OJT研修とは?目的・やり方・効果を引き出すポイントをわかりやすく解説
更新日: 2024.10.3
公開日: 2024.5.23
OHSUGI
OJT研修とは、以下2つの捉え方がある言葉です。
- OJT(業務を通して指導する新人教育の手法)を実施している研修期間
- 指導担当者がOJTの指導スキルを習得するための研修
OJT研修とはどのような目的を持つのか、どのような進め方をすれば良いのか悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
本記事では、OJT研修の目的や実施するメリット・デメリット、やり方を解説します。OJT研修の効果を最大限に引き出すポイントもまとめているので、ぜひご一読ください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. OJT研修とは
OJT研修には主に以下の2種類の捉え方が存在します。
- OJT(業務を通して指導する新人教育の手法)を実施している研修期間
- 指導担当者がOJTの指導スキルを習得するための研修
関連記事:OJTとは?OFF-JTとの違いや進め方を簡単に解説
1つ目は、OJTを実施している研修期間(見習い期間)を指すケースです。OJTに関しては上記の関連記事で詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
2つ目は、OJTの指導担当者向けの研修を指すケースです。先輩社員が後輩社員を教育する際に必要となる指導方法やポイントを学ぶための研修となります。
通常、先輩社員は指導にあたり「指導の進め方」や「自分の業務と両立」に不安を感じます。そこでOJT研修を実施し、OJTを担当する先輩社員に向けて、OJTの進め方を指導する必要があるのです。本記事では2つ目の意味で、OJT研修を解説します。
1-1. OJT研修が注目される背景
OJT研修(OntheJobTraining)は、現場での実務を通じて従業員を育成する方法ですが、注目される背景として、社会全体の変化に伴い、人的資本経営の重要性が増しているため、OJT研修への関心も高まっています。
過去には、上司や先輩が長期的な視点で部下や後輩を育成する風土がありましたが、現在は時間的・人員的な余裕が減少しています。このため、意識的に指導の機会を作り、効果的な研修を実施する必要があります。OJT研修は、そのような背景から注目されているのです。
1-2. OFF-JT・メンター制度・オンボーディングとの違い
OJT研修とよく似た言葉であるOFF-JT研修の違いは、以下のとおりです。
OJT研修 | OJT(業務を通して指導する手法)を実施している研修期間あるいは指導担当者がOJTの指導スキルを習得するための研修 |
OFF-JT研修 | OFF-JT(業務とは別に時間・場所を用意して指導する方法)による研修 |
OJT研修は業務を通した指導に関連し、OFF-JT研修は業務とは別に研修時間を設定して用意した別室(研修室・会議室など)で指導することが違いです。実際の教育現場では、両者を組み合わせて教育をおこなうことが一般的といえます。
さらにOJTと似た言葉としてメンター制度、オンボーディングということがありますが、違いを簡単に説明します。
メンター制度はOJTと同じく、教育対象の従業員に対してメンティーと呼ばれる指導担当者が一人つくためOJTと混同しやすいですが、主に業務の内容を教えるのではなく、メンター制度では悩みごとの相談に乗ったりメンタルケアをすることに重きをおく役割であるため、大きく目的が異なります。
またオンボーディングは、教育対象の従業員に対して、業務習得の支援をするという意味では似ていますが、意味としては「仲間の順応を促進する取り組み」というものになりますので、より具体的な業務内容を先輩社員が教えるOJTとは別物です。
2. OJT研修を実施する目的・理由
OJT研修を実施する目的・理由は以下のとおりです。
- 進め方を理解するため
- 指導者担当としてのスキル・知識を向上させるため
2-1. 進め方や研修内容を理解するため
指導担当者が研修の進め方を理解するために、OJT研修を実施する必要があります。OJT研修の進め方を理解することで、指導担当者はより効果的な指導ができるようになるでしょう。
