「リモートハラスメント」とはどんなもの?具体的な事例や原因・対策を解説
更新日: 2025.2.1
公開日: 2025.2.1
OHSUGI
「リモートハラスメントってなに?」
「具体的にどのようなことがリモートハラスメントに該当するの?」
「リモートハラスメントの防止策は?」
リモートハラスメントについて、上記の疑問をもつ人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。
リモートハラスメントは、ネット環境下でのリモートワークに付随して発生するハラスメントを指します。放置すれば企業の信用問題に発展する可能性があるため、迅速な対処が必要です。
本記事は、リモートハラスメントの内容を、具体的な事例をまじえつつ紹介します。リモートハラスメントが発生する原因と対策もあわせて解説するので、ぜひ企業運営の健全化にお役立てください。
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1. リモートハラスメントとはリモートワーク中に発生するハラスメントのこと
リモートハラスメントは、オンラインでの在宅勤務、つまりリモートワークの最中などに発生するハラスメントです。ネット環境を介しておこなわれることから、リアル環境とはまた別のハラスメントが発生します。
例えば、リモート下では相手との距離感がつかみにくくなり、過剰に干渉するハラスメントが横行することがあるでしょう。
リモートハラスメントは、自宅や出先からのリモートワーク中の発生に限りません。ビデオ会議やチャット、SNS、電子メールなどを利用したネット環境下でのハラスメント全般を広く指してリモートハラスメントと呼ぶことがあります。
リモートワーク中は、会社と離れた自宅や出先にいることが一般的です。そのため管理の目が行き届きにくく、ハラスメントがエスカレートしやすい傾向が見られます。
2. リモートハラスメントの放置で企業が被る被害
リモートハラスメントの放置により、企業側には以下のような被害が発生します。
- 法的なペナルティの発生
- 社会的な信用の失墜
- 経営上の損失発生
- 従業員のモチベーション低下や離職
ハラスメントに対する取り締まりが強化された昨今では、企業がハラスメントを放置した場合、厳しいペナルティが課せられることも少なくありません。ハラスメントの加害者のみならず、企業側の法的責任が追及される可能性もあります。
ハラスメントがあったことが公になれば、モラルの低い企業として噂が広まり、社会的な信用失墜を招くでしょう。
このような状況下では、企業活動への悪影響が発生します。従業員のモチベーション低下やメンタルヘルスの悪化、離職にもつながりかねません。
人材の確保が難しくなることから悪循環が起こり、企業の経営がひっ迫する可能性があります。
3. リモートハラスメントの具体的な事例
リモートハラスメントの具体的な事例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 部下のPCカメラ機能を常時ONにさせ、相手の行動を過度に監視する
- 業務の進捗状況を過度にチェックする
- 業務時間外にも作業指示を出し、すぐに対応するよう強要する
- 家族やペットの声、生活音などを理由にたるんでいると恫喝する
- 部屋の状況に言及したり、部屋全体を映すように命じたりする
- 化粧の有無や服装について指図する
- オンライン飲み会を開催し強制的に参加させる
- 意味なく1ON1ミーティングを開催する
- 家族の状況を詮索する
リモート下で起こる上記のハラスメントは、同時にモラハラやパワハラ、セクハラなどに該当する側面もあります。
どのような行為がリモートハラスメントに該当するかについては、厚生労働省が発表する以下の資料にも例示されているので、参考にしてみてください。
4. リモートハラスメントが発生する4つの原因
リモートハラスメントが発生するおもな原因は以下の4つです。
- 公私混同が起こりやすい
- メンバーの業務管理がしにくい
- リモートワークに対してストレスがある
- リモートハラスメントに対して理解不足がある
それぞれの内容について具体的に解説します。
4-1. 公私混同が起こりやすい
リモートハラスメントが発生する大きな原因として、リモート下では公私混同が起こりやすいことが挙げられます。
自宅をはじめとした私的な空間で業務に携わることで、ときに仕事とプライベートをはっきり区切るのが困難です。オンとオフの切り替えがつきにくくなることで、どこまでが仕事なのかが曖昧になり、相手に対して過剰な要求が起こる可能性があります。
