労働基準監督署による是正勧告とは?主な違反内容と対処法を紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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労働基準監督署による是正勧告とは?主な違反内容と対処法を紹介

「是正勧告とは?」

「是正勧告を受けた際の対処法は?」

上記の疑問をお持ちではありませんか。

是正勧告とは、労働基準監督署の立ち入り調査の結果、労働基準法の違反が判明した場合に企業へ改善を求めることです。是正勧告に従わない場合は、ペナルティを課せられるおそれがあるため、適切に対応しなければなりません。

本記事では、是正勧告の概要や主な違反内容、勧告を受けた場合の対処法を解説します。是正勧告について詳しく知りたい労務担当者の方は、ぜひ参考にしてください。

1. 是正勧告とは

是正勧告は、労働基準監督署の立ち入り調査の結果、労働基準法に違反している事項が見つかった場合に企業へ改善を求めることです。明らかな法令違反が見つかった場合には「是正勧告」、違反の可能性がある場合は「指導」が出されます

是正勧告の場合は「是正勧告書」、指導の場合は「指導票」が交付され通知される仕組みです。是正勧告書には以下が記載されています。

  • 労働基準法の違反事項
  • 指導内容
  • 是正期限

是正勧告書を受け取った企業は、期限までに問題点を改善し、労働基準監督署に必ず是正報告書を提出しましょう。

2. 労働基準監督署による調査の種類

労働基準監督署による調査には、以下の4つの種類があります。

  • 定期監督
  • 申告監督
  • 災害時監督
  • 再監督

どの調査の場合でも、調査を拒む・虚偽の説明をする・書類の提出を拒むなどして調査を妨害すると、罰則が科せられるので注意しましょう。

それぞれの調査について、詳しく解説します。

2-1. 定期監督

定期監督は、労働基準監督署が任意で選んだ企業を対象に、年間計画に沿って実施される調査です。選ばれた企業は、必ずしも問題があると考えられているわけではありません

調査が決まったら、企業側は調査を拒否できず日程の希望も出せません。事前に電話連絡があるケースもありますが、連絡なしで突然立ち入り調査が入ることもあるため、注意が必要です。

「業務が立て込んでいて調査への対応が難しい」「担当者が不在」などやむを得ない理由がある場合は、監督官に申し出れば日程を調整してもらえるケースもあります。非協力的な態度を取らず誠意を持った対応を心がければ、監督官への印象も良くなるでしょう。

2-2. 申告監督

申告監督は、労働者からの内部告発があった場合に実施される調査です。申告者の救済を目的として実施されるもので、労働基準監督署は調査によって申告内容の確認をおこないます。

労働者には労働関係法令違反を労働基準監督署に申告する権利があり、署の相談コーナー、電話やメールでの相談が可能です。調査が必要と判断した場合には、申告監督がおこなわれます。

社内で申告者の立場が悪くならないよう、申請監督の実施において申告者の個人情報は本人の了承がないかぎり公表されません。また、申告監督であることを伏せ、定期監督と称して調査する場合も多いです。申告監督は、抜き打ちでおこなわれる可能性が高いでしょう。

法令を遵守しているにもかかわらず、内部告発されるケースもあります。従業員の不満が溜まらないよう、普段から企業に対して意見を言いやすい環境を整えることも大切です。

2-3. 災害時監督

災害時監督は、重大な労働災害が発生した場合におこなわれます。

具体的には、被災者が死亡した場合、重篤な傷害を負った場合、複数人が被災した場合などです。災害時監督は、事故発生後にすぐに実施されます。

労働基準監督署は、労働災害の原因を解明し事業者に再発防止を促さなければなりません。調査内容は以下のとおりです。

  • 長時間労働はあったか
  • 適切な作業環境が整っていたか
  • 業務内容に法違反はなかったか
  • 安全管理体制は整っていたか

法律違反が事故発生の原因であると判明した場合には、司法審査に移行されます。関係者が労働基準監督署へ出頭しなければならない場合もあるでしょう。

2-4. 再監督

再監督は、是正勧告が出された後に、指摘事項が健全化されているかを確認するための調査です。期限内に是正報告書が提出されない場合や、是正報告書は提出されているが、実態を確認する必要があると判断された場合に実施されます。