OJT研修の最終目的は、後輩社員が自分自身で考え業務をおこなえるようになることです。そのためには、後輩社員の特性に合わせた育成計画を立てなければなりません。
また適切なスピード感で教育を実施する必要があります。急ぎすぎても後輩社員の力量を超えてしまうおそれがあり、業務が遂行できない可能性があるでしょう。反対にスローペースでも後輩社員のモチベーションの低下を招くおそれがあります。指導担当者に効果的な研修の進め方を正しく理解させることが、OJT研修の重要な目的です。
2-2. 指導担当者としてのスキルを向上させるため
指導担当者としてのスキル・知識を向上させるために、OJT研修を実施します。
指導の進め方を理解していても、指導担当者に十分なスキル・知識がなければ適切な指導はできません。指導をするためには、業務内容へのより深い理解や広い視野で捉えることが求められます。
そのほか、研修を通して以下のスキル・マインドの向上を図ります。
- 問題解決能力
- コミュニケーション能力
- リーダーとしての責任感
指導者としてのスキルを向上させるために、OJT研修は効果のある方法となります。
3. OJT研修を実施するメリット
OJT研修は、指導担当者のスキルアップを図れるメリットがあります。
指導の際には指導担当者が自分の業務を再度確認する必要があり、知識を整理しなければなりません。自分の理解できていない点を再認識できれば、さらなる成長や改善につながります。
コミュニケーションスキルの向上にも有効です。後輩社員に効果的な指導をおこなうためには、明確で分かりやすいコミュニケーションが求められます。コミュニケーション能力がOJT研修により自然と磨かれるでしょう。
後輩社員からの質問に対応する過程で、指導担当者は問題解決スキルも強化することが可能です。OJT研修は指導担当者となる先輩社員のスキルアップに有効な方法となります。
4. OJT研修を実施するデメリット
OJT研修を実施するデメリットは、研修実施の手間・費用がかかる点です。
一般的に、OJT研修を実施する際は以下の手間と費用がかかります。
- 研修時間の確保
- 研修場所の確保
- 外部講師の選別・依頼
- 対象者とその上司への周知
とくに、OJT研修は社内で講師役を依頼できるケースが少ないため、適切な外部講師の選別をおこないます。自社の状況に合わせて対応してもらえる講師を選びましょう。
一定のデメリットはあるものの、社内でOJTによる新人指導を実施するなら指導担当者に向けてOJT研修を実施することは重要です。OJTの効果を最大化するためにも前向きに検討しましょう。
5. OJT研修の効果的なやり方
OJT研修の効果的なやり方は、以下のとおりです。
- 育成計画を作成する
- 業務量と質のバランスを見極める
- 指導担当者の内省をサポートする
なお、OJT研修を外部講師に依頼することで、上記のやり方を押さえた研修実施が可能です。
5-1. 指導者が育成計画を作成する
OJT研修では、育成計画を作成することが効果的なやり方の一つです。指導担当者に計画書を作成してもらうことで、育成方針のズレや一時しのぎ的な教育を防げます。
育成計画を作成する際のポイントは、以下のとおりです。
- OJTで達成を目指す具体的な仕事内容
- 上記を遂行するために必要な知識やスキル
- 上記を達成するためにどのような業務を、どのように、いつ割り当てるか
育成対象者が経験すべき業務とその時期を慎重に見極め、計画に反映させましょう。
5-2. 業務量と質のバランスを見極める
OJTの指導担当者は、育成対象者に割り当てる業務量と質のバランスを見極める力をつける必要があります。
業務が育成担当者の能力を大きく超えてしまうと、育成対象者が仕事を断念するリスクがあるためです。反対に、育成対象者の能力を下回ると退屈さを感じたり、仕事への甘えを引き起こしたりするでしょう。
ポイントとしては、挑戦的な業務の割合は全体の20%にし、残り80%は育成担当者の能力に見合った業務にすることです。
育成対象者の能力に合わせて、業務の量と質を適切に調整することが重要となります。
5-3. 内省サポートの方法を学ぶ
