ポータブルスキルとは何?重要性や向上させる方法を解説
更新日: 2025.5.1
公開日: 2025.4.28
jinjer Blog 編集部
「ポータブルスキルとはどのようなスキルか知りたい」
「社員のポータブルスキルを高めたい」
社員のスキルアップのため、上記の課題を解決したい企業の方もいるでしょう。ポータブルスキルは厚生労働省も取得をサポートしている重要なスキルです。
本記事では、ポータブルスキルとは具体的にどのようなスキルなのか、なぜ必要なのかを解説します。ポータブルスキルを向上させる方法も解説するので、社員のスキルアップやキャリア形成の参考にしてみてください。
2023年から人的資本の情報開示が義務化されたことにより、人的資本経営に注目が高まっており今後はより一層、
人的資本への投資が必要になるでしょう。
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1. ポータブルスキルとは
ポータブルスキルとは、特定の職種や組織、時代背景などにとらわれず仕事に活用できるスキルのことです。コミュニケーション力や論理的思考力などが当てはまります。
専門性は低いものの、汎用性の高い持ち運び可能なスキルです。ビジネス環境の変化が激しく、転職が一般的になりつつある現代で大切なスキルの一つとされています。
2. ポータブルスキルが企業にとって重要な理由
ポータブルスキルが企業にとって重要な理由は、ビジネス環境の変化の激しさに対応するためです。
特定の技術にフォーカスした専門的スキルは、技術革新にともなう変化に対応できないことがあります。一方ポータブルスキルは新しい環境でも発揮しやすく、事業内容の転換にも対応可能です。
またポータブルスキルの高い社員は幅広い部署で活躍できるポテンシャルがあるので、配置換えにも柔軟に対応できます。社内の状況にあわせて自分の能力を生かしてくれるでしょう。
事業をとりまく環境が変化しても競争力を保つには、ポータブルスキルの高い社員が必要です。専門性の高いテクニカルスキルに加えて重視することで、変化にも柔軟に対応できる安定した経営を実現できます。
3. ポータブルスキルの要素
ポータブルスキルの要素は大きく以下の2つのカテゴリーに分けられます。
- 仕事のやり方
- 人との関わり方
それぞれのカテゴリーに含まれる要素を解説します。
3-1. 仕事のやり方
仕事のやり方に含まれるポータブルスキルの要素は以下の表のとおりです。
要素 | 内容 |
現状の把握 | 取り組むべき課題などを設定するための情報収集や分析方法 |
課題の設定 | 事業や仕事の進め方などに関して取り組むべき課題の設定方法 |
計画の立案 | 業務の遂行や課題解決のための具体的な計画の立て方 |
課題の遂行 | 適切なスケジュール管理や調整のし方、業務上の障害やプレッシャーの乗り越え方 |
状況への対応 | 予想外の状況への対応や責任の取り方 |
仕事のやり方に含まれるポータブルスキルは、主に目の前の業務にどのように取り組むべきか、トラブルにどのように対処すべきかなどに関わります。
仕事のやり方のポータブルスキルを伸ばせば、効率的な目標の達成、迅速なトラブルの解決などが見込めるでしょう。
3-2. 人との関わり方
人との関わり方に含まれるポータブルスキルの要素は以下の表のとおりです。
要素 | 内容 |
社内対応 | 説得力のあるコミュニケーションや周りからの支持の獲得のし方 |
社外対応 | 社外に対するコミュニケーションや合意の取り方、利害調整のし方 |
上司対応 | 上司への報連相や意見の伝え方 |
部下マネジメント | 部下の特性を生かした業務の割り当てや育成のし方 |
人との関わり方に含まれるポータブルスキルは、主に社内外での良好なコミュニケーションの取り方や部下の育て方などに関わります。
人との関わり方のポータブルスキルを伸ばせば、顧客との良好な関係の構築、人間関係のトラブルの予防などが可能です。
参考:ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)|厚生労働省
4. ポータブルスキルの具体例
ポータブルスキルの具体例として以下のスキルを説明します。
- コミュニケーション力
- マネジメント力
- 論理的思考力
- 情報収集力
- 計画力
- 対応力
4-1. コミュニケーション力
