住民税はいつから天引きして納付する?時期や手続き方法をわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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住民税はいつから天引きして納付する?時期や手続き方法をわかりやすく解説

税金を計算する様子

毎月の給与計算において、住民税の徴収や納付はミスが許されない重要な業務のひとつです。企業は「特別徴収義務者」として、従業員の住民税を給与から天引きし、各自治体へ適切に納付する法的義務を負っています。

本記事では、住民税の納付スケジュールや特別徴収の手続き、電子納付の活用方法、さらに入退職時の注意点まで、企業担当者が実務で押さえるべきポイントを解説します。

▼給与計算における住民税の記事はこちら
給与計算における住民税とは|住民税の計算・納付・注意点について解説

所得税・住民税の計算、 ヒヤリとした経験はありませんか?

毎月の給与計算、特に所得税や住民税の計算は複雑で、法改正も発生するため「本当にこれで合っているだろうか…」と不安に感じる瞬間は少なくないはずです。
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1. 住民税の納付に関する基礎知識

お金と時間を天秤にかける

企業では、従業員の住民税を給与から天引きし、各自治体へ納付するのが一般的です。ここでは、住民税納付に関する基本的なポイントを整理します。

参考:個人住民税|総務省

1-1. そもそも住民税とは?いつから納付する?

住民税とは、都道府県や市区町村などの地方自治体に納める税金で、正式名称は「個人住民税」です。教育・福祉・消防・ごみ処理といった地域の行政サービスを支えるための大切な財源となっています。住民税は、次の2つの要素で構成されています。

  • 所得割:前年の所得額に応じて計算される税額
  • 均等割:所得の多少にかかわらず一定額を負担する税額

住民税の大きな特徴は「前年の所得」を基準に課税される点です。例えば、2025年1月から12月までの所得をもとに2026年度の住民税額が決まり、2026年6月から納付が始まります。

そのため、新卒で就職した場合、入社1年目は前年に所得がないので原則として住民税はかかりません。一般的には、2年目の6月から納付がスタートします。

関連記事:所得税と住民税の違いは?高いのは?計算方法の違いについても解説

1-2. 住民税手続きのスケジュール一覧

1年間に企業が実施する住民税の納付に関連した手続きのスケジュール一覧は次のとおりです。

手続き

内容

1月

給与支払報告書の提出

前年(1月~12月)に支払った給与額等を記載した給与支払報告書を、各従業員の居住地の市区町村へ原則1月31日までに提出する。

5月(中旬~下旬)

住民税決定通知書の受領

市区町村から、6月から翌年5月までの住民税額を記載した「税額決定通知書」が企業へ送付される。

6月〜翌年5月

住民税天引き開始

6月支給給与から住民税の天引きを開始し、翌年5月支給分までの12回で徴収する。

随時

異動に伴う届出・手続き

従業員の入社・退職・休職などの異動があった場合には「給与所得者異動届出書」の提出など必要な手続きをおこなう。

住民税は賦課課税方式により、市区町村が税額を決定します。企業は税額を計算するのではなく、通知された金額を給与から天引きし納付します。

関連記事:住民税決定通知書とは?見方や再発行の方法、ふるさと納税との関係も解説!

1-3. 納付先は「その年1月1日現在に従業員が居住している市区町村」

住民税は、課税年度の1月1日時点で住民票がある市区町村に納めます。例えば、2026年度の住民税は、2026年1月1日時点の住所によって納付先が決まります。

したがって、1月1日の時点で日本に住所がなく海外に居住している場合、その年度の住民税の納税義務は発生しません。また、年の途中で引っ越しをしても、その年度の住民税は1月1日時点で住民票があった自治体に納付します。年度の途中で納付先が変更されることはありません。

2. 住民税の特別徴収と普通徴収の違い

住民税の絵

住民税(市町村民税・都道府県民税)の納付方法には、特別徴収と普通徴収の2種類があります。どちらも税額自体は同じですが、納付方法や手続きの主体が次のように異なります。

 

特別徴収

普通徴収

納付方法

給与から天引き

自分で納付

納付回数

年12回(6月~翌年5月)

年4回(6月・8月・10月・翌年1月)

手続き主体

企業

個人

個人のメリット

  • 納め忘れがない
  • 1回あたりの負担が少ない
  • 支払いタイミングを自分で管理できる

ここからは、特別徴収と普通徴収の違いやそれぞれの関係性についてわかりやすく整理して解説していきます。

2-1. 特別徴収義務者とは?