OJT研修の効果的なやり方の一つが、内省サポートの方法を学ぶことです。指導担当者が後輩社員の内省をサポートできるようにします。
ポイントとなるのは、「振り返り」と「概念化」の2つです。
「振り返り」では、業務を評価し、成功や失敗の理由を分析します。一方の「概念化」は教訓として言語化することです。
実際に業務に取り組んだ経験から教訓を得ることで、次回の業務や関連する業務に応用する方法を考えられます。上記のポイントで後輩社員の内省をサポートすることで、本人の経験から成長を促す指導が可能です。
6. OJT研修の効果を高めるポイント
OJT研修の効果を高めるポイントは、以下のとおりです。
- 組織全体でOJT研修を進める
- 若手社員の特性や個性を把握させる
- ケーススタディを利用する
6-1. 組織全体でOJT研修を進める
1つ目は、組織全体でOJT研修を進めることが挙げられます。OJTは指導担当者一人の負担が重くなりがちなためです。OJT研修の実施時点から組織全体での協力体制を築くことで、実際にOJT期間がスタートした際の負担を軽減でき、より高い効果を期待できます。指導担当者が研修に参加しやすいようスケジュールを調整する、業務負担が重くならないよう部署内で業務を調整するなどの協力を依頼しましょう。
また、OJTの指導担当者以外にも研修に参加してもらうと、指導スキル・知識をより広く共有でき、指導担当者を支える体制ができます。1対1で指導するOJT研修は、どうしても指導員の力量に依存しがちです。スキルが高い指導担当者であれば後輩社員の成長スピードも早まりますが、指導担当者の育成スキルが低いと成長はその分遅くなるでしょう。
職場全体で積極的にOJT研修に関わることで、指導担当者の質による影響を軽減しつつ、均一のとれた研修が可能になります。OJTが形式的なものになるリスクもあるため、職場全体で指導担当者のサポートを心がけることが重要です。
6-2. 課題に対するケーススタディを利用する
OJT研修にケーススタディを利用することも、効果を高めるポイントの一つです。ケーススタディとは事例学習のことで、実際に起こりそうな事例に基づき、分析や対応策を考える学習方法となります。
例えば、育成対象者が同じ間違いを繰り返す場合、指導担当者はどのような対応を取るべきなのか分析・検討します。OJT研修の代表的な失敗事例などをケーススタディにより事前に学んでおくことで、本番の後輩育成で活かせるでしょう。
6-3. 若手社員の特性や個性を把握させる
あらかじめ若手社員の特性や個性を把握させ、研修内で実際の指導を想定させることが、OJT研修の効果を引き出すポイントとして挙げられます。指導者と新入社員との間で価値観が異なる場合もあるためです。
例えば、現代の新入社員の多くが「失敗は嫌だが、成長はしたい」といった価値観を持っている傾向があります。一方の指導者・上司世代は、成長のためには失敗することも必要だと考える方も少なくありません。成長したいが失敗は可能な限り避けたい若手社員と、成長するためには失敗することも重要と考える上司世代には、考え方のズレがあるのです。若手社員の特性や個性を把握することで、世代間の価値観の差を縮め、相手に適した指導を実施できるでしょう。
当サイトでは、このように具体的な若手社員のモチベーションやコンディション管理をはじめ、満足度を計りたいという人事担当者に向けて、無料ガイドブックを配布しています。資料では、調査・分析・活用方法をわかりやすく解説していますので、研修における組織課題を解決したいという方は、ぜひこちらからダウンロードの上、お役立てください。
7. OJT研修を有効に活用して自社で活躍できる人材を育成しよう
OJT研修は指導担当者となる先輩社員に対して、OJTの技法を習得させる方法です。指導担当者に指導方法への理解を促し、スキル向上を図れます。
しかし単にOJT研修を実施するのみでは失敗に終わる可能性もあります。今回紹介したやり方や効果を引き出すポイントを理解し、OJT研修を有効に活用して自社で活躍できる人材を育成してください。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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