PDP(People Data Platform)とは?人的資本経営に「人事データの統合」が必要な理由  - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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PDP(People Data Platform)とは?人的資本経営に「人事データの統合」が必要な理由  - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

PDP(People Data Platform)とは?人的資本経営に「人事データの統合」が必要な理由 

ここ数年、経営の最重要課題として注目され続けている人的資本経営。企業は「従業員」を単なる「資源」ではなく投資対象である「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出していく必要があります。

しかし、多くの企業では「システムは導入しているが、データが経営判断に活かせていない」という、既存のHRテクノロジーの限界に直面しています。

人的資本経営の分野で豊富な知見を持つ慶應義塾大学講師/山形大学客員教授の岩本隆氏は、この状況を打破する鍵として、海外で急速に認知度が高まってきている「PDP(People Data Platform)」の重要性を提唱しています。本記事では、PDPの定義や、なぜ今までのシステムでは不十分なのか、その本質を解説します。

参考:ピープルアナリティクス実践にはピープル・データ・プラットフォーム 「Digital HR Competition 2025 産官学シンポジウム」で岩本隆氏|共同通信社

1. PDP(People Data Platform)とは

PDPとは「People Data Platform」の略称で、社内に点在するあらゆる人事データを1か所に集約し、分析・活用するためのデータ基盤のことを指します。

日本での認知度はまだ高くありませんが、海外のHRテクノロジー業界や戦略人事の分野において、急速に認知度と重要性が高まっている概念です。例えば、カナダのバンクーバーに本社を置くソフトウェア開発企業「Visier」は、People Data Platformという高度な分析と予測モデリングをおこなうための専用プラットフォームを提供しており、PDPのパイオニアともいえる企業の一つです。

PDPは、従来の勤怠管理や給与計算といった「業務管理」のためだけのシステムとは異なり、点在する一人ひとりのスキル、経験、エンゲージメントといった「個人のポテンシャル」を統合的に管理・活用できます。「誰が、どのような力を持ち、どう貢献しているか」という断片的なデータを繋ぎ合わせることで、「個人と組織の成長」を加速させることが可能になります。

人的資本経営の分野で豊富な知見を持つ慶應義塾大学講師/山形大学客員教授の岩本隆氏は、「分散した人材データを統合し、経営判断と結びつける基盤」として、PDPの重要性を提唱しています。

参考:人的資本経営を「掛け声」で終わらせないために―岩本隆氏が語る日本企業の現在地とPDPの可能性|マガジンサミット

2. PDP(People Data Platform)実装の前に立ちはだかる「3つの壁」

PDPの実装は、単に新しいシステムを導入すれば完了するものではありません。
多くの企業が、実装の過程で以下のような障壁に直面します。

2-1. システム間の「定義の不一致」による工数の肥大化

各システムで用語の定義が異なるため、集計や分析をおこなうたびに膨大な手作業によるデータクレンジングが発生します。例えば、職種というデータ項目において、同じ営業職でもシステムによって「営業職」「セールス職」のように名称が異なれば、そのままでは統合できません。この定義のズレを解消する「マスタの整備」が最初の大きな壁となります。

2-2. 「更新のタイムラグ」が招く情報の腐敗

API連携の不備やCSVによる手動連携の限界により、データが常に「最新かつ正しい状態」で保たれません。分析に使用するデータが過去のものであれば、それはリアルタイムな経営判断を阻害する「腐敗した情報」となります。常に鮮度を保つための自動化プロセスをいかに構築するかが問われます。

2-3. 個別最適が生んだ「データの分断(サイロ化)」

採用、給与、評価など、個別の業務効率化に特化しすぎた結果、データが各所に孤立して蓄積されています。この「サイロ化」は、例えば「エンゲージメントと生産性の相関分析」といった、部門を跨ぐ戦略的な分析を物理的に不可能にしており、人的資本の価値を埋もれさせています。
PDPは、こうした「バラバラなデータの整理」や「組織横断的なハブ機能」をあらかじめ前提としています。これらの壁を乗り越え、人的資本の価値を最大化する解決策となります。

3. PDP(People Data Platform)が求められる市場背景

激変する経営環境と人的資本経営の到来により、企業は「従業員」を単なる資源ではなく「資本」として捉え、積極的に投資・活用していく必要があります。
その背景には、大きく分けて3つの要因があります。