ポータブルスキルのコミュニケーション力とは、社内外の関係者と信頼関係を築く力や、相手を尊重しながら自分の意見を伝える力などを指します。
コミュニケーション力が高い人材は取引先との良好な関係を保ったり、利害の対立を円満に解決したりするのが得意です。
また、社内でもチームワークの向上や活発な職場づくりに大きな役割を果たします。
ビジネスを円滑に進めるうえでキーパーソンになりやすいので、コミュニケーション力の高さは重要です。
4-2. マネジメント力
ポータブルスキルのマネジメント力とは、人材を育成する力や組織を導く力、経営資源を管理する力などです。
マネジメント力の高い人材は部下の特性を理解してスキルを伸ばしたり、適切に人材や資金を管理したりできます。
マネジメント力は組織としての成長や安定した運営に欠かせません。
4-3. 論理的思考力
ポータブルスキルの論理的思考力とは、複雑な問題も筋道を立てて結論を導いたり、因果関係を分析したりする力のことです。
筋道の通ったわかりやすい説明も得意なため、プレゼンテーションや交渉にも優れている傾向があります。
トラブルの迅速な解決や的確な経営判断のためには、論理的思考力の高い人材が必要です。
4-4. 情報収集力
ポータブルスキルの情報収集力とは、膨大な量の情報から本当に必要な情報をピックアップしたり、情報の真偽を判断したりする力のことです。
有益な情報の提供や整理が得意なため、さまざまな部署における意思決定のプロセスで重要な役割を果たします。
情報収集力が高い人材がいれば、効率的でスピーディーな判断や決定が可能です。
4-5. 計画力
ポータブルスキルの計画力とは、取り組むべき課題を整理したうえで、効率的で実現可能な目標や道筋を立てる力のことです。
計画力の高い人材がいることで、的外れな目標の設定や業務の遅延を予防できます。
行き当たりばったりな施策で社内を混乱させないよう、計画力の高い人材を育てましょう。
4-6. 対応力
ポータブルスキルの対応力とは、トラブルや変化に対して柔軟に対応する力のことです。
対応力の高い人材は、トラブルの原因や前例の有無に関係なく、その場において最適な行動を迅速に判断できます。
対応力の高い人材がいる会社では、予想外のトラブルや新たなニーズに対してもすばやく対応可能です。
5. 社員のポータブルスキルを高める方法
社員のポータブルスキルを高める方法は以下のとおりです。
- 研修をおこなう
- 人事評価に反映する
5-1. 研修をおこなう
社員のポータブルスキルを高めるには研修を実施しましょう。
厚生労働省のホームページでは、ポータブルスキルを活用するための研修で使用できるテキストや動画を提供しています。
またどのようなポータブルスキルを持っているか診断できるツールも公開しているので、研修で伸ばすべきスキルの見極めに役立てましょう。
オンラインコースや外部講師による勉強会などを通してポータブルスキルを高めることも可能です。
人材育成計画のなかにポータブルスキルの獲得も取り入れ、研修により社員の能力を伸ばしていきましょう。
参考:ミドル層のキャリアチェンジにおける支援技法|厚生労働省
参考:ポータブルスキル見える化ツール(職業能力診断ツール)|厚生労働省
5-2. 人事評価に反映する
社員のポータブルスキルを高めるには、ポータブルスキルを人事評価に反映しましょう。
役職や部署別にそれぞれ必要なポータブルスキルを設定し、評価項目に追加することで、社員に取得の必要性を理解させられます。専門的な知識や技術だけでなく、ポータブルスキルも大切なことを知ってもらいましょう。
また、各社員が優れているポータブルスキルを会社側が把握しておくことで、より適切な人材配置も可能です。各自のポータブルスキルを生かしやすい環境に配属することで、よりスキルが磨かれていくでしょう。
6. ポータブルスキルを高めて社員の成長を促そう
ポータブルスキルは場所や時代に関係なく発揮できる汎用性の高いスキルです。論理的思考力や情報収集力、コミュニケーション力などが該当します。
ビジネス環境が変化しても生産性や業績を保つには、ポータブルスキルを持った社員が必要です。
研修をしたり人事評価にポータブルスキルの項目を追加したりして、社員のポータブルスキルを伸ばしましょう。
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