特別徴収義務者とは、従業員に代わって住民税を給与から差し引き、市区町村へ納付する義務を負う給与支払者(企業など)をいいます。これは地方税法第321条の4に基づくもので、原則として給与を支払う事業者には特別徴収が義務付けられています。

したがって、給与の支払いを受けている従業員については、住民税は原則として特別徴収により徴収されます。徴収方法は従業員の任意で自由に普通徴収へ変更できるものではないことを押さえておきましょう。

参考:地方税法第321条の4|e-Gov法令検索

参考:個人住民税と特別徴収について|東京都

関連記事:住民税特別徴収とは?納付手続きの流れや注意点を詳しく紹介

2-2. 普通徴収を選択できるケース

企業は原則として、従業員の住民税を特別徴収(給与からの天引き)により納付する義務があります。「特別徴収の方法によることが著しく困難である」と認められる場合などには、例外的に普通徴収が認められることがあります。例えば、次のようなケースが挙げられます。

  • 総従業員数が2名以下である場合
  • 他の勤務先において特別徴収が実施されている場合
  • 給与額が少なく住民税額を給与から控除できない場合(住民税非課税の場合など)
  • 給与の支払が不定期である場合(支払が毎月でない場合など)
  • 事業専従者である場合(個人事業主に係る専従者に限る)
  • 既に退職している者、または当該年度の5月末日までに退職予定である者

参考:普通徴収が認められる場合について|新宿区

なお、普通徴収が認められる条件は市区町村ごとに運用が異なることがあります。そのため、普通徴収への切替えを検討する際は、従業員の住所地を管轄する自治体へ事前に確認することが望ましいでしょう。

参考:地方税法第321条の3|e-Gov法令検索

関連記事:住民税の特別徴収とは?普通徴収との違いや手続きの流れを解説

2-3. 特別徴収から普通徴収への切り替え手続き

特別徴収を継続できない事情が生じた場合など、特別徴収から普通徴収へ切り替える際には、「給与支払報告書」とあわせて「個人住民税の普通徴収切替理由書」の提出が必要です。

この理由書を提出しないと、特別徴収から普通徴収への切り替えはおこなわれません。普通徴収の要件を満たしている場合でも、自動的に切り替わるわけではないので、手続きを忘れないよう注意しましょう。

参考:普通徴収への切替理由書について|小山市

関連記事:給与支払報告書とは?書き方や提出先、期限、提出不要となる条件を解説

3. 給与から天引きする住民税の納付手続き(特別徴収)

TAX

ここでは、給与から天引きして納付する住民税(特別徴収)の手続きの流れやポイントを詳しく解説します。

3-1. 「6月~翌年5月」の給与から住民税を徴収する

毎年5月頃、従業員の1月1日現在の住所地である市区町村から、企業あてに「特別徴収税額決定通知書」が送付されます。これは、前年の所得に基づいて算定された当年度分の個人住民税額を通知するものです。

企業はその通知書に基づき、6月支給の給与から翌年5月支給の給与までの12ヵ月間にわたり、当年度分の住民税を特別徴収(給与天引き)により徴収します。通知書には従業員ごとの年税額および各月の徴収額が記載されており、企業は原則として記載された税額どおりに控除・納付をおこないます。

3-2. 納付期限は「徴収月の翌月10日」

企業が給与から特別徴収した住民税は、原則として、徴収した月の翌月10日までに、その従業員の1月1日現在の住所地である市区町村へ納付しなければなりません。

例えば、6月支給の給与から特別徴収した住民税は、7月10日が納期限となります。なお、納期限が土曜日・日曜日または祝日に当たる場合には、その翌開庁日が納期限となります。

参考:納付のご案内|新宿区

3-3. 従業員数10人未満の企業は「納期の特例」を利用できる

常時雇用している従業員が10人未満の企業は、「納期の特例」を申請し承認を受けることで、特別徴収分の住民税の納付を年2回にまとめられます。この特例は、小規模事業者の資金繰りの安定や事務負担の軽減を目的とした制度です。

要件を満たしている限り、原則として翌年度以降も継続して適用されます。納付の対象期間および納期限は、次のとおりです。

  • 6月~11月徴収分:12月10日まで
  • 12月~翌年5月徴収分:6月10日まで

なお、年度途中から特例の適用を希望する場合は、適用開始を希望する期に間に合うよう、事前に申請し承認を受ける必要があります。審査には2週間から1ヵ月程度かかる場合もあるため、余裕をもって手続きをおこないましょう。

