介護保険料は年末調整の控除対象?控除額や書き方・注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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介護保険料は年末調整の控除対象?控除額や書き方・注意点を解説

キーボードをたたく女性

「介護医療保険料料は年末調整で控除できる?」

「介護医療保険料を控除する際はどう書けばいい?」

「介護医療保険料を控除する際に注意するべきことは?」

年末調整の時期が近づくと、保険料控除について悩む人は多いのではないでしょうか。

介護医療保険料は、生命保険控除の一部として年末調整可能です。ただ、控除に該当する保険の種類が決められているため、介護医療保険料が控除対象になるか事前に確認しなければなりません。

本記事では、介護医療保険料がどのように年末調整で控除されるのか、対象や手続き方法、注意点を詳しく解説します。正しい知識を身につけて、所得税や住民税の負担を軽減しましょう。

1. 介護医療保険料は年末調整の控除対象になる

現金の授受

介護医療保険料は、年末調整において生命保険料控除の一部として控除対象になります。病気やけがに伴う医療費・損害に対して保険金が支払われる保険契約が対象です。

年末調整でこの控除を申告することで、該当する従業員の所得税や住民税の負担を軽減できます。公平性を保つためにも、忘れず処理するべき事項といえるでしょう。

自分が加入している保険契約の内容をよく確認し、控除対象かを判断することが重要です。

2. 介護医療保険料控除に該当する保険の種類

書類をチェックする男性

介護医療保険料控除に該当する保険の種類は以下のとおりです。

  • 医療費に対して支払われる保険
  • 疾病や身体の傷害に対して支払われる保険

2-1. 医療費に対して支払われる保険

医療費に対して支払われる保険とは、入院や通院などの医療費をカバーするために契約される保険のことです。

生命保険や損害保険会社が提供する医療保険が該当します。また、入院時の治療費や手術費用を補償する医療保険、がん治療に特化したがん保険なども対象です。

実際に発生した医療費に基づいて給付金が支払われるため、その年に支払った保険料は介護医療保険料控除の対象となります。

ただし、貯蓄型の医療保険や短期(5年未満)の契約は控除対象外となるため注意が必要です。また、傷害による治療費のみをカバーする傷害保険も、控除制度には含まれません。

参考:No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等|国税庁

2-2. 疾病や身体の傷害に対して支払われる保険

疾病や身体の傷害に対して支払われる保険とは、病気やケガで発生するリスクをカバーするための保険のことです。生命共済契約や簡易生命保険などが含まれます。

主に、疾病や身体障害によって発生した損害に対して給付金が支払われる点が特徴です。心臓病や脳卒中など特定の疾病にかかった場合や身体障害を負った場合、状態に応じて一定額の給付金が受け取れます。

ただし、こちらも5年未満の短期契約や貯蓄型契約は控除対象外です。また、外国生命保険会社や外国損害保険会社など、国外で契約した保険も対象外になる点に注意しましょう。

参考:No.1141 生命保険料控除の対象となる保険契約等|国税庁

3. 介護医療保険料の年末調整での控除額

サインをする男性

介護医療保険料の年末調整の控除額は、所得税と住民税で異なります。また、新契約か旧契約かでも異なる点に注意が必要です。

ここからは、以下の流れで所得税・住民税それぞれの控除額を解説します。

  • 所得税の控除額
  • 住民税の控除額

3-1. 所得税の控除額

新契約(2012年1月1日以後に締結した保険契約)の控除額は以下のとおりです。

年間の支払い保険料 控除額
20,000円以下 支払保険料などの全額
20,000円超40,000円以下 支払保険料など×1/2+10,000円
40,000円超80,000円以下 支払保険料など×1/4+20,000円
80,000円超 一律40,000円

年間支払保険料が多くなるにつれて控除額も段階的に増加しますが、所得税の控除限度額は最大で4万円です。

なお、介護医療保険料控除はほかの生命保険料控除(一般生命保険や個人年金保険)と併用でき、それぞれ最大4万円までの控除を受けられます。合計すると、所得税で最大12万円までの控除が可能です。

ただ、上記の制度は2012年1月1日以降に契約された介護医療保険が対象となります。それ以前に契約された場合は、旧制度の一般生命保険料控除として扱われるため、計算方法や上限額が異なる点に注意しましょう。

