前でも、体調不良などが原因で経過が不安と感じる場合は開始日を早められないか相談してみると良いでしょう。
また、双子などの多胎妊娠の場合は、産前休業が予定日の14週間前から取得可能です。
産後休業が終了した翌日からは、一定の条件を満たしていれば「育休」に切り替わり、子どもが1歳になるまで育児に専念できます。
2-1. 産休期間の計算例
たとえば、出産予定日が2022年12月31日だった場合、産前休業は予定日の42日前から取得が可能なため「2022年11月20日〜2022年12月31日」の期間に取得が可能です。
産後休業の場合は、出産した翌日から56日間の取得が可能なため「2023年1月1日〜2023年2月25日」の期間に取得が可能です。
2-2. 出産予定日よりも前後に生まれた場合
留意点として、出産予定日は「あくまでも予定」であり、予定日の前後に出産がずれるケースは十分に考えられます。出産予定日よりも早く産まれた場合は、産前休業はそのまま前倒しで短くなり、出産日の翌日から産後休業が開始されます。
一方で、出産予定日よりも遅く産まれた場合は、予定日から実際の出産日までの期間も産前休業に含まれるため、実際の申請期間よりも長くなります。
休業期間が前後するのは「産前休業」のみであり、産後休業の「8週間」は延長されません。
3. 「産休」と「育休」制度の違いとは
産休と似たような制度として「育休」という制度が存在します。
育休とは、子どもの養育を目的に国が法律で定めた公的制度で、正式名称は「育児休業」と言います。産休と育休の違いは下記の通りです。
ある一定の条件を満たせば母親だけでなく、父親も取得が可能であるのが産休と育休の大きな違いです。
育休は、原則として子どもが1歳になるまでの期間内で休業が認められています。
例外として、「保育所等の申込みを行っているが見つからない」などのやむを得ない事情がある場合は、最長で2年間の延長措置を取ることができます。
3-1. 育休の条件
育休を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること
- 子どもの1歳の誕生日以降も雇用が継続される見込みであること
- 子どもの2歳の誕生日の前々日までに労働契約が満了する予定でないこと
なお、育休も雇用形態にかかわらず取得できるため、正社員、契約社員、派遣社員など幅広い労働者が対象です。
3-2. 育休を取得する方法
育休を取得するには、休業開始予定日の1ヶ月前までに企業に対して申請を行う必要があります。特に産後休業からそのまま育休に移行する場合、産前休業前または産前休業中に申請するのが理想的です。また、育休の延長を希望する場合、子どもが1歳を迎えていたら2週間前まで、1歳未満であれば1ヶ月前までに申請を行う必要があります。企業の規定に従い、適切な手続きを忘れずに行いましょう。
4. 産休中の給与計算と手当
産休制度があることで、安心して出産や育児に専念できます。その一方で「産休中に給与が発生するか」気になっている方も多いのではないでしょうか?ここでは産休中の給与計算と関連する手当を解説します。
4-1. 企業は産休中に給与を支払うべき?
結論からいうと、産休中は基本的に給与が発生しないケースが多いです。
企業によっては産休中に給与の一部または全額を支払うところもありますが、決して多くはありません。
とはいえ、産休中は下記のような補助金や手当金がもらえます。
- 出産育児一時金
- 出産手当金
出産は病気でないため、一般的な出産であれば健康保険の適用外となるため、健診や出産費用は全額自己負担です。
そのため、各自治体の制度や、上記のような補助金や手当金を活用して出産費用の負担を減らすように心がけましょう。
関連記事:産休を取得した従業員の給与計算の方法は?ルールや注意点を解説
4-2. 出産育児一時金
出産育児一時金は、子どもの出産1人につき50万円が健康保険より支給される給付金制度です。
双子などの多胎児を出産した場合は「出産した子どもの人数分」だけ支給されます。
日本では「国民皆保険制度」が設けられているため、すべての国民が医療保険制度に加入しています、
そのため、出産育児一時金は日本に住んでいる「ほぼすべての出産する方」が受け取れる給付金となっています。
4-3. 出産手当金
出産手当金は、産休期間中に給与が支払われなかった日数に対して「1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する額」を手当金として支給してもらえます。
標準報酬日額は、社会保険料を算出するための仕組みで「基本給と手当を合わせた月給の平均額」を30日で割った金額を指します。
出産育児一時金の場合は、出産するほとんどの人が受け取れましたが、出産手当金は下記の条件に該当する人のみ受け取れます。
- 勤務先の健康保険に加入している
- 産休中に給与の支払いがない
出産手当金は、出産を目的に会社を休んで給与を受けられなかった方が対象となっており、健康保険から支給される手当金です。
そのため、契約社員や派遣社員でも、健康保険に加入していれば受け取ることができるため、該当となる場合は必ず申請を行いましょう。
4-4. 社会保険料免除
産休・育休期間中は、健康保険や厚生年金保険の保険料が免除される制度があります。この制度を利用すると、保険料の自己負担分だけでなく企業負担分も免除されます。ただし、免除された期間も将来の年金額に影響を及ぼさず、通常通りの給付が受けられます。
5. 産休に関連するよくある質問
併せてチェックしておくべき情報として、産休に関連してよくある質問をまとめました。発生し得るケースから事前に対応方法を確認しておきましょう。
5-1. 派遣社員も同様に産休を取得できる?
産休の場合は、正社員だけでなく「派遣社員」でも取得が可能です。とはいえ、派遣社員は、企業と事前に契約期間を決めて就労しています。
元々予定されていた契約終了期間が、産休や育休期間と重なっている場合は、更新を行わなくても問題はないとされています。
そうなると、産休や育休の取得が難航するケースになりかねないため、事前に派遣会社に相談しておくことが得策です。
5-2. 産休や育休が原因で解雇されるケースはある?
産休・育休を理由に解雇されることは法律で禁止されています。労働基準法や育児・介護休業法により、妊娠や出産、育児休業を理由とした解雇は厳しく制限されています。もしそのような不当解雇があった場合には、労働基準監督署に相談するケースがあります。
5-3. 復職希望者においてフルタイム勤務が難しい場合はどう対応すべき?
復職後にフルタイム勤務が難しい場合は、育児休業終了後も利用できる制度を活用しましょう。
子どもの年齢に応じて、育児時間や短時間勤務制度などの柔軟な働き方が認められています。たとえば、育児時間(1日2回各30分)、短時間勤務、子の看護休暇、時間外労働や深夜業の制限などが利用可能です。
6. 会社として正しく産休を取得できる職場環境を整えよう
産休とは、出産のために仕事を休める制度を指します。
出産する全ての人が対象となる制度であるため、正社員だけでなく「派遣社員」でも取得が可能です。
産休は「産前休業」と「産後休業」に分かれており、それぞれ目的や取得可能期間が異なります。
産休中は基本的に給与が発生しないケースが多いため、各自治体の制度や「出産育児一時金」「出産手当金」のような給付金を活用して、出産費用の負担を減らすことが大切となるでしょう。
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