参考:納期の特例について|八潮市

4. 住民税の納付手段(特別徴収)

電卓で計算する人

従業員の給与から特別徴収した住民税の主な納付方法は、次の2種類です。

  • 窓口納付
  • 電子納付

それぞれの方法について紹介します。

なお、口座振替は普通徴収に対応している自治体が多いものの、特別徴収については対応していない場合が一般的です。これは、従業員の退職や異動などにより毎月の徴収額が変動する可能性があり、口座振替による正確な処理が難しいとされているためです。

参考:特別徴収事務に関するよくある質問|船橋市

4-1. 窓口納付

窓口納付とは、市区町村から送付される納付書を持参し、金融機関や自治体の窓口で直接支払う方法です。納入書を提示して現金で納付すると、その場で領収証書が発行されます。領収書が必要な場合には、窓口納付を利用するとよいでしょう。

4-2. 電子納付

電子納付とは、eLTAX(エルタックス)の地方税共通納税システムを利用して納付する方法です。eLTAXを利用すれば、次のような支払い方法から選択できます。

  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード払い
  • ATM納付(ペイジー)

紙の納付書を使用しないので、自治体ごとに送付される納付書を管理する必要がありません。納付状況を一元的に確認できるため、事務作業の負担軽減にもつながります。ただし、領収証書は発行されない点には注意が必要です。

参考:地方税共通納税システムによる特別徴収の納入|江東区

5. 企業が住民税を納入する際の注意点

書類の説明を受ける様子

住民税の納付は、期限や方法を正しく理解し、適切に手続きをおこなうことが重要です。ここでは、企業が住民税を納入する際に押さえておきたい主な注意点について紹介します。

5-1. 住民税の納付額の途中変更に伴う「天引きミス」に注意

従業員の申告内容の変更や課税内容の修正などにより、年度の途中で市区町村から「税額変更通知書」が届くことがあります。

この通知書が届いた場合は、記載された内容に基づき、給与から天引きする住民税額を変更しなければなりません。変更を反映しないまま徴収を続けると、徴収不足や徴収過多といったミスが発生する可能性があります。

特に給与計算を手作業でおこなっている場合は、変更通知の見落としによる天引きミスが起こりやすいので注意が必要です。通知書が届いた際には、給与計算ソフトや計算内容を速やかに確認し、正しい金額で徴収するようにしましょう。

参考:追加や訂正の給与支払報告書、給与所得者異動届出書及び特別徴収への切替依頼書などは提出してないのですが、特別徴収税額変更通知書が届きました。なぜですか。(個人住民税)|横浜市

5-2. 住民税の納付書を紛失したら再発行が必要

企業が住民税を納付する際は、市区町村から送付される納付書を使用して金融機関などで納付する方法が一般的です。納付書を紛失した場合は、そのままでは窓口での納付ができないため、再発行の手続きが必要になります。納付書の再発行は、該当する市区町村の税務担当窓口へ連絡することで手続きが可能です。

自治体によっては、電話やオンライン申請で再発行に対応している場合もあります。納付期限が近い場合は、再発行に時間がかかると期限を過ぎてしまうおそれがあるので、紛失に気づいた時点で速やかに自治体へ連絡することが重要です。

また、紙の納付書を使用しない方法として、eLTAXによる電子納付を利用することも可能です。電子納付を利用すれば、ダイレクト納付やインターネットバンキングなどの方法でキャッシュレス納付ができ、納付書の管理が不要になるというメリットがあります。

参考:住民税の納付書をなくしてしまいました。|東村山市

5-3. 住民税の納付期限を過ぎるとペナルティにつながる

住民税の特別徴収の納付期限を1日でも過ぎてしまうと、滞納とみなされます。納付期限を過ぎると、納期限の翌日から延滞金の計算が開始されます。

また、納付が確認できない場合には、企業(特別徴収義務者)に対して督促状が送付されます。督促状が届いてもなお納付がおこなわれない場合は、財産調査が実施され、差し押さえなどの滞納処分が執行される可能性があります。こうした状況は、企業の信用低下にもつながりかねません。