旧契約(2011年12月31日以前に締結した保険契約)の控除額は以下のとおりです。

年間の支払い保険料 控除額
25,000円以下 支払保険料などの全額
25,000円超50,000円以下 支払保険料など×1/2+12,500円
50,000円超100,000円以下 支払保険料など×1/4+25,000円
100,000円超 一律50,000円

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

3-2. 住民税の控除額

新制度(2012年1月1日以降に締結した保険契約)の控除額は以下のとおりです。

年間の支払い保険料 控除額
12,000円以下 支払保険料などの全額
12,000円超32,000円以下 支払保険料など×1/2+6,000円
32,000円超56,000円以下 支払保険料など×1/4+14,000円
56,000円超 一律28,000円

住民税における介護医療保険料控除も、所得税と同様に段階的な計算方式が採用されています。ただし、住民税の控除限度額は所得税よりも低く設定されている点が特徴です。

所得税と同様、住民税もほかの一般生命保険料や個人年金保険と併用する場合、それぞれ2万8,000円までの住民税控除を受けられます。合計すると、住民税では最大7万円までの控除が可能です。

なお、住民税も所得税と同様に、新制度(2012年以降契約)と旧制度(2011年以前契約)で計算方法や上限額が異なります。旧制度では一般生命保険として扱われ、3万5,000円までの控除となる点に注意しましょう。

旧制度(2011年12月31日以前に締結した保険契約)の控除額は以下のとおりです。

年間の支払い保険料 控除額
15,000円以下 支払保険料などの全額
15,000円超40,000円以下 支払保険料など×1/2+7,500円
40,000円超56,000円以下 支払保険料など×1/4+17,500円
70,000円超 一律35,000円

参考:生命保険料控除制度とは?|公益財団法人 生命保険文化センター

4. 年末調整における介護医療保険料控除の申告方法

書類と女性

年末調整で介護医療保険料控除を受ける場合、まず従業員が勤務先に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出する必要があります。自動的に適用されるわけではないため、年末調整や確定申告の際に従業員自ら申告しなければなりません。

申告書の記入には、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」が必要です。保険料控除証明書にはその年に支払った保険料の金額や契約内容が記載されているため、参考にしながら申告書に転記します。

なお、介護医療保険料控除の申告は、従業員個人が確定申告を使用して実施することも可能です。その場合は、以下の書類のどちらかを添付、または提示しなければなりません。

  • 支払金額や控除の受け取りが可能である旨を証明する書類
  • 電磁的記録印刷書面

年末調整で申告し忘れた場合や退職した年など特別な事情がある場合は、確定申告で後から手続きを実施します。

従業員が適切に控除申告できるよう案内しましょう。

参考:No.1140 生命保険料控除|国税庁

5. 介護医療保険料を控除する際の申告書の書き方

会議をする男女

介護医療保険料を控除する際の申告書の書き方は以下のとおりです。

  1. 「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除書」を準備する
  2. 「介護医療保険料」枠に必要事項を記入する

5-1. 「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除書」を準備する

年末調整で介護医療保険料を控除するためには、まず「給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」を準備します。勤務先から配布されるか、国税庁のWebサイトからダウンロードして入手可能です。

申告書は、以下のように複数の控除を一括して申請できる形式となっています。複数の保険を契約している場合はすべて控除対象になるため、忘れず記入しましょう。

  • 介護医療保険料
  • 生命保険料
  • 地震保険料
  • 社会保険料

申告書を入手できたら、次に必要事項の記入に欠かせない書類・情報も準備します。以下の情報が把握できるようにしておきましょう。

  • 保険会社から送られてくる「生命保険料控除証明書」
  • 保険契約に関する情報(契約者名、受取人名など)
  • 支払った保険料の金額

なお、上記の申告書は「配偶者特別控除」も兼ねているため、配偶者がいる場合は配偶者の情報も併せて準備することが大切です。

5-2. 「介護医療保険料」枠に必要事項を記入する

必要書類が準備できたら、申告書内の「生命保険料控除」欄を確認しましょう。新制度での所得税の生命保険料控除には、以下の3つの控除枠があります。

  • 一般生命保険料控除
  • 介護医療保険料控除
  • 個人年金保険料控除

新契約の場合は「介護医療保険料」、旧契約の場合は「一般の生命保険料」に記入しましょう。

具体的な記入項目は、以下のとおりです。

加入している保険会社名 利用中の保険会社の名称を記入
保険の種類 「生命保険料控除証明書」に記載されている保険の種目を転記
保険期間・年金支払期限 「生命保険料控除証明書」に記載されている情報を転記
保険の契約者の氏名 保険を契約している人物の氏名を記入
保険金の受取(氏名・続柄) 保険金を受け取る人物の氏名・続柄を記入
あなたが本年度中に支払った保険料の金額 「生命保険料控除証明書」に記載されている「申告額」を転記
(a)の金額の合計 利用中の保険の合計金額を記入
Cの金額を計算式Ⅰ(新保険料に当てはめて計算した金額) 書類下部の「計算式Ⅰ」に当てはめて計算した金額を記入