オンオフの線引きがつけられないと、長時間労働にもつながりやすいでしょう。
部屋の様子や家族がカメラに映りこむことでプライベートに踏み込み、プライバシーの侵害につながる場合もあります。
4-2. メンバーの業務管理がしにくい
リモートワーク中のメンバーの業務管理のしにくさからも、リモートハラスメントが発生するケースがあります。
リモートワーク中、管理職側はメンバーの仕事ぶりがつかみにくく、管理を困難に感じるものです。このような背景から、リモートワーク中に過度な監視や干渉を試みる場合があります。
とくにリモートワーク中の運用体制やルールが明確化されていない場合には、どこまで相手に踏み込んでよいかがわからないため、その兆候が顕著です。
運用体制が整備されていない場合、ハラスメントを感じたメンバー側もどこへ相談すべきかわかりません。結果、後戻りが難しくなるほど問題が大きくなるまで顕在化しない可能性があります。
4-3. リモートワークに対してストレスがある
リモートワークに対するストレスもリモートハラスメントにつながる要因です。
リモート環境下では、リアルな環境とコミュニケーション方法が異なります。例えば、社内であれば隣の席に話しかけることは容易ですが、リモート下ではチャットやメールでやり取りしなければなりません。
直接やり取りしないことで真意が伝わりにくくなり、相手との軋轢が生じる可能性もあります。
不慣れな環境によるストレスや、他者とのコミュニケーションの希薄さにより、ハラスメントに発展することもあるでしょう。
4-4. リモートハラスメントに対して理解不足がある
リモートハラスメントに対する理解不足からもリモートハラスメントは発生します。
リモートハラスメントに関する理解が曖昧だと、前述の要因などから、悪意のないままつい踏み込んだ対応を取ってしまうこともあるものです。リモートハラスメントをおこなう側も受ける側も、問題意識に発展しにくいため軌道修正が難しくなります。
5. リモートハラスメントの3つの対策方法
リモートハラスメント防止のおもな対策方法は、以下の3つです。
- リモートハラスメントに対する社内研修を実施する
- リモートワークに関するルールづくりをおこなう
- 相談窓口を開設する
具体的な内容は以下のとおりです。
5-1. リモートハラスメントに対する社内研修を実施する
リモートハラスメントに対する社内研修の実施を検討しましょう。リモートハラスメントに対する理解が進んでいないと、意図せずハラスメントをおこなってしまう場合があります。
意図的にハラスメントをしていないケースでも、厳しいペナルティがあることを把握しておけば思いとどまるきっかけになるでしょう。定期的にすり合わせの場を設けることで、リモートワーク中のコミュニケーション不足の解消にも役立ちます。
公私混同しないような意識づくりに関しても、社内教育の場で共通認識を作っておくとよいでしょう。
5-2. リモートワークに関するルールづくりをおこなう
リモートワークに関するルールづくりも大切です。ルールに沿った対応を心がけることで、意図せず起こるリモートハラスメントが抑止できます。
リモート作業中の勤怠管理や進捗管理の方法と頻度、連絡手段、業務中の服装、PCカメラの設定などを詳細に取り決めておきましょう。
5-3. 相談窓口を開設する
相談窓口の開設もリモートハラスメントの防止につながります。
社内教育やルールづくりをおこなうだけでは、完全にハラスメントを防止するのは困難です。窓口が存在すれば、ハラスメントが起こった際の情報収集や処置がスムーズに進行し、問題にすみやかに対処できます。
窓口があることで、ハラスメントの抑止にもつながるでしょう。
リモートハラスメントはほかのハラスメントとの関連性もあります。社内で起こるハラスメント全般の総合窓口の設置もおすすめです。
6. リモートハラスメントを防止し健全な企業運営に努めよう
リモートハラスメントは、ネット環境下でのリモートワーク時に発生するハラスメントです。放置すれば、企業運営に悪影響を及ぼしかねません。
リモートワークに関するルールが整い、従業員の理解が進めば、リモートハラスメントはある程度抑えられます。相談窓口の設置によって、問題が起こった際に迅速に対応できるようになるでしょう。
リモートハラスメントを防止し、健全な企業運営に努めましょう。
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