さらに、特別徴収による住民税の納入は事業主の法的義務とされています。従業員の給与から徴収した住民税を納入しない場合などには、滞納処分の対象となるだけでなく、地方税法の規定により罰則が課される可能性も否定できません。

納付期限に間に合わなかった場合や、期限までに納付できない可能性がある場合は、まず管轄の市区町村の税務担当窓口へ連絡し、対応方法を確認しましょう。

参考:住民税(特別区民税・都民税)の納め忘れはありませんか?|足立区

6. 【パターン別】住民税の納付手続きの対応ポイント

ポイント

住民税の特別徴収にあたり、さまざまな事情でどのように対応するべきかわからないというケースも多々発生します。ここでは住民税特別徴収のパターン別納付対応を見ていきましょう。

6-1. 入社する場合

前職を退職して一定期間が空いてから再就職した場合や、個人で活動していた人が会社員になった場合などは、住民税が普通徴収となっていることがあります。この場合、給与から住民税を天引きするためには、企業が市区町村へ「特別徴収切替届出書」を提出し、特別徴収へ切り替える手続きが必要です。

ただし、入社時期によっては、すでに納付期限が到来している税額については特別徴収へ切り替えられない場合があります。その場合、該当する税額は従業員本人が普通徴収として個人で納付しなければなりません。

従業員が「企業で天引きされている」と誤解してしまうおそれもあるので、どの時期から特別徴収が開始されるのかを企業側からあらかじめ説明しておくとよいでしょう。

参考:普通徴収から特別徴収への切替|中野区

6-2. 退職・転職する場合

退職した従業員が転職・再就職する場合は、退職した企業が「給与所得者異動届出書」を作成し、従業員を通じて転職先へ提出し、転職先の企業が退職した月の翌月10日までに市区町村へ提出する方法が一般的です。

これにより、転職先の企業で住民税の特別徴収を引き継ぐことができます。一方、退職後に再就職しない場合や、再就職先が決まっていない場合は、退職した時期によって住民税の取り扱いが異なります。

  • 1~4月に退職した場合:残りの住民税を最後の給与などから一括徴収します。
  • 5月に退職した場合:最終月のため、通常どおり特別徴収します。
  • 6~12月に退職した場合:原則として翌月以降は普通徴収に切り替わります。

ただし、6~12月に退職した場合でも、従業員が希望すれば、給与や退職金などの支払額の範囲内で残りの住民税を一括徴収することも可能です。

参考:退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)|大阪市

関連記事:転職で住民税の支払いはどうなる?納付方法や時期について解説

6-3. 休職する場合

従業員が休職すると、給与の支給が停止され、給与から住民税を天引きできなくなる場合があります。このような場合は、「給与所得者異動届出書」の該当欄に必要事項を記入し、市区町村へ提出したうえで、徴収方法を「普通徴収」へ切り替えるのが一般的です。

普通徴収へ切り替えた後は、市区町村から本人あてに納付書が送付されるため、従業員が自分で住民税を納付することになります。なお、この場合は特別徴収義務者用の納付書を従業員へ渡さないよう注意しましょう。

参考:こんなときはどうしたら(特別徴収義務者の変更・納税義務者の異動など)|豊島区

6-4. 副業・ダブルワークする場合

2ヵ所以上の勤務先で給与を受け取っている場合、原則として「主たる給与」を支払う勤務先が住民税の特別徴収をおこないます。

また、給与以外に事業所得や不動産所得などの副収入がある場合には、確定申告書や住民税申告書で住民税の徴収方法として「普通徴収(自分で納付)」を選択することで、その副収入にかかる住民税を普通徴収にできます。

なお、給与所得にかかる住民税については、原則として給与からの特別徴収が義務付けられているので、普通徴収を選択することは基本的にできません。そのため、給与所得の部分については引き続き特別徴収がおこなわれることになります。

参考:給与や所得が複数ある場合の住民税の徴収方法について|中野区

7. 住民税の納付に関するよくある質問

木のブロック

ここでは、住民税の納付に関するよくある質問への回答を紹介します。

7-1. 住民税額はどのように決まる?非課税の基準は?