参考:《記載例》令和6年分保険料控除申告書|国税庁

6. 年末調整で介護医療保険料を控除する際の注意点

PCを操作する男性

年末調整で介護医療保険料控除する際の注意点は、以下の4点です。

  • 保険料控除証明書を必ず確認する
  • 傷害保険は適用されない
  • 保険期間や契約内容をチェックする
  • 申告漏れやミスに注意する

それぞれ詳細に解説します。注意点をしっかり把握し、ミスなくスムーズに申告できるよう努めましょう。

6-1. 保険料控除証明書を必ず確認する

年末調整で介護医療保険料控除を申告する際は、保険会社から送られてくる「保険料控除証明書」を確認することが重要です。

証明書には、その年に支払った保険料の金額や契約内容が記載されており、正確な申告に欠かせない情報が含まれています。情報を正確に転記しないと、控除が適用されません。

また、介護医療保険料控除は、主契約だけでなく特約部分も控除対象となる場合があります。証明書に記載された内訳も確認しておくことが大切です。

6-2. 傷害保険は適用されない

年末調整や確定申告における「介護医療保険料控除」では、傷害保険が対象外になる点も覚えておきましょう。

傷害保険とは、急激かつ偶然の外来事故によって生じたケガに保険金が支払われる制度のことです。事故で骨折した場合やスポーツ中に負傷した場合などが該当します。

傷害保険はあくまで「ケガ」の補償に限定されており、病気による入院や手術費用は補償されていません。

一方、介護医療保険料控除では、病気やケガによって生じた「医療費」を補填するための保険料に対して適用されます。そのため、病気を補償対象としない傷害保険は対象にならない点に注意が必要です。

6-3. 保険期間や契約内容をチェックする

年末調整において介護医療保険料の控除を受ける際は、保険期間や契約内容をしっかり確認しましょう。

新制度である介護医療保険料の控除対象となる保険は、2012年1月1日以降に契約されたものに限られるためです。それ以前に契約された保険は対象外となり、一般生命保険料控除としてしか控除できません。

古い契約の保険は、更新すれば介護医療保険料の控除対象となるため、更新がおこなわれているかどうかを確認することが大切です。

また、短期間の契約にも注意しましょう。介護医療保険料控除は、5年以上の長期契約が条件となっており、それ未満の短期契約では控除が適用されません。

契約内容によって控除できるかどうかが異なるため、加入している保険がどのようなタイプで、どのような条件で契約されているかをしっかりと確認しましょう。

6-4. 申告漏れやミスに注意する

年末調整で介護医療保険料控除を申告する際、申告漏れやミスが発生しないよう心がけましょう。申告漏れやミスがあると控除額が正しく反映されず、所得税や住民税の負担が増える可能性があります。

申告漏れやミスを防ぐためには、事前に必要な書類をしっかりと確認し、不備なく提出することが不可欠です。不明点がある場合は早めに専門家や保険会社へ確認し、適切な対応を取りましょう。

万が一申告漏れやミスが発覚した場合は、速やかに修正手続きをおこなうことが大切です。年末調整後でも、翌年1月末までであれば企業側で修正でき、それ以降は従業員自身が確定申告できる仕組みです。

7. 介護保険料の控除を理解して適切に年末調整を実施しよう

ハイタッチする男女

今回は、介護保険料が年末調整の控除対象に含まれるかどうかに加え、手続き方法や注意点などを詳しく解説しました。

介護医療保険料は、年末調整において生命保険料控除の一部として控除対象となりますが、適用される保険の種類や契約内容には注意が必要です。保険料控除証明書を基に正確に申告書を記入し、期限内に提出しましょう。

また、短期契約や傷害保険など一部の保険は控除対象外となるため、自分の契約内容をよく確認することが大切です。年末調整時に申告漏れやミスがないよう、事前準備をしっかりおこないましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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