3-1. AIの普及と「人的価値」の再定義

昨今の急速なAI技術の普及は、人事データの重要性を一変させました。AIが定型業務を代替していく時代において、企業競争力の源泉は「AIを使いこなし、付加価値を生み出す人材」へと変化しています。 そのため、自社にどのようなスキルを持った人材がいるのか、どの領域にリスキリングが必要なのかを正確に把握することが、企業の競争力を左右する重要な鍵となっています。AIを戦略的に活用するためにも、その判断材料となる「正しい人事データ」が不可欠です。

3-2. ジョブ型雇用への移行と情報開示の義務化

終身雇用制度の形骸化や労働力不足を背景に「ジョブ型雇用」への移行が進み、個人の専門スキルを可視化するニーズが高まっています。 また、上場企業における「人的資本の情報開示」の義務化により、人事部門は単なる管理部門から、経営の透明性を示す「戦略パートナー」としての役割を求められるようになりました。昨今、人的資本への投資状況は、財務諸表と同等の価値を持つ指標となっています。

3-3. 働き方の多様化による「人事データの複雑化」

労働市場や働き方の多様化により、企業が管理すべき情報の量と質は爆発的に増加しています。学歴や職歴だけでなく、エンゲージメント、メンタルヘルス、キャリア志向など、扱うデータは多岐にわたります。 さらに、フレックスタイム制やリモートワークの普及が、データ管理の難易度を一層高めています。「勤怠はAシステム」「評価はBシート」「スキルは各上司の頭の中」といったようにデータが分断されたままでは、経営層が組織の現状を正しく把握し、戦略的な投資判断を下すことは困難です。

これらの要因が重なり、人事データを統合・可視化して組織成長を加速させる「PDP」が、現代の企業にとって不可欠な存在となっています。

4. PDP(People Data Platform)の導入・活用によるメリット

PDP(People Data Platform)による人事データの統合は、経営層、人事部門、そして従業員のそれぞれに大きな価値をもたらします。

4-1.【経営層】勘や経験則による「属人的な経営」からの脱却

PDPは人的資本の投資対効果(ROI)を可視化します。例えば「どの部署に投資すれば、どれだけ売上が上がるのか」といった、これまでブラックボックスだった領域をデータで解明し、確信を持ったリソース配分を可能にします。客観的なデータという裏付けを持って未来を見通した意思決定が可能です。

2025年8月におこなわれた人的資本経営に関する実態調査においても、PDPが得意とするデータ分析・活用をしている領域が多い企業ほど、人的資本経営による効果を実感している割合が高いことが証明されています。

参考:人的資本経営取組の現状と質向上のカギ|MS&ADインターリスク総研株式会社

4-2.【人事・労務担当者】「オペレーター」から「戦略パートナー」への進化

勤怠集計や給与計算における、バラバラなExcel集計やシステム間の転記作業などの業務から解放され、データの「整理」に費やしていた時間を施策の「企画・立案」に充てられるようになります。その結果、データに基づいた人材配置や採用戦略を経営層に提言でき、事業を牽引する戦略パートナーへと進化することができます。

4-3.【従業員】客観的データに基づく「公平なチャンス」の提供

主観や上司との相性に左右されない評価基準が確立されます。自身のスキルや成果が多角的なデータによって正しく可視化されることで、社内に対する納得感が高まります。また、社内公募やリスキリングの機会を自ら掴み取る、自律的なキャリアの構築を後押しします。

5. PDP(People Data Platform)による人事データの統合が、人的資本経営の質を変える

PDP(People Data Platform)は、単なるシステムの名称ではなく、「人を資本として最大活用するための、新しい経営のインフラ」です。PDPが日本企業の人事にとって当たり前となる将来も近いかもしれません。

今後、人手不足やAIの普及に伴い、人的資本経営がより一層重視されるのは確実です。「各部署でシステムを入れているから大丈夫」という段階から一歩踏み出し、それらをどう統合し、どう経営の判断材料に変えていくか。 その第一歩として、まずは自社のデータがどれほど分断されているか、現状を棚卸しすることから始めてみてはいかがでしょうか。

jinjer Blog編集部

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