再監督を受けているのは、労働基準法の違反が確認された企業の約1割です。是正勧告を受けたにもかかわらず指摘事項が健全化されていない場合には、検察庁へ送検される可能性もあるため注意しましょう。

3. 是正勧告が出される主な違反内容

是正勧告が出される主な違反内容は、以下のとおりです。

就業規則に関する違反 ・常時10人以上雇用しているにもかかわらず、就業規則が作成・届出されていない

・就業規則に必要事項が記載されていない

・就業規則が従業員に周知されていない

労働時間に関する違反 ・36協定を締結せずに、1日8時間・週40時間以上の労働をさせている

・36協定・条件条項付き36協定の上限を超えて労働させている

・サービス残業をさせている

有給休暇に関する違反 ・有給休暇制度がない

・有給休暇の取得を認めない

・有給休暇の日数が、労働基準法で定められている日数より少ない

賃金に関する違反 ・最低賃金より低い賃金を支払っている

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

上記のほかにも、労働基準法で定められた内容に違反するケースはあります。どのような規定があるのかをしっかり理解しなくてはなりません。

労働基準法に違反しているかの判断が難しい場合には、弁護士に相談するのも有効な手段です。

4. 是正勧告が出される前後の流れ

是正勧告が出される前後の流れは以下のとおりです。

  1. 労働基準監督署による企業への調査の実施
  2. 労働基準法違反の判明
  3. 是正勧告書の交付(改善指導の場合もある)
  4. 是正報告書の提出
  5. 再監督(必要な場合のみ)

もし、問題点の改善が期日に間に合わない場合は、放置せずに担当監督官に相談しましょう。改善後は是正報告書を提出する必要があります。

5. 是正勧告が出された場合の対処法

是正勧告が出された場合、期限までに指摘された内容を是正しなくてはなりません。まず問題となっている内容を確認し、労働基準法のどの法令に違反しているのかを確認しましょう。

そして、改善するにはどのような施策を実施すべきか考えます。社内だけでの対応が難しい場合には、社会保険労務士や弁護士に立ち合い調査を依頼し、アドバイスを受けることが望ましいです。

是正報告書には、指摘された事項について対処した内容を記載します。是正したことを証明できる資料も添付しましょう。

6. 是正勧告に従わない場合のリスク

是正勧告に従わない場合のリスクは以下のとおりです。

  • 企業名や違反内容が公表される
  • 書類送検される

労働基準監督署により企業名や違反内容が公表されれば、企業イメージの大幅なダウンになるでしょう。

また、問題に向き合う動きが見えない状態では悪質と判断され、書類送検される場合もあります。

有罪になれば、罰金や懲役刑などの刑事罰が科されるでしょう。その場合、企業全体ではなく経営者や役員個人が起訴される可能性もあります。

是正勧告は行政指導なので法的な拘束力はありません。しかし、是正勧告を受けた際は放置せず真摯に対応する必要があります。

7. 是正勧告を出されたらすみやかに指摘事項を改善しよう

是正勧告とは、労働基準監督署による企業への立ち入り調査がおこなわれ、法律違反が判明した場合に企業に健全化を求めることです。是正勧告書には、違反内容や指導事項、是正期限などが明記されています。

調査の種類は、定期監督・申告監督・災害時監督・再監督です。調査前に連絡が入る場合と入らない場合があるので、いつ調査が入っても問題のないよう、常に適正な労務管理をおこなうことが大切です。

もし是正勧告を出された場合でも、すみやかに対応・改善すれば大きな問題にはなりません。焦らず、迅速に対応するよう心がけましょう。

OHSUGI

OHSUGI

クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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