住民税(所得割)は主に次のような流れで決まります。

  1. 収入から必要経費(※給与所得の場合は給与所得控除)を控除する
  2. 所得控除を差し引き課税所得を計算する
  3. 課税所得に税率(10%)を掛けて税額を算出する
  4. 税額控除を差し引き納付税額を計算する

この流れは所得税と似ていますが、所得控除の金額や税率などに違いがある点に注意が必要です。また、住民税には所得割とは別に均等割が課されることも覚えておきましょう。

例えば、東京都23区では同一生計配偶者や扶養親族がいない場合、合計所得金額が45万円以下であれば、所得割・均等割の両方が非課税となります。給与所得者の場合は、給与所得控除の最低保障額が65万円あるため、2026年度の住民税は給与収入110万円(給与所得45万円)まで非課税となります。

なお、令和8年度税制改正大綱では、給与所得控除の最低保障額を69万円へ引き上げる本則改正に加え、令和9年度および令和10年度については、さらに5万円を上乗せする特例を設ける方針が示されています。

2026年度税制改正関連法が3月31日に可決・成立したことで、給与所得控除の最低保障額は実質的に74万円(69万円+5万円)として取り扱われることになります。その結果、住民税(均等割・所得割)の非課税判定に用いられる給与収入の基準額についても、引き上げられました。

具体的には、令和9年度および令和10年度の住民税では給与収入119万円まで、また特例が終了する令和11年度以降の住民税では給与収入114万円までが非課税となる水準になります。ただし、所得税と住民税では非課税となる基準の考え方が異なるので、従業員へ説明する際には両者を混同しないよう注意が必要です。

参考:個人住民税|東京都
参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省

関連記事:年収の壁とは?税金や社会保険の負担が生じる103万、106万、130万、150万の壁を解説

7-2. 賞与や退職金から住民税の徴収・納付は必要?

賞与(ボーナス)については住民税の徴収はおこないません。住民税は前年所得に基づいて年税額が決定され、その税額を通常は6月から翌年5月まで毎月の給与から分割して特別徴収する仕組みであるので、賞与からは徴収されません。

一方、退職金(退職所得)については住民税の徴収が必要です。退職金を支払う際に税額を計算し、その金額を退職金から天引きして納付します。納付先は、退職金の支払いを受けるべき日(通常は退職日)の属する年の1月1日時点で受給者が居住していた市区町村であり、納付期限は退職金を支払った日の翌月10日までです。

参考:所得税はボーナスからも徴収されていますが、住民税は徴収されていないのは、なぜですか|八潮市
参考:退職所得にかかる住民税の計算・各種手続き|中野区

関連記事:賞与(ボーナス)から引かれる源泉所得税の計算方法をわかりやすく解説
関連記事:退職金にかかる税金は?計算方法や退職金控除についても解説

7-3. ふるさと納税(ワンストップ特例)と住民税納付の関係は?

ふるさと納税とは、特定の自治体に寄附をおこなうことで、その寄附金のうち自己負担額2,000円を除いた部分について、一定の上限の範囲内で所得税および住民税から控除を受けられる制度です。なお、ふるさと納税は税法上「寄附金控除」に該当するため、年末調整では控除の手続きができず、原則として確定申告をしなければなりません。

ただし、会社員やパート・アルバイトなどの給与所得者で、確定申告が不要な人については、「ワンストップ特例制度」を利用できます。なお、「確定申告が不要な人」とは、給与を1ヵ所からのみ得ていて年収2,000万円以下の人や、副業の所得が20万円を超えない人などを指します。

この制度を利用する場合、寄附先が5自治体以内であれば、各自治体へ申請書を提出することで、確定申告をおこなわずに住民税から控除を受けられます。

ただし、後から確定申告をおこなってしまった場合にはワンストップ特例制度は無効となるため、確定申告の際にはふるさと納税による寄附金控除の記載を忘れないよう注意が必要です。従業員への周知をおこなう際には、この点についてもあわせて案内しておきましょう。

参考:No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)|国税庁

参考:確定申告が必要な方|国税庁

8. 住民税納付の仕組みを理解してミスなく支払おう

書類を受け取る様子

企業は「特別徴収義務者」として、毎月の給与から住民税を天引きし、徴収月の翌月10日までに各自治体へ納付する法的義務を負います。納付方法は、窓口納付のほか、事務負担を軽減できるeLTAXなどの電子納付が利用可能です。

運用上の注意点として、年度途中の税額変更や、入退職・休職に伴う徴収方法の切り替えへの速やかな対応が不可欠です。納付期限の遅滞は延滞金や企業の信用低下を招くおそれがあるので、年間スケジュールを正確に把握し、ミスや漏れのない管理を徹底しましょう。

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