住民税の納付方法|企業側がすべき手続きの流れをわかりやすく解説 - ジンジャー(jinjer)| クラウド型人事労務システム

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住民税の納付方法|企業側がすべき手続きの流れをわかりやすく解説

税金を計算する様子

住民税は前年の1~12月分が翌年に課税され、支払い義務が発生する税金です。特別徴収の場合は、6月~翌年5月にかけて毎月納付するようになっています。基本的に事業主には特別徴収の義務が課せられますが、特例によって特別徴収をしなくても良いケースがあるので、注意が必要です。

ここでは住民税特別徴収の仕組みや流れ、特例やパターン別の対応方法をみていきましょう。

▼給与計算における住民税の記事はこちら
給与計算における住民税とは|住民税の計算・納付・注意点について解説

1. 住民税納付にあたり知っておくべき普通徴収と特別徴収とは

TAX

住民税の納付方法は普通徴収と特別徴収の2種類あります。
普通徴収とは、納税義務者が市区町村から送付された納付書(納税通知書)によって年4回住民税をおさめる方法です。
特別徴収とは、納税義務者の給与支払者が従業員にかわって毎月給与から住民税を差し引いたうえで納入する方法です。
普通徴収と特別徴収にはほかにも細かな違いがいくつかあるので、本章で詳しく解説します。
参照:特別徴収Q&A|東京都主税局

1-1.徴収の回数

特別徴収は、原則として毎月の給与から住民税を差し引きます。
普通徴収は年4回であるのに対して特別徴収は年12回であるため、特別徴収の場合、納税義務者の1回あたりの負担が少なくて済むでしょう。
1年間の住民税が30万円だった場合、特別徴収なら1ヶ月25,000円の住民税が給与から差し引かれます。一方普通徴収の場合、年に4回、6月・8月・10月・1月となり、1回あたりの税額が多くなるでしょう。実際の納税額は変わりませんが、1回あたりの税額に違いがあります。

1-2.業務の負担

「住民税を特別徴収することで業務量が増えるのでは…」という不安を抱えている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、住民税の特別徴収は所得税と異なり、税額の計算や年末調整の必要はありません。計算は給与支払報告書を確認した市区町村がおこないます。納付書が送付されて住民税額が各市町村から通達されたら、その税額を毎月の給与から徴収し、翌月10日までに金融機関を通じて市区町村に納入するだけです。
また特別徴収をすると従業員が金融機関に出向いて自ら納税する手間も省くことができます。従業員の手間を軽減するという意味でも特別徴収はメリットが大きいです。

1-3.徴収方法

特別徴収は給与から差し引いて事業主側が払います。そのため、事業主側が適切に処理していれば、納税義務者が支払い忘れることなどは発生しないでしょう。一方で、普通徴収の場合は納税義務者が適切に管理をして納付しなければなりません。中には支払いを忘れてしまったり住民税分の給与も別のことに使ってしまったりする可能性があります。
普通徴収は納付期限までに納付ができないと、住民税の滞納とみなされるでしょう。督促がおこなわれ、それでも納付されない場合は滞納者の財産が差し押さえられます。
会社としても従業員が滞納者となってしまうことで様々なデメリットが生じる恐れがあります。

 

2. 住民税の納付手続きと流れ

書類の説明を受ける様子

住民税特別徴収による納付までの手続きと流れは以下の通りです。

2-1.給与支払報告書を提出する 

前年1~12月までの1年間に各従業員へ支払った給与支払額を1月31日までに「給与支払報告書」にまとめて市区町村に提出します。この給与支払報告書が住民税を算定する基準です。

2-2.特別徴収税額の通知と住民税納付書の送付がされる 

給与支払報告書を受け取った各市区町村は、給与支払額やふるさと納税やその他控除を加味したうえでそれぞれの住民税額を計算します。最終的な住民税額が記載された「特別徴収税額の決定通知書」が毎年5月ごろに事業主宛てに送付されます。事業主は通知を受け取ったら、記載されている内容や金額が正しいかどうかをチェックしましょう。

2-3.住民税を徴収する 

通知された従業員ごとの住民税は、月額の給与計算に反映させて給与から天引きします。毎年5月に通知された分は、翌月の6月から反映させなければいけません。
ほとんどの場合、住民税の金額が変わるので、徴収する住民税金額が正しいのかをしっかりと確認しましょう。

2-4.住民税を市町村に納付する 

給与から天引きしている住民税を、給与支払いの翌月10日までに納付します。金融機関や市区町村の窓口で納付可能です。

 

3.住民税特別徴収の特例

特別な人を表す図

住民税特別徴収は地方税法で定められている義務ですが、会社や従業員に事情がある場合は、特別徴収から普通徴収への切り替えが可能です。

  • 会社の総従業員数が2名以下
  • 常時2名以下の家事使用人に対してのみ給与を支払っている
  • 他の会社で特別徴収をおこなっている
  • 5月31日までに退職する予定がある
  • 給与が毎月支払われていない
  • 給与が少なく特別徴収ができない


これらの理由がある場合「個人住民税の普通徴収の切替理由書」を「給与支払報告書」とともに1月31日までに市区町村へ提出しましょう。

3-1. 住民税特別徴収の納期の特例

住民税特別徴収をする場合でも、給与支払を受ける従業員が常時10人未満の場合は希望する場合、特例で納期を年2回にまとめておこなうことができます。
納期の特例適用を希望する場合は、「特別徴収税額の納期の特例に関する申請書」を提出する必要があります。
審査の上、承認された場合、特別徴収義務者に、市区町村から承認書・納入書が送付されます。なお、従業員数が変わった場合などで納期の特例の適用要件に該当しなくなった場合は、「特別徴収税額の納期の特例の要件を欠いた場合の届出書」の提出が必要になります。
参照:個人住民税特別徴収の事務手引き|東京都主税局

4. 住民税を納入する際の注意点

attention

住民税を納入する際に注意すべきことはいくつかあります。
本章では注意点を3つにまとめてわかりやすく解説します。

4-1. 納付書の内容と徴収額を確認する

住民税特別徴収は、給与支払報告書を提出することで市区町村が税額を計算してくれますが、その通知が正確だとは限りません。通知を受け取ったら、徴収額や内容に間違いがないかどうか、特別徴収対象外の人は含まれていないかなどを確認しましょう。
また、チェックしてミスが見つかった場合は、すぐに市区町村の窓口に連絡を入れてください。会社側で勝手に訂正すると、一部未納になってしまうことがあります。

その他にも事務手続きが遅れていたり、引っ越し・転勤で従業員の住所が変わったりすると5月に通知が届かないケースもあるので、なかなか届かないときは市区町村に問い合わせなければなりません。

4-2. 住民税の納付書を紛失してしまった場合

住民税の納付書を紛失した場合、管轄の役所や事務所の納税課などに連絡して再発行してもらう必要があります。
再発行手続きなどは通常よりも時間がかかる可能性があるため、納付書の管理はしっかりとおこないましょう。また、住民税の納付は従業員の納税にかかわる重要な業務なので、万が一納付書をなくした際などは早急に再発行手続き・納入をおこないましょう。

4-3. 住民税の納付期限を過ぎてしまった場合

住民税の特別徴収の納付期限を1日でも過ぎてしまった場合、滞納とみなされます。
納付期限を1日でも過ぎた場合・過ぎてしまう場合には、まずは管轄の市区町村の税金窓口に連絡しましょう。
なお、納付期限に間に合わなかった場合は、納期限の翌日から延滞金の計算が開始されます。
納付期限を過ぎてしまった場合、納税義務者(事業主)に向けて督促状が送付されます。
督促状が届いてもなお、納入しない場合は財産調査がおこなわれ、滞納処分(差押え)が執行されます。
そのため、会社の信用喪失にもつながりかねません。

それだけでなく、特別徴収税の納入は事業主の義務なので、適切におこなわれなかった場合、罰則が科される可能性があります。
事業者に特別徴収税額決定通知書が送付されたにもかかわらず、特別徴収をおこなわなかった場合、滞納処分の対象となるとともに、地方税法第324条第3項の罰則(10年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は懲役及び罰金の併科)の対象となるため、確実に対応することが求められます。
参照:地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)|e-Gov法令検索

住民税の滞納をすると、延滞金が発生し、滞納処分がおこなわれます。特別徴収は従業員の給与からの預り金であるため、より責任をもって期限までに納入しなければなりません。

 

5. 住民税特別徴収のパターン別納付対応

教えてもらいながら書類に記入する様子

住民税の特別徴収にあたり、様々な事情でどう対応するべきかわからないというケースも多々発生します。ここでは住民税特別徴収のパターン別納付対応を見ていきましょう。

5-1.社員が入社した

入社した社員が普通徴収だった場合、特別徴収をおこなうためには特別徴収切替届出書を市区町村に提出する必要があります。入社する時期によりますが、すでに納付期限を過ぎている税額は切り替えられないため、社員が個人で納付しなければなりません。社員が特別徴収されていると勘違いしてしまう恐れがあるので、会社側から通知しておくと良いでしょう。
また中途入社で特別徴収を引き継ぐ場合は、前の会社から届く異動届出書があれば転勤・転職の該当部分に追加で記載し、市区町村に届け出るだけで手続きは完了です。社員が勤めていた前の会社から異動届出書が送られてこない場合は、普通徴収であった場合と同様の流れで切り替えましょう。

5-2.社員が退職した

退職した社員が再就職した場合、翌月10日までに転職先に対して給与所得者異動届出書を送りましょう。そのまま特別徴収を引き継ぐことができます。
一方で退職したものの再就職をしない、もしくは再就職が決まっていない場合は、退職した月によって取り扱いが異なります。

  • 1~4月:残りの分を一括徴収
  • 5月:特別徴収(通常通り)
  • 6~12月:翌月より普通徴収
    6~12月に退職した場合、退職金を超えない範囲であれば本人の希望によって一括徴収が可能です。
    また退職時の退職所得で、退職所得控除を超える分は住民税が課税されます。従業員が退職する際は退職所得の課税に関しても気を付けましょう。

5-3.休職や転勤をした

従業員の転職によって納税地が変更になったり、休職によって給与が発生しなくなった場合は、給与所得者異動届出書の該当欄に記入し、市区町村の窓口に提出します。
休職となるとまとまった期間で給与が発生しなくなるので、特別徴収の取り扱いは退職時と同様です。残りを給与から一括徴収か、納税者本人が普通徴収で納めるかのどちらにするかを選択しましょう。

6.ミスなく住民税特別徴収の納付をおこないましょう

書類を受け取る様子

住民税は会社が従業員の分を天引きして代わりに納付する、特別徴収が基本です。住民税額は市区町村が決定するため、会社側の負担はそれほどありません。

とはいえ、会社側は通知が届いたら内容が間違っていないかどうかをしっかりと確認する必要があります。

また事情によっては特別徴収に当てはまらないケースがあるため、特例に該当するかどうかを確かめたうえで特別徴収をおこないましょう。

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MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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